2013年8月10日土曜日

リベラとカブレラの死闘

凄い勝負を見た。飛ばさずに、最初から最後までこの勝負を見てほしい。


3対1で負けているタイガースの9回表。マウンドには今期で引退するヤンキースの守護神マリアノ・リベラ。バッターボックスは去年の三冠王ミゲル・カブレラ。

リベラがインコースに食い込むツーシームのような球をカブレラに連投する。カブレラはそのうちの2球を連続して自打球を前脚に当てる。脚を引きずりながら、次のボールは外に逸れるカットボール。その次、意図が曖昧な低めに入ったボールをカブレラが捉えて同点ホームラン。

これはリベラの最後の年だし、後々まで語りぐさになるシーンでは無いかと思う。

この勝負について私見を述べさせてもらうなら。。

リベラはやはりムービングファストボールを詰まらせる目的で使いたいのだろう。しかし流石にそれがやりにくくなった時、カットボールは外に外す球として使った。そして次の球もインコースを厳しくつく事は無かった。

カッターを極めたのがリベラの偉大さだが、それゆえに他の球種が無かったということか。後一つ、緩い球でもあれば、この勝負も変わってきただろう。特に下半身の踏ん張りが利かない状態なら緩いボールは有効なはずだ。

エジェクションボタンが無いMACや、ガトリングガンが一つしか無いイージス艦のような潔さが裏目に出る事も有ると言うわけだ。

この勝負には、リベラの人間性と技術力の高さが出ている。

勝負である以上、怪我をさせてでもインコースを厳しくついていかなければならないと言う厳しさと、またそれをギリギリの線で実現出来る技術力。その一方で、今期で引退する伝説的クローザーと言う立場として、これからのメジャーを背負って立つ強打者を潰すわけにも行かないと言うアンリトゥン・ルール的な空気を読んだ行動。その2つがギリギリの所でせめぎあった結果としてのこの結果なのだろう。そして、そのリベラのメッセージボールを中途半端なヒットではなく、しっかりとバックスクリーンに叩き込んで答えたカブレラの技術力。

去りゆく者と背負って立つ者とが、一流同士にしか解らない深い所で会話を交わしているかのような勝負だ。

そうした意味を含めて考えると、中々の名場面では無いだろうか。