2013年8月28日水曜日

ヤクルトのバレンティン


バレンティンが、王貞治のホームラン記録を抜こうとしている。
この記録は、過去にバースやカブレラが挑戦したが、四球などによって到達する事は出来なかった。個人的には、名シーンとして、王監督がベンチから見守る中、江川卓がバースに真っ向勝負を演じて、インコースの速球をスタンドに運ばれたシーンが、思い出される。

さて、バレンティンの打撃だが。。


脚上げ型、片手フォローのパンチャーである。
ただラボでは、特にパンチャータイプの場合、両手で振り抜く事が重要だと言い続け、実践してもらっている。これは、日本人の場合、特に重要になるポイントだ。

また、後ろ脚の角度が良いので、ハムストリングスが非常に良く効いている。

ところで、私の理論と食い違う動きで打つ選手を挙げて「じゃあ、この場合はどうなの?」と思われる事は多いと思う。そういう問いに対する、私の答えは「長いスパンで見て下さい。」と言う事になる。

ただ、バレンティンの場合、片手フォローで成功する選手のいくつかの特性を兼ね備えているので、メジャーほどの球威が無いNPBだと、ある程度は長持ちする可能性が有る。特に、このスイングの場合、インコースに食い込んで来る速球が打ちにくいので、そうした事を考えると、バレンティンのような中南米系の選手が、一回り、パワーの弱い日本の野球界でプレーしている事と、このスイングの間には関係が有ると言う事が言えるだろう。

つまり、パワーの有る中南米系の選手が、一回りパワーの無い、日本野球の中でホームランを量産するための打ち方でああると言う事だ。

良くも悪くも、日本野球に適応した結果としてのスイングである。バレンティンの能力、相手投手の能力、そして、バレンティンが日本球界で求められている役割。そうした物を考慮した時、バレンティンの採った選択肢が理解出来る。

脊柱のS字カーブの効いた骨格の選手が、低く構えると(あるいは肘をあまり挙げずに、上半身の力を抜いて構えると)比較的、片手フォローの悪影響が出にくい。同じようなスイングで、長期的に安定した成績を残しているカルロス・リーと言うパナマ出身のメジャーリーガーがいる。

カルロス・リー


マーク・マグワイアも、その範疇だし、ミゲル・カブレラもそうだろう。

マーク・マグワイア


ミゲル・カブレラ(おそらく、バレンティンはカブレラを意識しているのでは無いかと思う。)


ヤクルトのバレンティンを見て、ミゲール・カブレラ、カルロス・リー、マーク・マグワイアの3人を連想する。そうした事から、バレンティンの今後を類推する。その結果として予想されるのは、おそらく急激には成績を落とさないだろう。タフィー・ローズや、アレックス・カブレラに近い地位を日本球界で築いて行く可能性は高い。

ただ、もちろん、ラボでは両手で振り抜くフォローを重要な基本として行く。ミゲル・カブレラが三冠王を取って、バレンティンがホームラン記録を更新しても、そこは変わる事は無い。