2013年8月8日木曜日

マックス・シャーザーの落ちる系の球

今期、16勝1敗と言う脅威的な数字(防御率2.85)でMLBで勝ち星トップに立っているのがタイガースのマックス・シャーザー。奪三振は170個でメジャー全体で3位。以前にフォームが藤浪と似ていると書いたが、もっと似ているのは元西武(現監督)の渡辺久信だろう。



特徴は、90マイル台後半の重たいストレートと、鋭く曲がると言うよりも「切れ込む」軌道のツーシーム。そして、縦スラとシュートするチェンジアップの使い分け。チェンジアップをシンカーのような感じで使う事で、左右に曲がりながら落ちるボールを投げる事が可能になっている。

今のメジャーリーグはムービングファストボールが主流だと言われているが、その路線を極めているようなタイプ(典型的なのは中南米系で、80マイル台後半の速球が、いろんな方向に鋭く動くタイプ)は案外、そんなに良い数字を残していない。そういうムービングボーラーで成績が伴って来ないタイプは、だいたい緩急をあまり使わなかったり、落ちる系の変化球に疎いタイプだ。

それよりも、一番良い数字を出しているのは、緩急と落ちる球を上手く使えるタイプだろう。特に、やはり落ちる球を使えるタイプは強い。ティム・リンスカム、ジョニー・クエト、フェリックス・ヘルナンデスのような投球スタイル。つまり、速球のムーブは程々で、緩急あるいは落ちる球を上手く使えるタイプ。結局はこのタイプが一番良い成績を残している。

シャーザーの投球スタイルをwikiで調べてみると。。

Scherzer throws four pitches: a four-seam fastball in the mid to high 90s which has been clocked as high as 100, a slider in the 86–89 range, a changeup in the mid 80s, and acurveball at 65–80. The slider is his primary off-speed pitch to right-handed hitters, and the changeup is primarily used against left-handed hitters. Scherzer throws the curveball every once in a while, about four times a game.

シャーザーは4種類のボールを投げる。約100マイルを計測した、90マイル中盤から後半のフォーシーム。86マイルから89マイルのスライダー。80マイル台中盤のチェンジアップ。65マイルから80マイルのカーブ。である。

スライダーは、主にオフスピードピッチとして右打者に使われ、チェンジアップは主に左打者に対して使われる。シャーザーはカーブを時々投げる。(一試合に四回くらい。)

なるほど、確かにカーブを投げる印象は無い。また、スライダーとチェンジアップを打者の左右で使い分けると言う事から、チェンジアップがシュートする事が読み取れる。なお、上記の記事にはツーシームについて書かれていないが、この記事のタイトルが "Detroit Tigers' Max Scherzer looking to add two-seam fastball to arsenal." つまり「デトロイトタイガースのマックスシャーザーは、武器庫(投球のレパートリー)にツーシームを加える意向だ。」となっているので、それは実現したのだろう。

この動画でも、落ちる球をウィニングショットとして使っている。


ロイ・ハラディはバットは横に長いので、落ちる球が有効だと行っていたが、シャーザーのように、チェンジアップと縦スラを左右に曲げながら落とす事が出来れば強いだろう。ほとんどカーブを使わず、豪速球、ツーシーム、チェンジアップ、縦スラの4種類で勝負していることになる。落ちる球の優位性が良く解る事例の一つだと思う。