2013年7月28日日曜日

平田さん 進化の記録1

























平田さんのフォームで最も気を付けたいのは、構えを作り込み過ぎて、重心が低くならないようにすることです。重心が低くなって、ステップ幅が狭くなり、前脚がフォローで突っ張ってしまう(或はフォローの勢いが無くなる)と言うのが、このタイプのコンパクトなフォームの一つの悪いパターンです。なので、力の入るフォームを求めようとして、膝や股関節を折り過ぎたり、深く前傾し過ぎたり、スタンス幅が広くなり過ぎたりしないように気をつけてください。 

構え、あるいは脚を挙げた時の重心が低くなり、ステップ幅が狭くならないようにすると言うのは常に気をつけたいチェックポイントです。

また、もう一つのポイントは、前脚を挙げる時、後ろ脚の方に引きつけ過ぎたり、捻り過ぎたりすると、前脚の大腿四頭筋が緊張しやすく、その後の前脚を振り下ろすシーンで引っ掛りを感じる(スムーズさを欠く)ようになります。なので、前脚を挙げる時に「抜く」メカニズムを利用する事が重要になります。「抜く」メカニズムを利用して、その場で真っすぐ挙げると、前脚の大腿四頭筋が緊張しにくくなり、前脚の振り下ろしがスムーズになります。また、この脚の挙げ方だと、脚を挙げる時に骨盤が動きやすく(挙げる時に前傾、降ろす時に前傾)よりダイナミックなフォームになります。しかし、構えでのスタンス幅が広い状態から抜くと、着地が早くなってしまうので「抜き」を利用するのであれば、スタンス幅は狭い方が良いです。

当日撮影した動画では、まだ「フォーム」を改善しただけですが、それでも始動前の余分な体重移動を無くした事によって、力が前に向かって集中出来るようになりました。このフォームに、股関節伸展の力強さが加わると、さらにフィニッシュは豪快になるでしょう。そうなって来ると、かなり重い球質のストレートが投げられそうな予感は有ります。コンパクトなフォームから速い球を投げる投手の場合、一つのポイントになるのは球の重さですが、後ろ脚のハムストリングスが効いて、重心移動の力が強くなると、球質も重くなります。

まずは、キンブレルを含めて、同じようなフォームの投手の例を挙げておきます。

デビッド・ロバートソン
ヘンリー・ロドリゲス
クレイグ・キンブレル
ケルビン・へレーラ

続きます。


※)セットからの投球動画をディスクに入れ忘れたので、また次の機会に入れておきます。

この記事については、中段し、続きは「平田さん 進化の記録2」の方に書きます。

2013年7月27日土曜日

小峯さん 投球動画



持ち球の中で一番レベルが高いと思ったのはスライダーです。チェンジアップはナチュラルシュートするのは面白いのですが、大きなカーブで緩急を付けにくい投法だと言う事を考えると、もう少し緩急の差が欲しい所です。そして、ツーシーム、シュート系はもっと磨けば武器になると思います。カーブはスライダーに近い状態なのですが、スライダーが横滑りするぶん、カーブは縦スラのような使い方をすると良いでしょう。今シーズン、ダルビッシュがMLBで奪三振1位をキープしていますが、縦スラが効いているのだと思います。小峯さんの場合、横滑り系の変化球が投げられるので、後は落ちる球を欲しいのですが、カーブを縦スラとして使う事で、落ちる球とすると良いでしょう。とにかく、横滑り系の変化球だけだと、かなり球速が無いと、高いレベルでは打たれます。(日本からMLBに行った横手投げ系の投手で球威が無い場合、横に滑る球は有っても縦の変化球が無い場合は芯を外しても外野に運ばれるので、見ていてかなり危なっかしい綱渡り的な投球になります。)

なので、チェンジアップをもう少し遅く投げられるようにして、それを緩急を付ける球として使い、カーブを縦スラとして使い,後はスライダー系とシュート系で横に揺さぶりを付けて行くのが良いでしょう。パンチャーの場合、腕を強く振って行くので、腕の振りと球速の差で錯覚を引き起こすチェンジアップは大きな武器になると思います。そういった意味で、左右に横滑りする球をコントロール出来るようにすること、そしてチェンジアップを磨くことはもちろん重要ですが、カーブというのをこれからの大きなテーマにしてほしいと思います。一般的なイメージのカーブで有る必要は無く、速くても良いので縦の変化を付けられる球としてカーブが使いたいと言う事です。

例えば、ペドロ・マルティネスのカーブはスライダーと間違われる事が多いのですが、本人はカーブしか投げていないと言っています。これはパワーカーブと言われており、メジャーではAJバーネットとペドロが有名ですが、握りは共にナックルカーブです。(http://ameblo.jp/redsox24/entry-10313400859.html



バーネット

この動画にペドロのカーブが出て来ます。(最初に貼った動画のはたぶんチェンジアップでした。)


バーネット(スインガー)の投球(縦スラのようなパワーカーブで三振を量産 1球目に実況がカーブと言っています。)

そして、後はやはりなんと言っても、ストレートの球威です。これがやはり大きなテーマになります。まだまだ身体の力を使い切っていない状態なので、もっと球威が出るはずです。

それから、フォーム的に思った事ですが、この前は8種類のクイックモーションをやってもらいましたが、まだまだコントロールを磨く必要性が大きい事、それから現時点で比較的変化球のレパートリーが出そろっている事を考えると、投げ方は絞って、投球の質を高めて行く方向にした方が良いと感じました。ただ、保険的な意味でも、今のオートマチックステップ投げに加えて、あともう一つは身につけたい所です。

その点に関しては、今回の撮影を見て、やはりワインドアップが今からモノにしていくには、少し苦しいかなと感じました。(メジャー式の馴染みの無い動きだと言うのも理由の一つです。)

また、ワインドアップ投法に関しては、本当の意味でワインドアップで安定感を出そうとすれば、ダルビッシュとかバックホルツ並みのプロポーションが必要になると思います。つまり、子供の場合、頭が大きいので良く転びますが、それと同じ理由で身長、頭の大きさの比率で、かなり頭が小さく無いとワインドアップで安定感が出しにくいと思うのです。松坂とか田中将大くらいは必要になるでしょう。

小峯さんの場合、特にコントロールに課題が有るので、そうした事を考慮すると、脚を挙げるにしても、セットポジションからの脚挙げにして、安定感を出して行った方が良いと思いますが、まだまだ結論は出しにくいので、その辺は、これから考えて行きたいと思います。

セットからの脚挙げに関しては「抜き」の原理を利用した脚挙げで,スタンスは狭めと言うのを平田さんが取り組んでいるので、平田さんの動画も見ておいてください。

モデルにしているのは、クレイグ・キンブレルとケルビン・へレーラで、両方ともメジャーとしては小柄な投手で、豪速球投手です。

キンブレル(ちなみに、このボールはキンブレルとしてはカーブです。)


ヘレーラ


この記事では、以上です。フォーム上の分析などは前回の記事に続きを書きます。

2013年7月26日金曜日

山下さん 進化の記録6



今回のテーマは

1)後ろ足の3点支持
2)捻って後ろ脚股関節を割り、後ろ脚で地面を捉えた構えから振る
3)下腿部の角度や3点支持、捻りと連動した後ろ脚股関節の割り等を意識し、後ろ戻りを無くす
4)打つ意識の素振り(内角 真ん中 外角)
5)外角を打つ事による後ろパワー
6)内角を打つ事による前脚股関節の伸展とヘッドの抜け


でした。

今回、最大の収穫は、肘から挙るテークバックが出現してくれた事でしょう。野手であると言う事を考えると、この投げ方の中だけでも、肘から挙るテークバックが綺麗に作れれば、それで充分です。なので、オートマチックステップ投げのシャドーや肩ストレッチなどで、この感覚を忘れないようにし、また、精度を挙げて行ってください。

続きます。

山下さんは、林さんとは逆のタイプで、パッと見で不器用に見える部分が有るものの、良い意味でも悪い意味でも身体の使い方にクセがついていない部分が有ります。そのぶん、身体の力を素直にボールに伝えられるのが良い部分です。また、かなりハムストリングスも使えるようになってきました。

こうした選手の場合、まだまだ投げるのも打つのも反復練習を重ねる事で、身体に「良いクセ」をつけていく必要が有る段階です。そうした意味で、あまり小さい調子の上下動に左右されずに、とにかくやっつけ仕事の感覚で数をこなして行く事が重要であり、また反応力を高めるために、積極的に崩される状況での打撃を経験していく事(実戦的な練習)も大切です。

一つだけ気をつけなけれなならないのは「やればやるほど悪くなって行く」と言う状況に陥った場合で、そうした場合は、やっているトレーニング法とか、取り組んでいる技術的テーマを疑って見直して行く必要が有ります。しかし、そうでは無く、良くなったり悪くなったりと言った程度の問題なら、ほとんど気にする事は無いでしょう。そうでは無く、より高い次元で良くなったり悪くなったりするようにしていく事が重要であるということです。

続きます。

細かい分析は、これまでにかなり書いて来たので、今回はこのくらいにしておきます。次回は、身体を捻って打つ事とか、前脚軸を作る事とか、そうしたポイントになる身体の使い方を見直して行きたいと思います。山下さんの場合は、良い意味でも悪い意味でも、身体の使い方にクセが無く、身体の力は素直に使えているのですが、逆にもうちょっとクセをつけていかないと一段上のレベルに挙って行けないと言う事です。クセを付けると言うのは、こうやって身体を使うと、良い感じでバットが走ってくれるんだとか言う感覚を憶えて行くということです。

以上です。

林さん 進化の記録5



今回のテーマは

1)後ろ足の3点支持
2)捻って後ろ脚股関節を割り、後ろ脚で地面を捉えた構えから振る
3)下腿部の角度や3点支持、捻りと連動した後ろ脚股関節の割り等を意識し、後ろ戻りを無くす
4)打つ意識の素振り(内角 真ん中 外角)
5)外角を打つ事による後ろパワー
6)内角を打つ事による前脚股関節の伸展とヘッドの抜け

等でした。

特に、動画の最初のスクワットダウン置きティーには、今の林さんに欠けているピースがほとんど全部詰まっています。そして、この練習は非常に上手く出来ています。なので、スクワットダウン置きティーと内角を打つ素振りを組み合わせて、後は巻き戻しの躍動感を失わない事に気をつければ、スイングはかなり良くなると思います。

※)スクワットダウン置きティーはハムストリングスに負荷がかかり、良い意味でトレーニングになるのですが、若干、硬化を招く可能性も有るので、腸腰筋系のトレーニングやストレッチを挟み、バランスを取りながら行なうと良いでしょう。また、バットを、かなり短く持つので、1キロくらいの少し重いバットを使うのも良いトレーニングになります。

続きます。

もともと、器用と言うか、基礎的な技術力が有った方なので、新しい事をやってみた時に、すんなりと出来る部分は有ります。しかし、その事が逆に根本的なテーマを置き去りにしながらも、傍から見ると「出来ている」と思わせてしまう危険性を孕んでいます。

現状で言えば、良いクセもついてきたものの、悪いクセもついてきたというか、このあたりでもう一度、股関節を割る事とか、ハムストリングスを使う事とかを基礎から見直して土台固めをした方が良いと思います。

また、スローイングでも首を傾けるクセを無くすとか、そうした「クセ」を取って行く作業が必要になります。例えば、軽いシャドーの中で目標を見たまま腕を振る事を繰り返して、そうしたフォームで投げられる身体を作って行く作業などが必要になります。これは動的ストレッチング効果を期待した練習です。

つまり、色々な動きがパッと見は出来ているのですが、基礎的な身体の使い方の部分で、消化しきれていないままになっている事が有ると言う事です。なので、長い目で見た場合、ここでもう一度、基礎固め、土台固めをしっかりしておく事が重要になるのでは無いかと言う事です。もちろん、それ自体時間がかかる作業で、他の問題と平行してと言う事になりますが。

続きます。

細かい分析は、これまでにかなり書いて来たので、今回はこのくらいにしておきます。次回は、ハムストリングスや腸腰筋がどのくらい使えているかとか、股関節の割りとか、後はスローイングの動きのクセを無くすと言った、基礎的な内容をもう一度重点的に行ないたいと思います。

いずれにしても、上手くなって来た事によって、その反面として悪いクセもついてきているのが現状です。(それは言葉では表現しにくいですが、身体の使い方に偏りが出て来て、良いパフォーマンスとそうでない時の差が大きいと感じます。)ですので、このあたりで一度、基礎的な身体の使い方から見直した方が良いと言う考えです。

以上です。



2013年7月13日土曜日

小峯さん 進化の記録1



まず、今までに多くの人を見て来た経験で言える事は、小峯さんは大腿四頭筋を使う動きが身体に染み付いており、ハムストリングスを使った動きに慣れておらず、その結果、動きの中で股関節を割る動きが出来にくいと言う典型的なケースのようです。(やはり、実際に会ってみて、色々な動きを見て行くと、そうした事まで、良く解ります。)このタイプの人は、野球選手の中にも、野球の上手い下手に関係無く、良くいます。ただ、そのようなケースの中にあっても希望が持てるのは、元の骨格がかなり良い方だと言う事です。(脊柱のS字カーブが効いている体型の人でも、ハムストリングスを上手く使えるとは限らないと言う事を改めて再認識出来ました。)

なので、トレーニングにおいて、まず始めに着手したい事が、やはり腸腰筋が効いて、骨盤が前傾した状態を作り、そこからハムストリングスを使って、動けるようにして行くということです。

そのためには、当然腸腰筋ストレッチがまず重要になるのですが、それと平行して、まず下地作りとして、腸腰筋のストレッチも重要になります。と言うのは、腰を反って腸腰筋をストレッチしようとしても、腹筋や大腿四頭筋などが硬ければ、充分に反りを作る事が出来ず、深層筋である腸腰筋にアプローチ出来ないからです。

そこで、まず腸腰筋ストレッチ3種「タオルを使って腰を反るストレッチ」「大の字になるストレッチ」「腕を組んで腰を反るストレッチ」を行なって行く事で、身体を反る柔軟性を向上させて行く事が重要になります。そして、その上で腸腰筋その場ステップが重要になります。(ただ、現段階での腸腰筋その場ステップの動きを見ると、その場ステップの中では腸腰筋が使えているので、全くイチからのスタートと言うわけでは有りません。)

そして、腸腰筋その場ステップが終わった後、股関節で身体をクッと折り、大腿四頭筋の弛緩とハムストリングスの収縮を確認します。そこから、踵での小刻みなステップや両手で8の字を描く揺らぎ体操などで、踵でトントンする感じ(骨立ち、ハムストリングス立ちの感覚)を確認してください。流れを整理して書きます。

1)腸腰筋ストレッチ
2)腸腰筋その場ステップ
3)大腿四頭筋の弛緩とハムストリングスの収縮
4)踵小刻みステップや、8の字揺らぎ体操で、踵でトントンする感覚を確認。

黒人の身体機能に近づくためには第一段階として、まず、このメニューが重要になります。基本的には(1)は準備体操であり、(3)と(4)は確認作業的な意味が強いので、やはり重要なのは(3)の腸腰筋その場ステップです。

そして、この下地作りが出来た状態で、スクワット系、アップダウン系を取入れて行きたいのですが、小峯さんの場合、やや急ぐ必要があるので、スクワット系、アップダウン系も、同時進行で行なって行きたい事はお話した通りです。ただ、まだ初期段階なので、とにかく腸腰筋その場ステップを最重視してください。

黒人の身体機能に近づくと言うのは、パワーアップのために非常に重要なテーマです。その取り組みがココから始まると言う事です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

細かい分析も有るのですが、まず一番先に「テークバックでのコンパクトな腕の回転」を身につけるために、プラスになると思える具体的な取り組みで、新しく考えた物を書いておきます。

1)オートマチックステップ投げでのポイント

オートマチックステップ投げは基本的に、内旋して肘から挙るテークバックを身につけやすい練習なのですが、ポイントを外すと、それが難しくなります。下の動画を見て下さい。オートマチックステップで内旋して肘から挙るテークバックを上手く作れる人には共通点が有ります。


1)始動時に後ろに重心移動しないで、直接前に出て行く。
2)肘を下げて構える事で肩の力が抜けている。

この二点です。

では、小峯さんのオートマチックステップ投げをスローで見てみましょう。


スローで見ないと解りにくいですが、始動した瞬間に、一度わずかに重心が後ろに移動しています。この動きが有ると、後ろに重心移動している時に上半身の余計な動きが入ってしまい、そのぶん、両手の割りの動きが悪くなってしまいます。

そこで、以下の事を試してみてください。

a)始動時に身体が後ろに動かないように意識して、6,7割の力で軽くシャドーする。
少しづつで良いので、この練習をしばらくやってみて下さい。構えでは肘を下げてください。部屋でも出来ると思います。しばらくやっていると、両手が速やかにパッと割れる感じとか、肩に力が入らない感じが解ると思います。ただし、メインはあくまでも無意識での全力シャドーです。

b)少し捻りを入れて、後ろ脚股関節を割り、後ろ脚に体重を乗せた構えから始動する。
これによって、後ろ脚の力が効きやすくなり、始動時に後ろに重心移動しにくくなります。そうすると両手もパッと割れてくれます。このときも構えでは肘を下げます。ただ、これはあくまでも練習法と言う位置づけです。また、もしかして左脚の力の方が強くて始動時に後ろに重心移動が起きている可能性も考えられます。この場合、後ろ脚の力を鍛える必要がありますが、割れ絞り体操系を後ろ脚中心にやっていけば大丈夫でしょう。

c)足裏全体にバランス良く体重を乗せる。
これは、バッティングで多いのですが、インエッジがめくれていたりすると、始動時に後ろに重心移動が起きたり、無駄な動きが起きやすくなります。ハムストリングスを使うためには基本的に踵に重心を乗せる事が大切ですが、拇指球や小指球も地面にしっかりと接地した状態で足裏を地面にフィットさせて構えるようにしてください。

図のように、3点を地面につけて、足裏全体がピタッと地面に着くように構えます。この事を意識した練習をする場合、ややハムストリングス立ちがおろそかになりやすいので、事前に腸腰筋その場ステップ或は腸腰筋ストレッチを行います。そして、両足の角度が平行から僅かに開いている状態を確認してから、足裏のフィット感を意識して、一回づつ丁寧に投げます。 両手が気持ち良く割れる感じが有るかと思います。

d)構えで出来るだけ、肘を下げて肩の力を抜く。
肩甲骨を胸郭に被せて、そこから腕が吊り下がっている状態を思い出して下さい。あの感じで構える事で肩の力が抜けます。内旋して肘から挙るテークバックが出来る人の共通点として、肩の力が抜けています。

e)少し後ろ脚のトレーニングを優先させる。
後ろ脚の力が強くなる事で、始動時に後ろに重心移動する動きが無くなる可能性が有ります。(断言は出来ません。)ただ、投手の場合、後ろ脚の割れ絞り系のトレーニングを行なう重要性が大きいので、自然に後ろ脚のトレーニングが優先されると思いますし、そうした方が良いでしょう。割れ絞りジャンプ、割れ絞りパンチ、割れ絞りシャドー等によって、後ろ脚のトレーニングを積極的に行なうようにしてみてください。

(a)と(b)については動画で紹介します。(e)はトレーニングの話ですし、(c)と(d)は、どの練習の中でも意識出来る事なので、敢えて動画説明は必要無いでしょう。自分自身、後ろに重心移動してしまってますが。。


2)ワインドアップでのポイント

小峯さんの場合、脚を挙げた時、やや肘が挙り過ぎて肩に力が入った状態になっています。これもテークバックが肘から挙る形にならない原因の一つである可能性が有ります。(原因と考えられる要素を一つずつ消して行く取り組みが必要になります。)

ただ、私がこれは「腕を逃がす」と言う事を言っていたので、それも有ると思います。ただ、ここで少し方向を修正したいと思います。

下の動画を見て下さい。肘は完全に降ろして、腕をぶら下げたままの意識で脚を挙げています。それでも、実際には体幹部との連動で最後に自動的に腕が逃げてくれます。ただ、この動画の感じだと、少しグラブと前脚が接触してしまいます。それでも、グラブの中でボールの握りがズレるとかは無いので、パフォーマンスには影響が出ないと思います。なので、ひとまず、パフォーマンスに差し支えが無い範囲で、腕と前脚が当たらない事よりも、肩の力を抜く事を優先してみてください。そうすると、腕の力が抜けて、指先が走るようになると思います。特に小峯さんの場合、始動時に上半身に力が入っている感じがして、それが最大の問題のように思えるので、その方が良いと思います。



これはバッティングでよく有るケースなのですが、始動しようとした時に上半身が力んでいると、下半身の力も出なくなります。また、始動した後も、下半身の力が上手く上半身に連動してくれません。ですから、始動時に上半身の力が抜けている事は非常に重要です。それによって始動時の下半身の力も大きくなるし、その下半身の力を腕の加速に効果的に活用出来るからです。

続きます。

そして、ワインドアップでのもう一つのポイントですが、「クッと脚を挙げて、フッと力を抜いて、ガッと投げる」のリズムの中で「フッ」と力を抜く所で肘が下がっているということです。これが、腕の回転が綺麗(あるいは肘から挙る形が出来ている)な人の共通点です。

下の動画は「肘から挙げるテークバックが出来てる」と言うテーマで編集しました。最後に小峯さんが入っています


これを見ると、出来ている人は肘が下がっている所から始動している特徴が有ります。最初から肘が下がっているか、脚を挙げる時にに肘が挙った後、一度下に下げてから始動しているかのどちらかです。ただ「肘を下げてから始動」の意識だと「脚を降ろしてからの始動」の意識と同じで、始動が遅れてしまい始動ポジションで後ろ脚に体重が乗ってない状態になってしまうので、注意が必要です。勝負は脚を挙げる所までです。そこまでで「肘が下がった状態から始動出来る」ような脚の挙げ方とその時の上半身の動きを身につけることがポイントになります。

3)ストレッチでのポイント

まず、重視してほしいのは「腕回し」です。ショートからの送球の練習も「腕回しの一種」と考えて行なってください。これまで、パンチャー投げを教えて、テークバックで綺麗な腕の回転が出来る人の特徴として「最初からそういう腕の使い方が出来る」「肩の動きが柔らかい」と言うのは、やはりあります。腕回しストレッチの中で、肘から挙げて肘から抜く感覚を掴んで下さい。

ですからまず、小峯さんの場合も「(1)肘から挙げて肘から出すような腕の使い方を5,6割の腕の振りの中で意識すると、出来る」と言う状態を作る事と「(2)人より肩甲骨や肩関節の柔軟性が有る」と言う状態になる事が重要になります。その上で「(3)実際の投球フォームの中で、肘から挙げて肘から出す動きが出来る」と言う状態を目指して行きます。

(1)と(2)がクリアされていないと、(3)が出来ない場合、それが技術的な問題なのか、土台となる身体の機能性の問題(1と2の問題)なのか、解りにくいためです。

内野手のスローイング動作では、腕がそこそこ回っていたので、この動きをストレッチとして行い、よりスムーズに腕を回せるようにしてください。これは(1)の取り組みです。ただ、ソフトボールのピッチャーの例でお話したように、こうした動的ストレッチは(2)の柔軟性を高める効果も高いのです。そのため、腕回しは(1)と(2)を兼ね合わせた非常に良い練習になります。継続していくと肩廻りがほぐれて来る事が解ると思います。

軽くで良いです。トップを作ってから投げるのでは無く、肘が上、手が下の状態からシュパッと腕を振る感覚です。6割くらいの力で、腕の力を抜いて、腕回しストレッチとして行なうのが良いと思います。

また、小峯さんの場合、おそらく三角筋が硬いのだと思います。椅子の背もたれで肘を付けるストレッチを見ても、それを感じました。ですので、下の動画のような三角筋のストレッチを行なって下さい。立った状態と前屈した状態で行ないます。三角筋が硬いと、肘が背中の方に入らなくなります。

プリントに書いてある基本的なストレッチに加えて、上記の三角筋ストレッチも行なっておいてください。

また、肩関節の内転筋である大胸筋や広背筋が硬化すると肘が挙らなくなるので、これらのストレッチも重要です。特に素振りの後等、負荷を使った後には必須です。

その他、下の写真の肩甲骨ストレッチ(内転+上方回転)によって右の脇腹をストレッチしておく事も、肘を挙げるために重要になります。これは特に、切り返した時の肘の高さを保つのに効果的です。

基本的にストレッチは「(1)肘から挙げて肘から出すような腕の使い方を5,6割の腕の振りの中で意識すると、出来る」と、「(2)人より肩甲骨や肩関節の柔軟性が有る」のために行なう事です。つまり、土台作りを意味します。そしてシャドーやボールを使った投球練習が「(3)実際の投球フォームの中で、肘から挙げて肘から出す動きが出来る」のための練習になります。

肩の柔らかさを自分の長所にするぐらいの取り組みでいかないと厳しいと思いますし、そこが重要なポイントになると思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

緊急の理論変更です。シャドーは、粘着テープを丸めたのを使わない方が良いです。使うと、リリースする感覚が無くなるからです。また、シャドーの意識は「振る」では無く「投げる」イメージを大切にした方が良いです。なぜなら、振る意識だと、力の向きがフィニッシュの方に向いてしまうからです。投げる意識にすることで、真っすぐ前に力が向いて行きます。

では次に分析編です。今回、また新しい課題も見つかりましたし、改善、球速アップの筋道も前回より明確に見えて来ました。

続きます。



しかし、やはり実際に外で投げている所を見た事は非常に大きかったです。

まず「投げ方」ですが、オートマチックステップ投げが安定しているし、力も出せているので、これで行くのが良いのかなと言うは有ります。以前にウーロンさんと言う小峯さんと投げ方が非常に良く似ている人がいて、その人も脚を挙げるフォームが投げにくいような事を言っていたので、オートマチックステップ投げの適性みたいなものが有るのかなと思います。

ただ、オートマチックステップ投げで行くのであれば、ハムストリングスの力を使う事がかなり出来ていないと、力も出ないし、肩肘に負担がかかってくるので、ハムストリングスを中心とした股関節のトレーニングはかなり重視する必要が有ります。

現状のフォームでは、その辺に非常に大きな課題が有り、今回の動画を見ても(センターカメラのアングルで)後ろ脚の膝が折れている事が良く解ります。しかし、逆に言うと、そうした下半身の使い方で、上半身の動きもコンパクトな投球腕の回転になっていないのに、このくらいの球が投げられていると言うのは希望が持てる所です。つまり、基礎トレーニングを積みながらフォームを改善して行くだけで球速が伸びる余地がまだまだ有ると考えられると言う事です。

この状態(かなり大腿四頭筋を使っている)で、ハムストリングスがバリバリ使えるようになると、どのくらい球威が出るのだろうと考えると、楽しみな部分は有ります。また、その上で、投球腕のコンパクトな回転が出来るようになれば。。かなり良い線行くはずです。

また、低めに叩き付ける球よりも、高めに抜ける球の方が圧倒的に多かったですが、これ等は、単純に後ろ脚の膝の折れが改善されれば、無くなる現象かなと思います。それから、クイックとして使うためには、ややモーションが遅くなっていますが、それも後述しますが、ハムストリングスを使えるようになれば改善します。

ただ、全体的にはオートマチックステップ投げでのフォームは安定していますし、またフォームが安定しやすい投げ方なので、これから短時間で習得していきたい要素(球威、制球力、変化球の球種)の多い現状を考えると、ベースとなる投げ方をクイックモーションとしても使えるオートマチックステップ投げ一本に絞ると言うのは、良い作戦だと思います。また、そうした作戦を採る前提として、ワインドアップとオートマチックステップ投げで球威があまり変わらないと言う現状は、逆にプラスに考える事が出来るものです。

後は、ボールを投げる練習をなんとか積みたいと言うのがあります。撮影当日のような、ランダムに様々な球種を投げる練習は、非常に重要です。チェンジアップ、スライダー、シュート系、カーブを基本として、何とか少しでもレパートリーを増やしていきたい所です。

一番、球威が出る投げ方を選んでもらった結果がオートマチックステップ投げである事、そして、そのフォームにまだまだ問題が有るにも関わらず、そこそこの球が投げられていると言うあたりに、希望が見出せると言うのが今回の感想です。

次回は、お話したとおり、後ろ脚のトレーニング法と、投球腕を中心としたストレッチと、肩の回転を良くすると言うテーマで考えていますが、その前に抑えておいてほしいポイントについて書くことにします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


と言うわけで、オートマチックステップを極めて行く方針が良いと思います。
この投げ方のシンプルさを活かして、投球そのもの(球種、コントロール等)と、フィジカルトレーニングに集中出来れば、可能性は広がると思います。
大雑把な方針としては、フォーム的な事は私に任せて頂き、小峯さんには投げるボールに集中してもらいたいし、また、そういう環境を作るのが自分の役割になるかなと思います。

ということで、とりあえず、基本的に次回までに抑えておいてほしいポイントについて書きます。

1)捻りによる後ろ脚股関節の割れ

これが今回はあまり無かったようです。基本的にオートマチックステップの場合、捻りが無く、両脚の形が同じになると、前に出て行く力が弱くなるので不利になります。スタンスが広くなりすぎないように、また、重心が低くなりすぎないように注意しながら、その範囲で捻って、後ろ脚股関節を割る事が重要になります。



補足としては、捻る時に身体がセンター方向に傾かない事が重要です。下図は打撃の時に良く用いる図ですが、下図のような捻り方が重要になります。ただし、脊柱の側屈を使うのではありません。この辺は次回に詳しくお話するので、とりあえず後ろに傾かないようにだけ気を付けておいてください。中心軸のまま捻る感覚です、


2)後ろ脚の下腿部の角度

やや、膝が潰れた構えになっており、そのため、動き出した時に膝が潰れるので、大腿四頭筋が強く働いてしまっています。下の写真のような後ろ脚の角度を作って下さい。これは捻って、後ろ脚股関節を割ると、やりやすくなります。また、股関節を割ると骨盤が前傾しやすくなります。つまり、事前に腰を反って腸腰筋をストレッチした後、股関節で身体を折り曲げる時に、捻りながら後ろ脚股関節を割ると、この後ろ脚のラインが作りやすくなります。 ここで、後ろ脚のハムストリングスが効いている感覚を掴む事が重要です。例えば、練習時のルーティーンとして、後ろ脚だけで腸腰筋その場ステップを数回やって、その後、腰を反って腸腰筋をストレッチし、股関節で身体を折って構えを作る等の方法が有ります。(ただし、このやり方だと時間がかかるので数が投げられませんが。)




3)肘を下げる

これは今回、よく出来ていた点です。ただ、それをやろうとするあまり、捻りが無くなって、後ろ脚股関節が割れなくなったのかもしれません。捻って、後ろ脚股関節を割った上で、如何に肘を下げて構えられるかと言う事に取り組んで下さい。



以上が、特に重要なポイントです。次回までに、このあたりを意識して練習しておいてください。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

それでは、これからオートマチックステップを極めていくにあたり、参考になるように皆さんのオートマチックステップ投げの動画(比較的、出来てる例)を集めてみました。


特に重心を下げる時の下腿部の角度に注意して見てください。写真はそれが解りやすい例です。

小峯さんのフォームの場合、かなり膝の折れが目立ちます。

その結果、始動した時に後ろ脚側が沈み込みますが、これが高めに抜ける球が多い事の原因の一つでしょう。それから、基本的に膝が折れて大腿四頭筋が効いたときは、開きが早くなりボールがシュート回転しやすいので、それも一つの目安にすると良いと思います。

 高めに抜けた球がシュート回転する場合なんかは、この写真の傾向が強いときではないかと思います。

また、後ろ脚の動きや投球腕の動きはまだ改善されていないものの、腕の出所はかなり高くなり、また、胸の張り、フォロースルーでの身体の前倒しもかなり大きくなっています。これは、シャドーとボール投げの違いもあるでしょうが、実際にオートマチックステップでシャドーを繰り返す事で、改善されている部分も有ると思います。


1)腕の出所が高くなった

2)胸の張り、背中のアーチが大きくなった

        3)フォロースルーでの前傾が大きくなった

上記の写真は全てシャドーとの比較です。ボールの負荷がある事で、投球腕の外旋が大きくなったから腕の出所が高くなった。また、ボールの負荷が抵抗として働く事で胸のハリが大きくなった。そして、その反動で身体の前倒しが大きくなった。と考えれば、これらは、シャドーとボール投げの違いに過ぎないとも考えられます。しかし、下の連続写真はラボでのボール投げですが、これを見ると、やはりフォームそのものが進化している面も有ると言えるでしょう。つまり、上記の写真の大きな違いは「シャドーとボール投げの違い」と「フォームそれ自体の技術的な進化」が、五分五分くらいで混在した結果であると思います。
 

下の写真を見ると、腕の振り(トップ以降の)がかなり良くなったようにも思えるのですが、その違いの何割りかは、シャドーとボール投げの違いが出ているのだと思います。ただ、実際、良くなってる部分も有るはずだと言う事です。そのあたりは次回、ラボで確認したいと思います。


最後に、これからの課題の一つになるのが、グラブ腕の使い方です。

小峯さんの場合、オートマチックステップ投げで始動した後に、少し後ろに戻るクセが有ります。これは、基本的に、始動時に前脚の力が強く効くからです。ですから、この場合、先に書きましたように、捻りを入れて後ろ脚股関節を割った構えを作ると、改善されると思います。


ただ、問題は、この後ろに戻る動作との連動で、グラブ腕が少し「お腹側、かつ捕手側」に動く事です。その結果、その後のシーンでは、その反動で「背中側、かつ投手側」に動き、これがグラブ腕の開き、つまり肩の開きにつながっています。

これは、後ろに体重が戻る動きが無くなると、改善されます。写真は、構えた位置から後ろに戻っていないので、グラブとボールが割れる前に無駄な動きが無く、グラブとボールが綺麗に割れている例です。

オートマチックステップ投げを極めて行くと言う作業は、こういう感じになります。つまり無意識で起きる動きを修正していかなくてはならないわけです。

動画でも見て下さい。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

基本のフォームがクイックモーションと言うピッチャーなら、ランナーのいる場面でも、ベンチはマウンドに送り出しやすくなるので、中継ぎ、ワンポイントの起用も視野に入れての取り組みが良いと思います。ですので、牽制球やフィールディングも重要な要素になって来ます。

変化球と共に、そうした事も関心を持って取り組んで行ってください。変化球はとにかくストレートを殺してしまわないようにすることが重要ですね。カーブとかはストレートに影響の出やすい球種なので、そのあたりは注意が必要になると思います。

セットからの脚上げや、ワインドアップは、これからも、少しづつやっていきたいと思います。(それはキャッチボール等で使えるためです。)ですが、基本フォームをオートマチックステップにすると言うのは、小峯さんの場合は良い作戦になると思います。投げ方がシンプルなぶん、より実戦的な事も、今から準備していく事が重要になるでしょう。

後は、とにかく少しでも球速アップを目指して行きましょう。

今回は以上です。

次回のテーマは

1)後ろ脚のトレーニング法
2)肩の柔軟性の向上の方法(肘から挙るテークバックを身につけるため)
3)オートマチックステップの基本について

です。

2013年7月12日金曜日

特待生向き 〜構えの極意〜

極意と言うと大袈裟ですが、非常に重要なポイントです。フライングエルボーの極意と言った方が良いでしょう。フライングエルボーは日本人にとっては難しい技術で、ポイントを間違えるとドツボにハマります。正しいフライングエルボーは非常に限られたものだと思います。よく言われる「肘を挙げるとバットが下から出る」というのも、フライングエルボーのポイントを間違っているからでしょう。

内容的に高度なので、ある程度のレベルで実践している人、或は、パンチャー、オートマチックステップ歴の長い人でないと、消化しきれないかもしれません。また、小学生、中学生くらいだと、あまり細かく言い過ぎる事で、逆に調子が悪くなるかもしれません。教える人が実践出来ていれば別ですが。

動画は8.25分とやや長いですが、特に山下さん、林さんには見る価値が有ると思います。山下さんと林さんは共同作業的に打撃を作り上げて来たぶん、問題点が非常に良く似ている部分が有ります。(4スタンス理論的な意味でのタイプ的には全く違う割には)今回の動画は、その問題点にダイレクトに作用するものです。アランさんの場合は、それほど急を要しないテーマですが、それでも前回行なった「ボトムハンドで下から支え、トップハンドで上から掴む」と繋がる話だけに、ある程度取り組みやすいと思います。



要点を纏めると。。

この捻り方が出来た上で。。

ボトムハンドで下から支え、トップハンドで上から掴む形が出来ると。。

バットが身体の中心線より捕手側に入らなくなり、ヘッドが出やすくなると言う事です。スイングは、下の写真のような感じに近づきます。つまり良い意味で(単に腰の回転が小さいからでは無く)ボトムハンドの引きが弱いスイングです。

身体の前の面に沿って空手チョップを切るような振り出しのイメージ。


特に山下さんと林さんは、ココがスイングに欠けているパズルのワンピースですので是非ともモノにしてください。2人とも、バットが身体のキャッチャー側に入りやすく、そのぶん身体がめくられてヘッドが出て来にくくなる傾向が有ります。これは硬式木製の重いバットで実践しているので仕方が無いのかと思って来ましたし、実際、それも原因の一つ(重さでバットが後ろに残りやすい)ですが、技術的には、今回の内容をクリア出来れば、改善されると思います。

もちろん、モノにするためのポイントは「体幹部操作が効き、ハムが効いて来ると、下から支えたり、上から掴んだりするような”手”の意識は希薄になる。」「空手チョップのバットの出し方を意識するのでは無く、そういうバットの出方になるように構える。」と言う2点を理解する事です。つまり、まず知識で抑え、意識的に理解し、その上で無意識化すると言う流れになります。

そして、それ以上に「黒人パワー」が、この打ち方の本質である事を忘れないでください。「黒人パワー」が超人的であれば、今回のような内容がサッパリ出来てなくても大丈夫なのです。ただ、そこまでは中々難しいし、やるからには技術的にパーフェクトを目指した方が良いので、今回のような話も重要です。

以上です。

2013年7月10日水曜日

クレイグ・キンブレルのフォーム



豪速球クローザーとして有名なクレイグ・キンブレルだが、その豪速球が何時までもつかは少々疑問視している。実際、今期はyoutubeで見る限りでは打たせて取っているシーンが目立つが、意外と早いうちに打たせて取るスタイルになっていくのでは無いか。

その最大の理由が後ろ脚の曲げ方で、少し膝を曲げ過ぎて大腿四頭筋を効かせているので、ハムストリングスの力が使い切れていない。そのためか、前脚の膝も悪い意味で突っ張っている。結果的にフィニッシュには、それほど躍動感が無い。

つまり、今ひとつ下半身の力を使い切れていないので、この投げ方で160キロ近い豪速球を投げ続けると、投球腕にはかなりの負担がかかると思う。

ただ、キンブレルの投げ方で特徴的なのは前脚の挙げ方で、このセットポジションからの前脚の上げ方は真似てみる価値が有る。



まず、クロス気味に構えている事に驚くが、前脚を挙げる時、捻りが小さく、後ろ脚への体重移動も小さい。つまり、ラボで採用しているクイックモーションにおける「抜き」に近い前脚の上げ方をしている。

※)「抜き」とは、二本の柱で支えている物体から一本の柱を抜くと、物体は抜いた柱の方に倒れると言う原理。

この前脚の挙げ方をすることで、キンブレルの投球リズムを真似る事が出来るようになる。そして、まだ理由は解らないが、基本的に打撃にしても投球にしても、前脚の膝を内に入れて、後ろに体重移動して後ろ脚に乗せると大腿四頭筋が働きやすい。一方、キンブレルのように「抜く」脚の挙げ方の方がハムストリングスが効きやすい。(と言うより大腿四頭筋が緊張しにくい。)

この事は、アメリカ型の打撃フォームと日本型の打撃フォームの違いにも良く表れており、基本、アメリカのフォームは「抜き」による前脚の挙上を行なう打者が多い。前脚を大きく挙げようが、小さく挙げようが「抜き」によって前脚を挙げている。だから、後ろ脚に体重を乗せている間が短いので、前脚を挙げるタイミングが遅い。そして、昔のメジャーの打者はほとんどが「抜き」による「すり足打法」であった。

アレックス・ロドリゲスも大きく前脚を挙げて、後ろ脚に乗ってるイメージが強いが、横から見ると「抜き」の要素が強い事が解る。


ソフトバンクの内川は日本人選手に典型的に見られる前の膝を内に入れて後ろ脚に「乗せる」前脚の挙げ方をしている。この場合、大腿四頭筋が効きやすい。


こうしたフォームの違いには、基本となる骨格の違いが影響しているのだと思う。理論や考え方の違いによるものでは無いだろう。ただ、どういう理屈で白人や黒人の骨格だと「抜く」前脚の挙げ方を自然に採用しやすいのか、それは流石に説明出来ない。

ただ、人種による(自然に採用しやすい)動作の違いと言うのは有る事は間違い無い。例えば、下の動画の佐村トラヴィス幹久(現横浜)のフォームを見ると、無理に日本式のフォームを真似しているようで、かなり違和感が有る。

この感じだと、明らかにペドロ等を参考にした方が良いだろう。

この選手の場合はどういう経緯なのかは知らないが、日本の指導者は、技術は日本の方が上だと思っているので、育成枠とか独立リーグなんかに(キャリアの無い)アメリカや中南米の選手が入って来ると、ここぞとばかりに日本式のフォームを教えたがるのだと思う。

たぶん、バリー・ボンズが阿部慎之助のような日本式のフォームで打てば、打率4割を超して、ホームランも100本くらい打つと思っているのでは無いかと思う。


ダグ・フィスターとマックス・シャーザー

タイガースの右腕先発3本柱はメジャーでも最強と言われている。(ジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー、ダグ・フィスター)

今回は、ダグ・フィスターについて書きたい。


スインガーのようなフワッとした投げ方だが、実はパンチャーである。独特の弾くようなカーブとバリエーション豊富な「シュート系」の球が持ち味だ。

変化球も一口にスライダー、ツーシーム、カットボールと言っても、例えばツーシームと呼ばれる球だけでも豊富にバリエーションが有る。ノコギリクワガタと一口に言っても、そのバリエーションが豊富にあるようなもんだろう。そういうふうに見て行くと「球種」と言うのは実質的に何種類あるのだろう。

ただ、フィスターのフォームで良く無いのは、セットポジションからクイックで投げる時の構えで、グラブの位置が低いこと。(0.42〜)グラブは肘より高い位置にある事で、そこからグラブとボールが割れる時に両手が落下する動きが大きくなる。そうすると、その反動で肘から挙る形が作りやすい。フィスターのように手の位置が低いと、肘から挙るテークバックが出来ずないので胸の張りも小さくなるし、アーム式や担ぎ投げになりやすい。

その意味で、良い見本になるのが、同じタイガースのマックス・シャーザー。2球目にクイックからの投球が有るが、手の位置が肘より高い。


フィスターのようなクイックの構えを取る投手は日本人にも多い。たぶん手を低く置く事で力が抜けるからだろう。ただ、力が抜けるからと言って、必ずしも良い事ばかりでは無い。因に、シャーザーは今期、開幕から無傷で13連勝を挙げている。

2013年7月8日月曜日

イーグルさん 1回目

ご来場ありがとうございました。



打撃編

まず、バットはかなり振れています。ただ、その他の点に関しては「塚口理論を本やネットだけで実践している人」の典型的な状態になっています。(ラボに初めて来た人は皆そうです。)つまり、股関節を割るとか、ハムストリングスを使うとか、そうした事がほとんど(客観的には)手つかずに近いということです。なので、今後の取り組みとして、まず股関節を中心とした基礎的なトレーニングを積んで行く事が必要になります。

特に、最初にやってほしいのは以下の種目です。

●腸腰筋ストレッチ+腸腰筋その場ステップ

腸腰筋ストレッチとは、タオルを使ったりして腰を反るストレッチの事で、腸腰筋その場ステップのための準備運動くらいに考えて下さい。ここでは腸腰筋その場ステップのポイントを書きます。


1)腰を反った反動で、挙る分だけ脚を挙げる。大腿四頭筋でもも上げしない。
2)下腿部を真っすぐ立てた状態で、脚をストンと落とすように踵から着地させる。
3)出来るだけ重心の真下に脚を着地させ、体重を乗せる。
4)着地した脚で地面を押し込むようにして腰を大きく反る。
5)腕は意識して振らない。ぶら下げておくだけ。
6)膝を中心に身体を後ろに倒す動きをしない。あくまでも腰を前に突き出す。
7)脚はソッと着地させず思い切りドンッと着地させる。(二階でやると苦情が!)

●股割り体操+リズム股割りスクワット

まず股割り体操では、以下のポイントを抑えてください。

1)膝の自動回旋機能による爪先はあまり開かない。
2)足裏の荷重位置は外枠部分になり、土踏まず、インエッジが少し浮く。
3)脊柱の前傾角度に合わせて、顔も下に向ける。
4)脊柱のS字カーブを形成出来るようにする。(最低、腰が丸まらない)
5)骨盤が両脚の間に挟み込まれるようにして前傾する感覚を掴む。

次に、リズム股割りスクワットのポイントを説明します。


1)アップする時に膝を伸ばし切る。
2)身体がバスケットボールになったイメージで弾むように行なう。
3)太腿前面の大腿四頭筋で屈伸しない。
4)「脚」の外側のラインで体重を受け止める。
5)両脚の内側に定規が入っていて、それがたわむイメージで行なう。
6)定規がたわむイメージにより、内転筋がストレッチさせる。
7)股関節がパカッと開く感じ。
8)ダウンするときは、真下に沈むイメージで。
9)手で股関節の動き(割れ)を誘導する。
10)ダウンした時、インエッジがめくれるくらい、アウトエッジ荷重で。
11)爪先は開き過ぎない。(膝の自動回旋機能)

●座り割れ絞り体操+リズム割れ絞り体操

まず準備体操として座り割れ絞り体操を行ないましょう。ポイントは以下の通りです。

1)股関節の斜めラインを意識する。
2)あまり、腰が回り過ぎないようにすることで、股関節の捻りを使う。
3)一方の割れ(絞り)と他方の絞り(割れ)は連動する。
4)膝が地面に着くくらいまで、股関節を捻る。

では次に、リズム割れ絞り体操を行ないます。


ポイントです。
1)アップダウンを加える。(アップダウンの無い人が非常に多い。)
2)腕はゴルフスイングの軌道をイメージ。
3)右腕をテークバック方向に振り上げ、股関節のラインに反って捻る。
4)股関節のラインに沿って捻ると、股関節が割れる。
5)股関節が割れる時、「脚」の外側のラインで体重を受け止める。
6)股関節が割れた時、足裏の荷重位置はアウトエッジでインエッジがめくれる。

アップダウンと身体のターンの関係は下図のとおりです。つまり、右ターンと左ターンの真ん中に来た所で一度アップすると言う事です。そして、両サイドがダウンです。このトレーニングは、ここが非常に重要になります。


まずは、これら、上記3種目「腸腰筋ストレッチ+腸腰筋その場ステップ」「股割り体操+リズム股割りスクワット」「座り割れ絞り体操+リズム割れ絞り体操」を繰り返し行なって、下の写真のように、もっとスタンスが広く、重心の低い構えをとれるようになってください。


イーグルさんの場合、オートマチックステップで振るということは出来ています。しかし、構えについては、まだ突き詰める事が出来ていないので、そこでロスが有ります。ストレッチは頭で理解して終わりと言うものでは無く、繰り返し行なう事で身体に染み込ませる事が重要です。まずは、ココから取り組んで下さい。

続きます。

スイングで、まず第一に直していかないといけないのは、巻き戻しの動きです。巻き戻しは下の写真のように、前脚軸をキープしたまま行なう必要があります。もちろん、若干爪先は開いていいですが、あくまでも若干です。

イーグルさんの場合は、完全に前脚を後ろに引いてしまっています。

根本的にパンチャーのメカニズムと言うのは、トップハンド側でバットを振り下ろしながら、前脚股関節伸展に伴う股関節の絞りを行なう所が特徴です。それによって後ろからの力と前からの力を身体の中心で衝突させるようにして、インパクトの一点に力を集中させるわけです。

ですから、前脚が開くと言うのは一番避けたい事の一つなのです。もちろん、意識的に開かないようにするのはいけません。振る時はあくまでも無意識です。じゃあ、どうやって振ったら意識しないでも前脚が開かないスイングが出来るかと言う事を考える必要が有ります。

一つの大きな可能性として考えられるのは、ゴルフのクセです。詳細は説明しにくいのですが、ゴルフスイングのクセが残ったまま野球のバットを振ろうとすると、前脚が開きやすいはずです。

もっとも、これも細かい理由は省略しますが、実際にボールを打ったときや、試合で一塁に走り出す必要が有る場合などは、前脚は開きやすくなります。しかし、練習とか空振りした時は開かない事が重要です。

例えば、ジーター等は実戦では比較的大きく開くタイプですが。。


練習では、このように開きません。


それが、練習でイーグルさんくらい開いてしまうと、試合ではどれだけ開くのかと言う話になってしまうわけです。一度、投手側から飛んで来るボールを打ったシーンを見ておくべきでしたが、申し訳ないですが(新聞紙ボール打ちを)忘れてしまいました。ただ、顔を投手方向に向けた素振りだと開いているので、投手方向から来たボールを打ってもやっぱり開くでしょう。

まず、この点を修正し、開かないようにすることが第一の課題です。

続きます。

いずれにしても、バッティングには「フィニッシュで前脚が開く」「ノーステップになる場合が有る」「フィニッシュでの腕の形」等に、ゴルフの影響が色濃く見られます。ゴルフと野球は、少しくらいなら(ゴルフプレーヤーが筋トレとしてバットを振ったり、野球選手が余暇にゴルフをしたり程度)両立出来ますが、極めようとする場合は両立させる事が出来ないものです。

ですので、野球が上手くなりたい場合は、野球に専念する事が大切です。

ですから、イーグルさんの場合、打撃向上のためにまず取り組むべき事は以下の通りです。

1)基礎ストレッチ、トレーニングを繰り返す事で、もっとスタンスが広く、重心が低く、捻りの効いた構えを取れるようにする。
2)野球に専念する事で、スイングからゴルフの影響を消して行く。その結果として「フィニッシュで前脚が開く」「ノーステップになる場合が有る」「フィニッシュでの腕の形に見られるゴルフの影響」などの問題が解消されていく。
3)そして、もちろん全ての人に共通するテーマとして、黒人の身体機能に少しでも近づくために、腸腰筋とハムストリングス関連のトレーニングを徹底する。(この点に関しては、多少、事前に行なっていたということもあり、全くやっていない感じと言う事は無かったです。)

打撃については、以上です。

投球編

ピッチングについては、まだセンスを感じる部類です。と言うのは、野球部で野手の人とかだと上半身が固まっていたり野手投げのクセがついていたりする場合が多いのですが、そうでない人と言うのは、特有の柔らかさが有って、投げる動きに関しては比較的スムーズに出来る場合が多いのです。イーグルさんの場合も、そのケースだと言えるでしょう。

ただ、やはり、投げている時、少しは首がぶれても良いですが、現状ではちょっとブレ過ぎですね。ほとんど、回転と同時に首も回っている印象ですが、これだと色々な問題が出て来ます。

ですので、まず軽くで良いので、標的を見据えたまま腕を振る練習を繰り返し、そういう動きが出来る身体を作って行く事が大切になります。ピッチングに関して、最初にやる事は、そこでしょう。

続きます。

ピッチングフォームで最大の問題は腕の出所が低すぎる事です。

これは、一つの原因は、肩の外旋可動域が狭い事です。写真のように肩を外旋すると、肘が挙ります。

小学校、中学校、高校の頃にあまり野球をやって来なかった人に、よく見られる事です。ボールを数多く投げていると、自然と外旋可動域が広くなって行くので、腕の出所もそれなりに高くなってくるわけです。何故かと言うと、ボールを投げるときと言うのは、凄い抵抗がかかります。その抵抗によって肩が外旋するのですが、それはストレッチより効果的なストレッチ効果が有ります。ですから先ず、シャドーで良いので、腕を振って行くと言うのは重要になります。

その上で、以下のストレッチを行なって下さい。主に外旋可動域の向上の肩関節外転の柔軟性向上を狙ったメニューですが、バランスをとるために内旋ストレッチも含みます。(必ずしも、全てやる必要は無いですが、順番も、考えたうえでメニューを書いています。)

1)バット外旋 (負担がかかるので一番始めに行い、その後、動的ストレッチ系で身体をほぐしていきます。)

2)ウェイト外旋(肘に痛みが出る場合は中断し、痛みが引いてから再度行なって下さい)

3)外旋アップダウン(膝の屈伸にならないように注意してください)

4)肩入れ内旋

5)前屈内旋肘挙げ

6)内旋腕伸ばし

7)水平伸展&外転、大胸筋ストレッチ

8)外旋&外転 広背筋ストレッチ

9)肩甲骨上方回転&内転 (脇腹を伸ばし、肘を挙りやすくする。)

10)腕回し (まずは負荷無しでやってください。)

11)オートマチックステップ投げ(先ずはシャドーで行なってください。)

※)オートマチックステップ投げは打撃のオートマチックステップと同じです。構えはスタンス幅は打撃より狭くし、重心は打撃より高くします。ハムストリングスや腸腰筋が効いていないと、腕力に頼ることになるので肩肘に負担がかかりますから、先ずはシャドーから初めて下さい。

以上です。ストレッチメニューを部屋でこなし、オートマチックステップシャドーを外で行なえば良いでしょう。この流れで練習していくと、地道にコツコツ続けていけば、肩の周りが良くなり、もう少し腕の出所も高くなってくるでしょう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

もう一度、打撃編

巻き戻しの動きが良く無いと書きましたが、それをマスターするために、下記動画の4.00くらいの所から始まる「巻き戻し素振り」をやってみてください。もちろん、バットは普通のバットで良いです。


ポイントは、巻き戻した連続で振らず、一回、構えで止まってから振る事です。連続で振ると「ノーステップ」になる場合が有ります。巻き戻しで着地した後ろ脚を基点に構えを作って再び振るのですが、この時、巻き戻しを利用して身体を捻る事がポイントです。

続きます。

なお、巻き戻しが上手く出来るようになるためのポイントを挙げます。巻き戻しが出来るためには前軸の効いたスイングをすることが大切です。

そのためのポイントは以下の通りです。

1)捻りを利用して、頭がやや前のバランスをとる。ただし脊柱の側屈を使わない。このバランスをとることで、踏み込んだ前脚に体重が乗るようになる。(要は、捻って身体が捕手方向に傾くとダメだと言う事です。)

2)捻った時、後ろ肩、前腰、前足の着地点に一直線のラインを作る。(前足の着地点が、これよりも投手寄りに出て、ラインが崩れると、物理的に前脚に体重が乗りにくくなります。)


 3)ややクラウチング気味に構える。この時、首が立ってしまわないように気を付ける。ちなみに捻りをいれた方が捻りやすくなる。

上記3点を意識して、振る事によって、前脚軸がキープ出来たフォロースルーからの巻き戻しが出来るようになっていくでしょう。ただ、もう一つあるのは、ゴルフスイングの影響です。これが有ると、思うように巻き戻しが出来るようにはなっていかないと思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まとめ


投打ともに、まずは、ココをこうすれば、こうなるといった技術論的な話より、ストレッチ、トレーニング、そして投げたり打ったりする練習方法。そこに重点を置いて、取り組んで下さい。この事はかなりレベルが高くなっても言える事ですが、身体が出来て来る或いは動くようになって来て、はじめて技術論が行きて来ます。

それと打つ事、投げる事に関しては、センスは有る方ですが、打つのであればボールに集中する。投げるのであれば、標的に集中すると言った、一球一球に対して、ボールに入り込んで行く集中力が無いのが気になります。素振りやシャドーなどではまだ良いですが、実際に打ったり、ボールを投げたりする場合、その辺も意識してください。投げるのも、打つのも、力を一点に集中させる運動です。ところが、イーグルさんの場合、意識が自分の前方の140度くらいの扇型の範囲に散ってしまっているのです。

以上です。






2013年7月2日火曜日

アランさん 2回目

ご来場ありがとうございました。


今回、置きティーではかなりスイングスピードが出ています。しかし、素振りではあまりスイングスピードが出ていません。そして、置きティー、素振り、新聞紙打ちで全て感じが違います。

ただ、これは程度の差こそあれども、誰でもそう(素振りと打つ時のフォームが違う)なので、あまり気にする必要は無いでしょう。山下さんや林さんは素振りのフォームと打つ時のフォームがかなり近いですが、それは私の理論では実際の試合のフォームで素振りすることを重視しているからです。(取り組み始めた頃は、もっと素振りと打つ時のフォームが違う感じでした。) 日本のプロやメジャーリーガーを見ていても、素振りと打つ時のフォームは全然違うのが普通です。そして、メジャーの強打者でも、素振りは「凄く無い」と言う打者はいます。

アランさんの場合、今の段階で重要な事は、とにかく1回でも多くバットを振る事によってスイングスピードを速くして行く事です。

今回にしても、素振りではあまりスイングスピードが出ていないのに、置きティーを打ったら、かなり速いスイングスピードが出ています。つまり、素振りをしている時は解らなくても、振っている事で、着実に「速く振れる身体」が作られていると言う事です。そして、現状では置きティーの中で、その能力が最も発揮されています。最終的には、当然、試合の中で最も能力を発揮出来るようにする必要がありますが、今の段階ではまずその「能力」を向上させる、つまり「速く振れる身体」を作る事が最も重要です。

そして、効果の出方が地味で時間がかかるのが素振りですが、これは素振りに限らずバッティングとは基本的にそういうものです。例えば3日間思いっきり振りまくって、その時はあまり効果が感じられなくても、1日休んで、次の日に振ってみると「アレッ」と言う感じで少し今までに無い良い感触が出ている。ただ、それも周囲の人には解らないような変化。そういう繰り返しで、少しづつ上手くなり、それが積み重なって進化して行くと言う事です。それと、ある時、急に「大きな進化」が起きる時も有ります。しかし、それは進化を感じられない状況の中でも、ある意味惰性ででも良いので継続して振り込んでいると言う下地があってこそ可能になる事です。そうした意味でも普段からバットを振り込んでおく事が必要になるわけです。(例えるなら、売れなくても毎日コツコツ真面目に料理を作り続けて来たレストランが、料理雑誌に採り上げられたのをキッカケに急激に有名になるようなものです。)

ちょっと長い話になりましたが、要するに満足のいかないフォームでも良いので、今はとにかく振り続けてくださいと言う事です。あと1年、この打ち方で振り続けて、さらに股関節のトレーニングを継続していけば、来年の今頃には凄いスイングスピードになっていると思います。まずはそれが第一目標でしょう。そして3回生の春くらいから実践対応能力を徹底して磨いて行くと良いでしょう。ゴチャゴチャと長い文章になってしまいましたが、要するに今一番してほしく無い事はフォームの事などを考え込んでしまって振るのが止まってしまう事です。

何度も言うようですが体格が有り、根本的に力が有るのでシンプルな取り組みが出来る事が強みです。

つまり

●950g〜1キロくらいのバットを振り込む
●股関節を中心としたストレッチ、トレーニング
●実践対応能力を磨く

と、このくらいで良いわけです。

続きます。

分析編

1)実打のフォーム

前から飛んで来るボールを打つ時のフォームですが、これを見ると速い球に手こずっている一つの理由が解ります。



始動する時にかなり大きく後ろへの重心移動が起きています。この重心移動のぶんだけ振り出しが遅れるのでしょう。

このようになる原因の一つは、構えでの捻りが足りないからです。(捻りが足りてなくても後ろに戻らない人はいますが、だいたい後ろに戻る人は捻りが足りない場合が多いです。)

写真のように後ろ脚股関節のラインに沿った捻りを入れて肘を挙げて構えると、後ろ脚の外側のライン、右の脇腹、右の肘にかけてのラインに筋肉の張りを感じます。そして、そこに「後ろの壁」(身体が後ろに動くのを止める壁)が出来ます。この「捻りによって出来る後ろの壁」が出来ると、始動した時に後ろに戻りにくくなります。(この構えだと後ろ脚の方が地面を押す力が、かなり強くなります。そうすると前脚で地面を押す力によって身体が後ろに戻る動きが起こりにくくなります。)
           
            
もちろん、強調しすぎると力みに繋がりますが、こうした構えからのスイングを素振りで練習し、フィーリングを掴んでから速い球を打つと、振り遅れにくくなると思います。

このように、捻りと、それに伴う股関節の割れによって身体の捕手側にハリが出来る感覚を割れ絞り体操で掴む事が出来ます。

続きます。

2)グリップ

今回重点的に行なった「グリップ」について、もういちど復習的な意味で書いておきます。スイングの始まりとなるのがグリップなので、グリップを良くする事がまずは大切になります。グリップが悪ければ振るたびに悪い癖がついていく可能性も有るためです。

まず、第一に、体幹部操作の結果としての前腕部の回内。そしてグリップのコックです。(股関節の割れ→胸椎の後彎→肩関節の内旋→前腕の回内→グリップのコック)

この捻りは前腕部の二本の骨が交差することによって起こります。そのためのトレーニングとしてはバットを振り子にようにぶら下げたり、手で前腕部を捻るものがあります。

手首が背屈すると、腱固定効果で指が自然に曲がり、また、背屈することでバットを乗せるタナが生じます。ここでは、このタナが出来る事がポイントになります。

このタナにバットを乗せて、前腕部の二本の柱で、下図の野球のトロフィーの構造によりバットを支えるわけです。
まずは肘をあまり挙げない、小さな構えでこの感覚を掴みます。ショートストロークスイングのグリップで、グリップはやや絞り気味です。(両手の人差し指が真っすぐ前を指す状態)

写真のフィルダーの構えも、丁度、そんな感じになってます。

さらに、大きなポイントとなるのは、そこから体幹部操作が効き、捻りが深く入ってヘッドが投手方向に向き、グリップも絞り気味からやや開いて行った状態での形です。

ここで、両手の位置関係が変わる事によって、それぞれの役割が変化します

まず、ボトムハンドは、写真のように、下から支える格好になります。この時も手首の背屈によって出来たタナを使い、前腕部の骨で支えます。

さらに、トップハンドはヘッドが投手方向に向く事で、上から掴む形になります。

これによって、トップハンドは上から掴み、ボトムハンドは下から支える形が出来るわけですが、それが一番、腕に負担のかからない両手の役割分担となります。

写真)ややヘッドが投手方向に向き過ぎですが、比較的、出来ている(下から支え上から掴む形が出来ている)例です。

「上から掴む」と「下から支える」が出来るとバットを構えるのが楽です。そして、そのためには、ヘッドが投手方に向く必要があります。ですから、構えでは捻りが入って、ヘッドが投手方向に向いた方が楽なのです。

※)補足
ただ、この構えでは肘が大きく挙る事で、どうしてもトップハンド側の三角筋が疲労しやすくなり、そうなるとバットが下から出やすくなります。(三角筋は肩関節を外転させる筋肉なので、それが効かなくなる事で、肩が簡単に下がってしまう。)

これは、ある意味、この打ち方の弱点なのですが、そのために構えの時間を短くする事なども重要になってきます。そのために、補助的トレーニングとして構えの力を付けるトレーニングや(1)ストレッチ(脇腹の筋肉を伸ばすストレッチをすると肘が挙りやすくなる。)も必要になります。また、(2)構えでハムストリングスが効いてくると地面を押す力が強くなるので、それとバランスをとるようにバットを持ち上げる力が発揮されるので、構えでの腕の負担がかなり軽減されます。そして、もちろん、(3)三角筋に負担がかかりやすい肘の挙げ方と負担のかかりにくい肘の挙げ方があります。

1)上に挙げた腕をやや内に捻り、身体を側屈させて脇腹をストレッチする。こうするとトップハンドの肘が楽に挙るようになる。


2)バットをバーベルのように担ぎ上げて、両脚で地面を押すと、バットを持ち上げる力が自然に発生する実験。


3)写真上は体幹部操作の結果としての肩の内旋が効いた肘の挙げ方。三角筋に負担がかかりにくい。懐も大きく開く。 一方、写真下は三角筋に頼った肘の挙げ方。

写真)三角筋に頼った肘の挙げ方(マット・ジョイス)

写真)懐が開き、三角筋に負担のかからない肘の挙げ方(デビッド・オルティズ)
なお、それでも(三角筋の緊張が)気になる場合の応急処置として、肘を高く挙げない構えをとることも悪くは有りません。ただ、肘を低くすると必ずしも楽かというと、そうでは無く、トップハンドの手(グリップ)が肘よりも上に来る事で、こんどはトップハンド側の上腕ニ頭筋が疲労しやすくなります。ですから、肘を挙げるのも肘を挙げないのも、結局は一長一短有ると言う事です。

写真)肘を挙げない構えの場合、トップハンド側の上腕ニ頭筋に負担がかかり、緊張しやすくなる。(恐らく、そのため、ジャスティン・モーノウはフォロースルーでの腕の伸びが小さい。)

〜補足終了〜

さて、ボトムハンドで下から支え、トップハンドで上から掴む構えのメカニズムが理解、実践出来たら、最後にもう一段階有ります。それは、その感覚(ボトムハンドで下から支え、トップハンドで上から掴む感覚)を全身の中に消化させて、感覚を消して行くと言う作業です。感覚を消化させる事が出来ないと、手に意識が行って、手の筋肉が緊張する事で、全身の力を上手く使えなくなってしまいます。ですから下から支えるとか上から掴むとかは、ある意味で「知識」であって、実際に構えた時はその感覚が消えていた方が良いのです。

これは、体幹部操作が深くかかり、以下の3つの事が起きると、感覚が消えて行きます。

1)体幹部操作が深くかかると、身体の各パーツがいい場所にハマって来る事でバットの重みが上手く全身に分散される。

2)体幹部操作が深くかかると、ハムストリングスが効いて来る事で、バットを持ち上げる力が自然に発生し、腕や手の感覚そのものは薄くなる

3)体幹部操作が効いて来ると、手首の背屈も深まり、腱固定効果が効いて来ます。こうなると「握る」力そのものも強くなる(力を入れるのでは無い)ので、前腕部などにかかる負担が軽減される。

ですから、こうした「感覚の消化」を行なうためには、重心が低く、捻りが深く入った構え(体幹部操作の深くかかった構え)を取る事が必要になります。これは、特に初期段階では重要です。この打ち方に慣れて来ると、比較的小さな動きの中で体幹部操作を深く効かせる事が出来るので、慣れて来たら、もっと楽に構える事が可能になります。

こうした意味でも、前回書きましたように、下の写真のようなキツい構えを取って振る練習が重要になるわけです。

長くなりましたが、大雑把にまとめると、以下の二つのステップが必要になると言う事です。

ステップ1)ボトムハンドで下から支え、トップハンドで上から掴むメカニズムを理解し、その感覚を掴む。

ステップ2)体幹部操作によって、その感覚を消失させて、全身に馴染ませる。


●グリップについてのワンポイント2つ

1)小指の重要性
基本的に、トップの角度でバットを構えると(バットを寝かせて構えると)バットにかかる回転力によって、小指はめくれやすくなります。

ここで、小指が効いていると、バットを適切な角度にキープ出来るので、やはり小指は重要になります。

ただ、小指に力を入れて握ってしまうと、背筋が効きやすくなって、ボトムハンドの引きが起こりやすい感覚が有ると思います。なので、あくまでも小指がめくれない事が重要と言うだけの話です。

2)前腕の三角形
前腕部の回内が効くと、二本の骨が交差する事によって、横から見たときに前腕部が三角形に見えるようになります。

良い打者は、前腕部の筋肉がほぐれており、前腕部の捻りが柔らかく、この三角形が綺麗に見える事が多いです。

グリップについては以上です。はじめの段階で良いグリップを身につけておけば、スイングに悪いクセがつかずに順調に成長していけると思います。この打ち方は基本的に始めから振り出し位置に構えておいて、そこから無駄な動き無しで一気に振り抜くのですが、そうした事を繰り返している限り、スイングにクセが着きにくいのが、この打ち方の長所です。アランさんのように身体が大きいと、それだけでも充分なアドバンテージになりますが、そうした打者がクセの無いインサイドアウトのスイングをすると、それだけで評価は高いものです。その意味でも先ずはグリップが重要になると思います。

※)練習では、ショートストロークスイングの素振りも重要です。この場合、体幹部操作はあまり効かせず、グリップは絞り気味、肘は挙げずに構えます。さらにバットを短く持ち、両手の感覚を僅かに開きます。この構えから一気に鋭く振り抜きます。インサイドアウトのスイングを作る練習です。

続きます。

3)前脚軸

次の課題ですが、素振りの時に、前脚軸が形成されていない事です。前脚軸とは、頭から前足を結ぶラインで、このラインが捕手側に傾いて一直線になるのが良いフォームです。

アランさんの場合、実打では出来ていますが、素振りでは出来ていません。前脚は伸びていますが、その上に腰が乗ってない状態です。これは後ろに体重が残っている事を意味します。

実は山下さんも、最初の頃はそうでした。同じように、実打では前脚軸が出来ていても、素振りでは前脚軸が出来ていません。(上段が素振り 下段が実打)

しかし、最近では素振りでも前脚軸が形成されるようになりました。そしてそのぶん、実打ではさらに良い形で前脚軸が形成されています。つまり体重移動が良くなって来たということです。

そして、アランさんと以前の山下さんには共通点があります。それは、素振りでは腕が動き出すのがタイミング的に早く、いわゆる腕で振りに行ってる状態になっている事です。それが、実際に打つとなると、腰の回転で上半身を引っ張ってバットを出すスイングが出来ています。

スイングの中で、腕が走り出すと腰の回転や体重移動にブレーキがかかりますから、そのぶん体重移動が不十分になり、腰の回転も小さくなります。それで、2人とも、素振りの中で前脚軸が形成されていないのです。

では何故、山下さんが、それが改善されたかと言う事ですが。。

その前に、下の写真を見て下さい。2人とも共通しているのは、やはり素振りの方が腕が走り出すのが早く、実打になると、腰の回転でバットを引っ張っている事です。そして、実打の方が前脚軸が形成されています。(共に、上段が素振り、下段が実打)



実は、この傾向(素振りと実打における体重移動の差)は多かれ少なかれ、誰にでも有るものです。そして、要は、その差を如何に埋めて行くかと言う事です。実際、素振りで前軸が形成されている人は、実打でもやはり前軸の形成が上手いです。そして素振りでは前軸が形成されていない人も、実打ではある程度、前軸が出来るのですが、やはり(素振りで出来ていないぶん)あまり、そのへんが上手くありません。例えば、右打者なら振り切らないうちに前脚の膝が割れたり、左打者なら、一塁側に走りながら打つ感じになったりします。

そこで、以下の2人を見て下さい。共に、小学生高学年から、塚口理論に取り組み始めた2人です。2人とも、素振りと実打の差が小さい事が解ります。


まず、一つの単純な原因として、基本的にラボでは実戦と同じ打ち方で素振りすることを徹底しているからです。そのぶんだけ、素振りと実打のフォームが似て来るわけです。ただ、この事はもう少し詳しく説明する必要が有ります。

結論から言うと、この打ち方の方法論に則って、素振りを重ねて行くと、アランさんも、山下さん同様、時間の経過と共に、素振りでも前軸が形成されるようになって来るはずです。しかし、そのためには抑えておきたいポイントや、練習方法なども有ります。

そこで、『(1)なぜ、素振りと実打でフォームが違って来るのか』『(2)どういうメカニズムで、それが改善されて行くのか』『(3)前軸が上手く形成出来るようになるポイントは何か』といった点について説明して行く事にします。

続きます。

(1)なぜ素振りと実打でフォームが違って来るのか

まず、最もありがちなのは、置きティーの顔の向きで振る素振りです。ですから、顔の向きに注意して振るだけでも、かなり実打に近いフォームになります。

次に「意識」です。下の動画は一般的な素振りの動画ですが、実際に打つ時の感覚とは全く違った感覚でバットを振ってるのは解りやすいと思います。


同じく、堂林のフリー打撃です。


実打では、ボールと言う解りやすいマトが有るので、それを打つ事を意識します。しかし、素振りでは打つべきマトが無いので、バッターは「何を意識したら良いのか」と言う事に(潜在意識の中で)非常にとまどいます。そこで、一般的には、腕の使い方とか、バットの軌道、或は下半身の使い方など、自分で「これが良いフォームだ」と思う動きを意識して、それを確認するようにバットを振ります。なので、素振りは「ポイントを確認する作業」のような感じになり、実打とはフォームが変わって来るわけです。

動画のラミレスのような素振りは、メジャーの選手に多い、典型的な「ポイント確認型の素振り」だと言えます。イチローの素振りも同じくポイント確認型ですし、高校野球とかで多い、極端なダウンスイングの素振りもポイント確認型でしょう。


話を堂林に戻しますが、彼の素振りと実打の違いは、多くの打者の素振りと実打の違いと共通しており、この問題を解りやすく表現しています。

素振りで多く見られる最大の間違いは、バットを「振ろうとする」と言う事です。素振りでは打つべきマトが無いので、とりあえず手に持った道具(バット)で何かしようとすると、それはもう「振る」しか思いつかないと言うのが当然だと思います。

この「振る」と言う運動は、グリップを中心としてヘッドを回す運動ですが、それをすると、手首が返ります。ですから「振る」と言う意識で素振りをすると、どうしても、いきなり腕でヘッドを出しながら、手首を返して行くようなスイングになりやすいのです。ですから、一般的には、素振りの方が腕を使ったスイングになりやすいのです。堂林の素振りも、その典型です。しかし、同じ堂林のフリー打撃を見ると、見事に「振る」意識が抜けています。ボールと言うマトが有るおかげで、余計な意識が飛んでくれたわけです。

因に、この「振る」意識の素振りをやろうとする人は、顔の向きが置きティーになる傾向が有ります。なぜなら、その顔の向きだと身体が回りにくいので腕を使って振りやすいからです。逆に投手方向を向いてしまうと、身体が先に回ってしまうので、「腕を使った振り」がやりにくくなります。「悪い意味での腕力」を使って振ろうとするならば、身体が回らない方が都合がよく、逆に身体が回ってしまうと「悪い意味での腕力」が使えなくなるということです。

では、素振りでは何を意識すれば良いのかと言う事ですが、前提として、ここからの話はパンチャー限定です。

この問題は、パンチャーの基本メカニズムを考える事がヒントになります。

つまり、まず、構えた状態から直接バットを加速しようと意識した瞬間に、上半身でサイレントピリオドが起こり、それと連動して下半身が力を発揮する所から、メカニズムが始まるわけです。

サイレントピリオドの筋電図

始動の瞬間に、上半身のサイレントピリオドと同時に下半身が力を発揮する。

この、下半身の力によって起きる重心移動を動力源として、パンチャータイプのメカニズムが連鎖的に引き起こされる。

つまり、全ての源は、始動時に発揮される下半身の力であり、そして、それは上半身のサイレントピリオドと連動して起こります。

始動時に、下半身が大きな力を発揮し、その時、上半身の筋肉が(サイレントピリオドによって無意識下で)弛緩している事が、良い動作を生み出すための条件と言えます。

そして、このサイレントピリオドは力発揮の意識が100%なら(理論上)100%の弛緩を引き起こしますが、力発揮の意識が80%なら80%の弛緩となり、20%の力みのようなものが残ります。

ですから、100%の力発揮を意識する事で、始動時に下半身の出力を100%にして、上半身の出力を0にしてやる事がポイントになります。

※)実は、そのため、今までは一瞬で速く振り抜く事に意識を集中させると言って来たのですが、これを変更します。何故かと言うと、これだと結局は「振る」意識になってしまうためです。そのため、潜在意識の中でバットをフィニッシュの位置まで回そうとする意識が働き、結果的に手首の返しが強くなります。(なので、自分自身も含めて、皆さんの素振りを見ていると、実打より手首の返しが強くなっていました。)

これを、これからは「100%の力で強く打つ意識で振る」に変更します。何を打つのかと言うとイメージするしか無いのですが(顔の向きが置きティーにならない位置に)スイカくらいの大雑把なマトで良いので、それをイメージして思い切り叩きに行く意識です。(イメージのマトが小さすぎると、難しいので、大雑把なマトで充分です。)

この方法のポイントは顔の向きが置きティーにならない事で、それさえ守られれば、バランスボールくらいの大雑把なマトの意でも良いです。(この事には根拠が有るのですが、冗長になるので書くのはやめます。ただ、簡単に言うと、スイングの動きはオートマチックなので、マトが大きかろうが小さかろうが、結局は同じ所をバットが通る事になるためで、そのバットの通り道は、構えのバランスと顔の向きが決めます。

このように、イメージしたマトを強く打つ意識で素振り(素打ち)する事によって、フィニッシュの位置までバットを回そうとする意識が消えるので、手首の返しが抑えられて、力がセンター方向に向くようになります。慣れて実感出来るまでは100スイングくらい必要かもしれませんが。

※)顔の向きについては、置きティーの向きは外角の向きに近いものが有ります。ですから、コース別に素振りをする中で置きティーの顔の向きになるのは良いのですが、置きティーの顔の向きで素振りをするのが習慣になるのが良く無いということです。

ですから、100%の力を発揮して仮想のマトを打ちに行く意識で素振してみてください。止まってる状態から100%の力を発揮しようとすると、おのずと瞬発的な力の発揮になります。

ここでのポイントは、意識を「強く打つ」ということに100%集中させる事です。つまり、図のような脳内円グラフの全てを「強く打つ」にする事によって、スイングの時の具体的な動きを意識する余地が無くなる事が重要です。そうする事によって身体が上手く動いてくれます。


続きます。

つまり、素振りの時の意識が実打と違って来る事や、顔の向きなどが原因で素振りと実打ではフォームが違って来るわけです。そして、素振りの時は基本的に腕で振りに行く場合が多いのです。

(2)どういうメカニズムで素振りと実打の差が無くなって来るのか

顔の向きに気を付ける事は重要です。

ただ、投手の方を向くのが必ずしも良いのかと言うと、そういう事もありません。特に実戦同様のリリースポイントを意識すると、アゴが挙ってしまうので、身体が開きやすくなります。ですから、ベストな顔の向きは、投手方向からやや、地面を向いた所と言えるでしょう。3m4m先の地面を向くくらいがベストだと思います。

つまり、実戦では100%、理想的な顔の向きで構える事が難しいということです。ただ、これは仕方の無い事です。野球と言うゲームがそういう仕組みになっているからです。実戦では素振りや、平地での打撃練習よりも、アゴが挙りやすくなります。ですから、練習よりも試合の方が身体が開きやすいのでしょう。

また、柔軟性が重要です。これは、正しい方向でバットを振り込んで行けば、自然に向上します。もちろん、実際にボールを打つ事が重要ですが、いずれにしろ、素振り、実打に関わらず、バットを振る数を増やして行く事で、スイングが柔軟になってきます。

そしてまた前軸が効いたスイングが出来るようになると、スイングの柔軟性が向上します。

こういった点が達成されると、より実打に近い素振りが出来るようになって来ます。まとめると以下の3点が重要です。

1)顔の向き
2)柔軟性の向上
3)前軸の形成

(3)前軸が上手く形成出来るようになるポイントは何か

まず、後ろ脚に体重が残ると、腕の筋力に頼ってスイングする事になります。こういう状態だと素振りと実打の間に違いが出やすくなります。

反対に踏み込んだ前脚に体重が乗り、前軸が上手く形成されると、体幹部の力を使ったスイングが出来ます。こういう人の場合は、素振りと実打の違いが小さい傾向が有ります。

基本的に前から飛んで来るボールを打つ場合、腕の筋肉に頼っていては当たりません。ですから、そういうスイングをする人でも、実打の中では腕の筋肉に頼らないで身体全体の力を使って振るようになります。これは、自然にそうなります。
ですので、素振りの中で腕の筋肉に頼ったスイングをしている人ほど、素振りと実打の違いが大きくなりやすいのです。そして、上達して素振りで腕の筋肉に頼らずに振れるようになると、素振りと実打の違いが小さくなります。コレは基本的な考え方として非常に重要な支点です。

上記のような理由で、前軸の効いたスイングを出来るようになる事が重要です。ここでは、そのためのポイントを挙げておきます。

1)踏み込んだ前脚に体重が乗る構え

ラボでやった内容です。捻って頭がやや前に来るバランスと、後ろ肩、前腰、前足の着地点が一直線に並ぶ構えを作る事が重要です。これらは捻りを入れる事でやりやすくなるので、少し捻りを強調して練習すると良いでしょう。


2)上半身がリラックス出来た状態で振る

上半身の筋肉が構えで緊張していると、スイングでも上半身の筋力に頼るようになります。そうなると体重移動が途中で止まって、前軸の形成が不十分になります。メールで送ってもらった素振りの動画にはややその傾向が有ります。ですから、素振りの中では無理に構えを長くしない方が良いでしょう。

3)ハムストリングスが効いた構えをとる

ハムストリングスが効いていると身体を前に押し出す力が強くなるので、踏み込みが強くなり、前脚に体重が乗りやすくなります。大腿四頭筋が効くと、その逆の事が起こります。簡単に言うと、クラウチングの構えだと前脚に体重が乗りやすく、脊柱を真っすぐ立てた日本人的な構えだと後ろ脚に体重が残りやすくなります。

以上の3点が前軸の効いたスイングをするためのポイントで、これらが出来ると自然にスイングもしなやかになり、フォロースルーも大きくなって来ます。アランさんにとっては重要なポイントです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上です。

前軸を効かせる事、そのために捻る事、捻って後ろ脚股関節を割って後ろ脚を効かせる事。。このへんがポイントになります。

長くなりましたが、以上です。