2013年8月13日火曜日

対ダルビッシュ オールスター

メジャーで一番多く三振を奪っている投手のピッチングから学ぶことは多い。というか、落ちる球は強い。これだけの縦スラを投げる投手はメジャーにもそんなにいない。ダルビッシュを見ていると、縦の変化球の有効性が良く解る。今回のピッチングでは奪三振のほとんどを縦スラで奪っている。



特に、左打者に対して縦スラを上手く使っている所に注目してほしい。

当然ながら、この球種は右打者に対しては、外角低めのボールソーンに逃げる球として使い、左打者に対しては内角低めのボールゾーンに食い込ませる球として使うのが基本になる。

バットスイングはホームベース方向に傾いた体軸に直交する軌道を通る。これを考えると、内角低めと外角高めは、その軌道から外れる事になる。もちろん、内角高めと外角低めも難しいコースだが、同様に内角低めと外角高めも難しいコースになる。


ある意味、内角高めと外角低めは「正規のスイング軌道」の中を通るため、「技術力」で対応出来るが、逆に内角低めと外角高めは「正規のスイング軌道」から外れるため、少々クセの有る打者の法が上手く打つイメージが有る。

例えば、内角低め。落合のようなアウトステップする右打者や、日本人に多い、走りながら打つような左打者の方が打ちやすい。また、外角低めは、キューバの打者のようなクラウチング角度の深い打者が、ややアウトサイドイン的なスイングで捉えて、ショートの頭上をライナーで抜くイメージが有る。腕が大きく伸びる片手フォロー系の打者も強そうだ。アレックス・ロドリゲスなどのように。

ここでテーマとしたいのは、内角低め。

今回のピッチングでダルビッシュは三振のほとんどを縦スラで奪った。特に左打者に対する縦スラが有効に働いている事が解る。それほど厳しく内角低めに決まっているわけでは無いが、動画の1.37からの見逃し三振を奪った一球は左打者に対する縦スラの使い方のお手本のようなコースに決まっている。

メジャーの左打者と言うのは、日本人打者のように走りながら打つようなタイプはほとんどいない。とりわけパンチャータイプの場合、左打者でも右打者同様に、ホームベースに体軸を傾けるようにして打って来る。だから、メジャーの左打者には、内角低めに落ちる縦スラが有効になる。落ちる球と言っても色々あるが、やはり内角のストライクゾーンからボールゾーンに落とせる縦スラが最強だろう。ストライクと思うから振りに行き、振っても絶対当たらないコースに落ちる。これでは打ちようが無い。

キューバの左打者が、内角低めに落ちる縦スラに空振りしたシーンを憶えている。

そこで、この本だが。。

この本の中に、ダルビッシュと対戦した日本人打者の打率が掲載されているコーナーが有る。その中で、20打席以上対戦した打者の中では、鳥谷と坂口が最も打率が高い。もちろん、どういう球を打ったのかは不明なのだが、2人とも走り打ち系の左打者である。メジャーでは少ない、このタイプの打者にはスライダーが効きにくいのでは無いだろうか。

そこで、余興として、日本人打者による、対ダルビッシュオールスターと言うべきメンバーを考えてみた。

1番 センター 坂口
2番 レフト 青木
3番 ショート 鳥谷
4番 ライト 糸井
5番 キャッチャー 阿部
6番 ファースト 筒香
7番 DH 丸
8番 サード 岩村 
9番 セカンド 田中賢介

また、それと同時に、「このタイプの打者に対する、この投手の、この球種」と言うテーマで「投球の殿堂」なる企画を考えてみた。まだネタ不足だが、その中にもちろん、左打者に対するダルビッシュの縦スラも含まれる。

今、パッと思いつくボールは。。

(1)マリアーノ・リベラの左打者の内角高めに食い込むカッター
(2)クレイグ・キンブレルが左打者の外角低めに決める4シームストレート
(3)ダルビッシュ有が左打者の内角低めボールゾーンに落とす縦スラ
(4)セルジオ・ロモが右打者に投げる外角低めのボールゾーンに逃げる横スラ