2013年9月30日月曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(86)コナー•ギラスピー

現在、売り出し中のオートマチックステップ界期待の新星。1987年生まれなのでまだ若い部類だろう。モーノウくらいになってくれたら良いのだが。



2013年9月29日日曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(ちょっと一息)すり足打法

パンチャーとスインガーの分類に慣れていない人が、まず最初に間違うのが、「スインガータイプのすり足打法」と「パンチャータイプのオートマチックステップ」だろう。

すり足打法はオートマチックステップもどき以上に、オートマチックステップとの見分けが難しい。なぜなら外見的にステップの動きがほとんど同じだからだ。そのため、分類は、そこから先のスイングを見る必要が有るが、その分類は、ある程度の慣れを必要とするものである。、

例えば、下の動画に出てくる打者は、全員がスインガータイプのすり足打法(系)の打者だ。0.40からの背番号5の右打者は右手で振っている感じがするが、これはノーラン•ライアンの豪速球にタイミングが間に合わず、無理矢理に振りにいった結果だろう。この打者はブルックス•ロビンソンという有名な三塁手だが、典型的なスインガータイプのすり足打法である。


上の動画で0.40から登場する、トップハンドの効いた空振りをした右打者、ブルックス•ロビンソンは打撃よりも守備で知られた選手で通算打撃成績は263本塁打の打率0.267 一方守備では23年間の現役生活で16度のゴールドグラブ賞を受賞している。(wiki)   1.23からのスイングが見やすいが、ベストスイングでは、ノーラン•ライアンの豪速球を空振りした時とはスイングが違う。   


スインガーのすり足打法も、パンチャーのオートマチックステップも、「二本の柱で支えている物体から一本の柱を抜くと、抜いた方に物体が倒れる」と言う「抜き」のメカニズムを利用するという点では一致しているが、そもそものステップに至るメカニズムが全く違う。そして、スイングのメカニズムも違う。ちなみに、厳密に言うとパンチャーには(完璧な)すり足打法は無い。パンチャーで完璧にすり足打法で前脚を挙げてしまうと始動ポジションが形成出来ずに、必然的にスインガータイプになってしまうからだ。

基本的にスインガータイプの場合、重心移動の小さなすり足打法はそれほどパワーが出る打ち方ではない。スインガー時代のホームラン打者はハンク•アーロンやベーブ•ルースのように、もっと重心移動が大きな打ち方をしてきた。

すり足打法とオートマチックステップの見分け方にヒントを一つ挙げると、基本的には、スインガーの場合、重心移動が小さいすり足打法だと前脚が開きやすい。一方、パンチャーの場合は逆に重心移動が大きい方が前脚は開きやすくなる。だから、「抜き」を利用してステップしている打者で前脚が大きく開くのはだいたいがスインガーである。

ちなみに、ジョニー•ベンチも、スインガーのすり足打法だ。



DVD第二弾

股関節の斜め回転理論「割れ」と「絞り」完成間近です。
第一弾「腸腰筋とハムストリングス」についてはコチラへ。






オートマチックステップ巡礼の旅(85)カルロス•リー

2012年を最後に引退した00年代のオートマチックステップ界における大物の一人。通算成績はメジャー14年間で358本塁打の打率0.285 安打数は2273本。盗塁も125記録している。ポジションは左翼と一塁手。(wiki) 2003年から2007年には5年連続で30本塁打以上を記録している。

2000年の選手名鑑には「リーの打撃フォームは現役右打者の中では最も美しいと言われている」と書かれている。



前脚をつま先立ちにしてからの始動だが、オートマチックステップの純度は高い。地面にまとわりつきながら、スパッと離れるような、良質のオートマチックステップ特有の動きに注目してほしい。この動画の最後には斜め横からの映像が有るが、オートマチックステップの動きがよくわかる。

スイングの特徴は、今期NPBでホームランのシーズン記録を更新したブラディミール•バレンティンに似ている。カルロス•リーは安定して高い成績を記録し続けたパワーヒッターだが、所属したチームがポストシーズンに進出する機会が少なかったのか、地味な印象が有る。そのうえ、日本人選手との絡みにも乏しい(唯一、松井稼頭央くらい)ので、日本での知名度は低いのでは無いか。そうした選手はメジャーには数多くいるが、日本の野球少年たちの目に触れる機会が極めて少ないのはもったいない事だ。

晩年は脚を挙げて打つ事も有ったが、それはそれですばらしいものだった。



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オートマチックステップ巡礼の旅(84)アルバート•プホルズ

現役メジャー最強打者。。と言いたい所だが、エンゼルスに移籍してからはケガや不振が目立ち、その座をミゲル•カブレラに譲る格好になっている。ドミニカ出身の一塁手。

2013年9月29日現在までで、既にメジャー13年間で、492本塁打 打率0.321 安打数2347を記録している。

WIKIの記事

ここ最近はノーステップで打つ事が多いが、元々はオートマチックステップの打者だった。ただ前脚の膝が内に入る特徴が有ったが、これはおそらく始動しながらも後ろに残す意識が加わっているためだと思う。

(ピッチバイピッチ有り)


理論的にメカニクスを把握して実践しているわけでは無いであろう事も、その一因だと思うが、超一流クラスは「ズバリオートマチックステップそのもの」よりも、そこに若干アレンジを加えている打者である場合が多い。おそらく、そのアレンジが投手との対応関係を優位にする方向に作用した時、その打者の打棒は爆発するのだろう。しかし、そういった「アレンジ」を加える事は、スイングのメカニクスそのものにとっては良い事では無い。

打法にとらわれず、基本的に、打撃はタイミングにとらわれるとスイング本体がおろそかになる場合が多い。ただ、このクラスになると若干スイング本体に支障が出ても、軽々とオーバーフェンスするだけの力が有る訳で、ミゲル•カブレラにしてもそうだが、最も高いスタッツを残すのはそういう打者である事が多い。しかし、よく見るとわかるが、そうした「メジャー最強打者」は「メジャーで最も飛ばす打者」であるわけでは無い。

ある意味、タイミングにとらわれてスイングをおろそかにしている例の最たるものが、今の日本人の打法であり、その実力は良い面も悪い面もWBCで実証されていると言って良いだろう。そして、その日本と真逆の方向性を取っているのがキューバの打法である。

プホルズも、アレンジを加えると言っても、上記の動画のくらいだと良いのだが、さすがに2011年頃からノーステップにしたのはまずかった。ノーステップと片手フォローを同時にやってはさすがのプホルズも苦しむという事だろう。しかも構えでは膝を折って四頭筋を効かせる傾向が年々顕著になっている。

プホルズ2011年(ノーステップ)


プホルズ2005年


プホルズ2003年


プホルズ2003年


プホルズ2010年


その他、脚挙げ型で打っていると見られるようなシーンも有り、要するに、プホルズほどの大打者を持ってしてもステップは安定していない。これはオートマチックステップという打法が現場レベルの技術論で説明する事が難しいメカニクスによるものだからだろう。

理論の裏付け無しに常に完全なオートマチックステップで打っている打者というのは、ある意味では「もう一度やれと言われても出来ない打ち方」を毎回やっているのに近いものが有る。

プホルズが今後、どうなるかの予測は難しい。少なくともノーステップと膝を折った構えは改善してほしいところだ。

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オートマチックステップ巡礼の旅(83)ジェフ•バグウェル

オートマチックステップの化身と言っても良いだろう。
通算成績はメジャー15年で 449本塁打の打率0.297 202盗塁 2314安打 (wiki)
一塁手だが、元々はサードで、30本塁打30盗塁を記録した事もある。



ガニ股打法で有名なジェフ•バグウェルは、かつて「オレのバッティングスタンスはメジャーでも最悪なものだ」と言っていたが、その打撃メカニクスはオートマチックステップのメカニクスを誰よりも解りやすく表現している。

全編に渡り 打撃シーンが見られる動画


一試合3本塁打 この頃のフォームのイメージが最もバグウェルらしいものだろう。


オートマチックステップはリリース前始動にならざるを得ないのが弱点なのだが、この構えからこれだけヒッチして、通算打率0.297を記録している打者がいると言うのもまた、事実である。

股関節を割っているので、ハムストリングスが効いており、始動時の力が強い。そのためヒッチも大きくなる。腸腰筋の強い黒人の場合、重心の高い構えで成功するオートマチックステップの打者も多いが、白人系で成功しているオートマチックステップの打者は、黒人に比べると重心が低い傾向が有る。

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2013年9月28日土曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(82)デール•マーフィー

スイングシーン 冒頭と0.46から


アレックス•ロドリゲスが憧れていたというブレーブスの三塁手。通算成績は18年間で、本塁打398本、打率0.265 (wiki)

30本塁打以上は6回記録しており、本塁打王、打点王のタイトルをそれぞれ2回づつ獲得している。オールスター選出7回。1976年から1993年にかけてプレーした、オートマチックステップ時代初期の大物。

レジー•ジャクソン 563本塁打 打率0.263
アンドレ•ドーソン 438本塁打 打率0.279
ジョージ•ベル   265本塁打 打率0.278
ペドロ•ゲレーロ  215本塁打 打率0.300
デール•マーフィー 398本塁打 打率0.265

これらの打者が、その後の打者の技術に、ある程度の影響を与えた事だろう。

デール•マーフィーはバット立て型の構えで、スタンスも狭いので、若干スインガーっぽいスイングになるが、下の動画の1.49〜のホームランを見る限り、やはりパンチャータイプのオートマチックステップだろう。


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2013年9月27日金曜日

R.W.さん 2回目

ご来場ありがとうございました。


この動画の分析は、コチラで行います。

2013年9月26日木曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(81)アラン•トラメル

通算成績はメジャー20年間で 打率0.285 本塁打185 安打2365 盗塁236 の遊撃手。ゴールドグラブ4回受賞、オールスター6回出場。(wiki)

記憶の中で、トラビス•フライマンとアラン•トラメルがごっちゃになっていた。(笑)二人とも同じ右打者で、タイガースの内野手。同時期のプレーしており、構えも似ているし、二人ともオートマチックステップ。しかも2人ともタイガースで「トラ」が名前に入っている。

トラビス•フライマンがサードで、アラン•トラメルがショート。

スタンスは比較的狭く、そこから軽打する感じで打ってくるので、若干、スインガーのすり足打法と紛らわしい部分が有る。


アラン•トラメルは1977年から1996年までタイガース一筋でプレーしたので、1990年から1997年までタイガースに在籍したフライマンは、メジャーデビューした時からトラメルの打撃を見ている事になる。チームの顔の一人だったトラメルの打撃を参考にしたのでは無いだろうか。そういうケースはどのレベルの野球チームでも、良く有る事だろう。

若干、二段ステップ的なタイミングの取り方をするが、このくらいなら、オートマチックステップの範疇に入れても良いだろう。二段ステップというよりも、オートマチックステップでリズムを取る足踏みみたいな感じだ。(横からのスロー有り)


スイングは片手フォローで、広島〜阪神にいたシーツが片手で振った時に似ている。1984年のワールドシリーズでは第4戦で2本のホームランを打った。このワールドシリーズはタイガースが4勝1敗で制し、トラメルはMVPに選出されている。


DVD第二弾
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オートマチックステップ巡礼の旅(80)トラビス•フライマン

1990年〜2002年というオートマチックステップが最も熱かった時代にプレーした三塁手。オールスター選出5回で、通算成績はメジャー13年間で 本塁打223 打率0.274 を記録している。2008年には米野球殿堂入り候補に選ばれた。(wikiの記事)





成績表を見ると、20本台のホームランと2割台後半の打率が安定して望める選手だった事が解る。こんな三塁手がいたら、チームとしては助かるだろう。

DVD第二弾
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2013年9月25日水曜日

R.W.さん 1回目 2回目

ご来場ありがとうございました。

1回目


2回目


かなりいい感じになったと思います。バットを振り抜く軌道、躍動感などが非常に良くなりました。

しかし、最も気になるのは、やはり肘を傷めやすいスイングだと言う事です。そしてそれはバットを振る時の顔の向きと関係があります。素振りを横から撮影すると、ホームベース方向を向いて振っていましたが、これが良く有りません。

ホームベース方向をむくと、肩が回らず、腕で打ちにいかざるを得ないのですが、そうなると肩を回さないでトップハンドの手の平を平手打ちのようにボールに向けて出していく使い方になります。これが最も肘を傷めやすいスイングです。ですからまず素振りでは投手方向(のやや下、地面)に顔を向けたままバットを振る事と、置きティーをする場合は、あまりポイントが近くなりすぎないように気を付けてください。

後は、やはり構えた時に股関節が割れていないので、腰が入ってこないという点と、そのせいもあってか、膝を折って大腿四頭筋で体重を受けやすい傾向が有るという事が解りました。このへんはストレッチで改善していってください。

続きます。

まず、最も重視してほしいのは、元々が後ろに体重が残り、前脚が開きやすいタイプだと言う事です。素振り、置きティーでは巻き戻しが出るようになっても、試合で、同じ動きをするのは、もう一段、難しい事と考えてください。基本、試合になると開いてしまう人が多いです。ですから、スイングする時は常に巻き戻して終わるという事を重視してください。

では当日行ったメニューに後からつけ足した補足を加えたものを書いておきます。


★ハム立ち骨立ち

腸腰筋その場ステップ
腸腰筋ストレッチ~股関節折り(ハム収縮 四頭筋弛緩)
踵小刻みステップ
揺らぎ体操左右で5づつ
高重心置きティー3

★スクワット 

腸腰筋その場ステップ6+スクワット6
腸腰筋ストレッチ~踵足踏みスクワットダウン
スクワットダウン置きティー(反応)

※)膝の折れに注意

★捻り 

リズム割れ絞り体操4
バット割れ絞り体操6
割れ絞りパンチ2(地面掴み)
捻り置きティー3
巻き戻し連続素振り

★(ストレッチのみ)

自動回旋
地面掴み
アウトエッジ
内股たわみ
外の張り
3点支持
s字と上半身
骨盤挟み
揺らぎ股割り

★後ろ割り、前ライン 

後ろ割りスイング(割って地面を捉える。後ろ脚で立つ)
前ラインスイング(前ラインに体重を流し、アウトラインに荷重)
ヘッドの重さで捻りを作ってスイング


xライン

xラインスイング後ろ(後ろ脚を前肩で押さえる)
xラインスイング前(前ラインスイングと同じ)
xライン真ん中スイング(xラインの真ん中でバランスを取る)

ポイント4 懐(投手からのバランス)

腸腰筋ストレッチ後、「背中の丸まり」「首の角度」「踵体重」の3つを意識してスイング。
懐を後ろにズラしてスイング(置きティー)

★クラウチング

★グリップ 

肩甲骨被せ腕組み絞り持ちスイング
手の中に架空のバットを作る
前腕部のストレッチ
徒手 バット 巻き戻し


ショートストロークスイング
トップハンド掴み置きティー
ルーズグリップ置きティー
両手両足フィット置きティー
体幹部操作に伴うグリップの変化置きティー

★上半身の形 

捻り方 懐 体幹部の形
ボトムハンド下支え
トップハンド上掴み
ゼロポジションキープ
首の角度
体幹部操作に伴うグリップの変化置きティー

首 

ポイント 股関節の割り 両脚のライン

手組股割体操
内転筋ストレッチ+リズム股割スクワット
a構え作りリズムスクワット5
b腸腰筋ストレッチ~揺らぎ構え作り体操1
aとbのセットを3回

素振り 3

★3点支持 

3点支持股割
両手と両足のフィット間を確認してスイング

★前軸 

前脚絞りパンチ
前軸スイング
頭前スイング
クラウチングアウトロースイング
バット回しスイング

★揺らぎから打ちにいく間 

揺らぎ体操

まずスタートポジション作り、腰を反って、股関節で折る。
そこから構え作る。少し低めの構え作り、体重を地面に落としてからスイング

置きティー5
素振り3

★タイミング 実戦シュミレーション

構えを作るタイミングシュミレーション
シュミレーション素振り

★スイングパワートレーニング

構えパワースクワット
短いマスコットバット素振り(orカウンターバランスバット)
トップバランスマスコットバット素振り
巻き戻し連続素振り
ホウキスイング

★ホウキヒッチ

体幹部操作1のグリップ作りスクワット
腸腰筋その場ステップ×4
反応ホウキ素振り3

★股関節回転 プラバット置きティー

腸腰筋その場ステップ×10
揺らぎ体操左右10づつ
プラバット置きティー5

オートマチックステップ巡礼の旅(79)マイク•ランシング

0.35からのロッキーズの選手(サイクルヒットの動画)


2001年にはレッドソックスで野茂のチームメイトだったので日本でも比較的知られている方だと思う。通算成績はメジャー9年で 本塁打84 打率0.271

2001年にはファインプレーで野茂のノーヒットノーランをアシストしている。(wiki)

足の上がり方が比較的大きいが、オートマチックステップだろう。揺らぐときに少し手を動かしすぎるが、こういうタイプは足の上がり方も大きくなる。

成績は若干物足りなく映るが、セカンドというポジションを考えると充分では無いか。2割台後半の打率に10本台前半のホームランを打つ選手だった。そうした選手が、このようなコンパクトなスイングをしてくれると、ベンチとしては使いやすいだろう。若干、投手のレベルが高くなってもシングルヒットくらいは期待出来そうだからだ。そうしたところにも、オートマチックステップの良さが有る。

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2013年9月24日火曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(78)J.T.スノー

いかにも腕っぷしの強い白人といった感じのスイングをするが、オートマチックステップの純度は、それほど高くは無い。動画で横から見ると、後ろに重心移動してから始動するタイプのオートマチックステップである事が解るが、違うステップをしていた事が有ったかもしれない。(その辺の記憶は定かではない。)

エンゼルスで頭角を表すが、ジャイアンツ時代の印象が強い。左投げ左打ちの一塁手で、守備に定評が有り、1995年から2000年にかけて6年連続でゴールドグラブ賞を受賞している。(wikiの記事)


いかにもそのへんにいそうな近所の兄ちゃん的ルックスの白人スポーツマンで、スノウ(雪)という名前。当時、一筋縄で行かない連中の揃っていたジャイアンツにあって、アメリカンヒーロー的なさわやかなイメージを醸し出し、人気者だったイメージが有る。バッティングフォームもどことなく朴訥とした感じで、それがまた、スノーらしい。

2002年のワールドシリーズで本塁付近のクロスプレーに巻き込まれそうになったバットボーイの子供(3歳!)を抱きかかえて助けたシーンが有名である。(その後、バットボーイは14歳以上に制限された)



通算成績はメジャー16年で、打率0.268 本塁打189本

バリー•ボンズ、ジェフ•ケント、リッチ•オーリリア、ベニート•サンティアゴ等と同時期にジャイアンツに在籍した選手で、2002年のワールドシリーズでは古巣エンゼルスと対戦したが、ワールドシリーズ制覇はならなかった。


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オートマチックステップ巡礼の旅(77)ノマー•ガルシアパーラ


ノーステップで有名な打者だが、オートマチックステップで打つ事も有った。もちろん、その時の方がスイングは良い。このスイングは昔ビデオで見たガルシアパーラのスイングの中でも最もお気に入りのやつだったと思う。それがネット上に有ってよかった。



因に、こちらがノーステップのスイング。2スイング目は微妙に前足が地面から離れているようにも見える。ただガルシアパーラの場合、基本的にはノーステップで打っていたと記憶している。


1996年から2009年にかけてプレーし、キャリアの前半に打ちまくった遊撃手。2000年には140試合出場で打率0.372(本塁打21)を記録している。当時は、デレック・ジーター、ノマー・ガルシアパーラ、アレックス・ロドリゲスの3人が攻撃型遊撃手のスタープレーヤーとして日本的に言うと御三家的な扱いを良くされていた。(守備の上手い遊撃手ならレイ・オルドニェスなど他にもいた。)

だが、手首やアキレス腱の故障などで、キャリア後半はふるわなかった。2006年にドジャーズで20本塁打の打率0.303を記録したが、その後は本塁打数が落ち込み、2009年にアスレチックスで引退。

wikiの記事

通算成績はメジャー14年で 229本塁打 打率0.313

打率の高さが光る。打率0.372を記録した前年にも打率0.357で首位打者を獲得しているし、キャリア後半に低迷したと言っても打率0.260以下は一度も無い。

ノーステップはリリース後の始動になると言う点ではオートマチックステップより有利な部分が有る。しかし、基本的にはステップしないで打つと言うのは無理がある事なので、そもそもスイングがやりにくい。なので、ノーステップのタイミングから、良いスイングが出来れば、ガルシアパーラのように高打率を記録する事も出来るだろう。

ただ、無理の有るスイングを続ければ身体にも負担がかかる。手首の故障に関しては、そうした影響では無いかと思う。他にもマイク・スウィーニーと言うノーステップの強打者がいたが、スウィーニーも腰を痛めている。

一時的に凄い成績を残すということと、継続して高いパフォーマンスを維持すると言う事は、技術論的な観点からは必ずしも一致しない。ノーステップのガルシアパーラの成績を見ると、それを痛感する。安定性を求めるなら、やはりタイミングよりもスイングそのものを追求する取り組みを重視した方が良い。打撃は身体運動なので、打ちやすいからと言ってタイミングに囚われてスイングを疎かにすると、若い内は良いが力が衰えて来た時に打てなくなる。

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2013年9月23日月曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(76)ペドロ•ゲレーロ

主に1980年代に活躍した選手で内野と外野の両方を守る。通算成績はメジャー15年で打率3割ジャストにホームラン215本。30本塁打以上を3回記録している。(wiki)

オートマチックステップとしての純度は非常に高い。

この動画の0.18から



ホームランを含む3安打


1978年から1992年にプレーした(ジョージ•ベルと同じ)ドミニカの選手で、しかも同じ都市の出身(サンペドロ•デ•マコリス)である。ちなみに、この都市はサミー•ソーサやロビンソン•カノー、アルフォンゾ•ソリアーノ等も輩出している。人口は21.7万人で私の住んでいる大阪府吹田市(約35万人)より少ない。ちなみにドミニカ共和国の人口は約1009万人で大阪府の人口が約886万人である事を考えると、野球レベルの高さに驚かされる。要するに、毎年のように出て来る桐蔭やPL、履正社あたりの強打者のような感じでオルティズやべルトレ、カノーのような打者が出て来ると言う事なのだろう。

wikiによると、メジャー各球団は80年代に人材を求めて中南米、特にドミニカにスカウト網をはりめぐらせたらしい。そうした事が、打撃技術の流行に影響を与えた事は多いに考えられる。

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オートマチックステップ巡礼の旅(75)ジョージ•ベル

アンドレ•ドーソンとほぼ同じ時期にプレーしたドミニカ出身の外野手。フレッド•マグリフともブルー•ジェイズでチームメイトになっている。

ベルの通算成績はメジャー12年間で265本塁打の打率0.278 (wiki)

12年という現役の期間なので、ホームラン数はそれほどでも無いが、1987年には47本塁打 134打点 打率0.308という成績を記録している。


この時期のオートマチックステップらしく、クラウチングの構えなので、四頭筋が効いておらず、ハムストリングスを良く使えているから、スイングが豪快だ。




オートマチックステップとしての純度は高いが、よく見ると後ろに重心移動してタイミングを取っている。その意味ではタイミングの取り方は、ヒラム•ボカチカと良く似ている。(0.40〜)ちなみにボカチカはプエルトリコ出身。


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2013年9月22日日曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(74)アンドレ・ドーソン

野球殿堂入りしているオートマチックステップ時代初期の大物。

通算成績は、メジャー21年間で、438本塁打の打率0.279 2774安打 314盗塁

(wikiの記事)

400本塁打300盗塁を記録した選手はメジャーで4人しかいない。(アンドレ・ドーソン、バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲス、ウィリー・メイズ)

この動画の最初のスイングを見ると解るが、凄まじい筋収縮の速さを感じさせるスイングで、運動能力の高さが伺える。


この動画の序盤にもスイングシーンが多い。


この動画では、打席での姿を比較的落ち着いて見られる。


引退後のソフトボールのシーン。オープンスタンスからスクエアにしてから打つに弾ステップの形を取っているが、オートマチックステップの根幹部分は残している。


1976年から1996年にかけてプレーした選手で、まさにオートマチックステップ全盛期の最初から、その終盤までを体験した事になる選手だ。「オレみたいな打ち方をする奴が増えて来たな。」くらいの事は思っただろう。レジー・ジャクソンとならぶオートマチックステップのパイオニアと言っても良い。

最高で49本塁打を打っているが、30本以上打ったのは、その年を含めて3度しか無い。それで通算438本塁打を記録しているのだから、安定感が有ると言う事が言える。


DVD第二弾
股関節の斜め回転理論「割れ」と「絞り」完成間近です。
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きたろうさん 1回目

ご来場ありがとうございました。


既に充分に理論を理解されていると思うので、手短に結論から書いて行きます。

まず、基礎的な身体の使い方として、腸腰筋とハムストリングスを使うと言う事、そして、股関節を割るということにまだまだ改善の余地がある事はお話した通りです。

技術的に最大の問題は、揺らいでいる時にバットが動くのは良いのですが、それによって手が緊張した状態になり、その状態から、そのまま振ってしまっている所です。その結果、体重移動や腰の回転が中途半端に終わる傾向が有りますし、また腕が緊張してるので、トップハンドが出るタイミングも早いです。なので、外角球に対して、早く手首が返ってしまったり、遅いボールが来る前に振ってしまったりしています。つまり、「悪い意味でトップハンドが強い状態」になっており、良く言われる表現を使うと「後ろの肩が突っ込んでいる」状態になってしまっています。

また、(自分では気が付きにくいかもしれませんが)上半身が緊張してしまっているので、体幹部の力も、スイングの中で充分に活かし切れていません。

※)この種の「筋肉の緊張」は自覚出来ていない場合が多いのですが、そういう人でもバットを回してから構えの時間を短くして振る素振りをしたりすると、スイングが変わったりします。それを見ると、やはり緊張していたのだなと言う事が解ります。

なので、もう少し、揺らいでから打ちに行くまでに止まる間を作る事を重視すると良いでしょう。

ここで(揺らぎによる)体重移動を一度、完全に止めて、一拍の間を取って下さい。その時、バットは僅かに揺らぎの余韻で揺れている感じですが、その一拍の間を取っている時に、身体の重みを地面に落としてやると、バットの重さを身体全体で受け止める事が出来ます。それが出来ると手が力まなくなります。

※)バットを止めると書いていましたが、これは当てはまらない場合もあるので訂正します。

こうした事が出来て来ると、もう少し手が遅れて出て来て、体幹の力を充分に使えるようになります。実際、素振りなどを見ても、その「間」が非常に短いので、手が緊張したまま振りに行ってます。ここで、最後に息を「ふぅっ」と吐くくらいの間(実際には吐かないです。)を一拍取ってやると、良いでしょう。そこでバットの重みを一度地面まで降ろしてやるわけです。止まると緊張してしまうイメージが有りますが、コツが掴めるとそんな事はありません。


この動画のアンドリュー・ジョーンズの1.40からのスイングを見て下さい。ジョーンズが良いのは、揺らぎをやめてから、間を取っている事です。それが出来ているので体重を地面に落とす事が出来て、無駄な力みも無く、バットを全身で支える事が出来ています。ですから、このくらい体幹をフルに使った豪快なスイングが出来るのです。ジョーンズの揺らぎでのスムーズな動きと、そこから打ちに行く時の、間に注目してください。腕が緊張していないから、身体の深い所の筋肉が使えているので、動きにバタついた感じが全く有りません。こういう身体の使い方が出来る人はメジャーでも有る程度、限られて来ます。そして、今のきたろうさんのスイングに一番、欠けているのが、このジョーンズの感じです。これが出来るようになるだけでも大きく違って来ると思います。


この動画では、特にホームランのスイングでは「間」が長くなっています。これはジョーンズとしては少しじらされた状態でしょう。ただ、それによって、ジョーンズが間を取ろうとしている事が解りやすくなっているスイングでは有ります。


この動画は横からなので解りやすいでしょう。ピッチャーが投げるタイミングによって「間」はマチマチですが、全部見ると、ジョーンズが間を取ろうとしている事が解ります。つまり、揺らぎで最後に前脚の踵に体重を乗せた後(塚口理論的には足踏みを止めた後)に一拍の間を取っていると言う事です。



なお、きたろうさんのスイングで(素振りの中で)ステップで前脚の挙りが大きいのは、手が緊張しているからでしょう。理論的に説明する事は中々難しいのですが、単純に言うと、上半身もアウター系の筋肉が優位になっているから、下半身もアウター系の筋肉が優位になって、動きが大雑把になってしまうのです。(アンドリュー・ジョーンズの前脚の上がり方とは対照的です。)これ等も、前述の「止まる間」が出来ると改善されるはずです。

また、実打の場合は、ステップでの前脚の上がりは小さくて良いですが、そのぶん、手が出るのが早い(早く手首を返す)スイングになってしまっています。つまり「手が緊張している事の悪影響」が素振りと実打で姿を変えて表れているわけです。(この辺は素振りと実打の間にある違いに起因するものでしょう。)なので、「素振りで前脚の挙りが大きい」と言う問題と「実打で手が出るのが早い」と言う問題は、「止まる間」が出来るようになると、改善されると考えられます。

もう一つ、技術的には、スイングする時に、前軸の効いたスイングを作って行く必要が有るということです。この事を重視して素振りをするようにして下さい。つまり、素振りの場合、最後は必ず正しい巻き戻しの形で終わる必要があるということです。実打や試合では若干崩れる事は有りますが、素振りでは100%に近い確立で出来ている必要があります。

大雑把に書くと、このくらいです。問題は、これらを短い練習時間の中で、どのようにこなしていくかと言う事ですが。。

まず、股関節の割りと腸腰筋、ハムストリングスのトレーニングは家でも出来るでしょう。後は、素振りの中で「止まる間」を作る事と「前軸を作って巻き戻して終わる」と言う事を意識してバットを振って行けば充分です。

ひとまず、上記のような感じで練習していくと良いと思います。さらに、今回行なった「捻り方」や「上半身の形、グリップ」等も、素振りの中で随時思い出しながら練習してモノにしていってください。

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ちょっと間隔が空いたので、二つほど、付け加えます。

まず、動画を見てください。


林さんの方が、フォロースルーで腰に反りを作れている事が解ると思います。一方、きたろうさんの場合、一度、反る形は作れますが、そこから腰が折れるのが早いです。


きたろうさんの場合、腕の筋肉が緊しているので、スイングの中で腕の筋肉を使うタイミングが早く(手が出るのが早い)結果的に、体幹部の動作が途中で止まってしまっているのです。

写真で比較すると、若干、きたろうさんの方が後ろに残り気味で、前脚に乗り切れていません。つまり、前脚股関節伸展の機能を使い切れていないと言う事です。

この辺が出来るようになって来ると、スイングの躍動感が全然違ってきます。今はまだ、腰の反りと巻き戻しが弱いです。この二つは相関関係にあり、スイングで股関節伸展が使えていると、巻き戻しと腰の反りが強くなるのです。



もちろん、前述した揺らいだ後に「間」を取るというのも、このポイントを改善するための手段ですが、ここではさらに、もう二つほど、その方法論を書きます。

1)構えの作り方を見直す

2)腕脱力スイングの練習をする









オートマチックステップ巡礼の旅(73)フレッド・マグリフ

マイク・ピアッツァやケン・グリフィーJr、マーク・マグワイア等を輩出した、華の90年代オートマチックステップ界における重鎮の一人。通算成績はメジャー19年間で493本塁打の打率0.284。(wikiの記事) 本塁打王は2回経験している。オールスター選出5回(意外と少ない) 左投げ左打ちの一塁手。

同じブレーブスの左打者であるジェイソン・ヘイワードと比較する声も有るが、打撃技術ではマグリフは別格である。ヘイワードとの違うのは、マグリフの場合は大腿四頭筋が効いていないので、動きが全体に渡ってスムーズでフォームが美しい。ただ、マグリフが一塁手であり攻撃的なプレーヤーであるのに対して、ヘイワードは外野手で守備の評価も高く、より野球全体をアグレッシブにプレーするタイプだと言えるだろう。

ところで、オートマチックステップとは、本質的には止まった状態から力づくで振る打ち方なので、「ずばりオートマチックステップそのもの」と言う打者の場合、見るからに強引で荒っぽいタイプが多かったりする。逆にコンパクトに行くタイプもいるが、この場合モーノウやウェルズで説明して来たように、四頭筋を効かせてしまっているタイプが多い。だから、本当の大打者となると、実際には「オートマチックステップ周辺」で有ると言う場合が多い。バリー・ボンズやアルバート・プホルズ等が典型的だ。これは、(塚口)理論無しにオートマチックステップをやっているからだろう。

その意味でも「ずばりオートマチックステップそのもの」の打者で、これだけ技術的に高いレベルに到達しているマグリフと言うのは、オートマチックステップ学会にとっては貴重なサンプルであると言えるわけだ。言うまでも無いが、パンチャーのオートマチックステップにおいても完成されたスイングはスムーズで美しい。力強さと柔らかさが同居したものになる。マグリフのスイングがそれを物語っている。

キャリア初期 ブルージェイズ時代


キャリア中盤 ブレーブス時代


キャリア後期 デビルレイズ時代(二本目が素晴らしい)


DVD第二弾
股関節の斜め回転理論「割れ」と「絞り」完成間近です。
第一弾「腸腰筋とハムストリングス」についてはコチラへ。




2013年9月21日土曜日

ホセレイエスJr君 4回目(後編)



今回、大人用の硬式木製バットについては、こちらが驚くほど良く振れていました。それはもちろん、事前にパワートレーニングを行なったからと言うのも有りますが、もう一つ、普段は軽めのバットで練習してきた事が原因として考えられます。

軽いバットで練習して来たので、上半身を力ませずに、(無意識に)下半身から出力して、そこから連鎖的に上半身を加速する身体の使い方が、身体に染み込んでいたのでしょう。その状態で急に重いバットを振ったので、これだけ振れたのだと思います。

これは自分自身、何度か経験した事が有ることですが、急に重いバットを振った時、気持ちよく振り抜ける事が有るのです。しかし、そこからずっと重いバットを振って行くと、今度は上半身の筋肉が緊張してきて、下半身の力も使いにくくなり、振り抜きが悪くなって来たりします。

ですから、ホセレイエスJr君の場合も、硬式木製で練習していく内に、最初のような良い感触が薄れていく可能性があります。そうした事を考えても、軽いバットを振る練習も、重いバットを振る練習と同様に大切になるわけです。

余談ですが、野球部で無い人がタマにやってビギナーズラック的に打ちまくる事が有りますが、それで「野球をやろう」となって、しばらく練習していくと逆に打てなくなる時期が来て、それを乗り越えた時に、本当の力が着くと言うパターンが有ると思います。これも「バットの重さ」が大きな原因となっている現象です。硬式木製を扱えるようになると言うのも、上記のような段階を経る必要が有ると思います。つまり、今回、良い感じで振れましたが、それが順調に続くとは限らず、そこから本当に力がつくまでには少し時間がかかる可能性が有ると言う意味です。

ただ、ホセレイエスJr君にとっての最大の課題は、やはり「腰の回転が小さい」ということです。これは前からテーマとしていましたが、今回はそこに深入りすると、それ以前の基礎的な内容が消化出来ないので、そこにはあまり触れないようにしました。なので、後編では、そこを中心に書くことにします。

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腰の回転が小さいと言う問題と、その改善策について

まず、前提として「両脚股関節が割れた上で前の膝が内、後ろの膝が外に向いた両脚のライン」を安定して作る事が出来るようになってください。当日の練習でも、それを言ったときは出来ている状態ですが、新聞紙を打ってるときの構えを見ると、やはりまだ前脚の股関節の割れが出来ていません。まず、前提としてここが出来ていないと、そこに原因が有るのだと言う可能性を消去する事が出来ないので、先に進む事が難しくなります。

まずは、写真で出来ている例と出来ていない例のイメージを掴んで下さい。出来ていない例は「前の膝が内に入り過ぎ、股関節の割れが崩れる」場合と、「両脚股関節が割れて、膝も両方割れて、ガニ股になっている例」の二種類です。(写真はDVDで使用するものです。)





下の写真は当日行なった「構え作りリズムスクワット(左)」と「揺らぎ構え作り体操(右)」です。これら体操の中では比較的良い形が作れていますので、この練習を行ないながら、両脚のラインを安定して作れるようになってください。これがまず、第一段階です。

練習のパターンとしては、基本的に左右の股関節を均等に割る、リズム股割りスクワットなどを先に行ない、次に、構え作りリズムスクワット、そして最後に揺らぎ構え体操を行ないます。また、股関節を割る前、揺らぐ前には腸腰筋のストレッチが重要で、割った後の股関節は絞っておく事も大切です。それらを考慮してメニューの一例を紹介しますので、この流れで練習してください。

1)大の字腸腰筋ストレッチ〜リズム股割りスクワット×5
2)大の字腸腰筋ストレッチ〜構え作りリズムスクワット×5(2セット)
3)股関節絞り×6(左右3づつ)
4)腸腰筋その場ステップ(おおきくゆっくりめに6回)
5)揺らぎ構え作り体操(1回)
6)腸腰筋ストレッチから、構えを作って素振り(約5回)

なお、例の両脚のラインを作るポイントは以下の通りです。

1)しっかり捻る。捻らないと、前の膝が内に入らない。
2)前足のアウトエッジ側に荷重する。拇指球側に加重すると股関節の割れが潰れる。
3)鏡で見て確認しながら行なう。

まずは上記メニューを練習して、両脚のラインを常に安定して作れるようになってください。

続きます。

前脚の膝が内に入るステップを修正する練習メニュー

股関節の割れた構えが作れたら、以下の練習も試してください。(一応、その通りにやった方が良いという順番に並んでいますが、必ずしもというわけでは有りません。)


それでは、それぞれの練習方法についてのポイントと意味について説明します。

1)バット割れ絞り体操

準備体操です。割れ絞り体操系が、最も割れと絞りの可動域を引き出せます。また理想的なステップ動作の中では、割れと絞りの連動が使われますので、その意味も有ります。

2)腸腰筋その場ステップ


揺らぎ体操のための準備です。

3)前脚での8の字揺らぎ体操

前脚股関節の回旋機能を引き出す狙いです。

4)腸腰筋一歩踏み出し

腸腰筋を使って一歩踏み出す運動です。もちろん、ステップする方の脚で行います。腸腰筋が効いていれば、股関節が外旋するので、外に開きながら着地するはずです。それが出来るようになる事が大切です。

5)前脚側腸腰筋ストレッチ

おそらく腸腰筋だと思いますが、構え作り体操で両脚のラインが上手く出来ると、写真のあたりに張りが感じられます。この感覚が出来ると、ステップで膝が内に入りにくくなります。



6)すり足打法ステップ

オートマチックステップと同じバランスでの前脚挙上を意識的に行うのが(スインガータイプの)すり足打法です。(二本の柱で支えている物体から一本の柱を抜くと、物体は抜いた方に倒れる)という「抜き」のメカニズムを利用したステップです。この動作が上手く出来るようになると、前脚股関節が割れながら挙上される動きになります。


※)ただし、あまり繰り返すとスインガーの動きがクセになるので、オートマチックステップでのシャドースイング(ホウキや手を組むだけで良い)を一回毎に挟む必要が有ります。

7)揺らぎ体操スイング

主に置きティーに適応するメニューですが、塩ビパイプなど軽いモノを振る場合は素振りでも良いです。



揺らぎ体操の感覚から、その流れで始動出来れば、ステップで膝が内に入りにくくなります。ただ、それを普通のバットでやると、揺らぎによるバットの円運動を受けて腕が緊張しやすいので、そこが難しい所です。それを解消するために、グリップの上下をかなり離してバットを握ります。こうする事で揺らぎに伴うバットの回転も大きくなり、その結果、股関節の円運動も引き出しやすくなります。ただし、手首の返しが強くなりやすいので、ボールにあたる置きティーを使うのがおすすめです。ボールが大きいソフトボールだと、なお良いでしょう。無理に手を動かすわけでは有りませんが、股関節の円運動とバットの回転を連動させ、揺らぎを止めてから打ちます。

もちろん、通常のグリップからのスイングを挟みつつ行う必要が有ります。


以上のような練習を行いながら、ステップ動作の修正を計ってください。ただ、前脚股関節が割れ気味に上がる動きが出来るようになった時、パワーが発揮しにくくなって、また元に戻してしまうという可能性も有ります。

それは、本当の意味で始動時の下半身の力を使って打つ感覚が身に付いていないからでしょう。つまり前脚を内にとじ気味にして、後ろに貯めたパワーを使って打つという「後ろ→前」的な力の使い方しか身体に身に付いていないと、そうなります。

特にオートマチックステップの場合(あくまでも無意識下で)下図のように、上下方向の力の発揮を使って打つのですが、この感覚はなかなか簡単には身に付かないものだと思います。

そのような場合(前脚が割れる形でステップすると力が出ない場合)、力が出やすい形でのスイングをメインとして、時折、前脚が割れる形でのスイング練習を行うようにしてください。

また、前脚が割れたステップで力を発揮出来るようにするためには、かなり上の図のような「上下の力」を使えるようになる必要が有ります。ですから、もし「割れるステップは出来るようになったが、それではパワーが出ない」という場合、スクワットダウンした構えから打つ練習を取り入れてください。(この場合、素振りよりも打った方が良いです。)あまり深くスクワットダウンしすぎると膝に負担がかかりますが、どちらにしても、ある程度はスクワットダウンした構えから打つ練習を取り入れて行く必要が有ります。


この動画の0.15からの横からのシーン。この構えから、このステップでパワーが発揮出来るのは、上下の力を使えているからです。




ジェフ•バグウェルの構え


ポイントをまとめておきます。

√ 両脚股関節が割れた上で前の膝が内、後ろの膝が外のラインを作る
√ 膝が内に入るステップを修正する練習メニューを行う
√ スクワットダウンした構えから打つ練習をする事で上下の力が使えるようになる

上記のテーマで練習した結果、ステップを修正して、どうしたいのかというと、それは当然、スイングでもっと腰が回るようにする事です。今の状態では、やや腰の回転が小さすぎます。林さんや山下さんは、構えで割れていて、そこから膝が内に入るという状態を改善しようとしていますが、ホセレイエスJr君の場合は、最初から内に入った状態で、終止そのままでスイングしています。基本的に、林さん山下さんはスイングの回転の大きさには問題が無いです。センターカメラからのアングルの動画を見て、このくらいになる事を目指してください。



2016年04月02日の動画分析



だいぶ良くなってるとは言え、いぜん「腰の回転が小さい」「始動からスイングが始まるまでの動きがバタバタしている」という課題が残っています。これら二点はバットの負荷によって上半身の筋肉が緊張しているためでしょう。それらを防ぐための工夫(肩乗せ打法など)や、練習法(軽いバットを振る)構えをもっとしっかり作るなどに気をつけてください。 全体としてはもっとドッシリした構えから小さな動きで瞬発的にバットが出る感じに持って行かないとオートマチックステップでの実戦対応は難しいです。ルートはどうであれ、そのゴールに高校中に辿り着かないと厳しいです。

構えについて挙げるとすれば、もう少し両方の肩甲骨を外転させて、胸椎の後弯を作った方が良いですね。そうすると全体的にもっと骨盤が前傾した構えになります。去年の夏の動画ではそれが出来てるようです。


次に試合での動画ですが。。

試合での動画は構えで捻りが小さくヘッドが投手方向に入っていないので「よそ行き」のバッティングに見えますね。ヘッドが入っていないので手首が上手く返っていません。試合でも遠慮せずに練習同様のスイングをしたいところです。

とにかく動画(George Bell)のように始動からスイングまでの動きがスムーズで小さく、クイックになるようになる事が大事です。どうすれば、そうなるか、考えながらやってください。

大きなヒントとしては、もう少しドッシリ構えて軽いバットで振ってるとそうなっていくはずです。バットを軽くすると言う意味では無く、この事が何を意味するか。。つまり現状でバットの重さによって腕が緊張しているという事を理解してください。周囲の日本の選手と違い、腕に負担がかかる打ち方をしている事を自覚する事が重要です。そのため、実戦対応においては特にそのあたりの工夫が重要になります。そのへんは「打撃革命」に詳しく書いています。

以上です。


オートマチックステップ巡礼の旅(72)グレン・ブラッグス

右打者でオートマチックステップに取り組んでいる人なら、目指してほしいのが、このグレン・ブラッグスだ。

1993年から横浜でプレーし、脅威的なパワーを見せつけた打者だが、一年目に右手小指を骨折して以降は、本来のスイングが戻らなかった感が有る。そのブラッグスはシンシナティ・レッズで1990年代のワールドシリーズ制覇に貢献したメジャーリーガーだった。メジャーでの立ち位置は「未完の大器」と言った所だろうか。10本以上の本塁打は4回記録しているものの、20本以上は打っていない。

WIKIの記事

しかし、パワーはメジャーでもトップクラスで、1990年のワールドシリーズで、空振りしたバットが背中に当たって折れたシーンは語りぐさになっている。

そのシーンがこの動画に有る。一試合まるまるの動画なので、ちょっと手間がかかるが、オートマチックステップとしても素晴らしく、黒人的な身体能力を活かした豪快なスイングをする打者なので、是非とも器用にカーソルを合わせて見て頂きたい。


33.40〜 空振りしたバットが背中に当たって折れるシーンと、その横からのスローモーション

34.43〜 レフトフライ

1.05:00〜 ファール
1.05:35〜 ファール
1.56:00〜 ファール

この日、ブラッグスは負傷退場したチームの主砲エリック・デービスの代役として途中出場するが、結局ヒットは打てていない。

横浜の時に見たブラッグスのスイングが今の自分の打撃観に与えた影響は大きい。両手で振り抜いて、押し込みの強い、タイト&ストロングなスイング。そして、黒人特有の身体機能の高さ。当時の日本球界では、グレン・ブラッグスとラルフ・ブライアントの能力の高さは双璧であった。それ以降、彼等以上のスイングを見せる打者が来日したかと言うと、ちょっと思い出せない。カブレラは柔軟な対応力が有るがフォームが雑だし、バレンティンからは彼等程の超人的な凄みは感じない。「打つ」のはバレンティンの方が上手いのだろうが、そうした事を超越した凄みがブラッグスやブライアントのスイングには有った。

ブラッグスのホームランの打球は、スピンが効いて高く上がるタイプではなく、角度のついた弾丸ライナーのような感じで、伸びが有る打球だった。ベンチで鉄バットを使い、手首の回内、回外の筋トレをしている姿が印象に残っている。

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2013年9月20日金曜日

二段ステップのオリジナリティ(1)マーク・トロンボ

二段ステップは、一度前脚をその場、或いは少し後ろにステップし、そのステップの着地した地点から始動する。その意味では本質的にはオートマチックステップであると言う言い方も出来る。制服を着せられた高校生が、一定の範囲内で思い思いのアレンジを加えるような感じで、二段ステップと言う一定のフォーマットの中でも色んな個性が有って面白い。

ただ、二段ステップも、最初のステップが着地した後、意図的に前脚を挙げたり、そこからノーステップで打ったり(オートマチックステップもどき)と、横道に逸れるパターンは多い。その意味では、純粋に二段ステップであるということもまた、貴重な存在であると言えるだろう。

厳密に言うと、二段ステップはいくつかのタイプに分類出来るが、初回はもっとも一般的なタイプの二段ステップで、二段ステップの教科書的な存在でもあるマーク・トロンボを採り上げたい。

オートマチックステップ巡礼の旅(71)ホセ・ギーエン

メジャーの中では身体はそれほど大きく無いが、非常にパンチの効いた、魅力的なスイングをする外野手で、通算成績はメジャー14年間で214本塁打の打率0.270。30本塁打以上を打ったのは2003年の31本が一度で、その年の打率は0.311を記録している。

WIKIの記事

メカニクス的には、後ろに重心移動しつつ、前足を途中まで地面から離して、そこから始動するオートマチックステップだろう。


このように、強肩の外野手でもあった。


このようにヘッドを投手方向に入れるタイプはポイントが前になる事が多いが、ギーエンのポイントは非常に近い。その辺に、黒人的な意味での凄みを感じる。


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オートマチックステップ巡礼の旅(70)マット・カーソン

四頭筋は効いているものの、純度の高いオートマチックステップの打者なので、以前から注目して来たが、中々芽が出て来ない。。と思っていたら、今期はいわゆるセプテンバーコールアップでメジャー昇格して以来、9打数7安打1本塁打と爆発している。

後半に横からのスロー有り。


四頭筋が効いているけど打てる打者と言うのは、基本的にはスイングのハンドワークが良い場合が多い。体幹、下半身でロスが有るのだからハンドワークが良く無ければ打てないということだろう。パンチャー的な意味でのスイングが良いと言うのは、最短距離でヘッドが立って出て来るスイングを意味するが、そのためにはボトムハンドの引きが弱い必要が有る。四頭筋が効いている場合、ハムストリングスが使えていないので腰の回転力が弱いのだが、その結果として良くも悪くもボトムハンドの引きが弱いから、おのずとスイングも最短距離でバットが出る「後ろが小さい」スイングになりやすいのだろう。その上で、フォロースルーが大きければ言う事無いのだが、そこはハムストリングスを充分に使わなければ難しい。ただ、後ろの小さなスイングが出来やすいのは、ある意味、四頭筋が効いている打者の長所とも言えるのだが、それを利用出来るだけの技術が無ければ、このタイプで成功する事は難しい。それが出来ているのが、ジャスティン・モーノウ等なのだが、このカーソンもそういう所があるので、以前から期待して見ていた打者である。


この動画には横から見たシーンが有るが、オートマチックステップのメカニズムが良く解る。最近の打者では、ここまで純度の高いオートマチックステップは中々いない。


マイナーリーグでは安定した成績を残してきたようだが、日本に来たら、そのくらい打つのでは無いかと思う。

余談だが、助っ人外国人が良く「日本で成長した」と言われるが、これは多いにあり得る。メジャーでは出場機会の少なかった彼等が、日本ではフル出場出来る。しかも、日本の投手は、メジャーの投手に比べてスピードは落ちるものの、コントロールが良い。これほど良い練習相手は無いだろう。しかも、主軸を打つ事が出来て良い意味での緊張感も持てるし、スター扱いされてやりがいも出る。また、球場は少しアメリカより狭いから、無理しなくてもホームランが打てる。この環境なら技術的には成長して当然だろう。そうした選手がアメリカに帰って、向こうのスピードに対応出来るだけのキレが有った場合はセシル・フィルダーのような事になるのだろう。

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オートマチックステップ巡礼の旅(69)アーロン・ローワンド

現在はフリーエージェントの外野手。2007年には27本塁打の打率0.309を記録している。通算成績は、メジャー11年で打率0.273の本塁打136本。(wikiの記事)





見ての通り、オートマチックステップとしての純度は高いが、ローワンドもまた「ドッシリ系四頭筋族」の一人である。スローで見るとステップの動きが特徴的で膝下をホームベース方向に蹴り出すが、この動き等は四頭筋による膝伸展に他ならない。

構えの作り方が特徴的で身体を背中側に倒し、大腿四頭筋をストレッチして、そこから身体をホームベース側に倒して股関節を屈曲させる。この動きは何を意味するのか。

見逃されがちだが、大腿四頭筋には骨盤を前傾させる働きが有る。股関節の屈曲=骨盤の前傾だからだ。そのため、まず大腿四頭筋を引き伸しておき、その反射で収縮する力を使って骨盤を前傾させて(股関節を屈曲させて)構えを作っているわけだ。

これはつまり、ラボで行なっている、腰を反って腸腰筋をストレッチした後に、股関節で身体を折り曲げて構えを作るのと同じ理屈で、それをローワンドは大腿四頭筋を使ってやっていると言う事になる。ただ、もちろん、その結果として、最終的に出来上がった構えでも大腿四頭筋は効いてしまう。「惜しい!」としか言いようが無い。

四頭筋が効いているので、スイングもコンパクトだが、ドッシリした構え自体は、非常にオートマチックステップらしく、そこからのスイングも、非常にそれ的だ。ただ、一般に、ドッシリと言ってしまうと大腿四頭筋を効かせてドッシリさせてしまう人が多いわけで、結果として、MLBの「ずばりオートマチックステップそのもの」的な打者の多くが大腿四頭筋を効かせてしまっているのは残念な現状である。キューバ等は、そういう感じが無く、大胆にクラウチングして来るので、良くも悪くも、あれだけ振れるわけだ。

このあたりはサミー・ソーサやジョージ・ベル、ジョー・カーター等のクラウチング系の構えが多かった90年代の方が上手くやっていた。外角のストライクゾーンとかも関係があるのだろうか。

DVD発売中です。詳細は、コチラへ。

オートマチックステップ巡礼の旅(68)ジェイソン・ヘイワード

バーノン・ウェルズ、ジャスティン・モーノウ、アレックス・リオスと、同じタイプのオートマチックステップの打者を採り上げて来たが、ジェイソン・ヘイワードも、その中に含まれる。(若干、上記3人よりもスイングに躍動感が有るが。)

左投げ左打ちの24歳の外野手である。wikiの記事



これらの打者の特徴は、大腿四頭筋が効いているのでスイングはコンパクトだが、両手で振り抜いてるので、タイトかつストロングな(つまりパンチャーらしい)スイングが出来ていると言う点にある。そのため、基本的には、この種の打者は安定した成績を残せる場合が多い。この企画の最初の方で採り上げたが、ジェイソン・ワースも、その仲間と言えるだろう。

大洋ホエールズで渉外担当をしていた牛込惟浩が、カルロス・ポンセを見て、そのスイングを見込んで、獲得し、成功した。そして、そのポンセの後釜として、同じく牛込惟浩が獲得したのが、ジェームズ・パチョレックで、これもまた成功。こうした外国人選手獲得の成功によって牛込惟浩は外国人獲得の手腕を高く評価される事になる訳だが、その後もロバート・ローズや、グレン・ブラッグス等を獲得している。

ところで、こうした打者は皆、オートマチックステップの両手振り抜きタイプであり(元々、メジャーの有名選手であった)ブラッグスを除き、基本的には3割20本タイプの選手が多い。(パチョレックは片手でフォローを取る事も多かったが。)

なので、日本の球団が、こうしたタイプの「安定した中距離系ポイントゲッター」を獲得したいのであれば、ウェルズ、モーノウ、リオス等の路線の打者を獲得したら良いだろう。

基本的に、この路線の打者は、アメリカ球界には探せば数多くいる。そして、こうした打者のメリットは(ウェルズやモーノウは決して安い選手では無いが)年棒が比較的安く、安定した成績を残せる点にある。そのためか、一時期の広島カープが、この路線で外国人選手を獲得していたのでは無いかと見ている。アンディー・シーツもその一人で、そのシーツがマートンを連れて来たのも面白い。

話をヘイワードに戻すが、まだ24歳の若いプレーヤーで、ファイブツールプレイヤーと評価されている外野手である。ただ、今のところ、驚くような長打力が有るわけでは無く、3割20本タイプだと言って良いだろう。2012年の27本塁打が自己最高。



2010年にデビューすると、いきなり18本塁打の打率0.277と言う数字を残して、注目された。構えはオープンスタンス〜スクエアスタンス〜クローズドスタンスと色々と変えているが、オートマチックステップと言う点は一貫しており、常に両手で振り抜いているので、これからも期待出来そうだ。

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オートマチックステップ巡礼の旅(67)アレックス・リオス

2013年のWBCではプエルトリコ代表で出場し、日本戦でホームランを打った打者。かつてブルージェイズでバーノン・ウェルズと打線の中核を形成していた。その後、ホワイトソックスに移籍し、2013年からレンジャーズでプレーしている。

ファイブツールプレイヤーの外野手と言いたい所だが、そう言い切るには、若干、インパクトに欠けるきらいが有る。WIKIの記事

通算成績はメジャー10年間で 打率0.278 本塁打159本 盗塁222

ウェルズに輪をかけて、膝を折って大腿四頭筋を効かせる構えなので、やはりスイングは小さい。リオス、ウェルズ、モーノウと見れば、大腿四頭筋が効くとどういうスイングになるかということが良く解るだろう。悪くは無いのだが、爆発的な長打力は期待出来ないスイングだ。

ブルージェイズ時代。今より、オートマチックステップ色は濃い。





リオスは構えで前脚をつま先立ちにしている。こうすると、前脚の膝が前に潰れるので、連動して後ろ脚の膝も潰れる。結果として、大腿四頭筋が強く働く。リオスは195センチ台の身長で、見るからに運動能力の高そうな体形で、実際、外野の守備能力も高く評価されていた。しかし、打撃では今一歩パワーを発揮しきれていない感が有るのは、ハムストリングスが使えていないからだろう。ハムストリングスが使えていないので、始動の立ち上がりも遅い。バッティングスタイルは良いのだが、メカニクスにやや問題が有るということで、その点は、ウェルズやモーノウと共通している。オートマチックステップと言う人種の中の同じ種族に属している3人だと言えるだろう。ともに3割前後25本前後の打者で、スイングは小さいが、パンチャーの特徴を活かしたタイトかつストロングでヘッドの出が早いスイングが出来ているのは良い。

こちらは、ホワイトソックス時代。かなり、重心が高い構えになっている。ところで、前脚をつま先立ちにする前には足裏全体で立っており、そこからタイミングを見計らって前脚をつま先立ちにしているので、ある意味で二段ステップとも言えなく無いが、ここまでつま先立ちになっている間が長いと、タイミングを取っていると言うよりは構えを作り直していると言った方が適切なので、二段ステップには分類しにくい。かといって、オートマチックステップと言い切る事も難しい。(一応、つま先立ちになるタイミングが投手のモーションと連動しているので。)


ただ、二段ステップの本質はオートマチックステップなので、二段ステップ自体がオートマチックステップの一種だと言う言い方も出来る。特にリオスの場合、完全に静止した状態から始動するので、その意味ではオートマチックステップの純度は高い。2000年代を代表するオートマチックステップの一人であるとも言える存在だ。

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オートマチックステップ巡礼の旅(66)ジャスティン・モーノウ

右投げ左打ちの一塁手。現役オートマチックステップ界の重要人物の一人だろう。スイングはバーノン・ウェルズ同様に四頭筋が効いているので小さいが、ウェルズやモーノウのようなバッティングスタイルはオートマチックステップの真ん中に位置するものだと言って良い。

オートマチックステップは始動時に下半身の力を使う事が重要になるので、下半身を使おうとしてスクワットダウンして構える打者が多い。しかし彼等は大腿四頭筋とかハムストリングスとかは考えていないようで、股関節も膝も曲げてスクワットダウンするから、四頭筋が効いたスイングをする打者が多くなってしまう。だから、残念な事に、オートマチックステップとしての純度の高い打者ほど四頭筋を使ってしまっていると言う現状が有る。モーノウもそのタイプだ。


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通算成績はメジャー11年で ホームラン221本 打率0.278

基本的に25本クラスのポイントゲッタータイプだが、2009年までに30本以上を3度記録しており、パワーが着いて来て、これからと言う時に、脳震盪を起こしてつまずく。が2012年は19本塁打、2013年は既に17本塁打と持ち直して来ており、まだ32歳だけに、今後に期待したい。両手で振り抜くタイプであり、基礎的な技術力が高いので、ある程度、歳をとってからも期待出来そうな打者だ。

この動画の後半には横からのスローモーションが有り、オートマチックステップのメカニズムが良く解る。


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