2012年7月30日月曜日

7月30日雑記

(1)http://www.youtube.com/watch?v=aWO9kaaltdc&feature=plcp

外角低めのストレートが投手の基本だと言われますが、上の動画の一球目はその意味を良く表しています。キンブレルの外角低めの速球に、デビッド•ライトが空振りしています。

外角低めを打とうとすると、打者の顔の向きが置きティーに近くなります。そのため、投手方向を向いた場合と比べると腰が回りにくく、手打ちになりやすいので外角低めは飛ばないのです。動画でも、ライトは手打ちになって、バットの加速が効かず、空振りをしています。

基本的に対角線の配球はインハイの速球とアウトローに落ちる変化球と言う考えが強いと思います。なぜなら、インハイは最も素早くバットを出す必要の有るコースですし、アウトローに落ちる変化球は最も(肩を開かないで)引きつける必要が有るコースだからです。

しかし、インハイとアウトローの対角線は、(スイング中にホームベース方向に傾いた)打者の体軸と直交するスイング軌道に内包されているため、究極的には打者の技術力によって対応する事が可能な対角線なのです。
実際、インハイの速球やアウトローの緩い変化球が打てない場合、それは技術的な問題と見なされます。しかし、インローやアウトハイが打てないと言うのはあまり技術的な弱点とは見なされにくい傾向が有ります。

むしろインローはアウトステップ気味に開きながら打つ打者が強いイメージがありますし、アウトハイもクローズドスタンスでドアスイングの右打者が引っ張ってショートの方向にライナーを打つイメージが有ります。つまり、これらのコースはある意味変則的な打法の方が打ちやすいかもしれないのです。

もちろん、インローもヘッドが上手く落ちて行かないスイングでは打ちにくいですし、アウトハイも身体の軸が傾き過ぎのゴルフ的な軌道だと打ちにくくなります。

しかしアウトローの速球だけは理論上、技術力が有っても打ちにくい事には代わりが無いのです。(もちろん、生半可な速球では打たれるでしょうが)
アウトローの速球は、流しにかかろうとすると肩が回らず手打ちになりますし、かといって強引に巻き込もうとすると、目切りが早くなります。結局はどうやっても打ちにくいのです。
さらに右投手が右打者に投げる外角低めは最もリリースを遅く設定出来るため球に力が込めやすいですし、打者に当てる心配が無いぶん、思い切って腕が振れると言う好条件が揃っているのです。インコースだと内に外れるとデッドボールになりますし、外に外れると最も危険なボールになるため、投手にとっては非常に投げにくいコースになるでしょう。一方アウトローだと、低め故に打球が挙りにくいので、一発長打の心配が薄れる事も、投手を大胆にさせる一因です。つまり、それだけ腕を思い切り振れるので球も走りやすいわけです。

こういった事からアウトローが投手の基本だと言われているのです。ブレーブスの投手コーチとして有名だったレオ•マゾーニーが外角低めの重要性を説いていたせいか、キンブレルの他にもジャイア•ジャージェンスやデレック•ロウなどブレーブスの投手には低めの速球を重視するタイプが多いイメージが有ります。

ではバッターは外角低めの速球を打つ練習をすれば良いのかと言うとこれが疑問で、そもそも良いスイングが出来ない故に難しい球なので、そこばかり練習しているとスイングを崩す可能性すら有ります。

このように外角低めの速球は投手にとっては最大の武器になりますし打者にとっては克服する事が難しい弱点となります。
ただ付け加えなければならない事としては、それはあくまでも高いレベルでの野球での話しだと言う事です。つまり、打者の技術論としては、一般にはやはりインハイの速球を詰まらずに打つ事は難しいですし、アウトローに落ちる緩い球を引きつけて打ち返す事は難しいのです。一方、生半可なアウトローの速球なら、それらに比べると腕が伸びる分、インハイのように詰まる心配が無いですし、速球なので緩い球のようにタメる必要も無いため、まだマシなのです。

ですから「アウトロー速球絶対理論」は投手の球が遅くても成り立ちませんし、打者がインハイや緩い変化球に弱点を抱えていても成り立ちません。ある意味、投手が究極、打者が究極と言う究極vs究極の中でこそ際立つのが「アウトロー速球絶対理論」だと言えるでしょう。

動画では右投手の豪腕最強クローザーが右の最強打者に外角低めのストレートを投じて空振りにしとめると言う「アウトロー速球絶対理論」の真骨頂が表現されています。しかもカウントは3ボール2ストライク。フルカウントからでもこのコースにこの球を投げる自信が有ればかなり精神的に優位に立てるでしょう。「困ったときのアウトロー速球頼み」が出来る訳ですから。

2012年7月28日土曜日

江坂さん 3回目

本日はご来店有り難うございました。



まずは皆さんに見てもらいたいポイントですが、江坂さんの長所が、始動時に発揮される下半身の力(ハムストリングスによる股関節の伸展)が強い事です。ただ、上半身が少し硬いので、その力を充分に活かし切れていない所は有ります。ただ大腿四頭筋を緩めハムストリングスの力を使うと言う事に関しては、そのへんの野球部の選手よりは出来ています。

そこで江坂さんの腸腰筋その場ステップですが、これが実に見事です。この体操が上手いと言う事は腸腰筋とハムストリングスが使えている事を表します。もちろん、充分に合格レベルに達しています。成人部門では最高得点でしょう。



この腸腰筋その場ステップあっての、この始動時の力だと言う事です。

バッティング

初回から着実に成長している江坂さんです。

最初は身体全体が一気に回ってしまうような悪い意味での力任せ的なスイングだったのが、じょじょに身体の各部位の回転のタイムラグやステップする時の割れなど、身体の郭部に「ズレ」が作れるようになってきました。この結果、良い意味での「しなやかさ」が出てきました。これこそが正に野球がうまくなると言う事です。ラボ当日にグリップに焦点を当てたのも、グリップが鷲掴みだと、肘から先の部分がしなやかに使えず、そこに限界が出来てしまうからです。つまりグリップの形そのものと言うよりも、スイングの「しなやかさ」を向上させるためのグリップだと言う事を間違えないでください。

江坂さんの場合、生来的なパワーは充分に有ります。恐らくあまり鍛えないでもそこそこのパワーを発揮出来るタイプでしょう。しかし若い頃に小学〜中学〜高校と野球をやってきたような人と、そうで無い人の差として「身体の各部位の回転のタイムラグやステップする時の割れ」あるいは「しなやかさ」等の要素が中々出来て来ないのです。大人になっている場合はなおさらです。

その意味で、江坂さんのようなケースの場合、これからの取り組み方と言う点で考えると「この動きが良く無いからここをこうすれば」と言うようなピンポイント的なものでは無く「振り込む事によって得られる効果を如何に効率よく最短で得られるか」と言う事を考える必要が有ります。小学生や中学生が対象の場合、足し算的に考えて行けば良いのですが、江坂さんのような場合、むしろ引き算的、つまり固まった関節や筋肉を子供のような柔らかい状態に戻すと言う事を行う必要が有るのです。

ただ、江坂さんの場合、(今はやっていない)出張の折りに見せて頂いたバッティングセンターでの打撃を見ても、ボールを捉える感覚は充分に備わっている事が解ります。実際に良く打っていましたよね。その点が非常に希望の持てる点です。

そこでまず打撃について、いくつかの練習方法を提案しましょう。

(1) 素振り

何よりもまず数を振る事が重要です。この際、重量は落としても構いません。と言うより少し軽めのバットにして、そのぶん振る数を増やしてください。目安としては550g〜600g程度です。そして、時間を必要とする取り組みになる事を理解してください。1日2日でどうと言うものではありません。しかし、例えば1週間続けて、次の二日は都合で出来なかったとして、次の日にやってみた時などは、前よりも良くなっている事がわかるでしょう。そういう積み重ねで、半年、一年と続ければ確実に上手くなります。少しづつ「身体の各部位の回転のタイムラグやステップする時の割れ」あるいは「しなやかさ」といった要素が出て来ると言う事です。

具体的な方法ですが、バットは軽めでグリップもバレルも細めの方が良いでしょう。グリップが太いと、握力を使って握る事になるので、前腕の筋肉が緊張しやすく、リストターンがスムーズになりにくいからです。つまり極力細いグリップの方がスイングはしなやかになります。バレルも細い方が空気抵抗が小さくて良いです。面白いのがソフトボール用バットで2号用バットを使うのも面白いでしょう。

軽すぎる場合、ビニールテープを巻いて少し重くするのも良いでしょう。ただ、この場合、トップバランスになっても良いです。というより、その方が面白い効果が得られる可能性があります。ある程度なら、ヘッドが効いた方がリストターンが効きやすいからで、それは前腕部に良い捻りストレッチの効果が得られる事を意味しますから、江坂さんには向いています。「軽くて細いバットでややトップバランス」これを出来るだけ多く振ってください。グリップを良くする事にもつながります。

もちろん、軽いバットだけだと不安なので、例えば硬式バットを一日10回は振る等の習慣を付けると良いでしょう。江坂さんの場合はそれで充分です。

それに比べて、部屋など充分な広さが無い場所でも振れるための道具を用意しておき、思い立ったらいつでも振れる環境を作ってください。お奨めは100円ショップで打っている短いホウキで、これはグリップも細いのが良いです。いずれにしても、これからはどれだけ数を振れるかが勝負になると考えてください。

また、ラボでもやりましたが、インハイとアウトローを交互に振る練習もしてください。基本的にインハイ→アウトロー→インハイで1セットと考えると良いでしょう。

(2)シャドウピッチング

負荷がほとんど0に近いシャドーピッチングは、しなやかな身体の使い方を身につける上で有効です。特に右投げ右打ち、左投げ左打ちの選手には有効な練習法です。両方パンチャーだとメカニズムが同じなのでなおさらお奨めです。(投球の)オートマチックステップドリルなどもバッティングに近い感覚で出来るので良いでしょう。

(3)ストレッチング

腸腰筋その場ステップやリズム股関節伸展スクワット等は、黒人的な身体能力を高めるための重要な種目ですが、いずれも縦系、直線系の動きです。これらは非常に重要な事には変わり有りませんが、江坂さんのテーマである、スイングのしなやかさにおいては捻り系の種目が重要になります。

そのため、縦系に加えて捻り系も重視して行く必要が有ります。グリップを作るためのバットを使ったストレッチ等もそうですが、腕に関しては何より、シャドウピッチングが最高の捻りストレッチですから、理想は右左両方です。少なくとも右は行ってください。股関節に関しては、当然「割れ絞り体操」系が重要になります。


補足)

江坂さんのバッティングでもう一つ重要な点ですが、脊柱の柔らかさ、自然なS字カーブを作れるようにする事です。これはピッチングにも関係しており、これが出来れば、メジャー式の脚の挙げ方も、もっと形が良くなるでしょう。股割りの姿勢を鏡で見る等して、脊柱のS字カーブが正しく形成されるように練習してください。そうすると股を割る感覚、骨盤前傾の感覚ももっと良く解るようになります。

ピッチング

まず、やはり投球腕の回旋能力がまだまだです。これに関しては、投げる動作の中で腕を振り込んで行く以外にありません。ストレッチも有効ですが、あくまでも補助的なものです。地道な取り組みが必要になりますが、やれば向上します。シャドーピッチングが最適でしょう。ですので、まずはシャドー•グリップを使ったシャドーピッチングをどれだけやるかがポイントになってきます。

続きます。

また、脚を挙げた所でも腰椎が後湾し、胸椎が前湾する、いわゆる逆S字の形になってしまっています。これも胸椎が後湾した形を作れるように練習する必要が有ります。コータ君の形を参考にしてください。

ピッチングに関しては、投げるリズムは良いのと、力も充分に発揮出来ているのですが、前述の通り、肩が回っていないのと、脚の挙げ方が出来ていないですね。

脚の挙げ方は、まだ理論をなぞっている状態で「イメージ」が無いのだと思います。つまり多くのメジャーの投手を見て、自分の中でイメージを作って行く事がまず重要です。

その上でですが、メジャー式の脚挙げをする上でのコツを書きます。踵で足踏みすることや、後ろ脚で軽く踏むようにして前脚を挙げる事は当然ですが、それ以外にもまずは股関節を視点として、上半身を背中側に倒すと脚が挙ると言うメカニズムを利用します。(背中を倒す事で脚を挙げると言う意味では無く、背中を倒すのと脚を挙げるのを同時にやると言う事です。)
次に、その感覚を保ったまま、頭だけは背中側に倒さず、最初に位置に残しておくようにします。丁度ダルマ落としで真ん中を抜いても、上は真っすぐ落ちて来るのと同じです。

そうすると、脊柱を柔らかく湾曲させ、骨盤も後傾した状態を作れます。ここで一度骨盤が後傾する事で、始動ポジションでは前傾位を作れるのです。以下は、これらを動画で説明したものです。


ただ、この方法で注意するべき点は誇張しすぎると、反動で前脚を降ろす時に骨盤が大きく前傾し、ハムストリングスを引っ張るので、その張力が増して、股関節伸展(後ろ脚)が強く働き過ぎて、伸び上がります。上の動画でも前脚を降ろす時、やや伸び上がりが見られますが、少しなら良いのですが、あまり大きく伸び上がってしまうと、肝心の始動した時に股関節伸展の力が使いにくくなります。そうすると、肩に大きな負担がかかります。ですから「前脚を降ろす時に大きく伸び上がる」「肩に負担がかかる」と言う状態になった時は以下のように対応してください。(肩に痛みや違和感が出た場合は教えてください。)

1)前脚が降りる時、頭の位置が浮き上がらないように、目標に集中する。
2)前脚を挙げて、降ろして、骨盤が云々と言う動作では無く「脚を挙げてフッと力を抜いて、ガッと投げる」と言うリズムを意識する。
3)脚を挙げる時に、動画で前述した動作を誇張しすぎず、あくまでもバランス良く、自然な感じにまとめる。


以上のように、まずはシャドーで肩が良く回るようにしたうえで、脚の挙げ方を研究してください。シャドーは単位時間あたりに腕を振れる回数の多い、オートマチックステップドリルがお勧めですが、必ずしもと言うわけでは無く、とにかく腕が振れれば何でも(どの種類のシャドーでも)良いです。

投げ込む事によって、改善されて行けば良いと言うポイントは以下の通りです。

1)肩がもっと柔らかく回るようになる。
2)肩が柔らかく回るようになると、歩幅も広くなる。
3)全体的に動きがしなやかになる。
4)投げ終わった後、後ろ脚が前脚より一塁側に着地するようになる。
5)投げ終わった後、グラブ腕がもう少し体の前に残るようになる。

以上です。ではがんばってください。






2012年7月26日木曜日

7月26日 雑記

(1)子供は腸腰筋その場ステップが上手い。

ここのところ、子供を見る機会が続いているのですが、子供は腸腰筋その場ステップが大人に比べて上手くなります。私より既に上手くなっている子等もいます。前に「合格レベルで出来るようになった人がいない」と書きましたが、子供では既に何人かが合格レベルに達しています。

七類誠一朗の「黒人リズム感の秘密」にも、子供の方が吸収が早いような事が書いてありました。実際、子供がダンスしている動画で凄く上手いと言うか、腸腰筋やハムストリングスが使えてそうな動きになっているものを見た事が有ります。

そういうトレーニングを積んで高校生くらいになった時、どういう骨格肉付きになっているか、どういう選手になっているのかと言うのは非常に楽しみです。

2012年7月25日水曜日

ホセレイエスさん2回目

本日はご来店有り難うございました。
ホセレイエスさんの息子さんです。



1つ目の課題であった「両脚股関節を割った上で、前の膝を内、後ろの膝を外に向けるラインの形成」はほぼ完璧な形で出来上がりました。その見本になるくらいの形がいくつか有ります。「ほぼ」と加えたのは、形的には完璧なのですが、まだ恐らく余計な筋肉に力みが入っていると見えて、僅かにゴツゴツした感じのラインになっているからです。これがもっと感覚が磨かれるとなめらかなラインになるでしょう。

2つ目の課題である、割れて着地した前脚股関節の伸展(絞り)による骨盤の回転と前脚への乗り込み、前脚軸の形成に関しては、まだ、改善の兆しが見られる程度です。この点に関しては、引き続き大きな課題となります。

バッティングに関しては、かなり良い線行ってます。クローズドスタンスに構えるクセや、インステップするクセが有りますが、インステップするのはホームベース方向に前傾して構えるのでバランス的にホームベース方向に傾きやすいからでしょう。特に子供の場合、頭が重いので、それも原因であるかもしれません。ただ、その前傾を修正しようとすると、骨盤まで後傾してしまうので、やらない方が良いでしょう。ただクローズドスタンスやインステップの傾向が、腰の回転の小ささの原因になっていると思います。

いずれにしても「両脚股関節を割った上で、前の膝を内、後ろの膝を外に向けるラインの形成」が出来た構えを忘れずに、2つ目の課題を克服するために、左脚股関節の回旋能力なども含め、当日お話したポイント(踏み込んだ前脚に体重が乗る事など)を踏まえつつ、取り組んで行くと、良い方向に向かうはずです。

大雑把に言いますと、今、始動時の下半身の力は充分で、ハムストリングスも良く使えています。構えも良いし、グリップも良く、スイングにもクセが有りません。しかしただ一点、腰の回転が小さいので、そこさえ改善されれば素晴らしいフォームになると言う事です。

それよりも、今回気になったのは、スローイングと肘痛の方で、今回はそのあたりについて重点的に書きます。下の写真の(2)のように、ボールが肘の後ろに隠れるくらい外旋すれば肘は安全なのですが(1)のような腕の形で投げると肘痛の原因になります。


(1)のようになる原因は、テークバックが担ぎ気味なので、テークバックでの内旋が小さく、結果的にその反射である外旋も小さくなるということです。


スローイングの最も重要な基本の一つとして、下の写真のように、肘が曲がった状態で、内旋〜外旋と肩が周り、リリースにかけて再び内旋すると言う投球腕の動きを身につける事です。


なお、投球(ピッチング)に対する「補助ドリル」は以下の3点に変更します。

★補助ドリル1(セット始動を身体にしみ込ませ、投球腕の回旋を良くするドリル)
★補助ドリル2(助走を付けたバックホーム投げで、全身をダイナミックに使うドリル)
★補助ドリル3(静止状態から一気に力を発揮する感覚を養うドリル)

ピッチングについては若干の理論マイナーチェンジが有りますが、その点についてはコータ君の方の記事を参考にしてください。


今回は(ラボで)「肘痛」と言うテーマについてをもう少しメインにしたかったのですが、バッティング中心と言う事もあり、そこまでは到達出来なかった感があります。
ただスローイングの基礎内用を全体的に充分に出来ましたので、今後、ネット上でのやりとりをして行く上での土台は出来たと思います。

まず、現状で息子さんの出来ている点と出来ていない点について箇条書き的に挙げて行きます。


★下半身の力は良く使えています。始動時に後ろ脚で地面を押す力、フォロースルーでの前脚股関節の伸展も良いです。何より、フォロースルーでのターンが抜群です。前脚股関節の伸展(絞り)が使えているので、きちんと打者方向に力が伝わった上で、一塁方向にターンしながら倒れ込んで行くのが良いです。たんに倒れ込むだけだと良く有りません。最後に右脚が着地した時に体重が充分に乗り込んでいますが、これなどは日本人が非常に苦手とする動作で、少なくともプロで出来た例は無いと思います。(日本人の場合ターンは有っても倒れ込みが無い場合がほとんどです。)ラボで教えて来た中でも今までで最高の倒れ込みですね。アスファルトだと膝が怖い面も有るので、そこだけ気をつけてください。



★投球腕のスイングは最大の課題です。やはりまず肘痛が完治する事が重要でしょう。今はまだ肘に痛みが出ないようにと言う事で力もセーブ気味なのかもしれません。ただそうして力をセーブすると余計に投球腕の回旋がスムーズに行かず、肘を痛めやすい投げ方になるので、まず完治する事が重要です。素振りをした後に腕回しストレッチをしてください。右投げ右打ち(左投げ左打ちも)の場合、この取り組みは特に重要です。バットを使った外旋ストレッチも、出来る範囲で少しずつ出来るようにしてください。なお外旋ストレッチはグッと負荷をかけるので順番的にストレッチの一番最初で、その後に内旋ストレッチや肩甲骨のストレッチ、肩回し等の動的系の順番で行います。

★メジャー式の脚挙げについては、そこそこいい感じにはなりましたが、もう一歩です。出来るだけ多くのお手本を見ながらイメージを作ってください。Kロッドなどは極端なので解りやすいでしょう。

★クイックモーションについては、「抜き」がもう一つな感じが有りますが、逆に小学生の場合だとそのくらいの方が良いかもしれません。というのも、その方が後ろ脚に乗ってパワーを発揮出来ますし、また「抜き」自体が身体操法として比較的高度な部類のものだからです。理想は抜きながらタメを作れる事ですが、最初は抜きをやろうとするとタメが作れずパワーが発揮出来ないかもしれません。少しづつ出来るようになれば良いと思います。しかし何より、クイックでこれだけフォローでターン&倒れ込みが出来ているのが素晴らしいです。

★下半身の力が使えていると言うのと矛盾するようですが、ステップ幅がもう少し欲しいところです。ただこれは当日、全力を出し切れなかった事も有るのかもしれません。その辺はまた書きます。ただステップ幅が出てこれば投球腕の回旋ももっと良くなるでしょう。逆に肩がもっとスムーズに回るようになれば、ステップ幅も伸びやすくなります。

★骨格的には今の所、特に黒人的な特徴が有る訳ではありませんが、かなり外国人的なフォームが出来る可能性が有りますし、現時点でそういう感じがだせています。股関節のストレッチ等を良くやっているからなのかもしれません。ただ、ピッチングフォームの基本的な部分でやや問題が有ります。それは「ステップ幅が狭い事と関係して、投球腕の回旋が不十分であり、肘を痛めやすい腕の振りになっていると同時に、前脚の動作も悪い意味での膝の突っ張りになっている傾向が有る」と言う事です。


★改善の道筋は以下のように考えています。まずステップ幅を広く取れるようにするためのドリル、トレーニングを行います。次に肩のストレッチを行います。また、セット始動ドリル等を利用してアームや担ぎでは無い、内旋して肘から挙るテークバックを身につけます。これらの取り組みによって、ステップ幅が広くなり、投球腕の回旋がスムーズになると、膝の突っ張りも自然と無くなって行くでしょう。

★ワインドアップから前脚を挙げる動作はラボでも重視しているのですが、今回は時間的にもあまりそこを出来なかった感があります。そのため軸足での足踏みを含めて、そのへんが今一歩です。前脚を引きながらカクッと後ろ脚の膝を緩め、踵で踏みながら前脚を挙げる流れをシャドー等から一球一球行ってください。

続きます。

まず、肩の柔軟性を向上させ、投球腕の回旋をスムーズにするための方法です。

(1)打撃の後に、シャドーピッチングや肩のストレッチを行ってください。これは右投げ右打ちや左投げ左打ちの場合には特に重要かつ効果的です。素振りの場合、理想的には素振り5スイングに対してシャドー5回などと交互にやる事です。

(2)肩のストレッチはバット外旋を最初に行い、次に内旋、次に肩甲骨系(逆手で前腕を回内)、最後に腕回し等の動的系を行うのが理想です。

(3)小学生の場合、ボールの負荷が腕に力みをもたらして、肩のスムーズな回旋を妨げている可能性も有ります。この場合、ラボで使いました、新聞紙を丸めたものに粘着テープを巻いた、シャドーグリップを用いると、少し肩がスムーズに回旋するようになるかもしれません。

(4)シャドーでは基本的にピッチャー無げをお奨めします。それに加えて、セット始動のためのオートマチックステップ投げと、後ろ脚の力を使うためのドリルも加えてください。これらは後ほどポイントを書きます。シャドーは軽くやる人が多いですが、たかがシャドーと思わずに全力投球してください。もちろん、肘が完治する事が前提ですが。全力投球する事で、始動時の上半身のサイレンとピリオドと下半身の力が上手く働けば、スムーズな肩の回旋が実現します。パンチャーの場合、軽く投げるとスムーズな肩の回旋にはなりません。また、シャドーの方が肘の痛みが出にくい可能性が有ります。

(5)内旋がかかりながら肘から上がり、その反射で外旋し、ボールが肘の後ろに隠れる角度を作るためには、セット始動のためのオートマチックステップドリルが有効である事が考えられます。ある意味、打撃との互換性が高い、このドリルと素振りの組み合わせも面白いでしょう。

(6)痛みなどで投げることが出来ない場合は、肩のストレッチ、とりわけ腕回し(スローイングと同じ前回し)を重視してください。動的ストレッチによる関節柔軟性の向上効果が最も高いのはシャドーおよび実際のスローイングです。腕回しはその事前の策です。

シャドーピッチングの実践動画を貼っておきます。



投げる事に関しては、息子さんの場合、ほとんど問題は投球腕のスムーズな回旋を身につける事だけでしょう。ただ、そのためには下半身の力を強く使えなければならないと言う事です。

野球小僧テクニカル ピッチング編の原正文と言う人の記事で、子供の肘痛は骨端線(成長軟骨)が有るので大人と違うが、骨がやわらかく成長過程の小中学生は、大人に比べて手術無しで治る率が遥かに高いと書いてあります。

医学的な専門書みたいなのも持ってますが、実践の感覚が無い人の話と言うのはやはり難しいですね。

私の経験を書きます。高校の頃、肘痛になりました。投げられないほどかなり痛かったですが、現在では全くありません。(しばらくボールを投げないうちに自然に治りました。)しかし今でもこの感じの動作だと肘が危ないなと感じ、肘に嫌な張りを憶える事が有ります。そういう場合は、その投げ方は回避すると言う感じですね。

ただ、投げ方が合っていれば、シャドーだと全力投球で一日500回やっても、全く肘に来ません。記憶では、その時、シャドーグリップの中に10円玉を入れて重くしていたと思います。また、確か一日かけて1000回やった事が有る記憶が有るのですが、肘に痛みが出なかったのは確かです。30過ぎてからの話です。

その経験から言うと、肘に痛みが出るケースは(少なくとも私の場合)ただ一つです。それは所謂「最大外旋」のところで外旋角度が浅く、肘の後ろにボールが隠れる状態が作れないケースです。こうなると、直ぐに肘に嫌な感じが出ます。その理由は下半身動作で重心移動が小さかったりと言う場合が多い気がしますね。ただ、コレにさえならなければ、肘に痛みが出る事は無いですね。(すべての人に当てはまるかどうかは解りませんが、肘を痛める選手を見ていても、ほぼ言い切れる事です。問題が問題であるだけに断言しないだけの事です。)

肘の後ろにボールが隠れるシーン(スインガータイプ 4コマ目)

肘の後ろにボールが隠れるタイプ(パンチャータイプ 4コマ目)

個人的な見解が許されるのであれば、「肘痛は極めて原因がシンプルで、また慢性化しない内に完治すれば、完治する問題」だと言う事です。

ただ一点、慢性痛と言うのは非常に厄介な問題で、一度慢性化すると、その痛み信号を伝達する神経ネットワークが強化されてしまい、より完治しにくくなると言う事が知られています。息子さんの場合、少年野球が終わってから中学が始まる時期が一つの休むチャンスかもしれませんね。

大雑把に勉強した感じだと、アイシングして痛み止めを打ち、手術する世界が有ります。湿布やエアーサロンパスを含めて、痛み止めの消炎鎮痛剤は基本的に血液の流れを止めて痛みを和らげる方法ですが、血液の流れを止めるので組織の回復も遅れます。共感出来る考え方として、アイシングは打撲、捻挫、骨折などで損傷を受けた直後の処置としては必要だが、長く続けるものでは無いというものですね。

ただ、経験上、肘に関しては「痛むのは投げ方の問題。治すのは休むに限る。」と言う事が言いたいですね。

少年野球の間は完全に休む事は難しいにしても、肩のストレッチで肩の柔軟性を向上させ、投げるよりシャドー優先にするのが良いでしょう。(子供にとっては、ボールの重さが負担になるのでは無く、大きさが負担になります。握る事によって前腕の筋肉が緊張し、その事が肩の回旋を妨げるからです。グッと強くグーを握ると、何故か上腕二頭筋まで緊張しますよね。)

と言うわけで、投げる事についても、また色々とご相談ください。肘痛は動作による部分が大きいと思いますので。以前ペドロに似てると書きましたが、ペドロと同じように肘を痛めるところまで予測出来なかったのは甘かったなと思っています。

では次にバッティングです。

早速ですが、新しい動画は素晴らしいですね。これぞオートマチックステップと言う感じです。



コータさんのところで、マシンでの脚上げ型について書きましたが、一般的なバッセンほどの距離が有れば、そこそこの球なら問題にはなりません。それに比べて息子さんの場合、オートマチックステップの動きにクセが無い分、ステップが素早い事も、マシンでのオートマチックステップ打ちを難なく可能にしているのでしょう。ただ、身体が出来てこれば、もっと速い球に慣れるために、脚上げ型を使う練習が有っても良いですね。今はまだ無理すると肘が怖い部分も有ります。

コータさんの場合、球速よりは恐らく距離の近さが問題になったのでしょう。それで自宅でのマシン打撃の動きが試合や、ラボでのティー打撃の動きと違ったものになってしまっていたわけです。そしてよく見ると、マシンの発射音が脚が挙った後になっており、脚を上げる動作もオートマチックステップによる無意識的な動きと言うよりはマシンにタイミングを合わせているように見えたので、脚上げ型をお奨めしたわけです。(もちろん、脚上げ型でマシンの速い球を練習すると言うのはオートマチックステップ習得プログラムの一環です。)

まぁ、とにかく今は、この打ち方で普通にボールを打って行けば、それだけでかけがえの無い練習になるわけですから、(根本的には)そう難しく考える必要も無いでしょう。子供の時期にボールを捉える感覚を磨いておくのと、そうで無いのとでは全然違いますから。考えてみれば打撃とは「まだソコに無い物体を打ちに行く行為」ですから、良く考えると凄い事をやっているわけです。

もう少し続きます。

腰の回転が小さい件についてですが、まずは下の動画を見てください。きたろうさんとのハイスピードの比較です。



息子さんの長所は前述しましたように、始動時の下半身の力が強い事です。そのため、始動時に腰を突き上げる動きが明確に見られます。しかし、その力を制御しきれず、頭の位置まで上に挙っています。

一方、きたろうさんの場合、スタンスが狭く、重心が高い構えですが、このタイプの構えの場合、始動時の下半身の力はあまり大きくなりませんが、そのぶん、下半身の筋肉が弛緩しやすいので、前脚が踏み降ろされるときの重心の下降がスムーズになり、そこでタスキラインの筋肉を引き伸ばす事になります。

いずれにしても、きたろうさんの場合、始動時に全身で伸び上がっていないと言うのが、ここでの論点になります。頭の位置が浮いていません。息子さんの場合、頭の位置が浮いてしまっているので、前脚が挙る時に後ろ脚が伸びきってしまっているのに対し、きたろうさんの場合は緩やかに曲がった状態を保てています。


このシーンで後ろ脚が伸びきってしまうと、内転筋だけが過剰に引き伸ばされ、その反射による内転が過剰になってしまいます。つまり、後ろ脚の動作が「割れ〜絞り」では無く「外転〜内転」になってしまうわけです。
一方、きたろうさんの場合は見事に「割れ〜絞り」の動作になっています。


息子さんのフォームと比較してみてください。息子さんの場合、内転が過剰になり伸展の要素が足りないので、後ろ脚で地面を押す力が弱く、そのぶん、後ろ腰が沈んでいます。こうなると、ヘッドが落ちて、その反射で手首のコネが強く起こり、バットが波打って引っ掛ける原因にもなります。


さらに、一方の股関節の絞りは他方の股関節の割れと連動します。逆もまたしかりです。ですからきたろうさんの場合、前脚着地の前後に後ろ脚股関節の絞りと前脚股関節の割れが連動して、着地時に見事に前脚股関節が割れています。


一方、息子さんの場合、この連動が起こりにくく、上手く前脚股関節が割れてくれない事が、前脚股関節の割れ〜絞りを上手く作動させず、腰の回転を小さくさせていると言う可能性もあります。

いずれにしても始動時に後ろ脚が突っ張り、後ろ脚股関節の割れ〜絞りが上手く使えていない事が腰の回転を小さくしているのは確かでしょう。

ハイスピードの比較で、両者の後ろ脚の動きを比べてください。腰が回転する時、息子さんの場合、内転がメインになっていますが、きたろうさんの場合、伸展の要素も加わり、絞りになっています。そのぶん後ろ脚で地面を(無意識下で)蹴って腰を回転させる力が強いのです。

解決策

バッセンでの動画を見ると、あまり頭の位置が浮き上がっていません。これは一点に集中する意識が強いからでしょう。素振りの時も壁のキズなど、小さな一点を見つめ、そこに集中しながらバットを振ると、頭の浮きが抑えられます。今までの動きのクセも有りますから、後ろ脚の動きなど、直ぐに良くなるとは限りませんが、しばらくやってみて変化を見ると良いでしょう。それに加えて、ストレッチとしてはやはり割れ絞り体操ですね。特に右脚股関節を割った時、アウトエッジ荷重と「脚」の外側のラインと大殿筋で体重を受け止める事(大腿四頭筋を使った屈伸にならないようにする)を意識してください。この二つの取り組みで、どこまで改善されるかを見てください。

続きます。

では次に掲示板の方でテーマとして挙げられていた事にお答えします。

1)引っ掛ける傾向が有る
これは多いに予想出来る事です。素振りのハイスピード動画を見ても、後ろ脚の動きが「外転〜内転」になっており「割れ〜絞り」になっていないので、股関節伸展の力が弱く、後ろ脚で体重を支える力が弱いのです。そのため、後ろの腰、肩が沈む傾向が有ります。こうなると、バットのヘッドも落下して、その時にトップハンドが外旋します。そしてその後に、その反射での内旋が起こり、これが手首のコネです。こういうスイングだと、軌道も遠回りになり、引っ掛けたゴロが多くなるでしょう。動画でも後半、筋肉が疲労してきた頃に後ろ脚の効きが甘くなって、そういう打球になったのだと思います。そこに腕の筋肉の疲労が重なると、なおさらそういう傾向が強まります。(以前に耐久性が無いと言う意味では3分しか地球にいられないウルトラマンのような打法だと書きましたが、動画でも前半5スイングくらいが良ければ、良しとした方が良いでしょう。打ち続けるのが良く無いと言う意味ではなく、そういうものだと言う理解が必要だと言う事です。)

改善策としては、先に挙げた通り、一点を見ながらの素振りと割れ絞り体操で、しばらくやってみてください。

また、揺らぎの時にあまりバットを回し過ぎると、手首が疲れて来て、手首を捏ねる原因になります。そういう場合、特に数を打っているうちに、その影響が出てきます。揺らぎでのバットの回転を受けて、特にトップハンド側の手首や前腕部が負担を受けていないかをチェックしてください。その負担によって力みが出ない場合は、そうならないように試行錯誤する必要が有ります。(このへんの細かい事は、今の年齢ではまだ言いにくいです。)

2)実打での両脚のラインが悪い
あまり気にする事はありません。おそらく首の角度が関係しているのだと思います。実際打つとなると、やはり両目を地面と水平にしたいと言う意識になり、その事が脊柱のS字カーブを甘くさせ、股関節の割れを甘くさせているのだと考えます。特に子供の場合、大人よりリリースポイントを見上げなければならないのでアゴが挙りやすくなる傾向は否めません。

ただ、他の原因も有るかもしれません。しかし、素振りの中で出来ているのでしたら、ひとまずはそれを大切にして、素振りの中では出来るようにしておいてください。

補足

ラボ当日、やや後ろ脚寄りに傾いていたバランスを真ん中に修正しました。最後の方では素振りの時に「両足の外側に体重をかけて、頭は気持ち前寄り」と言葉がけしていました。それは勿論、股関節を割って、真ん中バランスの構えにするためです。

ただ、真ん中にバランスを置くための有効なイメージとして、Xのラインをイメージすると言うのが有ります。写真のように後ろ肩から前足に至るラインと、前肩から後ろ足に至るラインが交差してXを描くイメージです。このXがひしゃげて傾いたりしない事が重要で、それは真ん中でバランスを取れている事を意味します。


この写真ではもちろん、良いXラインが出来ています。

因に、このラインは体重の荷重線としても意識できます。ラボでやるとしたら、一回ごとに片方のラインを意識して構え、3回目にXのラインを意識すると言うセットを繰り返します。(後ろ肩、前肩、後ろ足、前足の4点と、両方の線が交わる1点の計5点を意識するとXのラインが作れます。常に意識するような事でもありませんが。)

次に腰の回転についてですが、ハイスピードカメラを見る限り、腰は充分に回っているわけです。要はインパクト以降のフォロースルーで押し戻されているので、腰の回転が小さく見えるわけで、単に見えるだけでは無く、押し戻されているのですから、パワーもロスします。

下の写真でも前脚のジャージのラインを見ると、インパクト後に逆回転している事が解ります。

これは当日お話しましたように、前脚股関節の伸展によって骨盤が前脚に乗り込む事で生じる前脚軸の形成が弱いためです。体重の乗った前脚に骨盤が乗っていないので、フォローで押し戻されるのです。しかし、この感じは子供で何回か見た事が有ります。技術的な問題だけでは無く、身体の力の問題も有るかもしれません。いずれにしても「腰の回転が小さい」と言う問題について「どこのシーンでの回転が小さいのか」と言う事をここで明確にしておきます。インパクトまでは充分回っているのです。

今後の展望

掲示板に書きましたように、身体運動的な見地からすると、小学生としてはかなりのレベルに到達しています。(もちろん「かなり」には「前例が無い」と言う意味も含まれています。)

腰の回転が小さいなど、フォーム的に気になる事がありましたら、また何でもご相談ください。ただ、既にここまで出来上がったと言う事を考えると、少なくとも小学生の間はその種の取り組みはサブ的なものだと言う事です。

メインとしては、黒人化トレーニング等を含めた股関節のストレッチ、ダッシュ、重いバットを振る事で力を付ける(もちろん、同時に軽いバットを振ってください。)などの強化的なというか、身体そのものを作って行く取り組みが重要になります。

特に息子さんの場合、現時点では他の日本人と比べて、特に黒人的な特徴のある骨格、肉付きが有ると言うわけではありませんから、身体が大きく成長する中学期に、その種の取り組みが重要になります。

また、細かい動きや打てた打てなかったが気になる事もあると思います。しかし、特にこの時期と言うのは、身体の成長と技術の成長が重なっている部分が多分に有ると思いますから、あまり細かい事を気にするよりも、身体を作って行く事を考えた方が良いでしょう。

もちろん、いきなりウェートトレーニングをする必要が有るとは言いません。(自体重を使ったものにせよ、器具を使ったもににせよ、行う場合は出来るだけ多様なメニューを少しづつ、反動を利用して、終わった後に動的ストレッチ、素振り、シャドーを行ってください。)

たとえば、坂道ダッシュや重いバットを使った素振りでも、立派に身体を作るトレーニングと言えるわけです。重いバットを使った素振りで気をつけたいのは言うまでも無くフォームを崩す事で、これは慎重に少しづつ重さを挙げて行く必要が有ります。基本的には大人用のバットを短く持つところから始めた方が良いでしょう。

そして、子供の場合、特に重いバット、と言うよりも普通の少年野球用のバットを振ってるだけで、それ自体重いので、フォームが崩れます。ですから、塩ビパイプ等の軽いバットを振る習慣を付けておく事が非常に重要です。重いバットを振って、筋肉が緊張したまま日を重ねてしまうと、どんどん調子が落ちていきます。

一日の練習は股関節の体操と軽いバットの素振りで終える習慣を付けてください。

いずれにしても、股関節のトレーニング、或は走ったり、重いバットを振ったりしながら、身体を作って行く事が非常に重要で、それによって解決していく技術的な問題も多々有るはずです。後はひたすらボールを打つのみですね。

以上です。

ではまた頑張ってください。ご質問もお待ちしております。

コータ君5回目

コータ君の5回目です。ひとまずは回数制5回の満了、ありがとうございました。

まず、ピッチングですが、左右を反転して左投手にしてみると、メジャー最速投手のアロルディス•チャップマンに似ている事に驚かされます。



チャップマン動画
http://www.youtube.com/watch?v=Z-otX7eZuPY&feature=plcp

投球腕に関しても、この連続写真のような肘から挙る形は中々出来るものでは有りません。この形などまさにチャップマンですね。













下の動画は、ベストショット的に良い所を集めたものです。


先にスローイングの方から書きます。
まず、まだ理論変更が有ってから間もないので、あれ以降もやや変更点が有ります。

まず、基本的なポイントとしては、前脚を大きく挙げると言うピッチングの特徴(マウンドのプレートに足を置いた状態から投げるので助走出来ない代わりに前脚を大きく挙げる)を考えると、セット始動がマッチしないと言う事でした。

例えば、Drew Storen は前脚を大きく挙げないので、動画のようにかなりセット始動に近い投げ方が出来るわけです。
http://www.youtube.com/watch?v=Od8AJMZFhIw&feature=plcp

一方、Tyler Thornburg はMax 98マイルの速球で注目されている新人ですが、この投手の場合、典型的なメジャー式の脚の挙げ方で、そのぶん、脚を降ろすと同時に腕を下にぶら下げてから始動しています。
http://www.youtube.com/watch?v=G9iyGX9BiOE&feature=plcp

Jered Weaver も比較的投球腕を下にぶら下げてから始動するタイプです。
http://www.youtube.com/watch?v=eDRSUN1XZbc&feature=plcp

ただ、David Robertson とか、Charlie Furbush などは、あまり投球腕をぶら下げる感じは有りません。Aroldis Chapman もです。

そして、Rovertson や Furbush の方が、テークバックで肘から挙げる感じが良く出ています。結論から言うと、どちらでも投げられます。人によってはぶら下げた方が投げやすい場合も有るかもしれません。ただ、投球腕が肘から上がり、そのあと外旋して、しなる感じは、ぶら下げないRovertson や Furbush の方が出ています。特にWeaver は少しアーム気味です。

ですから、基本的にぶら下げない方が良い(肘を痛めない腕の振りになる)のですが、どうしたらそうなるかと言う事が問題です。



そこで、下図(図1)ですが、下図は当日お話しましたように、前脚を挙げてから降ろす時、後ろ足の上に軸を保つ意識を強く持った動作です。少し後ろに上半身を傾けるようにしています。

図1

一方、下図(図2)は、特に後ろ脚軸を意識しないで、あまり上半身を傾けずに、自然にする動作です。
図2



これらの違いですが、図2の方は、身体が自然に前に出て行くので、その前に出て行く身体に対してボールが後ろに残ろうとして、自然にグラブとボールが(重心移動と連動して)割れます。

一方、図1の方は後ろ足の上に軸を作るので、身体が前に出て行きにくく、そのぶん、グラブとボールも割れにくくなります。ここで割ろうとすると、意図的に割らざるを得ず、その場合は下にぶら下げる使い方になりがちです。

つまり、図2の方はある意味で体幹部はアンバランスな状態になるため、バランスを取ろうとしれグラブとボールが割れて来るわけですが、図1の方は後ろ脚に乗る事それ自体でバランスが取れてしまうため、上半身でバランスを取る必要が無く、グラブとボールが割れにくいのです。

ラボ当日は、前脚を挙げて、下げて、投げると言いましたし、前脚を降ろす時、後ろ足の上に軸を作ると言いましたが、その辺がどうも間違いと言うか、変えた方が良いと言うのが、この話の大きな主旨です。

つまり、まず第一の変更点として、前脚を降ろす時、無理に後ろ脚軸を作らず(後ろに身体を傾けず)真っすぐ軸を保つと言う事です。

次に第二の変更点として、前脚を挙げて、下げて、投げるのでは無く「挙げて、フッと力を抜いて、ガッと投げる」と言う事です。

第一の変更点については、それによって、グラブとボールが重心移動との連動で自然に割れるようになると、(Furbush のように)肘から挙る形が作りやすくなると言う効果が有ります。後ろ軸を作ってしまうと、グラブとボールが割れにくくなります。

第二の変更点については、まず軸脚で(踵体重で)グッと踏みながら前脚をブラーンと挙げて、その後で、フッと全身をリラックスさせてやると前脚が自然に落下すると同時にグラブとボールが割れるので、その動きの中で始動する(ガッと投げに行く)と言う事です。言葉がけで言うと「グッと踏みながらブラーンと前脚を挙げて、フッと力を抜いて、ガッと投げる」で良いです。もう少しシンプルにすると「グッと挙げてフッと抜いて、ガッと投げる」とか「ブラーンと挙げて、フッと抜いて、ガッと投げる」でも良いです。いずれにしても、そういう単純な言葉でリズムで憶える事が重要です。

この方法を実践(7月28日)したのが下の動画です。この動画は投げるリズムだけに注目して見てください。


前脚を挙げた後、フッと力を抜き、そのリラックスした状態の中から、一気にガッと投げに行く感覚で投げています。

コータ君の場合でも、当日、投げに行くリズムで少し苦心していた感が有りましたが、こちらの言葉がけの問題も有ったのだと思います。
ただ、これらはどちらが○でどちらが×と言うよりは、一長一短あると言う方が正確かもしれません。つまり「後ろ軸を作る方は、後ろ脚の力が使いやすいが腕の力はアーム式になりやすい」のであって、一方「中心軸をキープする方は、投球腕のスイングは良くなるが、後ろ脚の力は(後ろ軸を作る場合に比べると)やや使いにくい」と言うメリットデメリットが考えられます。

ただ、方針としては「中心軸の方をベースとしながら、出来るだけ後ろ脚の力も使えるように、身体が前に流れないように気を付ける」と言うのがベストだと思います。

続きます。

要はテークバックのところで、写真のような形を作れないと、肩や肘に負担がかかる投げ方になると言う事です。

この形が良い投手の例として、クレイグ•キンブレルを見てみましょう。現在のメジャー最高クローザーの一人です。


脚の挙げ型はブラーンとスイングするタイプでは無く、最初から膝を曲げたコンパクトなものですが、骨盤ごと回転させて挙げるのが日本人との違いです。100マイル近い豪速球と80マイルを超えるスライダーのようなカーブ、浮き上がる豪速球、レーザービームのように低めに決まる豪速球が武器の投手です。

そこで次の動画ですが、この動画の最初に斜め横から見たシーンが有りますが、それを見ると、上半身がほとんど真っすぐで、後ろ脚の方に傾けていない事が解ります。こういうタイプの方が、投球腕を内旋して肘から挙るテークバックが出来やすいのです。

その他にも以下の投手は参考になります。

アロルディス•チャップマン
前に出て行く際に頭が残るので、やや傾きますが、傾いて後ろ脚に乗る動作では有りません。そのため肘から挙るテークバックが出来ています。

ジェイク•ピービー
最初に横からの映像が有りますが、ほとんど傾きません。肘から挙るテークバックが良い例です。

フランシスコ•ロドリゲス(Kロッド)
http://www.youtube.com/watch?v=XozTURJTPek&feature=plcp
この人は肘から挙るテークバックの代表格ですが、センターカメラから見る限り(後ろ脚の方向に傾かない)真っすぐタイプですね。

チャーリー•ファーブッシュ
http://www.youtube.com/watch?v=57HE3jtDpgg&feature=plcp
前に出て行く際に頭を残して後ろに傾く姿勢(ヒップファースト)を作ってますが、後ろに傾いて後ろ脚に乗って、後ろ軸を作る動作では有りません。因に後ろ足踵でトンと踏みながら前脚を挙げる感じが良いです。

対照的に後ろに傾いている例を挙げます。

ナフタリ•フェリ―ズ
http://www.youtube.com/watch?v=FfP7iIhQ9gQ&feature=plcp
前脚を降ろす時、後ろに傾き後ろ脚に乗り、それと同時に投球腕をぶら下げてから始動しています。

ティム•リンスカム
http://www.youtube.com/watch?v=xx9o17hdxG4&feature=plcp
典型的な後ろに傾くタイプですね。村田兆治に通じるものも有ります。ただ、投球腕を下げた時にやや意図的に内に捻っており、こうすると肘から挙るテークバックがまだやりやすいのですが、強調すると肩に負担がかかります。

アービン•サンタナ
http://www.youtube.com/watch?v=_RULqQe-jZc&feature=plcp
この投手も、後ろに傾いて投球腕を下げてます。アーム式、担ぎ投げと言う程では有りませんが、キンブレルなどに比べると肘から挙る感じが有りません。

ウバルド•ヒメネス
http://www.youtube.com/watch?v=L0AwYzeT7Ao&feature=plcp
典型的ですね。

アレクシー•オガンド
http://www.youtube.com/watch?v=Up-umSd-GmY&feature=plcp
最初に横から映しているので解りやすいです。


ただ、肘から挙るテークバックが出来るか出来ないかは、身体を後ろに傾けるか傾けないかでは無く、自力でグラブとボールを割っているか否かによります。つまり、重心移動との連動により割れている場合は、肘から挙るテークバックになるのですが、重心移動と無関係に自力で割ったり、降ろしたりするとアーム式や担ぎ投げになりやすいと言う事です。ですから勿論、身体を後ろに傾けないタイプでも自力でグラブとボールを割って担ぎ投げ、アーム式になっている例はいくらでもあります。

フレディ•ガルシア(元マリナーズのエース)
http://www.youtube.com/watch?v=T9rPu-bxLog&feature=plcp

ロイ•ハラディ(20勝投手)
http://www.youtube.com/watch?v=8gxKzibBbcA&feature=plcp

ブライアン•フェンテス(通算200セーブ投手)
http://www.youtube.com/watch?v=_55oMqsfZ4w&feature=plcp

このようにアーム式担ぎ無げで活躍する投手が多いのがパンチャーの特徴ですが、やはり肩肘の故障との関連は高いはずです。

また、ややこしい例として先にも少し書きましたが、自力で割りつつも投球腕を意図的に内旋しながら降ろすタイプがいますが、この場合、見かけ上、肘から挙るテークバックになります。ただ、肩には負担がかかりやすいです。「肘から挙るテークバックもどき」と言ったところです。

マイケル•ピネダ
http://www.youtube.com/watch?v=dHyEal6mhyc&feature=plcp

エディンソン•ボルケス
http://www.youtube.com/watch?v=B6j_fRl3UeU&feature=plcp

このように色々なフォームで活躍していますが、基本、肩肘を故障しにくく、そして100マイル近い豪速球の実例も有るキンブレルやKロッドのタイプが一番良いと思います。

ただ「後ろ脚の方に傾く」と言うことについては多少の注釈が必要になります。

それは「後ろ脚の方に(意識的に)傾いて、後ろ脚に体重をかける」と言う動作と「骨盤が前に出て行く際、慣性で頭が後ろに残り、身体が傾く」と言う動作は意味が違うと言う事です。

「骨盤が前に出て行く際、慣性で頭が後ろに残り、身体が傾く」動作は極自然な動作であり、良い動作です。と言うよりもむしろ上半身の角度について意識しないで自然に任せると、重心移動では少し頭が後ろに残ります。基本的に完全に上半身を真っすぐ立てたまま重心移動する方が難しいと言えるでしょう。

この点については「特に意識しないで投げた時、どのくらい重心移動で身体が後ろに傾いているのか」と言う事をビデオに撮影して知っておくのも良いでしょう。例えば、下の動画の時も、特に意識していなかったと思いますが、「重心移動の時に慣性で頭が後方に残り、自然に身体が傾く」動作が非常に良く表現されています。この動画の状態が「良い意味での傾き」を意味します。




次に、前脚を挙げる時、後ろ脚踵でトンと地面を踏む動作について、少し書きます。

この動作をする事で(特にメジャー式の脚挙げの場合)前脚が挙りやすくなるメカニズムについて、最近ようやく理解出来たので、まずはその事ですが、この理解が有った方が、本人としても意味が解ってる分、やりやすいでしょう。

下図はハムストリングスの働きを表現していますが、ハムストリングスは骨盤の座骨から始まり、大腿骨、下腿骨にいたります。

この筋肉が収縮すると股関節が伸展するわけですが「骨盤が固定された状態での股関節伸展は大腿骨を後方に振る動作を意味する」のに対し「大腿骨が固定された状態での股関節伸展は骨盤の後傾を意味する」と言う事がポイントになります。

つまり、後ろ脚の踵でトンと地面を踏むと言うのは、ハムストリングスの働きによる股関節伸展の作用で地面を押す事を意味するわけです。



そこでピッチングで前脚を挙げる時は、当然、真っすぐ立った状態をキープしようとしているわけですから「大腿骨が固定された状態でハムストリングスが収縮するので骨盤が後傾する」と言うケースに相当します。

ですから、この動作をやると、骨盤ごと後傾させながら前脚を振り子のようにスイングして振り上げるメジャー式の脚挙げがやりやすいのです。

この動画(CCサバシア)の一球目が解りやすいですが、トンと踏んで前脚を挙げる時、骨盤がクイッと良く動いています。(後傾しています。)
http://www.youtube.com/watch?v=ilhG8FNsaFo&feature=plcp

これによって勿論、前脚も楽(踏むと言う力の発揮の方向が重力に逆らわないので楽)に高く挙がるというメリットが有りますし、後ろ脚もハムストリングスで立つ状態を保ちやすいと言うメリットが有ります。

もう一点、この動作についての変更と言うか、コータ君の動きを見た上での「こうした方が良いのではないか」と言う事についても書きます。

今まで、後ろ足(右足)をトントンと2回足踏みする方法を奨めてきましたが、その足踏みが、その場で(大腿四頭筋を使った)腿挙げになりやすく、着地も爪先を使いがちでトントンと言うよりはペタペタと言う感じになりがちです。その結果、投げる際も後ろ脚ハムストリングスが効きにくい傾向が見られます。

例えば下の動画では1球目がペタペタと言う感じになっています。踵で踏めていないと言う事です。この場合、ハムストリングスが効きにくいので、前脚を挙げた後、後ろ脚の体重を支える力が弱く、膝がグニャッと折れて、全体的にヌル〜としたフォームになっています。
一方、2球目は踵で踏めているので、後ろ脚ハムストリングスが効くため、膝が潰れず、1球目のようなヌル〜とした感じでは無く、グワッと重心移動してズバッと投げるいい感じになっています。



1球目の方が(トントンする時の)重心落下点と右足の距離が開いており、そうなると大腿四頭筋を使った腿挙げにならざるを得ません。

現在は右足がプレートと平行になってからトントンと二回足踏みをしています。これはラボでそのようにお伝えしているからなのですが、二回踏むと「その場での(大腿四頭筋を使った)腿上げ的な足踏み」になりやすい場合があり、コータ君にもその傾向が有ります。

この足踏みを一回にする事によって(最初のトンで踏み、その軸足の踏みを利用して前脚を挙げてしまう。)踵で踏む感覚が良くなり、後ろ脚ハムストリングスの力が使いやすくなる可能性が有りますので、1回のパターンも是非試してみてください。

また2回踏むタイプもよく見ると、一回目は打者方向に向けていた軸足の爪先を45度ターンするための足踏みであり、2回目でさらに45度ターンして、プレートに平行にしている事が解りました。(或は一回目の足踏みでプレートに平行にセットし、平行にセットした後は1回だけ踏む)これは単純に私の調査不足でした。

そこで、ここで足踏みが良い感じの投手の足踏みについて評論したいと思います。

CCサバシア
http://www.youtube.com/watch?v=reApobCk-nU&feature=plcp
0.23からのシーンでは2回踏んでいるように見えますし、実際2回踏んでいます。しかし、0.44からの斜め横からのシーンを見ると1回目では軸足の角度を約45度ターンさせている事が解ります。つまり一回目は前足を斜め後方に引く動作と連動した足踏みだと言う事です。

チャーリー•ファーブッシュ
http://www.youtube.com/watch?v=57HE3jtDpgg&feature=plcp
この投手も二回かけて90度ターンするタイプです。つまりラボ的な表現では一回目は前脚を引きながら後ろ脚の膝をカクッと緩める動作に連動した足踏みだと言う事です。

アロルディス•チャップマン
http://www.youtube.com/watch?v=Z-otX7eZuPY&feature=plcp
良く見ると、プレートに軸足を平行に置いた後、微妙に二回踏んでいます。

ジャスティン•バーランダー
http://www.youtube.com/watch?v=45w374AJpCc&feature=plcp
1回目で軸足をプレートに平行にセットし、平行にした後にもう一回踏んでいます。(1.20〜)

フェリックス•ヘルナンデス
http://www.youtube.com/watch?v=2zTg-nbkmBQ&feature=plcp
0.13~を見ると、1回目で殆ど平行にし、その後にもう一回踏んでいます。

ジョニー•クエト
http://www.youtube.com/watch?v=R6N0bHLQWhA&feature=plcp
0.16からを見ると、一回目で平行にした後、素早く2回目を踏んでいます。

結論から言いますと、前脚を二塁手の方向に引きながら軸脚の膝をカクッと緩める時に一回目の足踏みをして、二回目の足踏みを利用して前脚を挙げると言うのが一番良いと思います。

このへんについてはホセレイエスさんのところで、動画で説明しようと思います。(投球については一人分で書ききれないので、ホセレイエスさんとコータさんの所で、相互に補完して完成させるつもりで書きます。)

ピッチングについては以上です。ここで書ききれなかった事はホセレイエスさんの方にも書きますので、そちらも参考にしてください。

コータ君の場合、プロを目指すとすれば内野手上位打線タイプだと思いますが、ピッチングにもかなり良い物があり、今から少しづつでも磨きをかけて行けば高校くらいになれば相当なものになると思います。骨格も良いですし、メジャー式の脚挙げも一回目でここまで出来た例もあまりありません。スローイング技術向上のためのピッチングと言うのは勿論有りますが、ベンチ入りの武器のためにもピッチングは役立ちます。(例えば野手でも高校1年からベンチ入り出来ると実戦経験が全然違ってきますし、それだけ「英才教育」を受ける機会が増えます。)

この動画などは、よく見ると素晴らしいです。(日本の場合だと中学や高校では指導者受けしにくいでしょうが。)しばらくはラボでのお手本の一つに使おうと思います。



バッティング編に続きます。

http://www.youtube.com/watch?v=nAebsgBmLl8&feature=plcp

新しい動画を見ました。ただ、この動画を見てまず思ったのは、始動する時の動きがやはり以前のままだと言う事です。

これはピッチングマシンの問題だと思います。実戦においてオートマチックステップはリリース前始動を必要とします。しかし、投手と違い、アーム式やレール式のピッチングマシンではリリース前始動が出来ません。(人間とマシンの違いは試してみると感覚で解ります)

ですからリリース前始動を必要とする速いボールや近距離からのボールをピッチングマシンで打つ場合、オートマチックステップは使えません。(もちろん人間のピッチャーなら速い球でもリリース前始動が出来ます。)

コータ君の動画を見ても、発射音の前に始動していますが、その動きは半ば意図的に後ろ脚に体重を移動する動きであり、オートマチックステップで始動した動きでは有りません。つまりマシンからボールが発射されるタイミングに合わせてステップして打っているわけです。

※)マシンでも、下の動画の距離、球速、だとリリース直後の始動が可能ですので、この環境ではオートマチックステップが使えます。(ただ、この動画では普段のクセか、ややステップの動きでタイミングを取ってます。)


一方、ラボの対面トスマシンの動画を見ると、始動する時の動きが違います。後ろ脚への体重移動が有りません。これが本来のオートマチックステップの動きで、あの球速ならリリース同時、或は直後の始動が出来るので、あのマシンだと無理無くオートマチックステップで打てるのです。


そこでどうすれば良いのかと言うと、ピッチングマシンは思い切って脚上げ型で打つ事をおすすめします。動画でのマシンの距離、球速(音がなってからインパクトまでの時間で推測)では、オートマチックステップは難しいでしょう。

マシンの利点はなんと言っても速い球を打てる事です。しかも人間が投げる労力を利用しないので数多く打てます。ですからマシンでは速い球を打てば良いのです。しかしその場合オートマチックステップは使えません。

ですから補助的な練習が必要になります。

まず第一に、もちろん人が投げる練習です。近距離から普通の球速で構いません。タオルを丸めたものでも使えるくらいです。この練習は勿論、オートマチックステップで出来ますし、オートマチックステップの感覚を取り戻すための練習です。この練習では比較的速い球を投げて、実戦におけるリリース前始動の感覚を磨く効果も有りますし、山なりの球を投げてマシンとの対比で緩い球を引きつける練習をする効果も有ります。


第二に、置きティーを利用する方法です。置きティーは自然に顔の向きがホームベース方向になるので、アウトコースを打つ練習に適しています。ですからティースタンドを置く場所は外角寄りで、ポイントは近く設定します。(無理に流そうとする必要は有りません)もちろん、それだとアウトコース一辺倒になりますから、インコースを打つ素振りと交互に行います。これはラボで行ったように、インコースの一点を見て振る方法です。置きティーではアウトローを練習し、素振りではインハイを練習するのが良いでしょう。これを交互に一回ずつ行います。もちろん、これもオートマチックステップの感覚を取り戻すための練習です。

この二種類の練習の組み合わせを行えば、マシンを脚上げ型で打っても、オートマチックステップのフォームはキープ出来ます。オートマチックステップの打者がマシンを有効に使おうとすれば(マシンの特性である速い球を多く打てると言う特性を利用しようとすれば)こういった補助練習を行うしか無いのです。

例えば、速いマシンの球を脚上げ型で20球打ち、次に(オートマチックステップに戻すための素振りを5回した後)手投げで速い球と緩い球を交互にオートマチックステップで20球ほど打ち、次に置きティーと素振りでアウトローとインハイを交互にオートマチックステップで20スイングほど練習し、最後に仕上げとして手投げで10球ほど打つ(オートマチックステップ)等のメニューが考えられます。

因に脚上げ型についてはラボではやってませんが、オートマチックステップの構えと大きく違うのはスタンスの広さです。脚上げ型の場合、スタンスを広くすると脚を上げて後ろ脚に乗る時に体重移動が大きくなり、安定しませんから、ややスタンスを狭く、重心を高くして構えます。オリオールズのアダム•ジョーンズの構えが最も参考になりますから動画を見てください。

アダム•ジョーンズ
http://www.youtube.com/watch?v=1w8n5JHDVOA&feature=plcp(横映し有り)
http://www.youtube.com/watch?v=1YdkhDZOMhk&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=dAYdu2UUfjQ&feature=channel_video_title(横映し有り)
http://www.youtube.com/watch?v=x7PQIKK-iKw&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=Kg_ciZf2oC4&feature=fvsr(横映し有り)

補足としては、構えでは体幹部操作2の捻りを入れて、後ろ脚股関節を軽く割ったラインにしてやると、前脚を上げた時に後ろ脚に体重を乗せやすくなります。しかし、捻り過ぎると身体の回転が制限されて、両手で振り抜いた時にフォロースルーが小さくなりますから、そのさじ加減が重要です。基本的には、アダム•ジョーンズが両手で振り抜いたときのスイングとフォームを参考にすれば、ほとんど間違い有りません。

2010年のアダム•ジョーンズはほとんど全て両手で振り抜いています。
http://www.youtube.com/user/MLBglobal/videos?sort=dd&query=adam+jones&view=0&page=2

その他の打者では、脚の挙げ型ではアレックス•ロドリゲスも参考になりますし、ホセ•バティスタや左打者としてはジョーイ•ボットも良いです。

アレックス•ロドリゲス
http://www.youtube.com/watch?v=Yc2yKJNQXlU&feature=relmfu
http://www.youtube.com/watch?v=HPMVg8wceM8

ホセ•バティスタ
http://www.youtube.com/watch?v=7o2zUnHTIL0&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=T9ASvCc82Gs&feature=channel_video_title

ジョーイ•ボット
http://www.youtube.com/watch?v=SfA2zzNZJuM&feature=plcp(横映し有り)
http://www.youtube.com/watch?v=1p6NrGNQrh0&feature=plcp

マーク•トロンボのホームラン競争の時のフォームも良いです。(普段は二段ステップ)
http://www.youtube.com/watch?v=8OyqPcVKFiA&feature=plcp

もちろん、必ずしも前脚を高く上げず、少し浮かせる程度でも良いです。

マニー•ラミレス
http://www.youtube.com/watch?v=k-H2-WoWhrM&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=cGybcIIVzAg&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=t9gufG1bCO8&feature=plcp

なお、脚上げ型で非常に重要な技術論として、脚を上げて後ろ脚に乗った所から、いきなりバットを出そうとする事です。(始動する)つまり、下図のアレックス•ロドリゲスで言うとオレンジのコマが始動ポジションとなるわけです。オートマチックステップの場合、始動ポジションは構えそのものです。


つまり、良く言われている、テークバックしてトップを作ると言う動作は、少なくとも意識的にはやりません。その動作は始動する(バットを加速しようとする)と無意識で起こります。テークバックしないで、上の図の2コマ目からいきなり振りに行く事です。「2コマ目の形で引きつけて、一気に振り抜く」と言うとイメージしやすいでしょう。


ただ、誤解して欲しく無い点として、今回コータ君に脚上げ型でマシンを打つ事をおすすめしたのは「コータ君の場合」と言う話では決して有りません。
例えるなら「オートマチックステップ打者 育成プログラム」と言うものが有ったとすると、そのプログラムの中にも「高速のマシンを脚上げ型で打つ」と言うのは有ります。

なぜなら高速球に身体と目をならす事は非常に重要であると同時に、その高速球を効率的に練習出来るのがバッティングマシンだからです。そしてバッティングマシンではリリース前始動が困難であると言う事を踏まえると、どうしても「高速のマシンを脚上げ型で打つ」と言うプログラムが必要になってくるからです。
そして、その後に動作と感覚をオートマチックステップに戻すプログラムも必要になります。そのためには前述した手投げや置きティー、素振りも使えますが、もう一つ、バックネットからの映像を利用したバーチャルトレーニングも利用出来ます。

なお、脚上げ型に取り組むにあたっての落とし穴的なポイントを二つほど上げます。

1)両手で振り抜いたときの躍動感が、オートマチックステップに比べると出にくくなります。大きく振り抜こうとすれば前脚が開きやすくなり、前脚の壁をキープしようとすればコンパクトなフォローになりがちです。ですから、ある意味では脚上げ型の場合、片手フォローの方が相性が良かったりします。しかし、そこが正に落とし穴で、一回やって良かったからと言って片手フォローにハマると、スイングに悪いクセが付きます。アレックス•ロドリゲスやマニー•ラミレスの成績も、やはり私の危惧した通り、下降線になりました。

2)脚上げ型でフォームを固めると、オートマチックステップに戻しにくくなる事があります。ただ、オートマチックステップから脚上げ型は楽に出来ます。これはオーバースローはいつでもサイドスローに出来るのに対し、一度、サイドスローにするとオーバースローに戻しにくくなるのに似ています。つまり、基本的には脚を上げて打つ方が楽で、楽な方から楽でない方に戻すのは難しいと言う事です。ですから、コマメにオートマチックステップによるスイングを保つ事が重要で、逆に、それによって脚上げ型でのスイングも良い状態に保たれます。



その他、オートマチックステップでのスイングについて。

ラボ当日のテーマとして


(1)下半身の力を使えるための形を作ること(股関節を割る、ラインを作る)
(2)下半身の力そのものを鍛えること(黒人化トレーニング)
(3)打撃の中で、その力を使えるための、技術(揺らぎを利用した構え作り、揺らぎから打ちに行く間)

の3点を上げました。この3つが今後もテーマになります。
それぞれのテーマにおいてラボでのスイングの中で良い要素が出てきました。例えば、揺らぎを止めないでリズムに乗ったまま打つスイングでは、かなり始動時に無意識で腰を突き上げる動きが出てきました。こうした振り方も良い練習になります。



この動画くらいの重心の高さなら大腿四頭筋が邪魔しないで良い動きが出来るのですが、それ以上、重心を下げてスタンスを広げると、まだまだ膝で体重を受け止めて大腿四頭筋が緊張してしまうようです。

ですので「広く、低いスタンスからの素振り」「中間のスタンスからの素振り」「狭く高いスタンスからの素振り」の3種類を交互に繰り返すのは良い練習になるでしょう。

以上です。

それではまたがんばってください。5回の中で地道ながら着実に進化したと思います。最後の対面トスでの動画はかなり良い線行っています。

2012年7月22日日曜日

ピッチング理論一部変更のお知らせ

ピッチング理論(パンチャー)において一部変更が有ります。

これまではセット始動(ボールがグラブの中にある状態)をピッチングにおいても最重要ポイントの一つとして来ました。確かに、スローイングの動作形態において、セット始動は最重要ポイントの一つであり、その事に対する見解は変わりません。

しかし、野球と言う競技の定めるピッチングと言う制約の中では、充分な重心移動を稼ぎだすために助走の変わりに前脚を大きく挙げなければなりません。

問題は、この前脚を大きく挙げると言う動作とセット始動の相性が悪いと言う事です。なぜなら前脚を大きく挙げて、後ろ脚に体重を乗せれば、その瞬間から後ろ脚からの地面反力により投手の身体は重心移動を始めます。

重心移動が始まれば、連動して上半身も動き、グラブとボールが割れて行く事が自然です。ここで無理にセットポジションを保とうとすれば筋肉に不要な緊張を生み出し、その後の動作に支障が出ます。事実、ラボにおいても下半身に緊張が出るケースや上半身に緊張が出るケースが見られました。

ですから、前脚を挙げた後は無理にセットポジションを保とうとせず、重心移動と連動させて脱力しながら腕を自然に割り、その中で始動すると言う方が全身の力を上手く使えます。

ただ、この場合、腕の動作に関しては理想的とは言えません。そこでピッチングモーションとは別に、セット始動を身体に憶えさせ、腕の回旋運動を理想的な状態に保つための「補助的ドリル」が必要になります。

そこで考えられるのが「オートマチックステップの原理をピッチングに当てはめた投げ方」と「小さく前脚を挙げた状態からのスローイング」です。前者は究極のクイックにも繋がります。

この変更に伴い、前脚の挙げ型は外国人式を奨める方向にしていこうと考えています。なお、クイックモーションにおいても無理にセットを保とうとしない方針にします。

外国人式の脚挙げの一例
http://www.youtube.com/watch?v=CBmh3M8p0CI&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=2ONDZ32qYuc&feature=plcp

この理論変更の意味するところは「ピッチングはスローイングにおける理想の動作形態では無い」と言う事を意味します。この意味において球数制限なども容認する方向に動かざるを得ません。(もっとも、この点については斜面の上で投げる事から、以前より容認していましたが。)

今までは、実在するメジャーの投手の中に完全なセット始動の投手がほとんど存在しないと言う事に非常に疑問を感じていましたが、これで、よりメジャーの投手をすんなりと参考に出来る事になると思います。

そして、ピッチングに対する取り組み方としては「ピッチング動作そのもの」と「セット始動の感覚を保つためのドリル」の2種類が必要になると言う事です。これに加えて、より全身をフルに使うためのドリルとして外野手のように助走を加えたスローイングも加えようかと考えています。

2012年7月21日土曜日

7月21日 雑記

(1)http://baltimore.orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=435560

OMAR QUINTANILLA

今期途中からオリオールズに加入 1981年生まれ 右投げ左打ち ショートストップ

MLB通算 592打数 129安打 打率0.218 3本塁打

http://www.youtube.com/watch?v=iZu8r0EsuQ0&feature=plcp
二段ステップのパンチャーですね。
http://www.youtube.com/watch?v=7cg4XVHlSv0&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=ROxd6CpfqB8&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=3o1YQnoFygI

まぁしかし、529回のうち、129回ヒットを打つのは立派です。まずはそういう見方をしてあげることが大事だと思います。2割5分と3割は数字的には少しの差なのです。しかし、それで印象的には全然違います。その差は何なのでしょうか。考え方、選球眼、身体能力、メカニクス、戦術、などなど。

ただ、その中で私が独自に提唱したいのが「ボールがミートポイントに来た時に、そこにバットを出せている能力」です。まぁ、とりたててそのためのメソッドとか理論があるわけでは無いので話半分で聞いてほしいのですが。

引退間近のベテランでスイングが遅くても、ヒットを打つ選手がいます。そうかと思えば素晴らしいスイングをしているのに打てない若手もいます。ベテランだと、スイングは遅くても、ボールがミートポイントに来た時、ちゃっかりとそこにバットを出せているイメージが有ります。そういう選手のスイングからは、何と言うか「素振り臭」が無いんですね。素振りを否定するわけでは無いのですが、これはもうボールを打つ経験の豊富さが、そうさせているのでしょう。それに対して若手の場合、打席の中で素振りをしているようなスイングの選手がいます。

ただ、このキンタニヤの場合、どちらかと言うと「ボールがミートポイントに来た時に、そこにバットを出せている能力」が高そうなスイングなので、チャンスさえあれば、そこそこ打ちそうな気がしますが。これまでのメジャーキャリアでシーズン最高出場試合は81試合です。

因にマイナー通算は2269打数694安打 打率0.306です。これは良い数字です。

因にこれは守備の動画。
http://www.youtube.com/watch?v=riPfYZAgvhg&feature=plcp
恐らく日本のアマチュアだと正面で捕れと言われるのでは無いでしょうか。しかしゲッツーの場合、逆シングルの方がスピーディーで有利でしょう。スコアも有るかもしれません。5対0で勝っている9回表のノーアウト。

(2)http://baltimore.orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=448602

マーク•レイノルズ

この選手は凄い一発屋ですね。過去4年の数字を見てみましょう。

2008 ave 0.239 hr 28
2009 ave 0.260 hr 44
2010 ave 0.198 hr 32
2011 ave 0.221 hr 37

打率0.198でホームラン32本と言うのが凄いですね。1983年生まれの右投げ右打ち3塁手。しかし使えば一年間に30本打つと言うのは、魅力的と言えば魅力的です。こういう選手の場合、どういう場面で打つかが非常に重要でしょう。

スイングは片手フォローです。
http://www.youtube.com/watch?v=0AX9CWCWbRE&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=QaWvXbxz8nw&feature=plcp
ただ、この選手の片手フォローは無理に腕を伸ばそうとかフォローを大きく取ろうと言う意思があまり感じられないので、その意味ではまだ良いとは思いますが、やはりこれだけ片手で振る感じを徹底してしまうと、大味にはなるでしょう。

インハイは割といい感じで打ってますね。
http://www.youtube.com/watch?v=LjHudVKRurw&feature=plcp

この選手が良いのは、大腿四頭筋で体重を受け止めていないので比較的ハムストリングスが上手く使え、重心移動が充分に起きて、そのことにより体幹部前面の筋肉を引き伸ばせている点です。下の動画を見ても膝を内に絞る感じは無く、重心移動が充分である事が解ります。
http://www.youtube.com/watch?v=nd84AEimvV0&feature=plcp


http://www.youtube.com/watch?v=XGN_ulYuw5M&feature=plcp
この動画の後半にハイスピードが有りますが、ボトムハンドの手の平が上を向くのが早い(ボトムハンドの手首が返るのが早い)のが解ると思います。これは「ボトムハンドが死んだ」状態で、ボトムハンドが死んでしまうとボールに力を加える事はおろか、ヘッドが返るのでミートする事も出来ません。ボトムハンドが生きている限り、ミートも出来ますし、ボールに力も加わります。良いスイングとはボトムハンドが長く生きているスイングです。そのためには両手で振り抜く事が重要なのです。一見、理屈的に矛盾しているようですが、相手は人間の身体なので、そんなに単純な理屈で説明出来るものでは有りません。現実には、手首を返す働きのあるトップハンドを握ったまま振り抜いて、自然に任せて手首を返した方が、ボトムハンドは長く生きてくれるのです。
また、レイノルズは、ボトムハンドで引いているのでウィリングハムに比べると背中が丸まる感じが弱く、両腕を強く投手方向に伸ばせていない事も解ります。これらは片手フォローの特徴で、それゆえ両手で振り抜く事が大事なのです。
ウィリングハムとレイノルズでは明らかにレイノルズの方が「フォローが大きく見えるスイング」であり、解説者も「グッドエクステンション(良い腕の伸び)」だと言っています。しかしボールに力を加える「実質的フォロースルー」はウィリングハムの方が大きいのです。ですから見た目フォローが小さくてスイングがコンパクトに見える事は気にする必要は無いのです。それ以外に気にするべき事がいくらでもあるからです。

(3)http://baltimore.orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=400140

WILSON BETEMIT(ウィルソン•ベテミー)

1981年生まれ 右投げ両打ち 3塁手
メジャー通算 打率0.267  本塁打73

この選手は前にも書きましたが、不覚にもスイッチヒッターと言う事に気がつかなかったのでもう一度書きます。(本当なら、メジャーの打者を見慣れていると、片方を見ただけでスイッチかなと、ピンと来ないといけません。)

この選手の分類がまた難しいのです。構えから左はパンチャーだろうと決めつけて見てましたが、どうでしょう。恐らくスインガーだと思います。上半身の構えが完全にパンチャーなので、肘を張っているぶん、トップハンドが効きやすく、紛らわしくなっているパターンだと思います。肘を張っていると、少し骨盤が回転しただけでタスキラインが引き伸ばされるのでトップハンドが効きやすくなるのです。(スインガーの場合、理想的にはタスキラインの筋収縮によるトップハンドの押しは使いません。)

このスイングがスインガーとも思いにくいのですが。。
http://www.youtube.com/watch?v=LgHQfebcaJ8&feature=plcp

では右はどうなのかと言うと、これまた難しい。
http://www.youtube.com/watch?v=d0FNS13Qzp8&feature=plcp

しかし、2011年のスイング(左)を見ると。。
http://www.youtube.com/watch?v=-jbuyDog4hU&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=7e0dJmZf2BI&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=05uukC1MOKU&feature=plcp

これらはスインガーでしょう。まぁスイングを変えたとも考えられるのですが。。
ただ2012年でも、これなどはスインガーっぽいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=N6REUL2egBM&feature=plcp

この動画、後半のハイスピードを見ると、少なくともこの時点では左はスインガーですね。どうやって見分けるかは長くなるので書けませんが。http://www.youtube.com/watch?v=WFi3zWjgGK0&feature=plcp

この動画後半の横スローを見ても、スインガーでしょうね。「引きが強いパンチャー」ではなさそうです。実速で見ても、腰の回転でスイングしてる感が有ります。
http://www.youtube.com/watch?v=aupQ4JFN4xg&feature=plcp

この動画の横スローもスインガーに見えます。
http://www.youtube.com/watch?v=LkAv9GqUytw&feature=plcp

結局は「引きが強いパンチャー」なのか「押しが強いスインガー」なのか。そこが難しいのですが、或は、本人の中で区別がついておらず、その中間をさまよっている場合もあります。

この打者のスイングはパッと見、ライアン•ハワードを彷彿とさせます。

ウィルソン•ベテミー(ハイスピードあり)
http://www.youtube.com/watch?v=ZLjKnpOePTA&feature=plcp

ライアン•ハワード(横映しあり)
http://www.youtube.com/watch?v=egdL7J5cVXk&feature=plcp

ただ、パンチャーの場合、ハワードのようにフォロースルーで後ろ脚に体重が戻り、腕を前に伸ばそうとするときに生じる後ろ向きの反作用を後ろ脚で支えます。

しかし、ベテミーのスイングにはそれが無い。。
http://www.youtube.com/watch?v=aupQ4JFN4xg&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=LkAv9GqUytw&feature=plcp

しかし、これは難しいです。ただ、本質的にはスインガーでは無いかと思うと言うのが今のところの見解ですね。下の動画の4本のヒットを見ても、スインガーの線が濃厚です。
http://www.youtube.com/watch?v=QdH0zdb_RlE&feature=plcp

では右はどうかと言うと、これもまた難しいのです。スイッチヒッターは基本的に使い分けると判別が難しくなる傾向が有ります。一人の人間の身体でスインガーとパンチャーを両立させようとするからゴッチャになると言うのが解りやすい説明です。

http://www.youtube.com/watch?v=UwiLM1daBsA&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=oCkaJn9b9_M&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=co9sG9Et22c&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=d0FNS13Qzp8&feature=plcp

左と比べて大きく違うのが、右の方が構えたところから素っ気なくバットが出て来ると言う事です。それに比べて左の方は、ステップして回転してバットが出ると言う手順が有るように見えます。しかし右は、そういうのは無しにとにかくいきなりバットを出して振ってるように見えます。つまり右は本質的にはパンチャーでは無いかと思います。

この、パンチャーにしてはダラーンとした感じのスイングはスイッチヒッターの右に良く見られるのです。カルロス•ベルトランやホセ•レイエスもそうです。このように、分類の作業にはこういった「判例」も役に立つのです。

カルロス•ベルトラン
http://www.youtube.com/watch?v=kuLKgxE9lFo&feature=plcp
ホセ•レイエス
http://www.youtube.com/watch?v=jpHwZrb8064&feature=plcp

最終的な判断としては、ウィルソン•ベテミーはスイッチヒッターの使い分けタイプでは無いかと言う事です。

ただ、もちろん、ベテミーがどういうタイプかと言う事が重要なのでは有りません。こうした分類作業により、双方のメカニズムがより浮き彫りになって来る事に大きな意味が有るのです。

ところで何故分類が難しくなったのか、もう一度整理しておきます。

左「肘を張って構えているのでトップハンドが効く」
右「一気に力を発揮する瞬発力の感じが希薄(スイッチの右には多い)」

これは引っかけ問題的な難しさですね。

2012年7月20日金曜日

7月20日雑記

(1)http://mlb.mlb.com/team/player.jsp?player_id=425545

ジョシュ•ウィリングハム

唐突にツインズの選手です。(動画は2011年アスレチックス)
http://www.youtube.com/watch?v=Cw3y0jbf9_E&feature=plcp

この打者は以前から高く評価していましたが、今期は23本塁打(8位)打率0.276(63位)打点67(3位)とかなり良い数字を出しています。

オートマチックステップでは無いものの、準備動作の小さい動きから一気に力を発揮して両手で振り抜く、実にパンチャーらしいスイングですね。大腿四頭筋が効いて腰の回転が小さい感じが有りますが。

http://www.youtube.com/watch?v=cDcC78zNckY&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=Yb4V8gi4Bw0&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=hfTSw2EfgJ8&feature=plcp

この動画では後半にハイスピードカメラの映像が有ります。
http://www.youtube.com/watch?v=ph3KlAvl6Z0&feature=plcp
トップハンドの手首が背屈し、バットが立った状態でインサイドアウトに振り出され、バットが横になってインパクトする当たりから前腕の回外に伴い、トップハンドの手首は掌屈します。これにより手首の返りが遅くなり、充分に両腕をセンター方向に伸ばせます。バットが前に突き出されたところは素晴らしく、この形が出来るのはボトムハンドの引きが小さいからです。引きが小さいのでボトムハンド側の肩甲骨が外転位に保たれ、両腕をセンター方向に大きく伸ばせるのです。そして、バットが垂直に立つシーンまでフォロースルーが進んでも、まだ手首は返っていません。これは両手振り抜きならではです。

ただ、ここで面白いと思ってほしいのは、この選手のスイングは所謂「前が大きい」部類のスイングでは無いと言う事です。それよりもむしろ両手でコンパクトに振り抜くイメージのスイングです。

しかし、両手振り抜きでメカニズム上で大きな間違いをしていなければ、外見上はコンパクトに見えるスイングでも、両腕を力強くセンター方向に伸ばし、手首の返しの遅い、「実質的フォロースルー」の大きなスイングになるのです。この打者のスイングはその典型でしょう。

一方、片手フォローを続けている選手のスイングは見た目のフォローは大きくても、手首が早期に返り、両腕を力強くセンター方向に伸ばせないスイングになる事が多いのです。

この「実質的フォロースルー」の観点から見ても、両手振り抜きが良いのです。

このスイングも良いですね。(後半、ハイスピード)
http://www.youtube.com/watch?v=yM8jI4nFt0k&feature=plcp
インコースなので、トップハンドの前腕が回内し、手首が背屈した状態でバットを立てながらインサイドアウトに振る必要があるため、手首の掌屈があまり無いですが、これぞパンチャーのインサイドアウトと言ったスイングです。とにかくトップハンドの使い方が良い上にボトムハンドの引きが小さい。

ただ、ボトムハンドの引きが小さいのは、大腿四頭筋が効いているため、腰の回転が小さい事も関係している可能性が有り、手放しで賞賛出来るものでも有りません。

この動画後半のハイスピードも良いです。ボトムハンドで引かないのでインパクトにかけて両肩甲骨が外転していき背中が丸まって行く様が良く出ています。
http://www.youtube.com/watch?v=ZUJSSTQRyMc&feature=plcp

この選手の成績を2006〜2011にかけてみてみましょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジョシュ・ウィリンガム

2006 打率0.277 本塁打26
2007 打率0.265 本塁打21
2008 打率0.254 本塁打15
2009 打率0.260 本塁打24
2010 打率0.268 本塁打16
2011 打率0.246 本塁打29

非常に安定してますね。1979年生まれの外野手です。今季は上手く行けば40本の大台も期待出来ます。30は打つでしょう。

2012年7月19日木曜日

7月19日 雑記

(1)http://baltimore.orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=476270

STEVE TOLLESON

1983年生まれで 右投げ右打ち 3塁手 メジャー通算46試合 打率0.241 本塁打3

まずまずの数字でしょう。因にマイナーでは735試合 打率0.283 本塁打52

http://www.youtube.com/watch?v=SMnn-Av9Vss&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=oqTNN6_PrLo&feature=plcp

非常にパンチャーらしいスイングですね。オートマチックステップではありませんが。阪神のマートンもこういうふうに打ってくれれば1年目のような活躍が出来るのですが。

http://www.youtube.com/watch?v=2wkM4Xx-WvY&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=kYAAjFmysh0&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=hH0Amr5enAo&feature=plcp
肩も強い。この打撃でこの守備は非常に魅力的です。

(2)http://baltimore.orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=406878

BRIAN ROBERTS

オリオールズ一筋で安定した成績を残している二塁手のスイッチヒッターです。1977年生まれのベテラン。

2004年から2009年の成績が良いですね。

この打者の分類がまた難しいのですが、恐らく体重移動による引きが有るだけで左右共にパンチャーでしょう。

右打席
http://www.youtube.com/watch?v=RWOCRDD-WpI&feature=plcp 横スロー有り
http://www.youtube.com/watch?v=mK3__amXbJQ&feature=plcp 横スロー有り

左打席
http://www.youtube.com/watch?v=5NNYwp9yGsQ&feature=plcp 横スロー有り
http://www.youtube.com/watch?v=A4pqK3p37Qo&feature=plcp

ただ、この分類法は根本的に誰が何タイプ誰々が何タイプと言う事に意味が有るのでは有りません。要するに、二つの異なるタイプが存在すると言う事が、実在の打者の中にかいま見える事に意味が有るのです。そして、一方に徹した方が良いと言う事です。そもそも塚口理論を知らない選手が分類困難である事は当然と言えます。

http://www.youtube.com/watch?v=Aiw5eivneWY&feature=plcp
守備。阪神の平野だったら、ジータースローをやるシーンですね。あのプレーは日本人にも出来るのだから、基本の一つとして、若いうちから練習したら良いと思います。松井稼頭央でさえ、メジャーの野手(ジャック•ウィルソン)から無理に正面に入ると見られている記事を読んだ事が有ります。

守備はよく見た事が無いですが、バッティングを見る感じだと、如何にも堅実な守備をしそうな感じですね。高校の先輩にこういう感じがいたようないなかったような気がします。

余談ながら、素振りでコース別のスイングを練習する方法を紹介しましょう。
基本的に、コース別の練習をする際、最初からアウトコース低めとかインコース高めとかを意識するのが普通ですが、それだと腕で操作したスイングになってしまい、実戦でのコース打ちのスイングにはなりません。

素振りの際は一点を見つめる事が重要だと書いた事が有りますが、その一点をインハイとかアウトローに設定すると、自然にそのコースに適応したスイングになります。しかもスイングも比較的実戦のそれに近くなります。この練習法はスインガーでも使えます。

因に重要なのは、やはりインハイとアウトローでしょう。ホームベース方向に傾いた脊柱軸に直交するラインがスイング軌道になりますが、そのゾーン内に入っているこの二つのコースは特に重要です。とりわけ、腰を大きく回しながらもインサイドアウトに振る事が要求されるインハイは高度な技術が要求されますし、重要です。インハイにアウトローを挟み、インハイ、アウトロー、インハイの順で振るのが良いでしょう。そのセットの中に時折アウトハイやインローを入れると良いと思います。

インハイに強いと言う事は、投手との対戦を有利に持ち込むうえで重要です。なぜなら、インハイを打つ自信が有ると、よりボールを引きつける事が出来るからです。自信が無いと早めに開いて対応するようになり、そうなると遅い球にも苦しむでしょう。
インハイに素早くヘッドを出せる自信が有ると、引きつける事が出来るので遅い球にも有利です。インハイを打ちこなせる技術が有るうえで、遅い球に抜かれたときの柔軟性の有る打者が最強ですね。

よく詰まる事を恐れるなと言いますが、恐れるも恐れないも、ドン詰まりの打球は内野ゴロでアウトになってしまうのです。だから泳がされるのも嫌ですが、打者は詰まるのも嫌なのです。そういうものなのです。ですから、インハイの速球を詰まらずに打てる技術が有ると言う自信はバッターボックスの中で大きな自信を打者に与えるものなのです。この自信が無ければ「インハイに速球が来たらどうしよう。詰まって内野ゴロになるのが嫌だから、早めに腰を回して対応しようか。でもそこに遅い球が来たらどうしよう。」となって、打者は半分パニック状態になります。

(3)http://baltimore.orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=456665

STEVE PEARCE

メジャー通算536打席 126安打 打率0.235 本塁打12本 1983年生まれの外野手。

http://www.youtube.com/watch?v=6dS15J3_8Xc&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=RxQ3-YDY1I8&feature=plcp
マーク•マグワイアを彷彿とさせる凄い片手フォローの打者ですね。ステップはオートマチックステップでは無いようにも思えますがどうでしょう。少なくともアメリカの技術論だと、オートマチックステップもこの打者のステップも一緒くたで何ら区別されないと思います。
片手フォローでもパンチャーの場合、準備動作を取らずに構えた位置から一気に力を発揮して振り抜いていると、比較的良いスイングが出来ます。ただ大味な打撃になるのは否めないでしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=3I-j2ZCLHAA&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=AAXYXCZLdxY&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=aDjy4ppnNGs&feature=plcp

基本、片手フォローは止めた方が良い(特に日本人の場合)のですが、この打者の場合「筋肉が力むような上半身の構えでは無い」「準備動作が小さく、構えた位置から直接、一気に力を発揮している」と言う二点を考えると、そこそこは打ちそうです。

もちろん、上記は「パンチャーでの片手フォロー」の場合で、スインガーには関係の無いことです。

スインガータイプと言えばジョシュ•ハミルトンですが、スインガー界にとってはダリル•ストロベリー以来の大物だと思います。その間にトニー•グウィンとかゲーリー•シェフィールドがいましたが。

因に同じ白人の左打者でも、スインガーとパンチャーではスイングが大きく違うと言う事は、ジョーイ•ボットとジョシュ•ハミルトンを比べるとよくわかります。

ジョーイ•ボット トップハンド側をメインエンジンとする。
http://www.youtube.com/watch?v=lA9hSe5DfRI&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=QSGDIm8RIfo&feature=plcp

ジョシュ•ハミルトン ボトムハンド側をメインエンジンとする。
http://www.youtube.com/watch?v=lHh5BwbOQ7Q&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=7PGq--5lmbc&feature=plcp

2012年7月18日水曜日

7月18日 雑記

(1)http://baltimore.orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=475247

RYAN FLAHERTY

http://www.youtube.com/watch?v=U7ZCCbkHCUU&feature=plcp

スインガーのように見えますが、おそらくパンチャーでしょう。オープンスタンスからの大きな重心移動と、トップの位置から離れたバットの構えがヘッドの出を遅くさせて、スインガー的に見えるのだと思いますが。。横からのスローモーションでも無いと断言できませんね。

1986年生まれ 右投げ左打ち
メジャー通算 52試合 96打席 20安打 打率0.208 本塁打2本 
今期メジャーデビューした選手で、この数字だと、まだ判断しようが無い状態です。打率0.208と言うと低い印象ですが98回打席に立って20回ヒットを打つと言うのは上出来だと言う見方も出来ます。なおかつ、その少ないチャンスの中でホームランを2本打てている。

http://www.youtube.com/watch?v=V6WJSWXCaQM&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=vyCahz2OqLs&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=POLm3LfEQXo&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=GYgF__TLx3c&feature=plcp

非常に難しいです。しかし身長191センチで、これだけのスイングをする野手が、この感じで存在しているあたりがメジャーの奥深いところです。

(2)http://baltimore.orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=502031

RYAN ADAMS

http://www.youtube.com/watch?v=NvxLuRpx5os&feature=plcp
バットのデザイン、リズムの取り方など、バリー•ボンズへのリスペクトが感じられる選手です。右打ちですが。

メジャー通算 89打席 25安打 打率0.208 本塁打0 1987年生まれの若手の二塁手です。

ただ、センスが有ったとしても、こういう打撃をやってしまうと実戦的には厳しいと言わざるを得ません。このリズムの取り方、片手フォロー。かなり難しい打ち方をしていると言う事です。

http://www.youtube.com/watch?v=V1cGFuEY1Ds&feature=plcp
この動画では両手で振り抜いていますが、フィニッシュでボトムハンドが上手く畳めていないのも、このリズムの取り方からの片手フォローを続けていると、こうなると言うことです。ただ、脚の挙げ方が上手いところに打撃センスを感じますね。Aロッドやリッチー•セクソンに通じる脚の挙げ型で、ホセ•バティスタのようには大きく後ろに乗せず、脚のあげるタイミングが遅いタイプで、これは身体の使い方的には、より高度です。

http://www.youtube.com/watch?v=955NxeIywC4&feature=plcp
この動画を見ても、上手く打ってます。いわゆる「センスの有る」選手なのでは無いでしょうか。ただメジャーで活躍するとなるとセンスだけでは不足で「正しい技術の選択」をする必要が有るのです。その辺を誤ると、センスが有っても活躍出来ません。

スイングが遅くなったベテランでも「ボールがミートポイントに来た時に、そこにバットを出す能力」が有れば、打ちます。反対にスイングが素晴らしくても、それが下手だと打てないでしょう。タイミングと言うのか、それだけでは無いように思いますが、ボールを捉える能力と言うやつで、これはゲーム勘にも通じます。経験値でも有るでしょう。つまり、場慣れして、野球のゲームの中で打つ事に慣れている(上手い)選手と言うのがいるわけです。この打者は、そういう意味での上手さは感じますが、フォーム的にはやや勿体ないですね。

(3) http://orioles.mlb.com/team/player.jsp?player_id=123272

ジム•トーミ http://ja.wikipedia.org/wiki/ジム・トーミ

オリオールズ重量打線の極めつけは今期加入したジム•トーミです。今期途中にフィリーズから移籍。

http://www.youtube.com/watch?v=Q3Zfv-uQ8LU&feature=plcp
メジャー通算609本塁打 意外と高い打率0.277 1970年生まれ

一見荒っぽさそうで、その実、高い数字をコンスタントに続けている打者です。この選手の良いのは、今まで常に両手で振り続けて来た事で、この選手が片手フォローでホームランを打ったところは私は今まで見た事が無いと思います。その事が長期的に安定したスイングの継続を可能にしているのでしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=ACutzresWDk&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=IzhL2LdBmEw&feature=plcp 横スロー有り
http://www.youtube.com/watch?v=ex32iWrY4Q0&feature=plcp 探せば有った片手HR
http://www.youtube.com/watch?v=itbCIQ2IXIE&feature=plcp

流してホームランを打つ上手さも有ります。フォーム的にはオープンスタンスからのオートマチックステップでスクエアに踏み込んで来るタイプです。グリップのコックが良いのも長所です。

いずれにしても両手振り抜きのオートマチックステップの打者が、長期的に安定した成績を記録し、積み上げたホームランが609本で打率が0.277になるわけです。