2013年8月8日木曜日

平田さん 進化の記録2

※ 前回の記事は中断して、続きはこちらに書いて行きます。



今回のテーマは、まず短期的に結果を出すために最重要となる「後ろ脚の機能改善と強化」「投球腕のストレッチ」そして「腸腰筋とハムストリングス関係のトレーニング」でした。それに加えてフォームの微調整も行ないました。

今回、最も気になったのが、1回目に行なったフォーム改造を基に、しばらく練習を続けた結果として、グラブ腕が背中に引けるクセが出て来た事です。そして、それとの関係で、下の写真の形が気になります。

ここでのグラブ腕の形が、フォローで背中側に引ける原因になっているのですが、それもある意味で「細かい事」なので、ひとまずそこは気にしないでください。

それよりも、気になるのは、始動が遅く見えるということです。この写真の段階で、ようやく「ON」になった瞬間に見えるということです。ONになると言うのは始動すると言う意味です。つまり、始動が少し遅いのでは無いかということです。そして、始動する前に後ろに体重を乗せてタメを作り(無意識的に)身体を開かないようにキープしてバランスを取ってるのが、写真の状態のように見えるわけです。

そう思って、道路でのシャドーを見ると、まだ少し後ろに移動が有る(抜きになりきっていない)のと、後ろ脚で地面を押す力が若干弱い事が解ります。始動が遅くなると、後ろ脚に体重が乗っていない状態からの始動になるので、後ろ脚の力が使いにくいわけです。

そこで始動するリズムについてですが、ワインドアップでは「クッと脚を挙げて、フッと力を抜いて、ガッと投げる」と言うリズムで投げてもらいました。しかし、これが「抜きを利用したセットポジションからの投球」では変わって来ます。

ワインドアップでは後ろ脚の上に乗るので「フッ」でタメるリズムが取れるわけです。ところが「抜きによるセット」で同じ事をやると、後ろ脚に乗っていないぶん、身体が前に流れてしまい「始動が遅い」状態になります。

おそらく、今回の動画撮影の時点では、まだこの「フッ」のリズムが若干(ホンの僅かですが)あったのかなと思います。そして、その間を取りたいというか、そういう感覚で投げたいために後ろに移動する動きが出るのかなということです。この「抜きによるセット」と言うのは今まで教えて来なかったので、理論化するのが遅れましたが、結論から言うと「抜きによるセット」ではワインドアップとは大きくリズムが異なると考えて下さい。

抜きによるセットでは、構えた状態で既にワインドアップにおける「フッ」の状態になります。つまり構えでリラックスしておく事の重要性がまず挙げられます。そして、その「フッ」でリラックスした状態のまま脚を挙げて、後はそこから「ガッ」と投げると言うリズムです。つまり「抜きによるセットからの投球」では「フッ」の間を無くして、「クッと脚を挙げて、ガッと投げる」と言うリズムになります。そして「フッ」の間を無くすぶん、構えた時点で既に「フッ」の状態であると考えておく必要があるということです。つまり言い方を変えると「フッの状態のままクッと脚を挙げて、ガッと投げる」と言うリズムになります。「抜きによるセットからの投球」で「フッ」の間を取ろうとすると、後ろ脚に乗っていない分、始動が遅れるということです。

つまり、ポイントなので大きく書きますが、

抜きを利用したセットからの投球では「フッ」の間を省略する。

と言うことです。

よりシンプルに表現すると

挙げて、投げる

と言うリズムです。

「挙げて、降ろして、投げる」では無く、「挙げて、投げる」のリズムなので、そこを間違わないようにしてください。そして、それをするためには「乗せる脚挙げ」では無く「抜く脚挙げ」の方が相性が良い事が解ります。

このリズムが上手く出来ているのがヘレーラです。キンブレルよりもヘレーラの方が僅かに始動が早いように見えます。2球目などは「クッと脚を挙げてガッと投げる」感じがよく出ているように見えます。


このへんは感覚的に見るより他は無いのですが、ヘレーラの脚を降ろして来る動きと言うのは、その時点で既に「ON」になってるように見えるのです。後ろ脚に乗ってタメているバランスでは無い事から、それが解ります。

まず、一番重要なポイントとして、この「始動するリズム」を書きました。まずはこれを試してみてください。フィニッシュでの後ろ脚の出方がダイナミックになり、グラブ腕の引けが小さくなれば大成功です。

続きます。

下の動画は「挙げて、投げる」を実践したものです。フォーム的には全然ですが、リズムを見て下さい。重心が下がるシーンでは既に始動しています。始動した後に、無意識で重心の下降が起きるが、その動きを「認識」している状態です。

前脚を挙げて、重心が下がって、身体が前に出る。その一連の動作のリズムをヘレーラと比較してください。ヘレーラも「挙げて、投げる」感覚で投げているはずです。

そして、この動画ではフィニッシュでグラブが身体の前に残り、後ろ脚が一塁側に着地するターン&タンブルの形が取れています。平田さんも、ハムストリングスと腸腰筋を使えるようにトレーニングしたうえで、このリズムで投げて行けば、同じようなフィニッシュになるはずです。まず、この2点が出来るようになってください。それだけで球速が違って来るはずです。
写真の、グラブの残りかたと前脚の着地位置を見て下さい。この2つがフィニッシで出来ないと言う事は、どこかにパワーのロスがある事になります。つまり、この2点は、投球フォームの善し悪しを見るためのバロメータになるわけです。途中、若干悪くても、この2点が出来ていれば良いとも言えるくらいです。

まず、ここがフォーム改善における最初のテーマになります。

その他、変化球については、下の動画でパンチャーカーブとスインガーカーブの違いをイメージ出来れば、そこからトライして行く事が出来ると思います。

続きます。

もう一度、フォームの話に戻しますが、下の動画を見て、グラブ腕が残る投げ方と、グラブ腕が引ける投げ方の違いをイメージで理解してください。平田さんの場合、典型的なグラブ腕が引ける投げ方になっており、それはグラブ腕で壁を作るような動きに起因しています。ちなみにダルビッシュもそういう所があります。

グラブ腕が引けると前肩が背中側に逃げるので、そこから回転の力が逃げて行きます。

一方、グラブ腕が残ると、前肩が引けないので、力をロスしません。

また、グラブ腕が残ってくれると、そのぶん、下半身が逆に回りやすくなり、一塁側に着地するターン&タンブルフィニッシュも出来やすくなります。逆に背中側に引けると、回転の力をロスするわけですから、ターン&タンブルフィニッシュも出来にくくなります。軽いシャドーで確認すると違いが解りやすいでしょう。

ですから、ここの部分に「グラブ腕が背中側に引けて、回転の力をロスする」「フィニッシュで後ろ脚が一塁側に回って行かない」と言う平田3の問題点が凝縮されており、それは最初のグラブとボールを割る時の動きに関係があると言う事です。

そして、その原因は、下の写真の形を作ってしまう事に有ります。この形を作ってしまうと、グラブ腕が背中側に引けやすく、その結果、フィニッシュも一塁側に着きにくくなります。

下の写真は、グラブ腕が上手く残っている例です。最初の割り方に注目してください。左右対称の形が出来ています。この形が出来ると、グラブ腕が残りやすくなります。

以上です。次回は、細かいフォーム改善をテーマにしたいので、事前(出来れば一週間以上前)に動画を見せてください。