この動画の0.40からの投球はカーブのようだが、色々調べると「スラーブ」らしい。そう言われると、フォロースルーの取り方が(小指からチョップを切るように腕を出して、その後に内旋して、小指が上になる)スライダーに似ている。
ところで、松坂はパンチャータイプに分類されるが、この変化球の投げ方は「抜く」感じで、スインガーの印象に近い。
この点については、松坂は、振りかぶる昔式のワインドアップ投法だと言う事が、関係しているのでは無いかと思う。動画のスラーブはセットポジションから投げているが、この種の昔式ふりかぶりフォームは、現代式ノーワインドのフォームと違い、セットポジションからでも、基本的に振りかぶる投げ方と同じ身体の使い方をする。(この辺は話の主題から逸れるので、簡単に済ませておきたい。)
そこで、比較として、メジャーでよく似たタイプの投手を挙げてみる。
ブレット・マイヤーズ
この投手は以前、スインガーに分類した事が有る。見てのとおり、抜くような投げ方で縦に割れる大きなカーブを投げるから、そう思ったが、ストレートを投げる所を見ていると、どうもパンチャータイプのようだ。解りやすく言うと、西武の西口と似たタイプのフォームだと言える。
では、この明らかに腕を抜いているカーブの投げ方は何なんだろう。
ただ「抜く」とは言え、腕の使い方はパンチャーカーブのそれに近い。
シャドーでも解るが、この種の振りかぶり型フォームの場合、カーブを投げるときだけスインガーとまでは言わないが、スッポ抜くような投げ方が可能になる。だから、「昔式の振りかぶりフォームのパンチャータイプ」が投げるカーブは、投げ方、軌道ともにスインガーカーブに似ている。
投手については、パンチャータイプ自体は、日米共に昔から沢山いた。しかし彼等が投げるカーブは、今で言うスインガーカーブに近い。だからこそ、スインガーカーブが「オーソドックスなカーブ」のイメージと重なるのだろう。
この事について気が付かせてくれたのが、ブレット・マイヤーズだ。それによって、江川卓や渡辺久信のようなパンチャータイプだと考えられる投手がスインガーのようなカーブを投げる事が理解出来た。こういう事が有るので、観察とタイプ分けの作業は面白い。誰々が何タイプと言う事よりも、こうした発見に大きな意味が有る。