2013年8月11日日曜日

ビリングスリー、ウィーバー、フィスターのパンチャーカーブ

それでは、パンチャーカーブの典型的な例を動画で紹介したい。
パンチャーカーブの特徴は、ポンッと弾むように跳ね上がった後、落下しながら加速するような独特の球筋で、スインガーカーブの「縦に割れる」カーブのようなドロンとした球筋では無い。変化の大きさは、一般的にスインガーカーブより小さく、球速も速い事が多いが、投手によっては遅く大きなカーブを投げる場合も有る。ただし、メカニズム的に完成度の高いパンチャータイプのカーブは、スインガーカーブよりも基本的に変化が小さく球速が速い事が多い。特に「スローカーブ」はスインガータイプの独壇場で、パンチャータイプはほぼ投げられないと言っていいだろう。

ここでは、チャド・ビリングスリー、ジェレッド・ウィーバー、ダグ・フィスターと言った、メジャーでも一線級の先発右腕のパンチャーカーブを紹介するが、3人とも基本的に「カーブ、ツーシーム系」のピッチングスタイルである事が興味深い。

チャド・ビリングスリー 3球目がカーブ。このカーブは、パンチャーカーブとしては教科書的なものだろう。因に最後の球はスライダーだろう。微妙に投げ方が違う。カットボールのような球も有る。カーブは3球目だけ。


ジェレッド・ウィーバー 球筋はビリングスリーほどパンチャー的では無いが、投げ方が典型的なパンチャーカーブのそれだ。フィニッシュで左脇腹から見える手にパンチャーカーブの特徴がよく表れている。


ダグ・フィスター フィスターはパンチャータイプとしては珍しく大きなカーブを投げるが、それはパンチャーとしてはゆったり目なフォームのためだろう。0.52からのカーブで空振りを取るシーンは芸術的だ。全編に渡り、カーブとツーシームが投げられている。


投げ方の特徴が掴めただろうか。
いくつか外見的な特徴を挙げておきたい。
自分でも試した事は有るが、上手く行かなかったので「投げ方」の話では無く、外見的なフォームの話だということをお断りしておく。

●まず、根本的に腕を抜かずに振って行く。その中でボールを弾くように抜く。
●(よく言われる)トランプをめくるように手首を捻る感じでは無い。
●自分の前の空間を袈裟切り状に斜めに引っ掻くような腕の振り。
●肘を曲げたまま、右の小脇に何かを抱え込むようなフィニッシュ。
●抜くと言うよりボールを指(中指と親指)で弾き出すような感じ。
●小手先ではなく、肩甲骨ごと動かして袈裟切り軌道で引っ掻くので、手の軌道が打者方向に膨らんだ曲線軌道を描くような腕の振り。

だいたいこんな感じだろうか。

ただし、基本的に変化球を投げる時に、腕の振りを操作すればするほど、本来の投げ方に影響が出る。そこに注意する必要があるし、また変化球の練習をする時はストレートをコマメに挟んで行く事が重要になる。