2013年8月5日月曜日

ボールの握り方

ピッチャーのボールの握り方という基本について、再考してみたい。

下の写真は一般的に正しいと言われているボールの握り方。

ポイントは親指で、人差し指と中指の間に置く。つまりボールの真下を支える。そして、親指は腹(指紋の部分)でボールを支えず、側面で支える。だいたい、どこへ行ってもこの教え方だと思う。

ただ、最初に勝手に野球をやり始めた子供が、こんな握り方をするとは思えない。そこで「ボールの正しい握り方を知らない人が多いが〜」と言う決まり文句から始まって、この握り方が教えられる事が多い。

ただ、この握り方だと、手が小さい人の場合は特に、親指をボールの真下まで持って来るのに、相当な無理がある事が解る。

ここで生まれる疑問としては「じゃあ、外野手のバックホームは正しいボールの握り方とはずいぶんかけ離れた握りで投げている事になるね。」「そもそも何でモノを握って投げるのに、いちいち親指の側面で支えるような不自然なマネをしないといけないのか。」と言うのが有る。

下の写真は正しい握りの対局として紹介される事の多い、親指の腹で握る持ち方。もちろん、これは良く無い。

親指の腹で持つと、握る力が入ってしまうので良く無いのだろうが、それを避けるために、わざわざ「完全な側面」で支える必要が有るだろうか。握る力さえ入らなければ、そこまで親指の側面に拘る必要は無いのでは無いか。

それでは、前述の「正しい握り方」は、何を基準にして正しいと言われているのだろうか。それは恐らく「正しいストレートはバックスピンである」と言う固定観念からだろう。しかし、そのような考えは「自転車を乗る時にはヘルメットをかぶり、横断歩道を渡る前は左右を見てから手を挙げて渡りましょう。」と言ってるようなもので、ほとんど現実を説明しない。サイドスローでもバックスピンになると言うような事を無理矢理説明しようとしているような話も有るが、始めからバックスピンと言う考えに固執しなければ、そんな説明も必要では無くなる。

だいたい、前述の「正しい握り」を教えられた子供は、そうとう窮屈に感じるのでは無いだろうか。

そこで、ここでは新しい握り方を提唱してみたい。

それがコレ。

ボールを、人差し指、中指、薬指の側面、親指のやや側面の4点で支える。この方が身体の作りから考えても無理が無いし、安定してボールを支えられる。親指をボールの真下に持って来るよりかは無理が無い。そして「正しいストレートはバックスピン」の考えを捨てる事で、この握りを肯定する事が可能になる。

また、この親指のポジションだと、ボールにタッチするのは親指の側面よりも少し腹寄りになる。つまり、先の「側面で支える」と「腹で押さえる」の中間になると言うわけだ。親指の使い方としては、コレが最も無理が無いと思う。

ところで、この話には実は元になったネタが有る。立ち読みだったので書籍名は忘れたが、確かムック系の本で大阪のリトルリーグの監督で熊田と言う人の話だったと思う。そこに書かれていたのは「子供は手が小さいので一般に言われている正しい握りは難しい。なので4点で支えるように言っている。」と言う事だった。そこからの着想なのだが、大人でも案外そのほうが正しいのでは無いだろうか。なんでワザワザ話の出自を書いたのかと言うと、その方がチョットは安心して試せるでしょう。

それに、最初の「バックスピン用」の握りだと、バックスピンにならなかった場合は全部アウトになるような気がしてしかたが無い。