2013年9月18日水曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(ちょっと一息)オートマチックステップもどき

この企画で繰り返し書いて来たように、オートマチックステップの全盛期は1990年代だったと考えている。パンチャータイプの主流化とほぼ同時に全盛期を迎えたこの打ち方は、2000年代に入ると、収束を迎える。

その一つの大きな原因になっているのは、「オートマチックステップもどき」の流行では無いかと考えられる。現場レベルの技術論では理解する事が難しいオートマチックステップのメカニズムを、現場レベルの技術論で再現しようとした時にオートマチックステップもどきが生まれたのでは無いだろうか。つまり、90年代に有効性が実証された打ち方を指導者層が研究し、それを若い選手に教えようとした結果がオートマチックステップもどきであるとすると、何とも皮肉な結果である。

今年のナショナルリーグで打率2位をキープしている、クリス・ジョンソンと言う打者もオートマチックステップもどきだが、彼が90年代にプレーしていたら、オートマチックステップで打っていただろう。実際、その当時のメジャーでオートマチックステップもどきの打者と言うのはちょっと思いつかない。


マリナーズのフランクリン・グティエレスもそうだ。パンチャー的な意味でのセンスの高さを感じさせる選手だけに勿体ない。


オートマチックステップもどきの流行に一役買ったと思われるのが、90年代に少年時代を過ごし、2004年にメジャーでビュしたデビッド・ライトである。前脚を着地した後にワンアクションはいるので、オートマチックステップと紛らわしいと言う事は無いが、メカニクスは典型的なオートマチックステップもどきのそれだ。


この打ち方は、一種の「アメリカ打法」であり、アメリカ出身の選手に多く見られる。実際、アメリカの教則系動画などを見ても、オートマチックステップもどきの打ち方を教えているケースをよく見る。

オートマチックステップもどきは、前足を着地した状態から始動するが、その時に前脚を地面から離さないので、本質的にはノーステップに分類される。ただ、タイミングを取る時に後ろ脚に大きく体重移動出来るので、ノーステップよりはパワーが出るが、それでもパワーの面で限界は有るだろう。

なお、タイミングと言うテーマで考察すると、リリース前始動と言うオートマチックステップの弱点を克服している点などが、唯一評価される。

おそらくだが、このオートマチックステップもどきと言う打ち方は、置きティーの中で形成されていく傾向が有るのではないかと思う。特にライトのように深く肩を入れるフォームは置きティーだと打ちやすい。中南米でも置きティーは行なわれるが、置きティーとフィットする意味でもアメリカらしい打ち方だ。

DVD発売中です。詳細は、コチラへ。