2013年9月7日土曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(11)ケン・グリフィーJr

オーランド・ハドソン、デビッド・フリーズと来て、ケングリフィーJr に至るのは「巡礼の旅」としては、北極から南極に移動するくらいの大移動を意味する。同じオートマチックステップでも、そのくらい性格の違うバッターだ。

メジャーリーグのオートマチックステップ史上、これだけ高い重心で打ったバッターも中々いないだろう。

そのぶん下半身の力は使いにくくなるが、若干背筋を伸ばし気味にして、骨盤を前傾させ、さらに、そこから踵での足踏みを上手く使う事で、ハムストリングスの力を最大限に使っている。ただし、背筋を反り気味なぶん、スイングはやや外回りに出て来る。

左投げ左打ちらしく無い、ヘッドの出が遅いスイングだが、逆に、こういう構えで打てるのは左投げ左打ちだからこそとも言える。右投げ左打ちなら、少なくともジアンビくらいの構えでないと打つのは難しいだろう。ある意味、もとっもオートマチックステップらしくないオートマチックステップの打者であり、このグリフィーとジェフ・バグウェルのメカニクスが同じである事を看破するのは普通では難しいと思う。

0.55から、横からのスローモーション有り




高重心ゆえの揺らぎやすさを活かして、揺らぎを上手く使っている。そこから止まらずに、揺らぎの連続で始動する。

ハンク・アーロンのホームラン記録を抜く事が期待されていた打者だが、守備での度重なるケガで、成績を落とし、通算本塁打は630本に留まった。野茂が渡米した当時は、メジャーリーグの代名詞のような存在であり、バリー・ボンズがかすんで見えるほどであった。しかし、実際には、デレック・ジーターのようなコンパクトでショートストロークなスイングを身につけたバリー・ボンズがハンク・アーロンの記録を抜く事になる。そのへんに技術論の時代の流れを感じさせる。

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