2013年9月20日金曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(67)アレックス・リオス

2013年のWBCではプエルトリコ代表で出場し、日本戦でホームランを打った打者。かつてブルージェイズでバーノン・ウェルズと打線の中核を形成していた。その後、ホワイトソックスに移籍し、2013年からレンジャーズでプレーしている。

ファイブツールプレイヤーの外野手と言いたい所だが、そう言い切るには、若干、インパクトに欠けるきらいが有る。WIKIの記事

通算成績はメジャー10年間で 打率0.278 本塁打159本 盗塁222

ウェルズに輪をかけて、膝を折って大腿四頭筋を効かせる構えなので、やはりスイングは小さい。リオス、ウェルズ、モーノウと見れば、大腿四頭筋が効くとどういうスイングになるかということが良く解るだろう。悪くは無いのだが、爆発的な長打力は期待出来ないスイングだ。

ブルージェイズ時代。今より、オートマチックステップ色は濃い。





リオスは構えで前脚をつま先立ちにしている。こうすると、前脚の膝が前に潰れるので、連動して後ろ脚の膝も潰れる。結果として、大腿四頭筋が強く働く。リオスは195センチ台の身長で、見るからに運動能力の高そうな体形で、実際、外野の守備能力も高く評価されていた。しかし、打撃では今一歩パワーを発揮しきれていない感が有るのは、ハムストリングスが使えていないからだろう。ハムストリングスが使えていないので、始動の立ち上がりも遅い。バッティングスタイルは良いのだが、メカニクスにやや問題が有るということで、その点は、ウェルズやモーノウと共通している。オートマチックステップと言う人種の中の同じ種族に属している3人だと言えるだろう。ともに3割前後25本前後の打者で、スイングは小さいが、パンチャーの特徴を活かしたタイトかつストロングでヘッドの出が早いスイングが出来ているのは良い。

こちらは、ホワイトソックス時代。かなり、重心が高い構えになっている。ところで、前脚をつま先立ちにする前には足裏全体で立っており、そこからタイミングを見計らって前脚をつま先立ちにしているので、ある意味で二段ステップとも言えなく無いが、ここまでつま先立ちになっている間が長いと、タイミングを取っていると言うよりは構えを作り直していると言った方が適切なので、二段ステップには分類しにくい。かといって、オートマチックステップと言い切る事も難しい。(一応、つま先立ちになるタイミングが投手のモーションと連動しているので。)


ただ、二段ステップの本質はオートマチックステップなので、二段ステップ自体がオートマチックステップの一種だと言う言い方も出来る。特にリオスの場合、完全に静止した状態から始動するので、その意味ではオートマチックステップの純度は高い。2000年代を代表するオートマチックステップの一人であるとも言える存在だ。

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