2013年9月20日金曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(69)アーロン・ローワンド

現在はフリーエージェントの外野手。2007年には27本塁打の打率0.309を記録している。通算成績は、メジャー11年で打率0.273の本塁打136本。(wikiの記事)





見ての通り、オートマチックステップとしての純度は高いが、ローワンドもまた「ドッシリ系四頭筋族」の一人である。スローで見るとステップの動きが特徴的で膝下をホームベース方向に蹴り出すが、この動き等は四頭筋による膝伸展に他ならない。

構えの作り方が特徴的で身体を背中側に倒し、大腿四頭筋をストレッチして、そこから身体をホームベース側に倒して股関節を屈曲させる。この動きは何を意味するのか。

見逃されがちだが、大腿四頭筋には骨盤を前傾させる働きが有る。股関節の屈曲=骨盤の前傾だからだ。そのため、まず大腿四頭筋を引き伸しておき、その反射で収縮する力を使って骨盤を前傾させて(股関節を屈曲させて)構えを作っているわけだ。

これはつまり、ラボで行なっている、腰を反って腸腰筋をストレッチした後に、股関節で身体を折り曲げて構えを作るのと同じ理屈で、それをローワンドは大腿四頭筋を使ってやっていると言う事になる。ただ、もちろん、その結果として、最終的に出来上がった構えでも大腿四頭筋は効いてしまう。「惜しい!」としか言いようが無い。

四頭筋が効いているので、スイングもコンパクトだが、ドッシリした構え自体は、非常にオートマチックステップらしく、そこからのスイングも、非常にそれ的だ。ただ、一般に、ドッシリと言ってしまうと大腿四頭筋を効かせてドッシリさせてしまう人が多いわけで、結果として、MLBの「ずばりオートマチックステップそのもの」的な打者の多くが大腿四頭筋を効かせてしまっているのは残念な現状である。キューバ等は、そういう感じが無く、大胆にクラウチングして来るので、良くも悪くも、あれだけ振れるわけだ。

このあたりはサミー・ソーサやジョージ・ベル、ジョー・カーター等のクラウチング系の構えが多かった90年代の方が上手くやっていた。外角のストライクゾーンとかも関係があるのだろうか。

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