2013年9月22日日曜日

きたろうさん 1回目

ご来場ありがとうございました。


既に充分に理論を理解されていると思うので、手短に結論から書いて行きます。

まず、基礎的な身体の使い方として、腸腰筋とハムストリングスを使うと言う事、そして、股関節を割るということにまだまだ改善の余地がある事はお話した通りです。

技術的に最大の問題は、揺らいでいる時にバットが動くのは良いのですが、それによって手が緊張した状態になり、その状態から、そのまま振ってしまっている所です。その結果、体重移動や腰の回転が中途半端に終わる傾向が有りますし、また腕が緊張してるので、トップハンドが出るタイミングも早いです。なので、外角球に対して、早く手首が返ってしまったり、遅いボールが来る前に振ってしまったりしています。つまり、「悪い意味でトップハンドが強い状態」になっており、良く言われる表現を使うと「後ろの肩が突っ込んでいる」状態になってしまっています。

また、(自分では気が付きにくいかもしれませんが)上半身が緊張してしまっているので、体幹部の力も、スイングの中で充分に活かし切れていません。

※)この種の「筋肉の緊張」は自覚出来ていない場合が多いのですが、そういう人でもバットを回してから構えの時間を短くして振る素振りをしたりすると、スイングが変わったりします。それを見ると、やはり緊張していたのだなと言う事が解ります。

なので、もう少し、揺らいでから打ちに行くまでに止まる間を作る事を重視すると良いでしょう。

ここで(揺らぎによる)体重移動を一度、完全に止めて、一拍の間を取って下さい。その時、バットは僅かに揺らぎの余韻で揺れている感じですが、その一拍の間を取っている時に、身体の重みを地面に落としてやると、バットの重さを身体全体で受け止める事が出来ます。それが出来ると手が力まなくなります。

※)バットを止めると書いていましたが、これは当てはまらない場合もあるので訂正します。

こうした事が出来て来ると、もう少し手が遅れて出て来て、体幹の力を充分に使えるようになります。実際、素振りなどを見ても、その「間」が非常に短いので、手が緊張したまま振りに行ってます。ここで、最後に息を「ふぅっ」と吐くくらいの間(実際には吐かないです。)を一拍取ってやると、良いでしょう。そこでバットの重みを一度地面まで降ろしてやるわけです。止まると緊張してしまうイメージが有りますが、コツが掴めるとそんな事はありません。


この動画のアンドリュー・ジョーンズの1.40からのスイングを見て下さい。ジョーンズが良いのは、揺らぎをやめてから、間を取っている事です。それが出来ているので体重を地面に落とす事が出来て、無駄な力みも無く、バットを全身で支える事が出来ています。ですから、このくらい体幹をフルに使った豪快なスイングが出来るのです。ジョーンズの揺らぎでのスムーズな動きと、そこから打ちに行く時の、間に注目してください。腕が緊張していないから、身体の深い所の筋肉が使えているので、動きにバタついた感じが全く有りません。こういう身体の使い方が出来る人はメジャーでも有る程度、限られて来ます。そして、今のきたろうさんのスイングに一番、欠けているのが、このジョーンズの感じです。これが出来るようになるだけでも大きく違って来ると思います。


この動画では、特にホームランのスイングでは「間」が長くなっています。これはジョーンズとしては少しじらされた状態でしょう。ただ、それによって、ジョーンズが間を取ろうとしている事が解りやすくなっているスイングでは有ります。


この動画は横からなので解りやすいでしょう。ピッチャーが投げるタイミングによって「間」はマチマチですが、全部見ると、ジョーンズが間を取ろうとしている事が解ります。つまり、揺らぎで最後に前脚の踵に体重を乗せた後(塚口理論的には足踏みを止めた後)に一拍の間を取っていると言う事です。



なお、きたろうさんのスイングで(素振りの中で)ステップで前脚の挙りが大きいのは、手が緊張しているからでしょう。理論的に説明する事は中々難しいのですが、単純に言うと、上半身もアウター系の筋肉が優位になっているから、下半身もアウター系の筋肉が優位になって、動きが大雑把になってしまうのです。(アンドリュー・ジョーンズの前脚の上がり方とは対照的です。)これ等も、前述の「止まる間」が出来ると改善されるはずです。

また、実打の場合は、ステップでの前脚の上がりは小さくて良いですが、そのぶん、手が出るのが早い(早く手首を返す)スイングになってしまっています。つまり「手が緊張している事の悪影響」が素振りと実打で姿を変えて表れているわけです。(この辺は素振りと実打の間にある違いに起因するものでしょう。)なので、「素振りで前脚の挙りが大きい」と言う問題と「実打で手が出るのが早い」と言う問題は、「止まる間」が出来るようになると、改善されると考えられます。

もう一つ、技術的には、スイングする時に、前軸の効いたスイングを作って行く必要が有るということです。この事を重視して素振りをするようにして下さい。つまり、素振りの場合、最後は必ず正しい巻き戻しの形で終わる必要があるということです。実打や試合では若干崩れる事は有りますが、素振りでは100%に近い確立で出来ている必要があります。

大雑把に書くと、このくらいです。問題は、これらを短い練習時間の中で、どのようにこなしていくかと言う事ですが。。

まず、股関節の割りと腸腰筋、ハムストリングスのトレーニングは家でも出来るでしょう。後は、素振りの中で「止まる間」を作る事と「前軸を作って巻き戻して終わる」と言う事を意識してバットを振って行けば充分です。

ひとまず、上記のような感じで練習していくと良いと思います。さらに、今回行なった「捻り方」や「上半身の形、グリップ」等も、素振りの中で随時思い出しながら練習してモノにしていってください。

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ちょっと間隔が空いたので、二つほど、付け加えます。

まず、動画を見てください。


林さんの方が、フォロースルーで腰に反りを作れている事が解ると思います。一方、きたろうさんの場合、一度、反る形は作れますが、そこから腰が折れるのが早いです。


きたろうさんの場合、腕の筋肉が緊しているので、スイングの中で腕の筋肉を使うタイミングが早く(手が出るのが早い)結果的に、体幹部の動作が途中で止まってしまっているのです。

写真で比較すると、若干、きたろうさんの方が後ろに残り気味で、前脚に乗り切れていません。つまり、前脚股関節伸展の機能を使い切れていないと言う事です。

この辺が出来るようになって来ると、スイングの躍動感が全然違ってきます。今はまだ、腰の反りと巻き戻しが弱いです。この二つは相関関係にあり、スイングで股関節伸展が使えていると、巻き戻しと腰の反りが強くなるのです。



もちろん、前述した揺らいだ後に「間」を取るというのも、このポイントを改善するための手段ですが、ここではさらに、もう二つほど、その方法論を書きます。

1)構えの作り方を見直す

2)腕脱力スイングの練習をする