2013年9月11日水曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(30)バリー・ボンズ

シーズン本塁打数と通算本塁打数のメジャー記録を塗り替えた大打者だが。。

通算成績はメジャー22年間で、打率0.298 本塁打762 

バリー・ボンズが変則的なオートマチックステップである事は「メジャーリーグのバッティング技術」の中で既に述べている。(当時はナチュラルステップと呼称)

その事が垣間見えるのが、下のキャリア初期、パイレーツ時代のスイングだ。このスイングは、オートマチックステップによるものだろう。捕手方向に重心移動しながら、少し前脚の踵を外したあたりから始動しているようだが。



下が、全盛期、ジャイアンツ時代のフォーム。一見すると2段ステップに見えるが、少なくとも2段ステップでは無い。そこがボンズ打法の難しいところで、ここを見抜けなければ、ボンズのフォームをコピーする事は出来ない。(見抜けても、難しいが。)


手っ取り早くボンズ式オートマチックステップを理解する方法が有る。

ボンズくらいのスタンスで構え、そこから揺らぎを少し強調し、前脚の踵でトントンと脚踏みをする。そして、その前脚の足踏みが着地した瞬間に始動する。そうすると、重心の後ろ戻りが起きて、後ろにステップされる事が解ると思う。

つまり、2段ステップと言うのは、最初のステップが始動前だが、ボンズのステップは2回とも始動後に起きている。だから、2段ステップでは無い。

ただ、色々と注釈がややこしい上に、実戦レベルで運用出来ると思えないので、このボンズ式のオートマチックステップをラボで教える事はしていない。

一つだけ言える事が有るとすれば、オートマチックステップは「タイミングを取らない打法」だが、ボンズ式オートマチックステップはタイミングを取るし、またタイミングを非常に重視する。そして、そこが強みであると同時に弱点であり、誰にでも奨められる汎用性を伴っていないと判断した要因である。実際、日米野球で初めて見る日本の慣れない投手を相手にした時、タイミングを非常に気にしていた。そして、もうひとつは独特の上半身のアクションン。これは、かなりの筋力が無いと、腕が緊張してしまい、スムーズなスイングが出来ない。



ステロイド疑惑等、色々と毀誉褒貶の激しいキャラだが、茶目っ気溢れるパフォーマンスと観客を煽動する能力、また、引きつけるカリスマ性は特筆される。傲慢なキャラで、ヒール扱いになる事が多いが、従来のヒール像に納まり切らない、大物である事は確かだ。近い将来、何等かの形で表舞台に出て来そうな気がする。

日本のカップ麺が好きで、キャンプに持ち込んでいたと言うエピソードも有る。

それにしても、オートマチックステップと言う打ち方は、1990年代を代表する大打者達のメカニクスに通底する原理だと言えるだろう。

バリー・ボンズ
サミー・ソーサ
ケン・グリフィーJr
マーク・マグワイア
マイク・ピアッツァ

これら大打者が「オートマチックステップ」と言うキーワードで繋がっている。

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