2013年9月9日月曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(18)フランク・トーマス

90年代を代表する強打者。90年代のメジャーで流行した「手首を返さずに片手でフォロースルーを取るスイング」つまり、リニアック打法(ウォルト・リニアック提唱)あるいはロウ理論(チャーリー・ロウ提唱)と呼ばれた打ち方の実践者としても、有名だった。

ちなみに、ウォルト・リニアックはホワイトソックスの打撃コーチ。サミー・ソーサもホワイトソックス時代にリニアック打法にトライしたが、合わずに取り組みを中段している。

フランクトーマスの場合、さらにボディー・ビルダーなみに筋肉を付けて、その体格でバットを軽々と片手で振り抜くと言う戦略がマッチし、1991年=2000年あたりまでに、爆発的な成績を挙げている。

フランクトーマスにとって900gのバットを振る事は、一般的な日本の打者にとっては、少年野球用のバットをフルくらいの感じだったのでは無いだろうか。

メジャー19年の通算成績 521本塁打 打率0.301 1704打点 2468安打

その後も大きく失速したわけでは無いが、打率の面で以前のような高い数字を記録する事は出来なくなった。巨漢打者であるが、パワーもさることながら、打率の高さがウリの選手であっただけでに、やはりトーマスと言えば、90年代のイメージが強い。



引退後のソフトボールのシーン。遅い球を引きつけて打とうとしているぶん、オートマチックステップである事が解りやすい。


トーマスの打ち方は、単にトップハンドを離すだけでは無く、手首を返さない事を強く意識しているスイングであった。そのぶん、スイングに意識が入るからか、オートマチックステップの動きも、若干、クセが出ている。メカニクス的にはオートマチックステップだが、イメージ的には「これぞオートマチックステップ」と言う感じでは無い。

また、後ろ脚を10センチ以上は地面から浮かすフォームも特徴的だった。日本人には、ほとんど見られないフォームだが、メジャーにはロベルト・クレメンテ等、そうしたフォームの打者は昔からいる。

なお、トーマスのスイングは映画でも見られる。

中日ドラゴンズに来日した助っ人外国人を主人公にした「ミスター・ベースボル」がそれ。因に、この映画では中日の監督を高倉健が演じている。その映画で、主人公のジャック・エリオット(トム・セレック)はルーキーとの争いに負けてヤンキースから中日に移籍するわけだが、そのルーキーを打撃練習のシーンで演じたのが、このフランク・トーマスである。なお、撮影当時のトーマスはまだ2Aでプレーしていた。

因に、この映画の主人公であるトム・セレックも、オートマチックステップであり、マイケル・ジョーダンも参加した1993年のMLBオールスターの前座での有名人によるホームランダービーに参加し、見事にホームランを放っている。

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