2013年9月29日日曜日

オートマチックステップ巡礼の旅(84)アルバート•プホルズ

現役メジャー最強打者。。と言いたい所だが、エンゼルスに移籍してからはケガや不振が目立ち、その座をミゲル•カブレラに譲る格好になっている。ドミニカ出身の一塁手。

2013年9月29日現在までで、既にメジャー13年間で、492本塁打 打率0.321 安打数2347を記録している。

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ここ最近はノーステップで打つ事が多いが、元々はオートマチックステップの打者だった。ただ前脚の膝が内に入る特徴が有ったが、これはおそらく始動しながらも後ろに残す意識が加わっているためだと思う。

(ピッチバイピッチ有り)


理論的にメカニクスを把握して実践しているわけでは無いであろう事も、その一因だと思うが、超一流クラスは「ズバリオートマチックステップそのもの」よりも、そこに若干アレンジを加えている打者である場合が多い。おそらく、そのアレンジが投手との対応関係を優位にする方向に作用した時、その打者の打棒は爆発するのだろう。しかし、そういった「アレンジ」を加える事は、スイングのメカニクスそのものにとっては良い事では無い。

打法にとらわれず、基本的に、打撃はタイミングにとらわれるとスイング本体がおろそかになる場合が多い。ただ、このクラスになると若干スイング本体に支障が出ても、軽々とオーバーフェンスするだけの力が有る訳で、ミゲル•カブレラにしてもそうだが、最も高いスタッツを残すのはそういう打者である事が多い。しかし、よく見るとわかるが、そうした「メジャー最強打者」は「メジャーで最も飛ばす打者」であるわけでは無い。

ある意味、タイミングにとらわれてスイングをおろそかにしている例の最たるものが、今の日本人の打法であり、その実力は良い面も悪い面もWBCで実証されていると言って良いだろう。そして、その日本と真逆の方向性を取っているのがキューバの打法である。

プホルズも、アレンジを加えると言っても、上記の動画のくらいだと良いのだが、さすがに2011年頃からノーステップにしたのはまずかった。ノーステップと片手フォローを同時にやってはさすがのプホルズも苦しむという事だろう。しかも構えでは膝を折って四頭筋を効かせる傾向が年々顕著になっている。

プホルズ2011年(ノーステップ)


プホルズ2005年


プホルズ2003年


プホルズ2003年


プホルズ2010年


その他、脚挙げ型で打っていると見られるようなシーンも有り、要するに、プホルズほどの大打者を持ってしてもステップは安定していない。これはオートマチックステップという打法が現場レベルの技術論で説明する事が難しいメカニクスによるものだからだろう。

理論の裏付け無しに常に完全なオートマチックステップで打っている打者というのは、ある意味では「もう一度やれと言われても出来ない打ち方」を毎回やっているのに近いものが有る。

プホルズが今後、どうなるかの予測は難しい。少なくともノーステップと膝を折った構えは改善してほしいところだ。

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