2013年4月6日土曜日

右vs右のアウトコースは速球か?


こうしたシミュレーションと言うのはあくまでも「脳内野球遊び」的な話だが。(そこに投げられる能力が有れば現実味の有る話になるだろう。)

右投手対右打者 右投手対左打者 左投手対右打者 左投手対左打者

この4パターンで有効と思われるボールを考えてみたい。

(1)右投手対右打者

インコースは速球だろう。特に高めの速球。なぜなら、クロスファイアーでは無く、真っすぐ来るので、左投手が投げるインコースに比べて、距離が短い。右投手が相手だと打者の視線はインコース寄りになるので、体が比較的開きやすい。ここに、スライダーやカーブなどの中速系から緩い変化球が入ると、上手く拾い打たれる可能性が有る。シュートするチェンジアップやシンカーなどで食い込ませられれば別だが、それでも、左投手が投げるインコースに比べると(リリースポイントを見るために目線がインコース寄りになる)右投手のインコースは打ちやすいだろう。となれば、ここはもう「距離が短い」と言う特性を活かして、もっとも素早くヘッドを出す必要が有るインコース高めに速球を投げ込むしかない。もちろん、一旦外角に向かってから内角に切れ込むカムバックシュート的なボールが有れば最高だが、誰もが投げられるボールでは無いので、ここでは除外したい。シンプルな話として右投手対右打者のインコースは高めの速球がテッパンだと思うということ。ただ、もちろん、ここはボールが最も飛びやすいコース。しかも野球のゲームの中で最も多い、右打者対右投手と言う対戦の中で、そうそう何度も使えるボールでは無い。しかも常人なら(本人は否定しても)深層心理の中で「ぶつけてはいけない」と言う心理が働き、甘く入りやすい。(例えば、一度ならぶつけるつもりの強気の投球が出来ても、2度 3度ぶつけた打者に対しては投げにくくなるだろう。)そして甘く入ると長打を食らう。その意味では難しいボールだと言えるだろう。インコースからさらに食い込むツーシームが有れば良いのだが。(多少甘く入っても、そこから内に食い込むので芯を外しやすい。)だからツーシーム全盛なのだろうか。インコース高めに速球を投げて詰まらせる事が出来るか否かで、ピッチングの幅は大きく変わって来る。なので、ツーシームは是非マスターしたい球種だが、シュート系の球は肘に良くないと効く。握りだけで微妙な変化が出せれば良いのだが。例えば、北別府「捻らないで人差し指を使えばシュートする」と言っていたらしい。

ではアウトコースはどうだろう。アウトコース低めの速球は確かに投手の基本だが、右投手対右打者の場合、アウトコース低めは3塁側から一塁側にクロスファイアーで入って来るので、右打者にとっては軌道が読みやすい。少々目切りが速くても、豪快に巻き込んでセンターのやや左に長打が打てそうなイメージが有る。また、クロスファイアーなので、多少速くても、ホームへの到達距離が長い。一方、目線が内角よりに来る右投手対右打者は、打者にとっては体が開きやすい。その特性を利用すれば、カーブやスライダーなどの変化球をアウトコースに落とすと、泳がせて打ち取りやすいのでは無いか。ホームへの到達距離が長い事も、泳がせやすい一因になる。特にインコースよりからアウトコースよりに大きく曲げる事が出来れば、一度、インコースに目線が向くぶん、さらに開きやすくなるだろう。というわけで、右投手対右打者の外角は、カーブスライダー系の中速〜低速変化球と結論づけたい。

(2)右投手対左打者

インコース。左打者にとって、右投手のインコースは外角に目線が寄るぶん、体を開きにくいので厄介なボールになるはずだ。では最も体を開いて打つ必要が有るコースはどこだろうか。普通に考えるとインハイだが、実はインコース低めでは無いだろうか。インコース高めは(ホーム方向に傾く体軸と直交する)正規のスイング軌道内にあるが、インコース低めは、その軌道の外に有る。なので、インコース低めを打とうとすると、右打者なら落合のようにアウトステップしないと難しいし、左打者ならイチローのように半分走りながら打とうとしないと難しい。しかも、こういった打ち方でもし打ったとしてもファールになる事が多いはずだ。
こうした事を考えると、右投手対左打者では、カーブかスライダー系の変化球をインコース低めに落とすと良いだろう。なぜなら、一度、目線が外角によるぶん、体が開きにくくなるからだ。特に有効なのはスライダーでは無いか。なぜなら、ボールが遅いと「体が開きにくい」と言う事が打者に取って有利に働いてしまう。であればマリアーノ・リベラのようなカットボールも良いが、あれだけのカットボールを投げるのは難易度が高い。カットでなくても右サイドハンドが左打者のインコースに食い込む速球をクロスファイアーで投げれば、打者はいやがるが、これも特殊なケース。なので、一般的には、内角低めに落ちるスライダーと結論づけたい。(ストライクゾーンから落とさないと、低めを振らせる事が出来ない)

次にアウトコース。右投手対左打者のアウトコースは、ホームへの到達距離が近いと言う事と、打者の目線が外角によっている事がポイントになる。打者の目線が外角によっているので、体は開きにくい。なので、遅い球だと引きつけて流し打たれる可能性が有る。打者の目線が外角によると、腰の回転は小さくなりやすい。そのぶん、手打ちにもなりやすい。なので、力の有るボールには力負けしやすいのでは無いか。であれば、ここは最も腰が回りにくい外角低めに速球を投げるのが良いだろう。確かにこの場合、体が開きにくいので、ボールそのものは見やすいかもしれないが「開きにくい」=「回転しにくい」と言う事なので、手打ちになりやすく、また、それだけにスピードボールには対応しにくい。ホームへの到達距離が近い事も、有利に働くだろう。なので右投手対左打者のアウトコースは低めのストレートとする。
(なお、左打者は右打者に比べると体が開きやすい。なので、アウトコースからさらに外に逃げるツーシームも非常に有効だろう。)

(3)左投手対右打者

インコース。右投手対左打者の場合と同じ理由でインコースは低めに落ちるスライダーが良い。それに比べて、右打者は左打者に比べて体が開きにくい性質が有るので、インコースに速球を食い込ませるのも有効になるだろう。(右投手対左打者の場合よりも有効になると思う。)

アウトコース。右投手対左打者の場合と同じ理由でアウトコースは低めのストレート。

(4)左投手対左打者

インコース。右投手対右打者と同じ理由でインコースは高めの速球。ただ注意したいのは、日本人に多い、走りながら打つタイプの左打者(日本人は多かれ少なかれ、だいたいこのタイプ)であれば、インコース高めの速球を巻き込んで長打にされる可能性が有る。こうした打者には、ファールを打たせる目的でインコースに遅い球を投げるのも有効になるだろう。この場合は、インコースのボールゾーンから曲げて落とす事で、一度思い切り目線を内角に寄せておくと打者は開きやすいくなる。このタイプの打者は左対左の場合、インコースはさほど苦にしないだろうが、外角に大きな弱点が有るはずだ。逆に外国人に多い、しっかり踏み込んで打って来る左打者の場合、左対左のインコースは詰まらせるために速球を投げるのが良い。一般に左打者は右打者に比べて、腕をコンパクトに畳んでインハイを打つのが苦手だ。左でインハイを打つのが上手い打者は一塁方向へのスウェーと、体の回転を活かして、体を一塁側に逃がして打つタイプが多い。なので、踏み込んで打って来る左打者は、インハイの速球や、そこからさらにインコースに食い込むツーシームが良いだろう。

アウトコース。右投手対右打者と同じ理由でカーブスライダー系の中速〜低速変化球が有効と思う。特に走りながら打つタイプの左打者の場合、このボールを我慢して待てないだろう。


上記の内容は、あくまでも考察中のものだが、こうした視点で「このタイプの打者に有効なのはこの球種」と言うのを考えたり、観察する事は投手にとって重要になるだろう。