2013年4月18日木曜日

プリンス・フィルダー

プリンス・フィルダー(wiki)

阪神タイガースからメジャーに返り咲いて、驚異的な長打力(51本塁打)を発揮したセシル・フィルダーの息子。1993年にセシル・フィルダーの打ったルーフ・ショットは、私の今までに見たホームランの中でも最も大きかったと思う。

セシル・フィルダー ルーフ・ショット(これだったか。これ以上のが有ったような気がする。)


セシル・フィルダーはパンチャータイプの二段ステップで右打者だったが、プリンス・フィルダーも同じパンチャータイプの二段ステップだ。ただしプリンスは右投げ左打ち。

※)メジャーに戻ってからのセシル・フィルダーのスイングは日本時代とは違い、かなりパンチャーらしいものだった。そして、阪神に来る前にブルージェイズ時代は確かオートマチックステップだったと思う。

プリンス・フィルダーは今のメジャーの中で、純粋な打撃技術と言う点では一ニを争う、いやもしかしたら一番かもしれない。昨年は同じタイガースのミゲール・カブレラが三冠王を取ったが、後ろにフィルダーが加入していた事は無関係では無いだろう。

右と左の違いも有るが、プリンスとカブレラは根本的に打者のタイプが違う。共にパンチャーでは有るが。カブレラは技術もさることながら、ダルビッシュの言っていたように頭脳的な打者だ。それが打ち方にも出ていて、体の力を全部使い切るスイングでは無い。しかし、フィルダーは体の反応力そのもので打っている印象が有る。体の力を使い切るタイプのスイングだし、フルスイングする中で柔軟な対応力を見せている。「もう一度、やれと言われても出来ない種類のスイング」を何度も見せて来た。そのあたりを考えても、「純粋な」打撃技術はフィルダーの方が上では無いか。だいいち、フィルダーは身長180.3センチと決して大きくは無い。メジャーのスラッガーの中では小さい方だろう。しかし、それでも50本塁打を打った事が有る。それに比べてミゲール・カブレラは193センチも有る。

まだ28歳と意外に若いので、後5~6年はプリンス・フィルダーの全盛期を見る事が出来る。躍動感溢れるフルスイングと、柔軟な対応能力が共存出来る事を教えてくれるのがフィルダーの打撃で、そこが見所である。では、動画で見て行きたい。

見所1 躍動感溢れるフルスイング

2009/06/30 Fielder's long homer
2011/05/20 Fielder's walk-off homer
2010/06/02 Prince's solo jack
2009/08/01 Fielder's homer
Fielder's solo shot

見所2 高めをバットを被せるようにして打つ上手さ

2011/09/27 Prince's solo blast
Prince's three-run shot

見所3 低めをすくいあげる上手さ

2011/09/27 Prince's third homer
2012/05/17 Prince's solo blast
2011/09/16 Prince's solo blast

見所4 遅い球を引きつけて打つ上手さ

2012/09/05 Prince goes yard
2012/06/09 Prince's solo homer

見所5 インコース打ちの上手さ

2012/10/10 Prince's solo shot
Fielder's solo jack
2012/08/03 Prince's two-run double

見所6 流し打ちの上手さとパワー

2011/07/27 Prince's solo jack
2012/09/30 Prince's 30th homer


まさにパーフェクトである。フィルダーの打撃は、いつもスイングが違って非常に表情が豊かだ。相手の投げるボールに対して、変幻自在に対応している。だが、それも元になるスイングの技術が高いからだ。そして筋肉の反射(主に伸張反射)が使えている。つまりガチガチに力んだ筋肉の使い方では無く、柔らかい伸び縮みを利用出来ているのだ。そうした反射が使えていると、ボールに対する反射的な反応もおこないやすくなる。それがスイングの表情を豊かに見せているのだ。

ただ、最近は二段ステップが爪先着地気味になっているので、ややスイングが小さくなっているのが気になる。しかし、2012年から両手で振り抜く事が増え、2012年の後半はほとんど両手で振っていたと思う。その結果、打率が始めて3割を越えて、自己最高打率(0.313)を記録した。今期も好調で期待出来そうだ。

また、プリンス・フィルダーは、まだ歴史の浅いパンチャータイプの技術論を考える上でも重要なポジションをしめている。確かに、バリー・ボンズやケン・グリフィーJr、デビッド・オルティーズなど、パンチャータイプの左の強打者には左投げの選手が多かった。しかし、右投げ左打ちで身長180.3センチのフィルダーがメジャーで50本塁打を放ちホームラン王になり、これだけ柔軟な対応能力を見せている。右投げ左打ちのパンチャータイプにとっての希望の星がフィルダーだと言えるだろう。

メジャー最高レベルの打撃技術を誇る、プリンス・フィルダーの打撃にこれからも注目してほしい。