2013年4月11日木曜日

稲葉の不振



日ハムの稲葉が不振だそうだが、その原因は彼独特の素振りに有ると思う。そして、それは習慣が積み重なった結果としての不振であり、打ってる時のフォームをどうこうして修正出来るものでは無い。

片手フォローもそうだが、良い時は、誰も特に問題を感じない。しかし、悪くなるとき、有る時点で目に見えてスイングが変わってしまう。こうなると中々本人には修正が出来ないが、それは特にハンドワークに表れる。手首の返しが早くなるので、以前よりもスイングの中のスイートスポットが狭くなる。そして、ボールをバットで運ぶ距離も短くなるので、打球も飛ばなくなる。

私は高校の時に科学する野球を取り入れて実践していたが、科学する野球の理論はスインガータイプを説明するものとしては正鵠を得ている部分が有る。と言うよりも「スイング理論」の部分では、スインガータイプの理論として考えると、現存する日本の打撃理論の中では最も正鵠を得ていると言えるだろう。私の理論でも、スインガータイプのスイング理論に関しては、科学する野球の「スイング理論(体重移動等の体の使い方を除く、あくまでもスイング理論)」をほぼ、そのまま踏襲している。

そして、稲葉はスインガータイプなので、今の稲葉の不振は、私の理論を持ち出さずとも、科学する野球の理論で説明がつく。

科学する野球ではダウンスイングとゴルフスイングを否定しているが、その理由は基本的に同じで、ヘッドを遅らせるレイトスイングが出来なくなるからである。

稲葉の素振りはゴルフスイングそのものだが、同時にダウンスイングでも有る。ゴルフスイングは体の回転に対して、ヘッドの出が早くなる。そして、ダウンスイングは手首の返しを早くする。

こうした素振りを日常的に行なっているので、稲葉の体はその動きを記憶してしまっているのだろう。結果的に、手首の返しが早くなっている。一度スイングにこうしたクセがつくと、修正する事は非常に難しい。

手首が返るとヘッドが返るが、ヘッドが返ると、もうミートする事は出来ない。だから手首の返りが早くなると、ボールを捉える事の出来るゾーンも狭くなる。

そのうえ、手首が返る過程でトップハンドの手の平がボールに向く、いわゆる(科学する野球で言う所の)平手打ちになる。つまりトップハンドの手首が背屈した状態でボールを捉える事になるのだ。こうなると、打球も飛ばなくなる。実際、テレビで稲葉のスイングを見ていると、そういうスイングになっている。つまり、ミートゾーンが狭くなって、平手打ちになっているのだ。ボトムハンドが「死ぬ」のが非常に早い。

村上豊氏が存命であっても、大体同じ事を言うと思う。

稲葉は、理想的なスイングとまでは言わずとも、他の選手と同じ「普通の」素振りをすれば、調子も戻って来るだろう。だが、このままだと、かなり深刻な事態になるかもしれない。