2013年4月17日水曜日

林さん 進化の記録1



今回はズバリ、プロになるために何が必要かということについて書きます。

まず、やはり重要なのは以下の3点でしょう。

(1)スイングスピード
(2)肩の強さ
(3)脚の速さ

ですね。

(1)スイングスピード

まず、振る力を付けるトレーニング、構えの力を付けるトレーニングを継続して行なってください。そして、その上で軽いバットを振る事を重視した方が良いでしょう。林さんの場合「体の芯からの力を使う」という事をまだまだ追求出来る余地があります。その事が出来るようになってくると、もっとスイングスピードが上がります。そのためには末節部の筋肉が緊張しにくい軽いバットを振るのが良いのです。そうすると、筋肉はしなやかになります。(もちろん、それは重いバットを振った上での話です。)

そこで軽いバットについてですが、これはホウキよりも、林さんの場合だと、もう少しくらいは重い物の方が良いと思います。そしてグリップが細いものです。グリップが細い物の方が、リストターンで前腕部の捻りが起こりやすく、末節部の筋肉まで柔軟になりやすいからです。ホームセンターで売っている少年野球用の一歩手前くらいの重さのバットでグリップが細い物が有ればベストです。

こんなくらいの感じですね。ホウキも室内で振る用には良いでしょう。重いバットを振った直後に普通のバットが軽く感じるのは、まだまだ「錯覚」であって、本当に力がついたと言う訳では有りません。ですから、逆に言うと軽いバットを振って、普通のバットが重く感じるのも「錯覚」であって、力が落ちた分けではないのです。重いバットを振って行けば、着実に力は付いて行くので、錯覚に惑わされずに軽いバットも振って行く事が大切です。

普通の硬式木製バットは、チームの練習でいくらでも振る機会が有ると思うので、自主練では出来るだけ「振る力トレーニング」「構えの力トレーニング」「軽いバット素振り」に時間を費やす事をお奨めします。軽いバットを振る事でスイングをしなやかに保つという事は、緩いボールへの柔軟な対応と言う、オートマチックステップの命題にも関わって来る事です。

特に、短くて重いバットを振った後に、軽いバットを構えた時、両脚がしっかりと地面を捉えている感覚が鮮明になって来ます。その状態で軽いバットを振ると効果が有ります。

なお、今回の動画については後で改めて見てみると、早速「構えの力トレーニング」のデメリットの部分が出ているように見えます。つまり前腕部の筋肉のこわばりから、リストターンがスムーズにいかずに、結果的に巻き戻しの躍動感がやや損なわれていると言う事です。ですから、やはりあのトレーニングはストレッチと軽いバットの素振りを伴いながら、慎重に進めて行く必要があるということですね。ただやっていくとバットを軽く感じるようになって行く事は事実ですし、ウェートトレーニングのように肩が回りにくくなったりすることも無いので、焦らずに少しづつ続けて行ってください。

※)構えの力トレーニングは面白いもので、実験として、そればかりしばらくやってみると、確かに構えは楽になるのですが、それによってスイングのパワーが付く訳では無いということも解ります。ただ、やはり構えが楽になると言うのは大きいです。

また、実戦で使用するバットについては、違和感の無い範囲でグリップを細くする事がポイントです。そうすると握力が必要無くなり、前腕部の筋肉が緊張しにくい上に、リストターンもスムーズになるからです。それによってスイングスピードも速くなります。

とりあえず、目標はこの動画のハンク・コンガーくらいですね。



(2)肩の強さ

ここが右投げ左打ちの難しい所です。右投げ右打ちだと、素振りがスローイングの筋トレになり、シャドウピッチングが打撃のストレッチになると言う相乗効果が期待出来るのですが右投げ左打ちはそれが出来ないので、そのぶん手間がかかるのです。

ただ、逆に言うと、体のバランスが良くなる可能性は有ります。そして、実は左脳は右半身を司り、右脳は左半身を司ると言う理論もあります。そう考えてみると、右投げ左打ちは頭の良い選手が多いような気もしますね。(笑)高橋由伸なんか、そういう典型のようにも思えます。やはり人間は同じ方向にばかり回転し続けるとダメなのかもしれません。自分でも左投げ左打ちに取り組み始めた時に、心身のリンクした心地よさを感じた気がします。まぁ,両方で振った方が心地良い事だけは確かです。片方ばかりに回転し続けると心身ともに一方向にねじれて行くのかもしれません。(笑)逆で振るようにすると、長年のスイングで体に染み付いたアカが取れるような感じが有るのです。

話を本題に戻しますが、右投げのスローイングの筋トレとしては、やはり短い重いバットを使った右打ちの素振りが良いです。肩甲骨周辺の体幹部の筋肉が鍛えられる感じがします。自主トレのメニューとしては、素振りとシャドーの組み合わせは、最高です。考えようによっては右投げ左打ちの場合は、スローイングのための素振りが「逆振り」の効果を伴っているので一石二鳥だとも言えるわけです。

特に林さんの場合、スローイングのフォームで肘がやや畳めていない部分が有るので(セット始動が完璧に出来るので)その辺が上手く引き出しやすい、オートマチックステップ投げがおススメです。

また、肩の柔軟性が少し足りないので、その意味でも腕を多く振って行く必要があるのですが、オートマチックステップ投げのシャドーは、正にもってこいの練習です。シャドーボールの中に、少し重り(硬式球の重さを越えない範囲)を入れると、負荷によって肩の外旋も導きやすくなるでしょう。

なお、シャドーピッチングで右腕の柔軟性が増せば、打撃におけるボトムハンドの柔軟性が増す事になるのですが、これも右投げ右打ち、左投げ左打ちには得られにくいメリットです。右投げ右打ち、左投げ左打ちの場合、ボトムハンドの筋力的な強さと、柔軟性がどうしても得られにくいのです。

因に外野手と言う事に関して言うと、最終的に肩の強さは助走を付けたバックホームで必要となるのですが、そのための基礎として、ピッチング投げ、オートマチック無げを練習して行く事は重要です。何故なら、勢いや反動を利用しない状態でパワーが発揮出来るようになると言う事は体の使い方が上手くなった事を意味するので、その上で助走を付けると、さらに+アルファでパワーが発揮出来るからです。

そして、もちろん肩ストレッチも重要ですが、これは開いた時間にどこででも出来ます。

まとめると「素振り」「シャドウ」「肩ストレッチ」と言うメニューですね。ボールを投げるのはチームの練習でいくらでも出来るでしょう。

バットスイングとスローイングの組み合わせは、良い動作でやると、肩がかなりやわらかく入るようになる時期が来ると思います。(昔、それを実感した事が有ります。)下の写真は自分の中では良い方ですが、林さんの場合、上半身に筋肉がついているので、もう少し肘が背中まで入らなくなっています。


私自身、高校の頃、言っても腕立て伏せレベルですが、筋トレに熱心だった時期が有ります。(確か一日最高1000回)しかし、スイングを崩し、スローイングもイップス気味になるわ肘も痛めるわで、それから20~23くらいの時に、一切の筋トレを止めて、素振りとスローイングとストレッチをやって、このくらいまでは柔らかくなりました。そういう本人の談ですので、まずはこのくらいまで回るようになってください。そうすると、もっと肩も強くなるはずです。

※)もっとも野手はバットと言う負荷を扱うので、筋トレを完全否定する気は有りません。ただ、デメリットは確実に有るので、それをどうやって軽減して行くかと言う事です。

参考までに、メジャーの強肩シーンを貼っておきます。

2012/05/01 Harper's great throw
2011/07/29 Ankiel throws out Bay
2009/07/19 Francoeur's strong throw
2012/05/19 Heyward's fantastic throw


(3)脚の速さ

走る動作についてはまず、盗塁時に前傾気味になる事や、左回りに走る等の野球の競技特性がありますが、それ以前に、走る動作の基本そのものを追求して行く事が重要になります。それを坂道ダッシュや(両脚の真ん中に箱を置く)ボックスジャンプで、出来るだけ着地の衝撃を小さくして鍛えて行くと良いでしょう。

走る動作は、下図のように、股関節の屈曲、伸展を大きく使い、腸腰筋、ハムストリングスの重要性が非常に高くなります。

黒人ランナーのフォームで優れているポイントの一つが下の写真です。まず股関節伸展で背中に大きな反りが出来ますが、さらに凄いのは次のシーンです。両脚が空中に浮いているシーンでは抵抗で上体が後ろに流れやすいと思いますが、ここで腸腰筋の力によって上半身を起こして来る力が強いのです。こうする事で着地した脚に体重が乗りやすくなりますし、また股関節が、より屈曲した状態で着地出来るようになります。ただ、これはフォーム云々の問題では無く腸腰筋の強さの問題ですね。
          

そして、こうした能力を向上させるためには、腰を反るストレッチや腸腰筋その場ステップ等の反り系の運動と、リズム股関節伸展スクワット等の、アップダウン系の運動が重要になりますが、特に前後方向の脊柱の柔軟性(反りと丸まり)を少しでも向上させていくようにしてください。

リズム股関節伸展スクワット(5回くらいで終わって、体勢を作り直すのがコツです。)腕の力は脱力させた状態で肘を引きます。


そして、走る動作でも肩関節の捻り、股関節の捻り、それに伴う肩甲骨のスライドや脊柱の3次元的な撓み(たわみ)が起こります。こうした柔軟性を高めて行く事も重要です。


まずは、こうした二点を意識しながら、様々な練習に取り組んで行ってください。ポイントを整理して挙げておくと、以下の二点です。

1)腸腰筋とハムストリングスの強さに伴う、黒人的な身体機能の獲得
2)股関節や肩関節の柔軟性、肩甲骨の可動域の大きさに伴う動きのしなやかさ


(4)その他

やはり、今の林さんに、一番足りないのは、関節の柔軟性だと思います。ただ、それも最初の頃よりは良くなってます。特にスローイングにそれが出ていますが、最初の頃よりも肩が回るようになったと思います。そして、それと連動して、ステップ幅も少し広くなってきています。ただ、まだまだ肩が硬くて、その関係でステップ幅が狭いです。実験として、投球腕の肘を脇腹につけたまま、パンチャーで軽く腕を振ろうとしてください。腕が後ろに動かないので、ステップ幅も狭くなるのが解ると思います。肩が柔らかく回るようになると、ステップ幅も広くなりますが、この二つは連動しているのです。そしてもちろんステップ幅を広くするためには股関節の柔軟性も必要です。もちろん、この二つがかみ合えば、肩もまだまだ強くなると思います。写真は自分の中では一番良い写真ですが、投球腕のテークバックの可動域と重心移動の関連が良く解る連続写真です。


その他、股関節の柔軟性も重要ですが、残りの大学のシーズンの中で、今までの野球経験の中で、付けて来た筋肉全てを野球の動きに馴染ませてやるくらいの感じで取り組むのが良いと思います。振る力を付ける練習、構えの力を付ける練習をやっていれば、それで充分だと思います。

その意味では、繰り返しになりますが、体作りのポイントは以下の二点です。

1)腸腰筋とハムストリングスの強さに伴う、黒人的な身体機能の獲得
2)股関節や肩関節の柔軟性、肩甲骨の可動域の大きさに伴う動きのしなやかさ

(5)目安

プロ入りを考える時の物差しとして、丁度良いのがブリュワーズの青木でしょう。似たような体格、同じ右投げ左打ちの外野手、そこそこのパワーが有り、そして脚もそこそこ速いと言う点で、選手としてのタイプは、かなりの共通点が有ると思います。ただ、正直、彼の残して来た成績には凄い物があります。それを達成するためには健康である事や運も関係して来るので、成績を目標にすると言う意味では有りませんし、してもあまり意味が無いと思います。ただ、例の、スイングスピード(打撃のパワー)肩の強さ、脚の速さと言うのは目標になるでしょう。(現時点で林さんの実技をグラウンドでは生で見ていないので、肩などは、もしかしたら既に勝っているのかもしれませんが。)

つまり、青木よりパワーが有り、青木より肩が強く、青木より脚が速い選手を目指すということです。それは、まず最初の現実的な目標になると思います。そして、その上で、ここでは、さらに究極的な目標となりうるモデルを示したいと思います。(もちろん、それは自分自身でもあると思いますが。)目標は、かなり高いですが、ある意味で届かない事を前提とした目標(つまり永久的な目標)と考えて下さい。

★打撃 プリンス・フィルダー

同じ右投げ左打ちで、スイングが似ているので、良い目標になると思います。しかも、フィルダーは去年中盤あたりからだと思いますが、両手振り抜きに徹した結果、確実性が増し、今期は今のところ打率首位をキープしています。(二段ステップが爪先着地になったので、ややパワーは落ちてますが。)

2012/10/01 Prince's four hits

2012/05/26 Prince's four hits

その他、フィルダーの上手く対応した動画については、ブログで記事にして下記にリンクを貼る予定です。

ブログ記事 プリンス・フィルダーの対応力

★肩 リック・アンキール ジェフ・フランコーア

肩については、メジャーには、彼等より凄い球を投げる外野手もいます。ただ、それも、その選手の調子込みの話と言えるでしょうし、あまりにも現実的で無いので除外しました。(動画も見つからないですが、1993年にカージナルスのマーク・ウィッテンが見せたバックホームは凄かった。ライトから、イチローの3塁へのレーザービームと同じ球筋で、ノーバンで捕手まで届いたのが有りました。)

因に、ウィッテンはこの年、1試合4本塁打を打っていますが、その動画は有りました。パンチャーのオートマチックステップですね。

(このページで見られない場合、下の文章をクリックすると見られます。)

ただ、ここで挙げる二人の送球には、戦術論を度外視した上での「良いボール」と言う意味が込められています。例えば、高い球よりはワンバウンドの方が良いかもしれませんが、やはりそれでは魅力が無いし、本当に肩が強いとは言えないでしょう。また、日本でレーザービームと言われているバックホームに多いのですが、放物線の送球も肩が強いようには見えません。(イチローの3塁送球以来、日本では外野手の強肩を何でもかんでもレーザービームと呼ぶ間違った風習が出来てしまいましたね。)

日本人では新庄が、そういう球を投げていましたが、少し腕を伸ばしたくらいの高さの送球で、真っすぐ伸びて来るノーバウンドの球。この高さが一番力の有るボールになるし、肩も強く見えるのだと思います。(アウトになるならないは別)所謂、鉄砲肩的なボールですね。そういう意味で、以下の二つの送球は良い目標になると思います。(ここまでで無くとも)こういう感じの球が投げられたら、スカウトの目に止まりやすい気がします。

2011/07/29 Ankiel throws out Bay
2009/07/19 Francoeur's strong throw

★走り ウィリー・メイズ リッキー・ヘンダーソン

リッキー・ヘンダーソンとウィリー・メイズの走りの動画は、この記事に載せています。

リッキー・ヘンダーソンは黒人としては手足が短いですが、その事が逆に体幹で生み出した瞬発的なパワーをスピードに変換させやすくしている感が有ります。脚が速い人には意外とこのタイプが多い気がします。しかし、ヘンダーソンが日本人と違うのは見るからに腸腰筋の発達した体型です。さらに発達した大殿筋とハムストリングスが股関節伸展のパワーを高めています。そうした意味で、ヘンダーソンに近づくためには黒人の身体機能に近づくためのトレーニングが非常に重要です。平地でのダッシュで、走り終わりに速度を緩めるとき、背骨に反りが出来て脚が後から付いて来るような感じになって来れば、良い感じです。

次にウィリー・メイズですが、メイズの走りは林さんにとって特に足りない要素を示しています。それはリンク先の記事にも書きましたが、腕の振りや股関節の捻りに伴う、体幹の柔らかい動きです。

例えば、下の写真のように片脚が挙り、同側の腕を後方に引いた状態。この場合、肩は引いた腕の側が上になり、骨盤は挙げた脚の側が上になります。そのため、バランスを取ろうとして、脊柱がたわみます。(例えば、左肩、左腰が下がった状態だと、左に倒れそうになるので、脊柱が右に凸になるようにたわむ)

この他にも、体幹部には複雑な捻りなど、非常に柔らかい動きが生じています。それがウィリー・メイズの走りを背中から見た時のような、柔らかい動きを生み出しているわけです。例えば、下の動画は、そうした動きを身につけるための練習です。


こうした動きがダッシュの中で出来るようにするためには、股関節、肩関節の柔軟性、肩甲骨の可動域の大きさが重要になります。そしてどちらかと言うと、筋肉を付けると言うアプローチを重視してきた林さんにとっては、現状で不足してるのが、この部分です。

ヘンダーソンとメイズを例に挙げたのは、結局、走るのも打撃や投球と同様「腸腰筋とハムストリングスの強さに伴う、黒人的な身体機能の獲得」「股関節や肩関節の柔軟性、肩甲骨の可動域の大きさに伴う動きのしなやかさ」が重要になると言う事を説明するためです。日本のスポーツ選手、そしてスポーツ理論では後者は重視されていますが、前者の認識が無いため、実技においても、それが出来ていないのです。林さんは両方兼ね備えた存在になってください。そうすればまだまだ脚も速くなるはずです。そうしたトレーニング法も順次増やして行きます。ただ、現状、既に伝えている練習方法でも、以下の2大テーマに沿って行なって下さい。

1)腸腰筋とハムストリングスの強さに伴う、黒人的な身体機能の獲得
2)股関節や肩関節の柔軟性、肩甲骨の可動域の大きさに伴う動きのしなやかさ


(6)まとめ

スイングスピード、肩の強さ、脚の速さ、とプロ入りのための3大重要ポイントを挙げましたが、ひとまず大学最終シーズンが終わるまでは、やはり打撃でしょう。打撃で結果を残して、確実に次のステージに進む。そのためには打撃でアピールするのが一番重要だと思います。そして、そのためには実際に打って結果を残す事も重要ですが、スイングを一目見ただけで「アイツはモノが違う」と思わせるだけのスイングスピードが重要です。つまり、仮に4タコでも、スカウトがそれによって手を引く事が無いくらいの印象を与える事が重要です。その上での結果を出すための戦略論です。(特に上のカテゴリーを目指すアマチュアや二軍選手の場合、この優先順位が大切になります。)

そのためには、やはり練習方法が重要です。「黒人の身体機能に近づくトレーニング」「股関節、肩関節の柔軟性、肩甲骨の稼働域を広げるトレーニング」「振る力を付けるトレーニング」「しなやかさを付けるために軽いバットを振るトレーニング」そして、体の機能を統合的に高めるためには、やはり「短距離ダッシュ」が欠かせません。こうした練習で、とにかくスピードを挙げて、打席内で「俺のスイングを見ろ」と言う気分に浸れるような「えげつない振り」が出来るようにして行く事が、大学ラストシーズンの大きなテーマだと思います。良いスイングは究極的にはカッコいいのです。カッコ良いスイングを身につけて、打席の中でカッコ付けて下さい。スイングと言うのは一種の身体芸術で、打席と言うのは要するにステージです。特に若い選手の場合、そういう自分に酔う事が出来ない限り、能力も知れているということです。よく強心臓云々と言いますが、一度自分に酔ってしまえば、メンタルの強い弱いはほとんど関係ありません。要は自分に酔えるだけの実力が有るかどうかの問題です。その証拠にイチローを見て下さい。何時見てもカッコつけてるじゃありませんか。ああいう選手がメジャーに行って首位打者になったりするのです。

大学ラストシーズンのメインテーマはズバリ、スイングスピードでしょう。後の要素(肩と脚)は、ひとまずはスイングスピードを挙げるのに伴って自然に向上するくらいの構えでも良いと思います。

あと一つ、言っておきたい事としては、オートマチックステップは少なくとも「身体運動」と言う見地から見ると究極です。そして、そういう動きを理論的に把握した上で、林さんくらいのレベルで追求した例は恐らく今までにも無いでしょう。(ブログだけで塚口理論の内容が正確に伝わっているとも思えないので)実際、林さんの動きは人間の体のポテンシャルの中で、かなり高次元のものになりつつあります。しかし、まだまだ(簡単に言うと)アウターマッスル優位型で、動きの質と言う点で極めて行く余地が有ります。形の問題では無く、筋肉の質と動きの問題です。そこで軽いバットのスイングですが、確かに軽いバットを振ると言うのは、周囲から取り残される気がして不安も有るかもしれませんが、そもそもバッティングに取り組んでいるバックグラウンドが周囲とは全く質が違うのです。その意味でも、自分の「強み」を確固たる物にする意味、つまり、動きの質を究極まで高めて行くためにも、軽いバットを振ると言う練習も重視してください。ホウキも良い使い道が有りますが、メインはホームセンターで売ってるような子供用が良いと思います。多少の重みも有った方が腕に捻りが入りやすいから、末端に筋肉もほぐれるためです。

※)筋トレについては思う所が有るので、近いうちにブログに書きます。

だいたい以上です。ただ、私の弱点は、プロに行くような選手を実際に間近で見た経験に乏しいと言う事です。なので(動作のレベルは解っても)目の前で見ているスイングが、スピードとかパワーの面でプロに行くような選手と比較してどのくらいの位置に有るのかと言うのが、正直、イマイチ解りません。それは打球の飛び方で判断するしか無いのでしょう。なので、無責任な事も言えないのですが、林さんのポテンシャルだと、順当に伸びて行けば、充分に日本のプロは狙えると思います。豪語させて貰えれば、私に取って林さんをプロに入れるのは、7~8割りがた受かるだろうと言う、公立高校入試くらいの感じです。林さんの能力と、塚口理論、そして、無事に能力を積み上げていければ、それくらいのことだと思います。(ただ、スカウトにどう評価されるのかと言う問題も有ります。そして、もちろん、直ぐにとは言いません。少なくとも、社会人と言う段階を経る必要は有るでしょう。)ただ一つだけ気になるのは、プロレベルのキレの有るボールにどれだけ反応出来るかですね。今から、そのあたりの対策を何か考えておいた方が良いと思います。そしてやはり、他の野球選手が持ち得ない視点、つまりどこまで黒人に近づけるかということですね。

それと、もう一つ、時期的に今言うべき事でもないかもしれませんが、何事も、ある程度の所まで上達するのは、そんなに難しく無いと思います。将来的に突き詰めて行くための下地作り(突き詰める必要が生じた時のための準備)と言いましょうか。その意味で、内野の基本練習と言うのもおろそかには出来ないと思います。ある程度の線までなら、遊びの中で充分に上達すると思うのです。そして、そうした事をやる選手とやらない選手の間には差が出来ると思います。プロで活躍していくためには、ある程度の器用さも持っていた方が良いと思います。


以上です。