今のMLBはスイッチヒッターブームだが、90年代以降、スイッチヒッターで打者として大成した選手はいない。バーニー・ウィリアムスやチッパー・ジョーンズ、カルロス・ベルトランをして「大成していない」というのも厳しい見方だが、あのクラスの素材を持ってしても、もうひとつ成績に爆発的なものが見られない。MLBの歴史上、スイッチヒッターで「大打者」の域に上り詰めた例は極めて少ない。最も成功したのがピート・ローズとミッキー・マントル(通算本塁打スイッチno1)だろう。要するに、どっちも中途半端になりやすいのだ。
そうした状況を踏まえて、今のスイッチブームを考えると、その背景には「より良い打者になりたい」と言う思いよりも「より使い勝手の良い選手になって、より多くMLBの試合に出たい」と言うリクルート的な事情が一枚噛んでいるように思える。特に中南米諸国の選手にスイッチヒッターが多いが、これは恐らく日本の少年野球で言われる「プロを目指すなら左打ちが有利だぞ」と言うのと同じ感じで「MLBを目指すなら、君もスイッチにしたらどうだ」等と言われているのでは無いか。スイッチを目指す動機としては、より高いスタッツを残そうと言うよりは、より使い勝手の良い選手になろうと言う思考が有るように思えてならない。
さらに、スイッチヒッターはほぼ全員が「右投げの両打ち」なのだから、彼等がスイッチを選択した事情は極めてリクルート的だ。つまり、以下のような考えだろう。
まず、プロを目指す上で、一塁に近く打率が稼ぎやすい左打ちを選択する。その次に、左投手対策として右打ちも身につける。こうした二段階を経た思考が働いているのだと思う。
しかし、そもそも左打者だって左投手からヒットを打つ事は出来る。それに対して、内野を守れない外野手は内野手として試合に出る事は出来ないだろう。つまり、リクルートの手段としては、スイッチよりユーティリティーの方が良いのだ。
例えば、外野手のA選手を例に考えてみよう。打力の低い内野手Bに、外野手の代打Cを出したとする。本来なら、次の回の守備では代打に起用したC選手を引っ込めて、新しい内野手Dを代わりに入れなければならないが、A選手が内野もまもれるのであれば、A選手を内野に回して、外野には、そのままC選手を入れる事が出来る。結果的に選手を一人節約する事が出来る。こうした事を考えても、ユーティリティー・プレーヤーは使い勝手が良い。
スイッチヒッターの過去20年くらいの成績を調べた上で、大した結果が出ていないということが解れば、大きな労力を必要とする両打ちの練習をする前に、もう一つ別のポジションを練習した方が良いのでは無いか。その方が野球を知る事にも繋がる。スイッチに取り組んでまで使い勝手が良い選手になろうとするのなら、その間に一つでも多くのポジションを守れるように練習した方が良いだろう。
もちろん、体のバランスを取る目的での「逆投げ」「逆打ち」の練習は重要だし大賛成だが、スイッチヒッターを目指すとなると話は別だ。より優れた打者になりたいのであれば、一方の打席の技術を磨いた方が良い。
そもそも、カルロス・ベルトランやマーク・タシェアラのような強打者に、左投手が出て来たときに右打席に入ってもらってもベンチとしては大してありがたみが無い。それよりも、一方の打席に専念して、もう1ランク上の強打者になってくれと思うのではないか。
また、俊足巧打のスイッチヒッターにも疑問は残る。殆ど全てのスイッチヒッターは右投げだが、右投げの俊足選手が左打ちを選択した理由は基本的に1塁に近いからだろう。であれば、その方針を左投手に対しても貫いた方が良い。特に左投手は一塁への牽制が速いので一塁ランナーはリードが取りにくい。その上で打者も右打席に入るとどうなるか。そう。ダブルプレーのリスクが高いのだ。俊足巧打の右投げ左打ちの選手が、左投手が出て来た時にわざわざ右打席に入り、ダブルプレーを献上したのでは何のためのスイッチヒッターか解らない。
因に、今のMLBで注目のユーティリティー・プレーヤーがマーティン・プラドだろう。ダイヤモンドバックスで4年契約を結んでいる。プラドの守備位置は主にセカンド、サード、レフトだが、このセカンド、サード、外野と言うパターンがユーティリティーの王道では無いだろうか。
ショートは流石に外野との兼任は難しいから、ショートを守る選手は「Aロッドのようなスターが入って来た場合」と「ベテランになった時」に備えて、セカンドが出来れば充分だと思う。さらに打力優先ならサードも。この辺が精一杯だろう。
学生時代にショートで内野の要であった選手が、セカンドとサードに流れ、さらに外野も身につける。このパターンがユーティリティーの王道では無いかと思うのだが。
もうひとつは、外野の選手が、ファーストもこなすと言うパターン。稲葉などがそうだ。このタイプの選手はセカンド、ショートに絡む事は難しいだろうから、その他にサードも守れると心強い。
そうした状況を踏まえて、今のスイッチブームを考えると、その背景には「より良い打者になりたい」と言う思いよりも「より使い勝手の良い選手になって、より多くMLBの試合に出たい」と言うリクルート的な事情が一枚噛んでいるように思える。特に中南米諸国の選手にスイッチヒッターが多いが、これは恐らく日本の少年野球で言われる「プロを目指すなら左打ちが有利だぞ」と言うのと同じ感じで「MLBを目指すなら、君もスイッチにしたらどうだ」等と言われているのでは無いか。スイッチを目指す動機としては、より高いスタッツを残そうと言うよりは、より使い勝手の良い選手になろうと言う思考が有るように思えてならない。
さらに、スイッチヒッターはほぼ全員が「右投げの両打ち」なのだから、彼等がスイッチを選択した事情は極めてリクルート的だ。つまり、以下のような考えだろう。
まず、プロを目指す上で、一塁に近く打率が稼ぎやすい左打ちを選択する。その次に、左投手対策として右打ちも身につける。こうした二段階を経た思考が働いているのだと思う。
しかし、そもそも左打者だって左投手からヒットを打つ事は出来る。それに対して、内野を守れない外野手は内野手として試合に出る事は出来ないだろう。つまり、リクルートの手段としては、スイッチよりユーティリティーの方が良いのだ。
例えば、外野手のA選手を例に考えてみよう。打力の低い内野手Bに、外野手の代打Cを出したとする。本来なら、次の回の守備では代打に起用したC選手を引っ込めて、新しい内野手Dを代わりに入れなければならないが、A選手が内野もまもれるのであれば、A選手を内野に回して、外野には、そのままC選手を入れる事が出来る。結果的に選手を一人節約する事が出来る。こうした事を考えても、ユーティリティー・プレーヤーは使い勝手が良い。
スイッチヒッターの過去20年くらいの成績を調べた上で、大した結果が出ていないということが解れば、大きな労力を必要とする両打ちの練習をする前に、もう一つ別のポジションを練習した方が良いのでは無いか。その方が野球を知る事にも繋がる。スイッチに取り組んでまで使い勝手が良い選手になろうとするのなら、その間に一つでも多くのポジションを守れるように練習した方が良いだろう。
もちろん、体のバランスを取る目的での「逆投げ」「逆打ち」の練習は重要だし大賛成だが、スイッチヒッターを目指すとなると話は別だ。より優れた打者になりたいのであれば、一方の打席の技術を磨いた方が良い。
そもそも、カルロス・ベルトランやマーク・タシェアラのような強打者に、左投手が出て来たときに右打席に入ってもらってもベンチとしては大してありがたみが無い。それよりも、一方の打席に専念して、もう1ランク上の強打者になってくれと思うのではないか。
また、俊足巧打のスイッチヒッターにも疑問は残る。殆ど全てのスイッチヒッターは右投げだが、右投げの俊足選手が左打ちを選択した理由は基本的に1塁に近いからだろう。であれば、その方針を左投手に対しても貫いた方が良い。特に左投手は一塁への牽制が速いので一塁ランナーはリードが取りにくい。その上で打者も右打席に入るとどうなるか。そう。ダブルプレーのリスクが高いのだ。俊足巧打の右投げ左打ちの選手が、左投手が出て来た時にわざわざ右打席に入り、ダブルプレーを献上したのでは何のためのスイッチヒッターか解らない。
因に、今のMLBで注目のユーティリティー・プレーヤーがマーティン・プラドだろう。ダイヤモンドバックスで4年契約を結んでいる。プラドの守備位置は主にセカンド、サード、レフトだが、このセカンド、サード、外野と言うパターンがユーティリティーの王道では無いだろうか。
ショートは流石に外野との兼任は難しいから、ショートを守る選手は「Aロッドのようなスターが入って来た場合」と「ベテランになった時」に備えて、セカンドが出来れば充分だと思う。さらに打力優先ならサードも。この辺が精一杯だろう。
学生時代にショートで内野の要であった選手が、セカンドとサードに流れ、さらに外野も身につける。このパターンがユーティリティーの王道では無いかと思うのだが。
もうひとつは、外野の選手が、ファーストもこなすと言うパターン。稲葉などがそうだ。このタイプの選手はセカンド、ショートに絡む事は難しいだろうから、その他にサードも守れると心強い。