2013年4月8日月曜日

始動時の出力

下の動画の投手(アンソニー・バス パドレス)はパンチャータイプだが、始動時の後ろ脚の動きのパンチャーの特徴がよく出ている。ラボでも一番最初に、パンチを打とうとすると下半身がオートマチックに力を発揮すると言う事を実験で理解してもらっているが、下の動画はまさにその状態を表している。

この唐突な感じの後ろ脚のキックは、パンチャーのメカニズムが始動する時の特徴だが、フォームによって、それが見えやすかったり見えにくかったりする。この動画の投手の場合は典型的な見えやすいケース。だからと言って良いと言うわけでは無いが。ただ、この感じの下半身動作を見ると、腕の振りをチェックするまでもなく、パンチャーであると解る。有力な手がかりの一つと言う訳だ。



因に、今のメジャーではチェンジアップが全盛だと聞く。確かに、曲がったり落ちたりするチェンジアップを良く見る気がするが、スライダーやシンカーと思って見過ごしてるのも含めると、相当有る気がする。正直、球種は外から見て解りにくい部分が有る。

が、今のメジャーでは「ツーシーム全盛」と「チェンジアップ全盛」と言う言葉を良く聞くのは確かだ。そこでチェンジアップだが、この球種はパンチャーの投手が緩急を付けるのには持って来いなのでは無いだろうか。思い切り腕を振って行くパンチャーの場合、スインガーのように腕の振りを緩めるような感じで抜くボールは投げにくい。カーブでもしっかり腕を振る感じの投げ方になる。

チェンジアップは、腕の振りと球速の落差によって打者を惑わせる球だから、パンチャータイプにとっては適していると言えるだろう。パンチャー全盛と、チェンジアップ全盛はリンクしている現象なのかもしれない。実際、チェンジアップで有名だったヨハン・サンタナも典型的なパンチャータイプだった。

因に、パンチャーでも緩くて大きなカーブを投げる投手がいるが、それは以下のケースに分けられる。つまり「アーム式」と「始動ポジションが遅いタイプ」だ。始動ポジションが遅いタイプは、バッティングに例えると、スインガーの要素が混じったパンチャーということになる。この場合、途中で腕の振りを緩めるのがやりやすいし、実際、腕の振りを緩めて、緩いカーブを投げるパンチャーもいる。だが、こうしたタイプはいずれも、ストレートの球速に限界が有る。本当に速い球を投げるパンチャーの投手はあまり大きくて緩いカーブは投げない。投げられないメカニズムなのだろう。

チェンジアップの良いのは、投げ方がストレートとあまり変わらない所だ。チェンジアップは「得意な指を一本、使わないストレート」だと言う表現も有る。ツーシームチェンジアップとフォーシームチェンジアップが有るらしい。

いずれにしても、抜く系の投げ方がやりにくいパンチャータイプの場合、緩い球を一つ持つということは、大きな課題となるだろう。