今回は次回までが短いので、文章のみで要点をまとめると言う事にいたします。
打撃編
まず、テーマ的(打撃)には
★(1) 股関節の割れを作る(割れの後は絞りのストレッチ)
★(2) 割ったうえでの左右の膝の角度の差を作る
★(3) 揺らぎから打ちに行く間を再確認する事により、下半身の力を使えるようにする。(骨で立つ感覚から、ハムストリングスの力で地面を抑える感覚への変化)
★(4) 下半身の力を鍛える 黒人化トレーニング
これらが主なテーマです。
(1)(2)股関節の割れ、割った上での膝の角度については、ストレッチでかなりいい感じが出てきました。ただ、素振りの中ではまだまだでした。この両脚のラインについては、ストレッチをした上で、素振りの際に揺らぎを使って重心を下ろす(直線的に沈み込まない)を繰り返すと、だいたいの場合、綺麗に出るようになります。
(3) 揺らぎ〜打ちに行く間については、素振りの中で意識する事が重要です。
(4) 黒人化トレーニングについては、重要性が理解されにくいのですが、非常に重要なので継続して行ってください。スーツにしても、カジュアルにしても、色んな服が似合うカッコいい体型になれます。そういう風に言うのもモチベーションを与える手段でしょう。もちろん、スポーツ全般に効果的ですが。
まとめると、股関節の割りをストレッチで憶える事により「力が発揮出来る形」を作り、黒人化トレーニングにより「力を鍛える」事を狙い、揺らぎから打ちに行く間を意識する事により「実際にバットを振る時に、股関節の割れを作ったり、トレーニングで鍛えた力を発揮出来るようにする」と言う戦略です。つまり、これら全ては基本的にスイング時に下半身、体幹の力を使えるようにし、振り抜きの良さ、スイングの躍動感を向上させると言う目的に繋がって行くわけです。
ただ、ポイントとして、ストレッチの順序、組み合わせには約束事のようなものが有りますが、それらの重要な物を挙げておきます。
(1) 揺らぎ体操の前には腸腰筋をストレッチし、骨盤が自然に前傾しやすい状態を作る。
(2)リズム股割りスクワットや、股関節伸展リズムスクワット等、スクワット系の動きを多用した後は、腸腰筋その場ステップ等、反り系の動きを加える。
(3)腸腰筋その場ステップや、リズム股関節伸展スクワット等、縦方向、前後方向の運動が続いた後は、割れ絞り体操等、横捻り系を加える。
(4)可動域を大きく取り、運動強度の高いメニューを多用した後は、リズム系のメニューを加える。
等が主な例です。
それに加えて、重いバットを振ってパワーを付ける事は勿論、重要なのですが、一日の最後に、「軽いバットを振る」ことと「股関節のストレッチ」を行い、上半身の筋肉が緊張した状態をほぐし、股関節の動きを整えておく事が重要です。重いバットを振って筋肉が緊張したまま寝てしまうと、その緊張が積み重なってだんだんガチガチになってきます。
軽いバットに関しては、短いホウキも使えます。そのくらい軽くなると、自分のイメージした通りに身体を使い、振る事が出来ますが、それが良い状態なのです。その状態を最後に筋肉に思い出させて一日の練習を終える事が重要です。軽いバットを振ると言うのはとかく不安になるものですが、重いバットを振って力を付ける事を抜かり無くやっていれば大丈夫です。
今までの動画では、上半身はバットの重さでやや緊張気味になり、下半身は、あまり良く無い使い方がクセになっている感が有りました。ですから、前述の取り組みは特に重要だと思います。
その他の話題
★ コータ君の場合、一気に力を発揮する瞬発力のようなものが、スイングの中で発揮されにくい傾向が有りますが、短くて軽いバットを振ったときは、少しいい感じが見られました。そういう目的で短くて軽いバットを振るのは良い練習です。重くても良いのですが、とにかく短い方が瞬発力は出しやすいです。(そればかりだと調子が狂いますが)
★ リズム股割りスクワットや、アップダウン系のメニューは、やり方が悪いと膝に来ますので、膝が痛くならないようにだけ気を付けてください。筋肉の張りは出ても大丈夫です。
★ 重いバットを振る場合、子供用のマスコットバット等より、大人用の普通のバットを短く持ってやるのが良いです。普通のバットの方がバランスが良く、スイングを崩しにくいからです。
続きます。
★打撃フォーム分析の結果として、大腿四頭筋に力が入っているのでは無いかと思います。現状の身体感覚では、ある程度重心を下げて構えると、まだどうしても大腿四頭筋を使ってしまうのでしょう。そのため、まずは大腿四頭筋を使わない感覚を得るための練習を紹介します。素振りとストレッチのセットです。
細かい分析内容はネットだけだと伝えにくいので、次回にお話しますが、コータ君のバッティングを見て、大腿四頭筋に力が入っているのが気になりますので、以下の練習はぜひともやっておいて頂きたい練習です。
まず、腰を反ったり、腸腰筋その場ステップ(可動域を大きく取り、ゆっくり行うパターンで)をして、腸腰筋をストレッチします。
次に、リードの姿勢で小刻みに踵で地面を打つように足踏みする体操と、揺らぎ体操での踵の足踏みを通して「骨で立つ」感覚を確認します。(踵で着地した衝撃が、骨を伝わり、股関節に響く感じが鮮明に掴めればOKです。)
その後、スタンスはやや狭め、重心はやや高めで、素振りをします。意識するポイントは体重の掛け方と、脚のラインです。爪先体重にならない事と、両膝を内に絞らないで構える事が重要です。(スタンス幅が狭く、重心が高いので、股関節の割れが小さくなりますが、小さくても割れている事が重要です。)揺らぎと連動した前足踵の足踏みでリズムを取りながら、骨で立つ感覚を確認しつつ、スイングしてください。
※)スタンスをあまり狭くすると、股関節が割れ無さ過ぎになるので、ある程度の広さは確保してください。だいたい、下の写真くらいの感じです。(足幅はあまり狭めずに、重心を高くするイメージです。)
本来は、骨で立つ状態から重心を下ろすにつれてハムストリングスで地面を抑える状態になるのが正しいのですが、最初の段階ではどうしても重心を下ろすと大腿四頭筋が効いてしまう場合が有ります。(基本的に、広く低いスタンスで大腿四頭筋を効かさないと言うのは難しい高度な技術です。構えの全てのポイントをクリアしないと出来ないからです。)そんな場合、骨で立つ状態を掴む事をまず優先し、大腿四頭筋が緩んだ状態にすると、弱いながらもとりあえずハムストリングスの力が(大腿四頭筋に邪魔されずに)使えます。基本的に突っ立った状態では大腿四頭筋が効きにくいのです。
メニュー的には以下のようになります。
腰反り&腸腰筋その場ステップ→リード姿勢での足踏み&揺らぎ体操→狭く、高いスタンスからの素振り
因に、こうした狭く高いスタンスからの素振りには、大腿四頭筋を使わないでハムストリングス優位の状態でスイングする感覚を掴む効果が有りますが、逆に、広く低いスタンスからの素振りには、股関節を割った構えを作る効果や足腰を鍛える効果が有ります。ですから、微妙な差で良いのですが、「狭く高いスタンスの素振り」「通常のスタンスの素振り」「広く低いスタンスの素振り」の3種類を行うのも効果的な練習法です。
続きます。
★ 当日、トップハンドで上から掴む感覚を養うため、両手の間を離した置きティーをしました。あそこまで離さなくても良いものの、タマに離して振るのも良い練習です。最終的にも良いグリップとして「ルーズフィットグリップ」と言うのをうちだしているのですが、ボトムハンドとグリップエンド、トップハンドとボトムハンドの間は、ギュッと密着させない方が良いと言う事です。
投球編
まず、投球腕の改善が大きなテーマですが、それには以下のアプローチが重要です。
(1)ストレッチ
(2)フォーム改善
続きます。
ストレッチに関しては、左腕の方も行ってください。バッティングが左打ちなので、左腕の方がバットと言う重量物を扱う事で硬化している可能性が有ります。フォームを見ると、写真の形にグラブ腕が固まっており、スムーズに動かない傾向が有ります。その影響で投球腕の回旋も制限されているのかもしれません。
この形(内旋して肘の曲がった形)でグラブ腕が固まる原因は主に二つの場合が有ります。一つはグラブ腕側の可動域が狭いと言う事で、もう一つは、グラブ腕で身体の開きを抑えて壁を作ろうとしている場合です。
いずれにしても、バットを振った後は肩のストレッチやシャドーピッチング等で肩周りの筋肉をほぐしておく事が重要です。
フォーム改善に関しては、腕を組んだ状態からのシャドーで理想に近い形が出た事にヒントが有ります。
続きます。
問題点として、クイックの場合に顕著なのですが、動きだしのところで僧帽筋が緊張しやすい、つまり肩に力が入りやすいと言う事が挙げられます。
これは、身体に比べてまだグラブやボールが重いと言うのも有るでしょう。それは自分でも重い物を持って投球動作をしてみると、確かにそうなります。因にこの問題はバッティングでも出ていて、バットを持たなければ写真のように素晴らしいラインを作れる骨格をしていながらも、バットを持つとそうならないのは、まだまだバットが重いからと言う部分が多々有るはずです。僧帽筋が緊張すると、肩甲骨が脊柱に引きつけられ、胸椎の後湾した状態が作りにくいからです。
因に次回、スローイングに少し時間をいつもより割こうと考えています。というのもラボにおけるピッチング理論にも少し微妙な方向転換を取ろうと考えているのも有ります。
予習的に、その話題をしておきます。現在は、日本人的な脚の挙げ型を採用していますが、この脚の挙げ型の場合、セット始動は一番やりやすいのですが、色々と微妙な問題も見つかって来てており、必ずしも理想とは言えないのではないかと考えだしています。
★日本人的な脚の挙げ型 脚を挙げて一瞬、クッと止まる投げ方
ただ、実際には色々な脚の挙げ型をする投手がいるわけです。
★昔式の振りかぶり型
松坂大輔
ジャイア•ジャージェンス
★前脚回し込み型
ダルビッシュ有
★外国人に多いタイプ
チャド•ビリングスリー
フランシスコ•ロドリゲス
ジョーダン•ジマーマン
★メジャーのパンチャーに多い、手と脚を同時に挙げるタイプ(基本的にあまり良く有りません。)
ブランドン•モロウ
★その他、捻り系(これも基本的に変則技術です)
ティム•リンスカム
http://www.youtube.com/watch?v=U6ZaYyVenSk&feature=plcp
フェリックス•ヘルナンデス
http://www.youtube.com/watch?v=hyd9xygi05I&feature=plcp
これら全てのパターンの中で、セット始動は可能ですが、もっともセット始動がやりやすいのが、現在ラボで採用している日本人式です。しかし、それよりも下半身の力が使いやすいタイプ等、一長一短が有ります。
これをどう考えるかと言う事ですが。。
バッティングにしろスローイングにしろ、スイング動作には「理想形」が有ります。そして、その原理の部分はテニスやゴルフ等、他のスイング系動作の中にも見られます。ただ、野球はその中でも、最も原理そのものに近いスポーツです。
バッティングの場合、オートマチックステップだと、その原理そのものが実現出来ます。しかし、リリース前始動等の問題を生じるのでした。
ピッチングの場合、マウンドから脚を挙げて投げると言う動作の中で、果たして、「このやり方が理想」と言うのが有るのだろうかと言う疑問が有ります。
つまりピッチングの核となるスイング動作には理想が有っても、それを野球の競技の制約の中で「ピッチング」として行う時、「このやり方が理想だ」と言うのは言えなくなるのでは無いかと言う事です。
「セット始動」は、その理想を示す一つの要素です。ただ、それが一番やりやすい日本人式だと下半身の力が発揮されにくい部分が有ります。それを例えば脚の挙げ型を他の方法にした場合、その投げ方の中で、極力セット始動にする技術的ポイントを踏まえる事は勿論重要ですが、それと同時にセット始動の動きを身体にしみ込ませるための補助的なドリル(※)が必要になるのでは無いかと考えます。
※ 例えば、脚を小さく挙げた状態からセット始動でシャドウをしたり、オートマチックステップの原理をスローイングに組み込んだりなどの手法です。また、現在行っている日本人式の脚の挙げ方のフォームも、そういうドリルとして使えます。
ですから、次回、様々な脚の挙げ型と、その仕組み、また、その中でセット始動を実行するためのポイント等を説明しながら、コータ君のフォームがどう変化するかも含めて、見て行きたいと思います。
次回までには、とりあえず、セット始動と言うポイントだけは外さないようにして頂ければ充分です。(見よう見まねで、色々なフォームを真似てみても良いと思います。ただ、そのフォームの仕組みが解らなければ難しいとは思います。)
以上です。では次回、楽しみにお待ちしております。