2012年7月25日水曜日

ホセレイエスさん2回目

本日はご来店有り難うございました。
ホセレイエスさんの息子さんです。



1つ目の課題であった「両脚股関節を割った上で、前の膝を内、後ろの膝を外に向けるラインの形成」はほぼ完璧な形で出来上がりました。その見本になるくらいの形がいくつか有ります。「ほぼ」と加えたのは、形的には完璧なのですが、まだ恐らく余計な筋肉に力みが入っていると見えて、僅かにゴツゴツした感じのラインになっているからです。これがもっと感覚が磨かれるとなめらかなラインになるでしょう。

2つ目の課題である、割れて着地した前脚股関節の伸展(絞り)による骨盤の回転と前脚への乗り込み、前脚軸の形成に関しては、まだ、改善の兆しが見られる程度です。この点に関しては、引き続き大きな課題となります。

バッティングに関しては、かなり良い線行ってます。クローズドスタンスに構えるクセや、インステップするクセが有りますが、インステップするのはホームベース方向に前傾して構えるのでバランス的にホームベース方向に傾きやすいからでしょう。特に子供の場合、頭が重いので、それも原因であるかもしれません。ただ、その前傾を修正しようとすると、骨盤まで後傾してしまうので、やらない方が良いでしょう。ただクローズドスタンスやインステップの傾向が、腰の回転の小ささの原因になっていると思います。

いずれにしても「両脚股関節を割った上で、前の膝を内、後ろの膝を外に向けるラインの形成」が出来た構えを忘れずに、2つ目の課題を克服するために、左脚股関節の回旋能力なども含め、当日お話したポイント(踏み込んだ前脚に体重が乗る事など)を踏まえつつ、取り組んで行くと、良い方向に向かうはずです。

大雑把に言いますと、今、始動時の下半身の力は充分で、ハムストリングスも良く使えています。構えも良いし、グリップも良く、スイングにもクセが有りません。しかしただ一点、腰の回転が小さいので、そこさえ改善されれば素晴らしいフォームになると言う事です。

それよりも、今回気になったのは、スローイングと肘痛の方で、今回はそのあたりについて重点的に書きます。下の写真の(2)のように、ボールが肘の後ろに隠れるくらい外旋すれば肘は安全なのですが(1)のような腕の形で投げると肘痛の原因になります。


(1)のようになる原因は、テークバックが担ぎ気味なので、テークバックでの内旋が小さく、結果的にその反射である外旋も小さくなるということです。


スローイングの最も重要な基本の一つとして、下の写真のように、肘が曲がった状態で、内旋〜外旋と肩が周り、リリースにかけて再び内旋すると言う投球腕の動きを身につける事です。


なお、投球(ピッチング)に対する「補助ドリル」は以下の3点に変更します。

★補助ドリル1(セット始動を身体にしみ込ませ、投球腕の回旋を良くするドリル)
★補助ドリル2(助走を付けたバックホーム投げで、全身をダイナミックに使うドリル)
★補助ドリル3(静止状態から一気に力を発揮する感覚を養うドリル)

ピッチングについては若干の理論マイナーチェンジが有りますが、その点についてはコータ君の方の記事を参考にしてください。


今回は(ラボで)「肘痛」と言うテーマについてをもう少しメインにしたかったのですが、バッティング中心と言う事もあり、そこまでは到達出来なかった感があります。
ただスローイングの基礎内用を全体的に充分に出来ましたので、今後、ネット上でのやりとりをして行く上での土台は出来たと思います。

まず、現状で息子さんの出来ている点と出来ていない点について箇条書き的に挙げて行きます。


★下半身の力は良く使えています。始動時に後ろ脚で地面を押す力、フォロースルーでの前脚股関節の伸展も良いです。何より、フォロースルーでのターンが抜群です。前脚股関節の伸展(絞り)が使えているので、きちんと打者方向に力が伝わった上で、一塁方向にターンしながら倒れ込んで行くのが良いです。たんに倒れ込むだけだと良く有りません。最後に右脚が着地した時に体重が充分に乗り込んでいますが、これなどは日本人が非常に苦手とする動作で、少なくともプロで出来た例は無いと思います。(日本人の場合ターンは有っても倒れ込みが無い場合がほとんどです。)ラボで教えて来た中でも今までで最高の倒れ込みですね。アスファルトだと膝が怖い面も有るので、そこだけ気をつけてください。



★投球腕のスイングは最大の課題です。やはりまず肘痛が完治する事が重要でしょう。今はまだ肘に痛みが出ないようにと言う事で力もセーブ気味なのかもしれません。ただそうして力をセーブすると余計に投球腕の回旋がスムーズに行かず、肘を痛めやすい投げ方になるので、まず完治する事が重要です。素振りをした後に腕回しストレッチをしてください。右投げ右打ち(左投げ左打ちも)の場合、この取り組みは特に重要です。バットを使った外旋ストレッチも、出来る範囲で少しずつ出来るようにしてください。なお外旋ストレッチはグッと負荷をかけるので順番的にストレッチの一番最初で、その後に内旋ストレッチや肩甲骨のストレッチ、肩回し等の動的系の順番で行います。

★メジャー式の脚挙げについては、そこそこいい感じにはなりましたが、もう一歩です。出来るだけ多くのお手本を見ながらイメージを作ってください。Kロッドなどは極端なので解りやすいでしょう。

★クイックモーションについては、「抜き」がもう一つな感じが有りますが、逆に小学生の場合だとそのくらいの方が良いかもしれません。というのも、その方が後ろ脚に乗ってパワーを発揮出来ますし、また「抜き」自体が身体操法として比較的高度な部類のものだからです。理想は抜きながらタメを作れる事ですが、最初は抜きをやろうとするとタメが作れずパワーが発揮出来ないかもしれません。少しづつ出来るようになれば良いと思います。しかし何より、クイックでこれだけフォローでターン&倒れ込みが出来ているのが素晴らしいです。

★下半身の力が使えていると言うのと矛盾するようですが、ステップ幅がもう少し欲しいところです。ただこれは当日、全力を出し切れなかった事も有るのかもしれません。その辺はまた書きます。ただステップ幅が出てこれば投球腕の回旋ももっと良くなるでしょう。逆に肩がもっとスムーズに回るようになれば、ステップ幅も伸びやすくなります。

★骨格的には今の所、特に黒人的な特徴が有る訳ではありませんが、かなり外国人的なフォームが出来る可能性が有りますし、現時点でそういう感じがだせています。股関節のストレッチ等を良くやっているからなのかもしれません。ただ、ピッチングフォームの基本的な部分でやや問題が有ります。それは「ステップ幅が狭い事と関係して、投球腕の回旋が不十分であり、肘を痛めやすい腕の振りになっていると同時に、前脚の動作も悪い意味での膝の突っ張りになっている傾向が有る」と言う事です。


★改善の道筋は以下のように考えています。まずステップ幅を広く取れるようにするためのドリル、トレーニングを行います。次に肩のストレッチを行います。また、セット始動ドリル等を利用してアームや担ぎでは無い、内旋して肘から挙るテークバックを身につけます。これらの取り組みによって、ステップ幅が広くなり、投球腕の回旋がスムーズになると、膝の突っ張りも自然と無くなって行くでしょう。

★ワインドアップから前脚を挙げる動作はラボでも重視しているのですが、今回は時間的にもあまりそこを出来なかった感があります。そのため軸足での足踏みを含めて、そのへんが今一歩です。前脚を引きながらカクッと後ろ脚の膝を緩め、踵で踏みながら前脚を挙げる流れをシャドー等から一球一球行ってください。

続きます。

まず、肩の柔軟性を向上させ、投球腕の回旋をスムーズにするための方法です。

(1)打撃の後に、シャドーピッチングや肩のストレッチを行ってください。これは右投げ右打ちや左投げ左打ちの場合には特に重要かつ効果的です。素振りの場合、理想的には素振り5スイングに対してシャドー5回などと交互にやる事です。

(2)肩のストレッチはバット外旋を最初に行い、次に内旋、次に肩甲骨系(逆手で前腕を回内)、最後に腕回し等の動的系を行うのが理想です。

(3)小学生の場合、ボールの負荷が腕に力みをもたらして、肩のスムーズな回旋を妨げている可能性も有ります。この場合、ラボで使いました、新聞紙を丸めたものに粘着テープを巻いた、シャドーグリップを用いると、少し肩がスムーズに回旋するようになるかもしれません。

(4)シャドーでは基本的にピッチャー無げをお奨めします。それに加えて、セット始動のためのオートマチックステップ投げと、後ろ脚の力を使うためのドリルも加えてください。これらは後ほどポイントを書きます。シャドーは軽くやる人が多いですが、たかがシャドーと思わずに全力投球してください。もちろん、肘が完治する事が前提ですが。全力投球する事で、始動時の上半身のサイレンとピリオドと下半身の力が上手く働けば、スムーズな肩の回旋が実現します。パンチャーの場合、軽く投げるとスムーズな肩の回旋にはなりません。また、シャドーの方が肘の痛みが出にくい可能性が有ります。

(5)内旋がかかりながら肘から上がり、その反射で外旋し、ボールが肘の後ろに隠れる角度を作るためには、セット始動のためのオートマチックステップドリルが有効である事が考えられます。ある意味、打撃との互換性が高い、このドリルと素振りの組み合わせも面白いでしょう。

(6)痛みなどで投げることが出来ない場合は、肩のストレッチ、とりわけ腕回し(スローイングと同じ前回し)を重視してください。動的ストレッチによる関節柔軟性の向上効果が最も高いのはシャドーおよび実際のスローイングです。腕回しはその事前の策です。

シャドーピッチングの実践動画を貼っておきます。



投げる事に関しては、息子さんの場合、ほとんど問題は投球腕のスムーズな回旋を身につける事だけでしょう。ただ、そのためには下半身の力を強く使えなければならないと言う事です。

野球小僧テクニカル ピッチング編の原正文と言う人の記事で、子供の肘痛は骨端線(成長軟骨)が有るので大人と違うが、骨がやわらかく成長過程の小中学生は、大人に比べて手術無しで治る率が遥かに高いと書いてあります。

医学的な専門書みたいなのも持ってますが、実践の感覚が無い人の話と言うのはやはり難しいですね。

私の経験を書きます。高校の頃、肘痛になりました。投げられないほどかなり痛かったですが、現在では全くありません。(しばらくボールを投げないうちに自然に治りました。)しかし今でもこの感じの動作だと肘が危ないなと感じ、肘に嫌な張りを憶える事が有ります。そういう場合は、その投げ方は回避すると言う感じですね。

ただ、投げ方が合っていれば、シャドーだと全力投球で一日500回やっても、全く肘に来ません。記憶では、その時、シャドーグリップの中に10円玉を入れて重くしていたと思います。また、確か一日かけて1000回やった事が有る記憶が有るのですが、肘に痛みが出なかったのは確かです。30過ぎてからの話です。

その経験から言うと、肘に痛みが出るケースは(少なくとも私の場合)ただ一つです。それは所謂「最大外旋」のところで外旋角度が浅く、肘の後ろにボールが隠れる状態が作れないケースです。こうなると、直ぐに肘に嫌な感じが出ます。その理由は下半身動作で重心移動が小さかったりと言う場合が多い気がしますね。ただ、コレにさえならなければ、肘に痛みが出る事は無いですね。(すべての人に当てはまるかどうかは解りませんが、肘を痛める選手を見ていても、ほぼ言い切れる事です。問題が問題であるだけに断言しないだけの事です。)

肘の後ろにボールが隠れるシーン(スインガータイプ 4コマ目)

肘の後ろにボールが隠れるタイプ(パンチャータイプ 4コマ目)

個人的な見解が許されるのであれば、「肘痛は極めて原因がシンプルで、また慢性化しない内に完治すれば、完治する問題」だと言う事です。

ただ一点、慢性痛と言うのは非常に厄介な問題で、一度慢性化すると、その痛み信号を伝達する神経ネットワークが強化されてしまい、より完治しにくくなると言う事が知られています。息子さんの場合、少年野球が終わってから中学が始まる時期が一つの休むチャンスかもしれませんね。

大雑把に勉強した感じだと、アイシングして痛み止めを打ち、手術する世界が有ります。湿布やエアーサロンパスを含めて、痛み止めの消炎鎮痛剤は基本的に血液の流れを止めて痛みを和らげる方法ですが、血液の流れを止めるので組織の回復も遅れます。共感出来る考え方として、アイシングは打撲、捻挫、骨折などで損傷を受けた直後の処置としては必要だが、長く続けるものでは無いというものですね。

ただ、経験上、肘に関しては「痛むのは投げ方の問題。治すのは休むに限る。」と言う事が言いたいですね。

少年野球の間は完全に休む事は難しいにしても、肩のストレッチで肩の柔軟性を向上させ、投げるよりシャドー優先にするのが良いでしょう。(子供にとっては、ボールの重さが負担になるのでは無く、大きさが負担になります。握る事によって前腕の筋肉が緊張し、その事が肩の回旋を妨げるからです。グッと強くグーを握ると、何故か上腕二頭筋まで緊張しますよね。)

と言うわけで、投げる事についても、また色々とご相談ください。肘痛は動作による部分が大きいと思いますので。以前ペドロに似てると書きましたが、ペドロと同じように肘を痛めるところまで予測出来なかったのは甘かったなと思っています。

では次にバッティングです。

早速ですが、新しい動画は素晴らしいですね。これぞオートマチックステップと言う感じです。



コータさんのところで、マシンでの脚上げ型について書きましたが、一般的なバッセンほどの距離が有れば、そこそこの球なら問題にはなりません。それに比べて息子さんの場合、オートマチックステップの動きにクセが無い分、ステップが素早い事も、マシンでのオートマチックステップ打ちを難なく可能にしているのでしょう。ただ、身体が出来てこれば、もっと速い球に慣れるために、脚上げ型を使う練習が有っても良いですね。今はまだ無理すると肘が怖い部分も有ります。

コータさんの場合、球速よりは恐らく距離の近さが問題になったのでしょう。それで自宅でのマシン打撃の動きが試合や、ラボでのティー打撃の動きと違ったものになってしまっていたわけです。そしてよく見ると、マシンの発射音が脚が挙った後になっており、脚を上げる動作もオートマチックステップによる無意識的な動きと言うよりはマシンにタイミングを合わせているように見えたので、脚上げ型をお奨めしたわけです。(もちろん、脚上げ型でマシンの速い球を練習すると言うのはオートマチックステップ習得プログラムの一環です。)

まぁ、とにかく今は、この打ち方で普通にボールを打って行けば、それだけでかけがえの無い練習になるわけですから、(根本的には)そう難しく考える必要も無いでしょう。子供の時期にボールを捉える感覚を磨いておくのと、そうで無いのとでは全然違いますから。考えてみれば打撃とは「まだソコに無い物体を打ちに行く行為」ですから、良く考えると凄い事をやっているわけです。

もう少し続きます。

腰の回転が小さい件についてですが、まずは下の動画を見てください。きたろうさんとのハイスピードの比較です。



息子さんの長所は前述しましたように、始動時の下半身の力が強い事です。そのため、始動時に腰を突き上げる動きが明確に見られます。しかし、その力を制御しきれず、頭の位置まで上に挙っています。

一方、きたろうさんの場合、スタンスが狭く、重心が高い構えですが、このタイプの構えの場合、始動時の下半身の力はあまり大きくなりませんが、そのぶん、下半身の筋肉が弛緩しやすいので、前脚が踏み降ろされるときの重心の下降がスムーズになり、そこでタスキラインの筋肉を引き伸ばす事になります。

いずれにしても、きたろうさんの場合、始動時に全身で伸び上がっていないと言うのが、ここでの論点になります。頭の位置が浮いていません。息子さんの場合、頭の位置が浮いてしまっているので、前脚が挙る時に後ろ脚が伸びきってしまっているのに対し、きたろうさんの場合は緩やかに曲がった状態を保てています。


このシーンで後ろ脚が伸びきってしまうと、内転筋だけが過剰に引き伸ばされ、その反射による内転が過剰になってしまいます。つまり、後ろ脚の動作が「割れ〜絞り」では無く「外転〜内転」になってしまうわけです。
一方、きたろうさんの場合は見事に「割れ〜絞り」の動作になっています。


息子さんのフォームと比較してみてください。息子さんの場合、内転が過剰になり伸展の要素が足りないので、後ろ脚で地面を押す力が弱く、そのぶん、後ろ腰が沈んでいます。こうなると、ヘッドが落ちて、その反射で手首のコネが強く起こり、バットが波打って引っ掛ける原因にもなります。


さらに、一方の股関節の絞りは他方の股関節の割れと連動します。逆もまたしかりです。ですからきたろうさんの場合、前脚着地の前後に後ろ脚股関節の絞りと前脚股関節の割れが連動して、着地時に見事に前脚股関節が割れています。


一方、息子さんの場合、この連動が起こりにくく、上手く前脚股関節が割れてくれない事が、前脚股関節の割れ〜絞りを上手く作動させず、腰の回転を小さくさせていると言う可能性もあります。

いずれにしても始動時に後ろ脚が突っ張り、後ろ脚股関節の割れ〜絞りが上手く使えていない事が腰の回転を小さくしているのは確かでしょう。

ハイスピードの比較で、両者の後ろ脚の動きを比べてください。腰が回転する時、息子さんの場合、内転がメインになっていますが、きたろうさんの場合、伸展の要素も加わり、絞りになっています。そのぶん後ろ脚で地面を(無意識下で)蹴って腰を回転させる力が強いのです。

解決策

バッセンでの動画を見ると、あまり頭の位置が浮き上がっていません。これは一点に集中する意識が強いからでしょう。素振りの時も壁のキズなど、小さな一点を見つめ、そこに集中しながらバットを振ると、頭の浮きが抑えられます。今までの動きのクセも有りますから、後ろ脚の動きなど、直ぐに良くなるとは限りませんが、しばらくやってみて変化を見ると良いでしょう。それに加えて、ストレッチとしてはやはり割れ絞り体操ですね。特に右脚股関節を割った時、アウトエッジ荷重と「脚」の外側のラインと大殿筋で体重を受け止める事(大腿四頭筋を使った屈伸にならないようにする)を意識してください。この二つの取り組みで、どこまで改善されるかを見てください。

続きます。

では次に掲示板の方でテーマとして挙げられていた事にお答えします。

1)引っ掛ける傾向が有る
これは多いに予想出来る事です。素振りのハイスピード動画を見ても、後ろ脚の動きが「外転〜内転」になっており「割れ〜絞り」になっていないので、股関節伸展の力が弱く、後ろ脚で体重を支える力が弱いのです。そのため、後ろの腰、肩が沈む傾向が有ります。こうなると、バットのヘッドも落下して、その時にトップハンドが外旋します。そしてその後に、その反射での内旋が起こり、これが手首のコネです。こういうスイングだと、軌道も遠回りになり、引っ掛けたゴロが多くなるでしょう。動画でも後半、筋肉が疲労してきた頃に後ろ脚の効きが甘くなって、そういう打球になったのだと思います。そこに腕の筋肉の疲労が重なると、なおさらそういう傾向が強まります。(以前に耐久性が無いと言う意味では3分しか地球にいられないウルトラマンのような打法だと書きましたが、動画でも前半5スイングくらいが良ければ、良しとした方が良いでしょう。打ち続けるのが良く無いと言う意味ではなく、そういうものだと言う理解が必要だと言う事です。)

改善策としては、先に挙げた通り、一点を見ながらの素振りと割れ絞り体操で、しばらくやってみてください。

また、揺らぎの時にあまりバットを回し過ぎると、手首が疲れて来て、手首を捏ねる原因になります。そういう場合、特に数を打っているうちに、その影響が出てきます。揺らぎでのバットの回転を受けて、特にトップハンド側の手首や前腕部が負担を受けていないかをチェックしてください。その負担によって力みが出ない場合は、そうならないように試行錯誤する必要が有ります。(このへんの細かい事は、今の年齢ではまだ言いにくいです。)

2)実打での両脚のラインが悪い
あまり気にする事はありません。おそらく首の角度が関係しているのだと思います。実際打つとなると、やはり両目を地面と水平にしたいと言う意識になり、その事が脊柱のS字カーブを甘くさせ、股関節の割れを甘くさせているのだと考えます。特に子供の場合、大人よりリリースポイントを見上げなければならないのでアゴが挙りやすくなる傾向は否めません。

ただ、他の原因も有るかもしれません。しかし、素振りの中で出来ているのでしたら、ひとまずはそれを大切にして、素振りの中では出来るようにしておいてください。

補足

ラボ当日、やや後ろ脚寄りに傾いていたバランスを真ん中に修正しました。最後の方では素振りの時に「両足の外側に体重をかけて、頭は気持ち前寄り」と言葉がけしていました。それは勿論、股関節を割って、真ん中バランスの構えにするためです。

ただ、真ん中にバランスを置くための有効なイメージとして、Xのラインをイメージすると言うのが有ります。写真のように後ろ肩から前足に至るラインと、前肩から後ろ足に至るラインが交差してXを描くイメージです。このXがひしゃげて傾いたりしない事が重要で、それは真ん中でバランスを取れている事を意味します。


この写真ではもちろん、良いXラインが出来ています。

因に、このラインは体重の荷重線としても意識できます。ラボでやるとしたら、一回ごとに片方のラインを意識して構え、3回目にXのラインを意識すると言うセットを繰り返します。(後ろ肩、前肩、後ろ足、前足の4点と、両方の線が交わる1点の計5点を意識するとXのラインが作れます。常に意識するような事でもありませんが。)

次に腰の回転についてですが、ハイスピードカメラを見る限り、腰は充分に回っているわけです。要はインパクト以降のフォロースルーで押し戻されているので、腰の回転が小さく見えるわけで、単に見えるだけでは無く、押し戻されているのですから、パワーもロスします。

下の写真でも前脚のジャージのラインを見ると、インパクト後に逆回転している事が解ります。

これは当日お話しましたように、前脚股関節の伸展によって骨盤が前脚に乗り込む事で生じる前脚軸の形成が弱いためです。体重の乗った前脚に骨盤が乗っていないので、フォローで押し戻されるのです。しかし、この感じは子供で何回か見た事が有ります。技術的な問題だけでは無く、身体の力の問題も有るかもしれません。いずれにしても「腰の回転が小さい」と言う問題について「どこのシーンでの回転が小さいのか」と言う事をここで明確にしておきます。インパクトまでは充分回っているのです。

今後の展望

掲示板に書きましたように、身体運動的な見地からすると、小学生としてはかなりのレベルに到達しています。(もちろん「かなり」には「前例が無い」と言う意味も含まれています。)

腰の回転が小さいなど、フォーム的に気になる事がありましたら、また何でもご相談ください。ただ、既にここまで出来上がったと言う事を考えると、少なくとも小学生の間はその種の取り組みはサブ的なものだと言う事です。

メインとしては、黒人化トレーニング等を含めた股関節のストレッチ、ダッシュ、重いバットを振る事で力を付ける(もちろん、同時に軽いバットを振ってください。)などの強化的なというか、身体そのものを作って行く取り組みが重要になります。

特に息子さんの場合、現時点では他の日本人と比べて、特に黒人的な特徴のある骨格、肉付きが有ると言うわけではありませんから、身体が大きく成長する中学期に、その種の取り組みが重要になります。

また、細かい動きや打てた打てなかったが気になる事もあると思います。しかし、特にこの時期と言うのは、身体の成長と技術の成長が重なっている部分が多分に有ると思いますから、あまり細かい事を気にするよりも、身体を作って行く事を考えた方が良いでしょう。

もちろん、いきなりウェートトレーニングをする必要が有るとは言いません。(自体重を使ったものにせよ、器具を使ったもににせよ、行う場合は出来るだけ多様なメニューを少しづつ、反動を利用して、終わった後に動的ストレッチ、素振り、シャドーを行ってください。)

たとえば、坂道ダッシュや重いバットを使った素振りでも、立派に身体を作るトレーニングと言えるわけです。重いバットを使った素振りで気をつけたいのは言うまでも無くフォームを崩す事で、これは慎重に少しづつ重さを挙げて行く必要が有ります。基本的には大人用のバットを短く持つところから始めた方が良いでしょう。

そして、子供の場合、特に重いバット、と言うよりも普通の少年野球用のバットを振ってるだけで、それ自体重いので、フォームが崩れます。ですから、塩ビパイプ等の軽いバットを振る習慣を付けておく事が非常に重要です。重いバットを振って、筋肉が緊張したまま日を重ねてしまうと、どんどん調子が落ちていきます。

一日の練習は股関節の体操と軽いバットの素振りで終える習慣を付けてください。

いずれにしても、股関節のトレーニング、或は走ったり、重いバットを振ったりしながら、身体を作って行く事が非常に重要で、それによって解決していく技術的な問題も多々有るはずです。後はひたすらボールを打つのみですね。

以上です。

ではまた頑張ってください。ご質問もお待ちしております。