2012年7月22日日曜日

ピッチング理論一部変更のお知らせ

ピッチング理論(パンチャー)において一部変更が有ります。

これまではセット始動(ボールがグラブの中にある状態)をピッチングにおいても最重要ポイントの一つとして来ました。確かに、スローイングの動作形態において、セット始動は最重要ポイントの一つであり、その事に対する見解は変わりません。

しかし、野球と言う競技の定めるピッチングと言う制約の中では、充分な重心移動を稼ぎだすために助走の変わりに前脚を大きく挙げなければなりません。

問題は、この前脚を大きく挙げると言う動作とセット始動の相性が悪いと言う事です。なぜなら前脚を大きく挙げて、後ろ脚に体重を乗せれば、その瞬間から後ろ脚からの地面反力により投手の身体は重心移動を始めます。

重心移動が始まれば、連動して上半身も動き、グラブとボールが割れて行く事が自然です。ここで無理にセットポジションを保とうとすれば筋肉に不要な緊張を生み出し、その後の動作に支障が出ます。事実、ラボにおいても下半身に緊張が出るケースや上半身に緊張が出るケースが見られました。

ですから、前脚を挙げた後は無理にセットポジションを保とうとせず、重心移動と連動させて脱力しながら腕を自然に割り、その中で始動すると言う方が全身の力を上手く使えます。

ただ、この場合、腕の動作に関しては理想的とは言えません。そこでピッチングモーションとは別に、セット始動を身体に憶えさせ、腕の回旋運動を理想的な状態に保つための「補助的ドリル」が必要になります。

そこで考えられるのが「オートマチックステップの原理をピッチングに当てはめた投げ方」と「小さく前脚を挙げた状態からのスローイング」です。前者は究極のクイックにも繋がります。

この変更に伴い、前脚の挙げ型は外国人式を奨める方向にしていこうと考えています。なお、クイックモーションにおいても無理にセットを保とうとしない方針にします。

外国人式の脚挙げの一例
http://www.youtube.com/watch?v=CBmh3M8p0CI&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=2ONDZ32qYuc&feature=plcp

この理論変更の意味するところは「ピッチングはスローイングにおける理想の動作形態では無い」と言う事を意味します。この意味において球数制限なども容認する方向に動かざるを得ません。(もっとも、この点については斜面の上で投げる事から、以前より容認していましたが。)

今までは、実在するメジャーの投手の中に完全なセット始動の投手がほとんど存在しないと言う事に非常に疑問を感じていましたが、これで、よりメジャーの投手をすんなりと参考に出来る事になると思います。

そして、ピッチングに対する取り組み方としては「ピッチング動作そのもの」と「セット始動の感覚を保つためのドリル」の2種類が必要になると言う事です。これに加えて、より全身をフルに使うためのドリルとして外野手のように助走を加えたスローイングも加えようかと考えています。