この動画の打者はニック・スウィッシャー。比較的好きな打者で、左右共にパンチャータイプのスイッチヒッターだ。
この打者を見て、常々思っていた事。「トップ型の構えだな」「あまり捻っていない構えだな」「捻っていない割りには、ボトムハンドの肘が浮かず、バットが良い角度に納まっているな」「ゴツいエルボードだな」「バット短いんじゃ無いか」「首が斜めだな」等々。
トップ型の構えでは写真のように、ヘッドが重力によって背中側に倒れようとする。この力に負けてしまうと、ボトムハンドの肘が浮き、バットを担ぐような構えになる。そうなるとなおさら腕に負担がかかる。右の打者の方が捻りが深くヘッドが投手側に入っているが、この方が「投手から見たグリップとヘッドの距離」が短くなるのでボトムハンドの肘に関しては浮きにくい。ただいずれにしてもトップ型の構えにとって、この「肘が浮いてバットが横に寝てしまう」と言うのは厄介な問題だ。
ここで、エルボーガードが有ると、この回転力に抵抗する事になるので、肘が浮きにくく、バットが良い角度に納まりやすい。そうなるとバットも重く感じにくくなる。なるほど、スウィッシャーの構えを見て感じた印象はそういう所から来ていたのか。ほとんど捻っていない構えなのに、あの絶妙なバットの角度。あれはエルボーガードの効果も有るのだろう。
手っ取り速く試したい人は、バスタオルか何かを肘に巻いてみると良い。バットが良い角度に納まりやすくなるはずだ。
エルボーガードは中々使えそうなアイテムだ。もちろん、重すぎると問題だが。ところで、こうした類いのアイテムは他にはシンガード(すね当て)や親指に巻いてバットを支えるリング等が有る。シンガードはオートマチックステップの動きが遅くなりそうだし、親指リングはトップ型の核心には迫っているものの、動作に対する影響が懸念される。
エルボーガードなら、そのあたりはまだマシでは無いか。もしかしたらボトムハンドの引きも起きにくくなるかもしれない。ボトムハンド側を(重りで)止めて置いて、トップハンド側をそこにぶつけて行くと言うパンチャーのメカニズムには適応しそうだ。スイングスピードについても「手首に少し重りが有った方がスイングスピードが上がる」と言う話も有る。「中学野球小僧テクニカル・バッティング編 湯浅影元の記事」大学教授の話なので裏付けは有るのだろう。
いずれにしても、トップ型の構えでは「バットの重さによる腕の緊張」を如何に無くして行くかと言う所に心血を注ぎたい。そのためのパワーも付けたいし、バットも短く軽くしたい。バランスもトップバランスは避けたい。構えるタイミングやルーティーンも考えたい。そのためにプラスになると思える事なら、何でもしたい。
何故、そこまでその事に気を使うかと言うと、最終的なレベルでは投手はとてつもない球を投げて来るからだ。そこでバットの重さに足を引っ張られるようだと話にならない。物凄い投手の物凄い球。これを打てとは言わないまでも、手も足も出ない状況だけは避けたい。
バットを軽くする事によって、あと少しバットが重ければホームランだったのにと悔しい思いをする場面も出て来るだろうが、そのバットの軽さによって「凄い球」に対応出来るようになる事を有り難いと思った方が良い。
スウィッシャーのバットが短いのではと書いたが、実際の所は知らない。ただ、バットが長いとそれだけヘッドの重さがキツくなるので、トップ型の場合は短いバットの方が良いだろう。そうするとホームベースに近づいて立たなければと思われるかもしれないが、構えがクラウチング気味なので、それほど近づく必要は無いはずだ。
ところで、エルボーガードと言って忘れてならないのはバリー・ボンズだろう。侍の甲冑のような大袈裟なエルボーガードをしていた。