2013年5月3日金曜日

ソルトさん 1回目

2日間に渡るご来場ありがとうございました。



非常にセンスが有るソルトさんは、このレベルで野球経験は中学生までと言うから驚きです。打撃はある程度、ご自分での取り組みが有った状態ですが、ピッチングに関してはいきなりにしてはかなり良い線まで仕上がりました。

まずかなりの瞬発力の高さを感じさせるスイングです。今まで見て来た中でも、瞬発力と言う点では中々良い線行っています。そして細い割りには体に力が有るのも可能性を感じさせる点です。強く振っても軸がブレないのも体の力を感じさせます。

打撃編

スイングで最も気になるのは写真のようにトップハンドの外旋が甘く、手首が背屈したままになっている事です。

前腕の回内は手首の背屈と連動し、前腕の回外は手首の掌屈と連動する(ストレッチ)ので、掌屈が出来ないと言う事は、前腕の回外が弱く、それは肩関節の外旋角度が浅い事を意味します。

理想的なスイングは、ダウンスイング期では(トップハンドの)前腕が回内し、手首が背屈していますが、インパクトからフォロースルーで肩関節の外旋に伴い、前腕が回外、手首が掌屈を起こします。(写真)

こうした問題は、以下の2つの場合に起こります。

1)腕の筋肉が緊張していたり、強引に腕の筋肉に頼って振りに行く事で、早めに手首でヘッドを前に押し出してしまう。(トップハンドの肩が外旋し、肘がえぐりこんで行く前に、手首でヘッドを前に押し出してしまう。)

2)トップハンドの外旋の柔軟性が低い。

1)については山下さんの記事(http://bplosaka.blogspot.jp/2013/05/1_5.html)で書きましたが、ソルトさんの場合は、そんなに筋肉が肥大しているわけでは無いし、比較的しなやかに動ける方なので、これは無いでしょう。ただし、一つ考えなくてはならないのは、始動時に発揮される下半身の力がまだ弱いので、そのぶん腕に頼る割合もまだまだ大きいと言う事です。これはハムストリングスが使えるようにして行く事で始動時の力が大きくなれば解決していくでしょう。

2)についてはおおいに考えられます。実際、肩のストレッチ(バット外旋)をしても、肩の外旋角度が浅かったからです。肩の外旋角度はストレッチやシャドー(オートマチックステップ投げ)を地道に繰り返す事で、少しづつ向上していきます。また、当日も行ないましたが、動画の「皿回しストレッチ」もおススメです。これは構えの時の肩甲骨の回転と逆の回転をかけるので、これをやった後に構えるとシックリ来る効果も有ります。

置きティーの写真を見てみます。

(3)までの右肘のえぐり込みは素晴らしいです。しかし(3)から(4)でもう一歩、外旋させてえぐり込ませたい所です。そして(5)では外旋が浅いため、既にやや手首が返り気味です。これらはスイング中に意識して修正出来るポイントでは有りませんが、肩の柔らかさを向上させながらスイングを重ねて行く事で改善していく事が出来ます。

素振りを見ると、それでもまだ前脚は伸びている方ですが、もう一歩です。そして腰の回転も今一歩浅いです。そして、そのため、後ろ足の内側が地面に向くようなフィニッシュになっています。こうした問題点は山下さんと非常に似ているので、山下さんの記事も参考にしてください。

いずれにしても、外旋角度が浅いので、ヘッドの出が少し早くなり、結果的に腰の回転と体重移動が途中で止まってしまっています。これが改善されると、きたろうさん(左)のフォームのように前脚から頭に軸が通り、腰ももっと深く回ります。そして後ろ足の向きも改善されて来るでしょう。きたろうさんのようなスイングになって来ると良いということです。(ただ構えのスタンス幅は今のソルトさんの方が良いので、そのまま変えないようにしてください。)

ただ、前述しましたように、右肘の使い方そのものは素晴らしいです。

右肘が刀になったように切れ込んで行く、パンチャー特有のトップハンドの使い方がよく出来ています。


後は「えぐり込み」がもう少し深くなればと言う事ですね。ストレッチ、シャドー、素振りを繰り返す事で地道に改善していってください。(もちろん打ったり、ボールを投げられる時は、やった方が良いです。)

なお、バッティングのためのストレッチとしては、ハムストリングスを使う感じは当日の練習の中で出て来ていましたが、打撃の構えを見る限り、股関節を割る感覚や捻る感覚がまだまだですので、首位打者さんの記事(http://bplosaka.blogspot.jp/2013/05/1_7.html)を参考に、そうしたストレッチも行なうようにしてください。特に重要なのは「反り系」「アップダウン系」「割れ絞り系」「ハム立ち骨立ち系」です。

投球編

ピッチングについては経験者だけあって、中々良い感覚を身につけています。しかし、メジャー式の脚の挙げ方に始めて取り組んだと言う事も有り、ハムストリングスを使う事などが、まだイマイチ出来ていません。

続く。

ピッチングは冒頭の動画のワインドアップモーションで、1球目と2球目を比較してください。1球目の方がまだハムストリングスが使えています。2球目はあまり使えていません。これはまーやんさんの記事(http://bplosaka.blogspot.jp/2013/05/blog-post_4.html)でも書きましたが「グラブの逃がし方」が問題になっています。1球目ではグラブを逃がせず、前脚にぶつかっています。2球目では、グラブが前脚にぶつかるのを避けようとして、お腹を凹ませてそこにグラブを収納しています。(上段が1球目 下段が2球目)

  

こうした対応の結果、2球目ではお腹が凹み、骨盤が過剰に後傾してしまっています。前脚を挙げる時に後傾した骨盤は降ろす時に前傾に戻ります。しかし、それとは無関係に(今回のように無理にお腹を凹ませたりして)骨盤が後傾すると、降ろす時に前傾に戻ってくれません。2球目でハムストリングスによる股関節伸展の力が弱いのは、こうした原因によります。

ですから、まずはまーやんさんの記事(http://bplosaka.blogspot.jp/2013/05/blog-post_4.html)を参考にして「手の逃がし方」を身につけてください。これは手で動かすのでは無く、むしろ手は体幹にロックさせておく感じで、体幹の動きによって自然に手が逃げる事がコツになります。手で動かしてしまうと手投げになってしまいます。下の動画は逃がす事は逃がしていますが、少し手を動かし過ぎですね。ここまで手を動かすと腕力に頼ってしまう事になります。ただ、リズムはこれと同じ事です。この動きを如何に手を使わないでやるかということです。


下の動画でも、1球目以外は全てお腹を凹めて、そこにグラブを収納しています。おそらく1球目で前脚が手とぶつかったので、そうした対応を取ったのだと思います。しかし、その結果、ハムストリングスの力が使いにくくなったので、フィニッシュでの前脚の出方はおとなしくなっています。1球目が一番ダイナミックなフィニッシュになっているのはハムストリングスが使えているからです。


写真 手を上手く逃がしている例

その他、打者に正対した状態から前脚を一歩後ろに引く時の「膝カックン」や、その後の後ろ脚での踵の足踏みなどがまだイマイチ出来ていないので、そこも出来るようになると、もっとハムストリングスが使えて重心移動がダイナミックなフォームになります。このへんも前述のまーやんさんの記事に書いていますので参考にしてください。

また、クイックモーションについても、新しく開発した「すり足クイック」を、これもまた、同じまーやんさんの記事に書いてありますのでトライしてみてください。前脚を抜く動きと、始動のタイミングさえ掴めれば簡単に出来るはずです。すり足で前脚を抜く動きが出来ない人が多いようですが、コツは力を抜く事です。

ちなみに、ラボでおすすめしているのは、ランナー無しではワインドアップモーション、ランナー有りではクイックモーションを使う方法です。このスタイルはメジャーリーグではレッドソックスのクレイ・バックホルツが採用しています。ブログでもその事を記事の中(後半部分)で採り上げています。(http://bplosaka.blogspot.jp/2013/04/blog-post_27.html

セットポジションから脚を挙げるフォームはあまりおすすめしていません。なぜなら脚を大きくスイングするように挙げるメジャー式はセットポジションからでは難しいからです。(もちろん出来ますが、その場合、膝を意識的に曲げて、コンパクトに挙げる感じになるでしょう。ただ、その場合、前脚の挙上に大腿四頭筋を使いやすく、前脚を降ろす際に大腿四頭筋の緊張による引っ掛りを感じると思います。)ただ、ワインドアップであまりにも安定感を欠くようなら試合ではやってみるのも良いでしょう。その場合でも練習ではワインドアップをしたほうが良いです。その方が体の動きとしては良いからです。

ランニング編

走り方ですが、基本的には体が柔らかくうねっているので良いと思います。腕の振り方も良いです。ただ、問題は盗塁のスタートですね。

盗塁のスタートではリュータ君が上手かったです。動画の後半(1.16~)にありますので見て下さい。

ソルトさんとの違いは体の面が二塁方向に向くのが素早い事です。ソルトさんの場合は下半身がスタートを切っても上半身の面が打者方向に向いている時間が長く、そのぶんスタートが遅れています。原因は恐らく構えの違いでしょう。

ここで林さんとリュータ君とソルトさんの盗塁の構えの違いを見て下さい。

ソルトさんだけが左手を股関節のあたりに引き込んで構えている事が解ります。この結果、左手が出て来るのが遅れるのがまず一点と、もう一点は左手を前に振り出す動きが大きくなり過ぎて、その動きと連動して右手も前に出て来てしまっている(出て来る力が働く)事でしょう。

椅子に座ったままで良いので両肘を張った状態から片方の肘を体の中心に向かって素早く振ると、もう片方の肘も体の内側に入って来て胸が閉じるような動きになることが解ります。それは人間の体の自然な動きです。

この動きのため、右腕が背中側に引かれる動きまで遅れてしまい、最後まで右肘が背中側に引かれていません。このあたりの違いに注目してリュータ君の連続写真を見て下さい。(この写真はかなり理想に近いです。)

なので、盗塁の構えではやはり左手は膝の上あたりに軽く置いておいた方が良いでしょうね。そういう事に気付かされたと言う点では私にとっても収穫でした。ちなみに構えでの体(脊柱)の前傾具合で言うと、林さんやソルトさんくらいの方が自然で良いと思います。あまり地面と水平になるくらいまで脊柱を前傾させてしまうと、脊柱が全体的に後彎したアーチを描きやすく(股関節の屈曲角度の割には)骨盤が前傾しにくいと考えられるからです。

因に良い盗塁のスタートの条件としては「体の方向転換が素早い」「体が起き上がらない」などが考えられますが、どちらのポイントもまだ改善の余地が多く有ります。坂道ダッシュでの体の柔らかい動きにはかなり良いものが有る(それが解りやすいので逆再生スローを挟みました)ので、やれば上手くなると思います。

以上です。