2012年6月19日火曜日

宮本武蔵

江戸時代初期の剣豪である宮本武蔵は何度も映画やマンガになっているのでご存知の人が多いでしょう。「二本の刀を使う二刀流」「巌流島の戦いで佐々木小次郎に勝つ」「世界で最も読まれている日本の本の一つである五輪書を書く。」などが有名です。

高岡英夫は「武蔵とイチロー」の中で、武蔵の肖像画を元に身体運動の考察をしていましたが、私もやってみようと思います。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:P03jigazou.jpg

まず、この絵を見て解る事は、脊柱のS字カーブのメリハリが効いた体型である、つまり骨盤前傾型の体型である事です。胸からお腹にかけての部分が凹んで見え、右肩から左肩にかけてのラインが出っ張っています。胸椎が後湾して、左右の肩甲骨が外転すると、そういう体型になるのです。



上の動画の2.10〜2.45で腰に手をやっているタイガー•ウッズの立ち姿を見てみましょう。同じように、両肩を結ぶラインが出っ張って、胸が凹み気味に見えます。

以下の写真でもそうです。
http://www.shutterstock.com/cat.mhtml?lang=ja&search_source=search_form&version=llv1&anyorall=all&safesearch=1&searchterm=tiger+woods&search_group=&orient=&search_cat=&searchtermx=&photographer_name=&people_gender=&people_age=&people_ethnicity=&people_number=&commercial_ok=&color=&show_color_wheel=1#id=9583105

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このような体型の場合、イカリ肩では無く、肩のラインがやや丸みを帯びた形になりやすいのですが、これは胸椎の後湾の結果、僧帽筋のラインが前から見えやすくなるためです。イカリ肩やなで肩は、骨格の問題です。

また、武蔵の絵で面白いのは、鎖骨が上向きになっている事です。イカリ肩にすると、鎖骨の端は上を向き、なで肩にすると下を向きます。しかし、武蔵はタイガー•ウッズのように、肩のラインが丸みを帯びていながら、鎖骨の端が上を向いています。
無理に胸椎後湾のアーチを高い位置に作って試してみると、こういう鎖骨の向きになる事がわかるはずです。

また、アゴが少し前にせり出していますが、これは脊柱の湾曲のメリハリが効いているので、頸椎の前湾が顕著になっているためです。(脊柱の自然な湾曲は腰椎=前湾、胸椎=後湾、頸椎=前湾)

下半身が少し頼りなげに見えるのが気になる武蔵の肖像画ですが、この絵から武蔵が非常に運動性に優れた骨格、肉付きの持ち主であった事が解ります。