2013年9月6日金曜日

JHETTさん 2回目 3回目


ご来場ありがとうございました。

2回目


3回目


まず、総評から書きます。

投球総評

投球については、やはり肩が回り切らないので、体幹で生み出したスピードが増幅されずに腕を振っている事と、まだまだ股関節伸展の力を鍛える余地がアリです。
ただ、全身の動きについては、かなりレベルの高いものが有り、一般的な日本式フォームがクセになっているような野球経験者のケースに比べると、全然、良いです。投手と打者でどちらに可能性が有るかと言えば、間違い無く投手でしょう。

打撃総評

やはり、始動時に発揮される下半身の力が弱いです。これには、股関節周辺の筋肉の力を使えるようにすることも重要ですが、バットを回してからの素振りで大きく下半身の力が発揮されている事からも解るように、基本的にバットを持つ事で腕が緊張してしまっているのが大きな原因です。これは投球にも共通している事で、無意識のうちに腕に力が入ってしまっているのです。ただ、この辺はやはり野球部経験の無さにも原因が有る事で、仕方が無い事だとも言えます。野球部で、「やらされる練習」だろうが、「嫌々」だろうが、数を振って行く内に身体が掴むものが大きいのが、野球と言うスポーツです。打つのも投げるのも、これからコツコツでも、それをやって行く必要が有りだと言う事です。

ただ、打撃も、投球同様、形の良さは特筆されるものが有ります。打撃ではスイングでの腕の動きは素晴らしいです。始動時に後ろに戻るクセなども無いので、この調子でスイングを重ねて行けば良いでしょう。

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投球分析

まず、パッと見て目につくのは、構えた時に、背中がぺちゃんこになっている事です。オートマチックステップの構えだと解りやすいのですが、肩甲骨が外転していないので、充分に胸椎が後弯してくれていません。この姿勢では、骨盤の前傾が甘く、ハムストリングスもあまり効いていないはずです。腰が入っておらず、四頭筋が働きやすい姿勢を作ってしまっています。

図)胸椎の後弯と、肩甲骨の外転の関係

このように、手はあまり前に出したらダメですが、肘はある程度前に出さないと、肩甲骨が外転しないので、胸椎の後弯も不十分になります。

ただ、この事は単に手のポジションの問題では無く、そうした姿勢を取ってしまうと言うあたりに、まだまだ骨盤前傾やハムストリングス立ちについて、体得しきれていない事が伺えます。ですから、まずは、下図のように腸腰筋ストレッチの後、股関節で身体を折り、膝が緩んで胸椎が後彎した状態を作る練習をしてください。この事は、平田さんの記事にも書いていますので、そちらも参考にしてください。

また、両手を割るときの形にも問題が有る(肩に力が入っている)と言いましたが、その原因も上記の話と繋がっていると見られます。

つまり、肘が前方に出ていないので、両腕が真横に張り出すような形になるのですが、その結果、三角筋に負担が集中するので、肩に力が入り、腕が柔らかく振れなくなるのです。また、この写真のような割り方だと、肩甲骨を上方回転かつ内転させる僧帽筋も緊張すると考えられますが、僧帽筋が緊張すると、胸椎が前彎し、腰椎が後彎するので、骨盤が後傾しやすくなります。いずれにしても、上記写真の姿勢を見ると、大腿四頭筋が働いている感じがします。もちろん、これは構えとも関係する事でしょう。やはり、まずは立ち方の時点で、ハムストリングスと腸腰筋が効いた状態を作る事、そうした身体の使い方に習熟する事と言った基礎が重要になると言えます。

ただ、何と言っても今回JHETTさんが初回に比べて良くなったのは、腕の出所が高くなった事です。下の写真は1回目と3回目の比較ですが、一年たっていないにしては良く変化したと思います。(年齢を考えても、中学生や高校生よりは柔らかくなりにくいにもかかわらず)


この変化は何かと言うと、腕を振って来た事や、ストレッチの成果でしょう。そして、これこそが上達の本質であると言う事です。時間と地道な作業を必要とすると言う事ですが、着実に成果は出ています。シャドーやストレッチが重要な事はもちろんですが、下半身の出力が強い事でそれだけ腕が大きく回る事になるので、腕も柔らかくなりやすいです。そうした事も含めて全体的にスケールアップしていく必要が有ります。

JHETTさんの最大の課題は腕が振れていないということで、これは野球部経験の無さを考えると仕方の無い事です。しかし、それ以外の身体の使い方に関して言うと、ハッキリ言ってセンスは有ります。つまり、反復練習を必要とする野球のコアな部分(スイング)だけが出来ていないのであって、それ以外の運動能力は高いと言う事です。ですから、今後はやはりまず腕を振って行く事が重要になります。今回も、オートマチックステップでは最後の方では肩がしっかり入って来ていたので、続けて行くともっと良くなるでしょう。

このトレーニングは「ピッチャーズ・スパイラルダンス」と名付けましたが、これも特にお奨めしたいトレーニングです。重りを持つ必要はさほど無いと思いますが、そのへんはフィーリングで決めてください。持ったり、持たなかったりでも良いと思います。

打撃分析

打撃については、正直、「打てる」ようになるには時間がかかると思いますし、そのためには手間、暇、資金(バッセン等)がかかるので、やはり投手をメインにしていった方が良いと思います。ただ、「振れる」ようになるのは、そんなに難しくは無いと思います。形には、かなり良いものが有るためです。

ちなみに「打てる」と言うのはある程度のレベルでの話です。新聞紙打ちを見ると、結構良い感じでボールに反応出来ていたので、軟式の草野球で楽しむくらいなら何の問題も感じません。ただ、そこそこ重いバットをとなると、一気に難しくなると思います。

続きます。

JHETTさんのバッティングで、最も難点だと思うのは、始動時の下半身の力が使えていない事です。上半身のハンドワークは良いものが有るので、そこが克服出来れば、野手でもいけると思います。

そこで、始動時の下半身の力という事に関してヒントになるのが、三回目の動画でバットを回してから振る素振りの時、下半身の力が強く発揮されている事です。つまり、普段なトップ型の構えからのスイングでは、上半身が構えで緊張してしまっていて、下半身の力が発揮されにくくなっているのです。

ここで、お勧めしたいのが、下の動画の練習です。

簡単に言うと、体幹部操作のかかりが浅い、重心の高い構えを使って、バットを低い位置で立てて構えた状態から振る練習です。

ポイントは、まず、下図のように、腰を反って腸腰筋をストレッチした後、胸椎の後弯と、膝の緩みを意識して、構えを作ります。これが基本となる土台、体幹部の形です。この構え(重心が高く、スタンスの狭い)だと楽に3点支持も実現期で来ます。ただ、手が身体からあまり離れないので、踵よりに重心が来て、ハムストリングスが効きやすいのも長所です。

次に上半身に関しては、胸椎の後弯を利用して、肩甲骨を被せて、そこから上腕骨の吊り下がった状態を作り、力を抜きます。

下の写真のイメージで構えてください。


ポイントは低い位置に構えると言っても、肘が伸びるほど低くはしない事です。肘が伸びると、上腕二頭筋が効いてしまうからです。ですから、写真のように、肘より少しだけ手が高い位置にする事が、腕の力を抜くコツです。

この状態を作ると、浅いながらも、体幹部操作が効いて、全身がハマり、かつリラックスした状態が作れます。そして、両脚で地面を捉えている感覚も生まれます。ここからのスイングを繰り返して行くと、何回か振っているうちに、あるいは何日か続けていくうちに、スイングが変わって来るでしょう。

もちろん、この感覚を試合でのスイングに活かしても良いわけです。この記事で紹介したブラッグスも、長いバットを半ば、バット立て型のようなイメージで構えているのだと思います。

トッド•ジール等は、まさに、それそのものです。


判断が難しいところですが、野手としてやっていくなら「トップ型の理想の構え」を練習用にして、試合では、この腕脱力スイングのような感覚で打つというのも、一つの手法です。ただ、JHETTさんの場合、少なくとも練習として「腕脱力スイング」を行う意義は多いにあります。それによって、始動時の下半身の出力を大きくし、その力を使ってスイングする感覚を身体にしみ込ませて行く必要が有るからです。

また、もう一つ、バッティングで気にしてほしいのは、構えで、腰が引けているように見える傾向が有る事です。これは、股関節が割れていない人に、特徴的に見られる傾向です。

つまり、股関節の割れと、骨盤の前傾が相関関係に有るからです。ですから、DVD VOL2の股関節を割るためのストレッチを行っておいてください。大の字で腸腰筋をストレッチした後、股関節を割る体操を行うと良いでしょう。骨盤を挟み込む、手組み股割り体操もおすすめです。


その辺が、出来て来ると、彼らのように、構えで腰が入った印象が生まれるわけです。