2014/12/25 チームサポートオペレーション
2014年12月26日金曜日
2014年12月18日木曜日
制作日誌17
英語を勉強する際、一冊の本をとことん読み込めという人がいるが、これはどうなんだろうか。例えば歩いていて後ろから誰から「君、ちょっと待って」と言われたとする。日本人ならこの言葉は瞬時に理解できるが、それを繰り返し唱えたところで理解が深まる事は無い。むしろ逆に意味が解らなくなってくるのでは無いか。繰り返し練習が必要な事も確かだが、繰り返しすぎても意味が無い事も確かだ。同じ事が野球の練習にも言えるだろう。異なる刺激を多方面から与える事が重要になる。
2014年12月16日火曜日
主な実績
★清原和博氏が賞賛された記事が日刊スポーツに掲載される。
パンチャータイプに改造後のホームラン
★野球小僧に寄稿する。
★台湾のスポーツ総合誌にて彭政閔の分析記事が掲載される
★バリーボンズがホームランの通算記録を更新する際、読売新聞から電話で取材を受ける(記事にならず)
★ラス•キャンズラー
2011年にメジャー登録の野手ほぼ全員に資料を郵送する。返信の有ったラス•キャンズラー(レイズ、インディアンズ、ヤンキースなど)にメールでアドバイスを送り、その後クリーブランドインディアンズで96打数26安打3本塁打、打率.271の成績を残す。
★林敬宏さん 関西学院大学 二年時より指導し、その後、関西学生野球連盟のオールスター選手に選出される
★田沼格さん(上智大学) 平成22年度 東都大学野球リーグ3部 打率5位(主にネットを通じて、実地でも指導あり)
★中野元さん(上智大学) 平成23年度 東都大学野球リーグ3部 打率4位(主にネットでの指導)
★森川達哉さん(関西国際大学→JFE西日本)大学時にラボに一回来場&技術指導。各種雑誌でドラフト候補に挙げられる。
★その他 講演などチーム単位での関わり。
●埼玉県の硬式野球部(匿名希望)
長期間に渡り複数回の実地指導を行う。(現在では匿名希望は受け付けていません)
●2011年新潟講演 その後に選抜チームの燕西蒲パンチャーズが結成され全国大会で優勝。ただしこの時点では名前だけで技術論的には全く関係なし。今後の取り組みに期待。
●門真ビッグドリームス(全日2日間の実技講習を実施)
●2015年新潟講習会 2015年2月に2日間の講習会を実施。複数校から60人近くが参加。地元紙に報道される。
パンチャータイプに改造後のホームラン
★野球小僧に寄稿する。
★台湾のスポーツ総合誌にて彭政閔の分析記事が掲載される
★ラス•キャンズラー
2011年にメジャー登録の野手ほぼ全員に資料を郵送する。返信の有ったラス•キャンズラー(レイズ、インディアンズ、ヤンキースなど)にメールでアドバイスを送り、その後クリーブランドインディアンズで96打数26安打3本塁打、打率.271の成績を残す。
★林敬宏さん 関西学院大学 二年時より指導し、その後、関西学生野球連盟のオールスター選手に選出される
★田沼格さん(上智大学) 平成22年度 東都大学野球リーグ3部 打率5位(主にネットを通じて、実地でも指導あり)
★中野元さん(上智大学) 平成23年度 東都大学野球リーグ3部 打率4位(主にネットでの指導)
★森川達哉さん(関西国際大学→JFE西日本)大学時にラボに一回来場&技術指導。各種雑誌でドラフト候補に挙げられる。
★その他 講演などチーム単位での関わり。
●埼玉県の硬式野球部(匿名希望)
長期間に渡り複数回の実地指導を行う。(現在では匿名希望は受け付けていません)
●2011年新潟講演 その後に選抜チームの燕西蒲パンチャーズが結成され全国大会で優勝。ただしこの時点では名前だけで技術論的には全く関係なし。今後の取り組みに期待。
●2015年新潟講習会 2015年2月に2日間の講習会を実施。複数校から60人近くが参加。地元紙に報道される。
2014年12月15日月曜日
制作日誌15
少なくとも日本球界にパンチャーとスインガーの違いは広めていきたい。もちろん全てに受け入れられるとは思えないが。というよりも、こうしたタイプ分けの理論は既に実績、地位を固めた指導者などには受け入れられにくい部分も有る。なぜなら自分が全て解ったと思った事を、根底から揺さぶられるためだ。マックの使い方に熟達した人にもう一度一からウィンドウズをやりなおせと言っているような部分が有る。なので「色んな事を言う人がいるがバッティングの本質は一つ」と言うスタンスを取る人が多いだろう。また、この意見は一見、その人が賢いような印象を人に与える。似たような言い方に「バッティングにおいてこれが絶対に正しいというのは無い」と言う言い方が有る。これも発言者に賢い印象を与えるし、実際に反論する事は難しい。こういうタイプの人は社会的には賢いが物事を突き詰めるのには向いていない。
2014年12月14日日曜日
制作日誌14
baseball circle 野球サークルでは無く「野球界」を意味するらしい。circlesと複数形で表記する場合が多い。助っ人外国人にアプローチするためには英語力をさらに磨かなければ。今までもヤンキース入りした現フィリーズのラス•キャンズラーや台湾の出版社と英語でやりとりをしてきたが、あの当時の英語力で良くやったものだと我ながら思う。とりあえず、セペダには日本で進化を発揮してほしい。
制作日誌13
しかし、東京も10年前と比べてずいぶん変わったな。えらく行儀の良い街になったものだ。私の本は相変わらず新宿や池袋と言った都心の大型書店にはほとんど置いてある。10年近く経つがなかなかのロングランでは無いか。それよりも教科書シリーズを置いてもらいというのが本音だが。
2014年12月12日金曜日
2014年12月11日木曜日
制作日誌11
出版社への売り込み活動を始めている。しかし極めて売り込む事が難しい分野である事には変わりは無い。例えば野球チームに対してでも「新型のピッチングマシンを開発した」等という話ならいくらでも売り込みは出来る。しかし「自分に教えさせてくれ」というのは基本的に売り込みの話としては最初から破綻している。
2014年12月10日水曜日
制作日誌10
教科書シリーズの制作にあたっては編集やライティング作業などで集中しやすいファストフード店を多用した。結果的にこの半年あまり毎日のようにそうしたものを食べ続けたわけだが、ダニに噛まれたようなかゆみが出たりとどうも体調が悪い。調べるとトランス脂肪酸という物のせいらしい。気を付け出してからは問題も軽減している。マーガリンなどは特に危険らしいが、食べるものにも気をつけなければいけない。吹き出物のような物も出たりしたが、ニキビ等とも関係が有るのかもしれない。砂糖なども控えた方がよいようだ。しかし現代社会で真に健康的な物を食べるというのはむしろ難しい事なのだろう。
2014年12月9日火曜日
制作日誌9
2日連続での発送。今日は巨人に発送。先日入団した相川や金城も併せて40人分。
ちゃんと全員に出しておいた。人数も多いが他球団に比べて有名選手が多い。何人が見るかが問題だが。大田はパンチャー的な方向に進むようなので注目したいところ。
ただ季節がら郵便物が多いだろうから、目につきやすいよう打撃の連続写真をテープで封筒の裏に貼り付けておいた。
ちゃんと全員に出しておいた。人数も多いが他球団に比べて有名選手が多い。何人が見るかが問題だが。大田はパンチャー的な方向に進むようなので注目したいところ。
ただ季節がら郵便物が多いだろうから、目につきやすいよう打撃の連続写真をテープで封筒の裏に貼り付けておいた。
2014年12月8日月曜日
制作日誌8
今日は楽天にDMを発送した。これで横浜、西武、ロッテ、楽天、ヤクルトの5球団に発送した事になる。高校野球、大学野球の有名校にも発送したいと考えているが、選手一人一人に届けられないのが歯がゆい。
2014年12月2日火曜日
2014年11月29日土曜日
2014年11月25日火曜日
制作日誌5
本日、ヤクルトスワローズへのDM発送を行った。第二弾は横浜ベイスターズと西武ライオンズ。既にDM作成は完了し、明日発送する予定。ベイスターズには横浜高校からの入団が多いが、あそこはパンチャー率が高いし、パンチャーにしやすい選手が多い。また、筒香がパンチャーとスインガーの違いを知った上で打つと所も見てみたい。西武には森や栗山、炭谷などのパンチャーがいる。
2014年11月24日月曜日
制作日誌4
プロの野手全員に教科書シリーズの広告DMを発送する第一弾が出来上がった。ただ、今回はまだ英語で説明している適切な媒体が出来ていないので外国人選手に関しては後回し。
第一弾はヤクルトスワローズになった。(深い意味は無い)
自分の理論に自信が有る人間がまず第一に考える事は、プロに自分の理論を伝えるという事だろう。本当に自信が有るのであれば、その発想が出て来ないほうがおかしい。
これまで私の理論を実践していれば野球を続けられたであろう選手がユニフォームを脱いでいくのを幾度となく見てきた。体勢が整うのに少し時間がかかりすぎたようだ。教科書シリーズも第三章1 の第1部まで到達し、ようやくストーリー的に一段落がついたので、そろそろ実行に移した方が良いと判断した。
まず最低限の仕事として、野球界にパンチャーとスインガーの区別を「ダウンスイング」とか「アッパースイング」といった言葉と同じくらいの常識として根づかせたい。それに続いて、より高度な理解としてオートマチックステップの基礎的メカニズムと、股関節理論を流布させたいと考えている。しかし、まず第一段階はパンチャーとスインガーの違いを常識として根付かせる事だろう。
下記はパリーグの今期打撃10潔だが、10人中8人(赤字)はパンチャーである。大雑把に言えば、日本野球の打撃の潮流は私の予想通りに推移している。興味深いのは左打者の間でもパンチャー化が進んだ事だ。少し前と左打者のスイングが変わってきた事が解るだろうか。
1糸井
2銀次
3柳田
4中村
5内川
6イデホ
7長谷川
8陽
9松井稼
10メヒア
こうした状態の中で、プロの選手がパンチャーかスインガーかを理解して取り組むように成ってこれば、もっと面白い事になるだろう。
第一弾はヤクルトスワローズになった。(深い意味は無い)
自分の理論に自信が有る人間がまず第一に考える事は、プロに自分の理論を伝えるという事だろう。本当に自信が有るのであれば、その発想が出て来ないほうがおかしい。
これまで私の理論を実践していれば野球を続けられたであろう選手がユニフォームを脱いでいくのを幾度となく見てきた。体勢が整うのに少し時間がかかりすぎたようだ。教科書シリーズも第三章1 の第1部まで到達し、ようやくストーリー的に一段落がついたので、そろそろ実行に移した方が良いと判断した。
まず最低限の仕事として、野球界にパンチャーとスインガーの区別を「ダウンスイング」とか「アッパースイング」といった言葉と同じくらいの常識として根づかせたい。それに続いて、より高度な理解としてオートマチックステップの基礎的メカニズムと、股関節理論を流布させたいと考えている。しかし、まず第一段階はパンチャーとスインガーの違いを常識として根付かせる事だろう。
下記はパリーグの今期打撃10潔だが、10人中8人(赤字)はパンチャーである。大雑把に言えば、日本野球の打撃の潮流は私の予想通りに推移している。興味深いのは左打者の間でもパンチャー化が進んだ事だ。少し前と左打者のスイングが変わってきた事が解るだろうか。
1糸井
2銀次
3柳田
4中村
5内川
6イデホ
7長谷川
8陽
9松井稼
10メヒア
こうした状態の中で、プロの選手がパンチャーかスインガーかを理解して取り組むように成ってこれば、もっと面白い事になるだろう。
2014年11月20日木曜日
2014年11月18日火曜日
野球技術 TEXT 宣伝
〜新しい野球技術の教科書〜
★ご購入はコチラからどうぞ
(左より、第1章、第2章、第3章第1部)
第3章第一部 プロモーション動画
バッティングのメカニズムは、その根幹部分で二つのタイプに分けられます。それが私の提唱する「スインガータイプ vs パンチャータイプ」という分類法です。
これら二つのタイプは根本的にメカニズムが異なりますので、どちらのタイプを選択するかにより「技術論」「指導方法」「適応する道具」「戦略」「練習方法」など、打撃における様々な要素が変わってきます。ですから、選手はもちろん指導者にとっても方向性を誤らないために「パンチャーとスインガーの分類法」を理解しておく必要が有るのです。
バットを振るためには、バットを持っている手を加速しなければなりません。実は、人間には手のような体の末節部位を加速させるための体の使い方が2種類有るのです。(これはまだスポーツ科学の世界でも一般には認識されていない事です。)
私は、その一方を「パンチャータイプ」もう一方を「スインガータイプ」と名付けました。(昔は「トップハンド•トルクタイプ」と「ウェートシフトタイプ」という分類名称を使っていました。)
手を加速する時、体重移動や体の回転を利用して脱力させた腕をでんでん太鼓のように振る方法と、パンチを打つときのように瞬発的に大きな力を発揮する方法が有ります。前者がスインガータイプであり、後者がパンチャータイプです。下の動画はそれらの基本的な加速メカニズムを説明するための実験動画です。
スインガータイプの実験
パンチャータイプの実験
重要なポイントとして、パンチャータイプのメカニズムを使うと、完全に静止した状態からでも力を発揮する事が可能であるという事です。これに対してスインガータイプの場合は、重心移動などの準備動作を行う必要が有ります。
ただし、野球の世界においては一般的に「静止した状態から一気に力を発揮する」というのは、下手な打撃であると考えられがちです。なぜならそれは「力任せ」あるいは「上半身の力に頼った打ち方」というイメージに結びつくためです。上手い打者というのはゆったりとタイミングを取って、下半身主導で打つものだという共通認識がパンチャータイプに対する理解を妨げているのです。しかし、実際にはメジャーリーグにおいて下の動画のように、テークバックを取らずに構えた位置からいきなりスイングするようなフォームが多く見られるようになっています。こうしたフォームは一般的に「外国人の強い上半身の筋肉をもってして初めて可能になる事で、日本人には無理な打ち方である」という解説が広まっていますが、それは本当ではありません。完全に異なっているメカニズムを理解すれば、日本人にも充分に可能な技術なのです。
MLBのパンチャータイプの打者たち(打球音加工)
実際に、私はその理論を基にして多くの選手にパンチャータイプの打ち方を教えてきました。それが下の動画です。(最初の3スイングは私自身です。)
このような「構えた状態からいきなりスイングする」かのような打ち方は、実は「力任せ」でも「下半身を使わない打ち方」でも無いのです。その事を理解するためには、次の2つの専門知識が必要となりました。
1)PMSP(動作前筋放電休止期)
静的な状態から瞬発的に大きな力を発揮しようとした時、筋肉が収縮する直前に、一瞬だけ無意識下で弛緩する現象。「動き出す前に力を抜いておく」という「脱力」の事ではなく、あくまでも無意識下で起きる身体現象。(画像は商品より)
2)APA(先行随伴性姿勢調節)
静的な状態から瞬発的に大きな力を発揮して腕など体の一部を加速しようとした時に、バランスを取ろうとして無意識下で下半身や体幹部が先行して力を発揮する現象。(画像は商品より)
これらPMSPとAPAという身体現象によって、構えた状態から瞬発的に力を発揮してバットを加速しようとした時、打者の体は下図のように下半身が力を発揮して上半身が弛緩した状態になります。その結果、重心移動(ステップ)やテークバックがオートマチックに発生するので、全身の力を効率良く使う事が出来るスイングになるわけです。(下図の青は筋肉の弛緩、赤は筋肉の出力を意味します。)
こうしたパンチャータイプの打ち方は、基本的にはステップが小さく(時にノーステップと間違われるほど)また重心移動も小さなフォームになります。近年、メジャーリーグやキューバの打者に対して、そうした表現がよく使われてきました。「キューバ打法」「その場で回転するメジャー打法」等がそれです。そうしたものの正体が、ここで私が解説してきました「パンチャータイプ」であると言う事です。
※)パンチャータイプの(メカニズム上)理想的な打ち方は構えた状態から直接打ちに行く打ち方ですが、脚を挙げたり、ステップでタイミングを取るパンチャータイプも存在します。下の動画の打者は全てパンチャータイプの打者です。
一方、下の動画はスインガータイプの打者を集めたものです。パンチャータイプとのスイングの違いが解るでしょうか。
パンチャータイプは現在のメジャーリーグでは圧倒的多数派を占めています。誰かが理論的に理解して教えているのでは無く、自然淘汰と相互間の影響の中で自然にそうなったのです。準備動作が必要 無く、トップからインパクトまでが早いパンチャータイプは変化球が発達した現在の野球界にマッチしたからです。
また、近年では日本でも、中田翔、柳田悠岐、銀次などランキング上位の打者の多くがパンチャータイプに分類されるようになってきました。
新しい野球技術の教科書シリーズでは、メジャーリーグで主流となっているパンチャータイプについて、スインガーと比較しながら解説していきます。表現方法はPDFによる文章データとクイックタイム形式の動画という形式を取っています。
以下、内容一部紹介(ビジュアルを多様しています。)
私の著書はかつて清原和博氏からも「すごく参考になる」との評価を頂き、現在でも東京都内の主要大型書店に陳列されています。その本は2005年に出版されたものですが、内容的には文字とイラストだけです。教科書シリーズは、まだ3章1部までしか完成していませんが、それに連続写真と動画を加えて、さらに進化した理論を紹介しています。
制作日誌2
今から第5戦が始まるが、大谷は多少は打たれるのでは無いか。そしてそれが投手に専念する契機になれば良いのだが。ただ、今回のメジャーのメンバーにそこまで打ち込まれる事も無いと思うが。
大谷はヒットは打たれながらも4回を7奪三振で失点2という評価しにくい数字を残した。札幌ドームの空気が乾燥しておりボールが滑るのだという解説者の話が的を得ているように思う。右打者のインハイに抜ける球が何度か有った。それにしても日本の指導者が好きそうなフォームをしている投手だ。
ちなみに教科書シリーズについてだが、第三章の第一部では、パンチャーとスインガーの基礎的なスイングの違いについて説明した。第二部では、その違いと、様々なスイングの傾向について、より細かく説明する予定。第三部では、メジャーやプロを例に挙げてスイングの実際を見ていく。100人の 分析をするのが目標。
大谷はヒットは打たれながらも4回を7奪三振で失点2という評価しにくい数字を残した。札幌ドームの空気が乾燥しておりボールが滑るのだという解説者の話が的を得ているように思う。右打者のインハイに抜ける球が何度か有った。それにしても日本の指導者が好きそうなフォームをしている投手だ。
ちなみに教科書シリーズについてだが、第三章の第一部では、パンチャーとスインガーの基礎的なスイングの違いについて説明した。第二部では、その違いと、様々なスイングの傾向について、より細かく説明する予定。第三部では、メジャーやプロを例に挙げてスイングの実際を見ていく。100人の 分析をするのが目標。
制作日誌1
日米野球
評論する気にもなれなかった日米野球だが、個人的には今までにも高く評価してきたジャスティン•モーノウの活躍を見られただけで満足している。左打者に不利(ホームランが出にくい)とされるツインズのターゲットフィールドでコツコツとオートマチックステップの両手振り抜きを続けていたモーノウが打者有利のコロラドに移籍して首位打者を獲得したのは「さもありなん」と言ったところか。
第四戦では藤浪の変化球にファールでくらいつき、きわどい球にバットを止めて、最後に変化球を泳ぎながらも片手でスタンドまで運んだ。すばらしい打席である。
藤浪vsモーノウ
モーノウとて完璧では無い。いや、完璧にはほど遠い。大腿四頭筋の効いた構えに始動前の後ろへの重心移動と問題も多いからだ。しかし、それでも両手振り抜きのオートマチックステップを 愚直なまでに続けて来た結果が今の姿である。ここにオートマチックステップの特色が出ていると言えるし、その打ち方の優位性が出ていると言える。
日米野球も残り少なくなったが、見所はモーノウの打席だ。オートマチックステップの両手振り抜きの打者がどういう打席を作るか。じっくり見られる良い機会だと言えるだろう。一球たりとも見逃せない。
さらに忘れてはならないのが、日本人で活躍している打者のほぼ全てがパンチャーだと言う事。柳田、筒香、松田、坂本、中田など。
評論する気にもなれなかった日米野球だが、個人的には今までにも高く評価してきたジャスティン•モーノウの活躍を見られただけで満足している。左打者に不利(ホームランが出にくい)とされるツインズのターゲットフィールドでコツコツとオートマチックステップの両手振り抜きを続けていたモーノウが打者有利のコロラドに移籍して首位打者を獲得したのは「さもありなん」と言ったところか。
第四戦では藤浪の変化球にファールでくらいつき、きわどい球にバットを止めて、最後に変化球を泳ぎながらも片手でスタンドまで運んだ。すばらしい打席である。
藤浪vsモーノウ
日米野球も残り少なくなったが、見所はモーノウの打席だ。オートマチックステップの両手振り抜きの打者がどういう打席を作るか。じっくり見られる良い機会だと言えるだろう。一球たりとも見逃せない。
さらに忘れてはならないのが、日本人で活躍している打者のほぼ全てがパンチャーだと言う事。柳田、筒香、松田、坂本、中田など。
2014年11月12日水曜日
3章1 部 内容の説明
セクション1 スインガー基礎 44ページ
まずはスインガーのメカニズムについて解説します。そうする事によってパンチャーのメカニズムの特徴がより理解されやすくなるためです。それと同時にスインガーという打ち方が持つ本来の魅力を(それが廃れてしまった)現在にもう一度、問いかけてみる狙いが有ります。現在のスインガーの打者は加速にかかる時間を省略して対応能力を向上させようとするあまり、スインガー本来の長所が発揮できなくなってしまっています。門田博満や池山隆寛、そしてベーブ•ルースやウィリー•メイズ等のスイングには、今では廃れてしまったスインガータイプ本来の長所が非常に良く表現されています。私の理論を通して、今の野球界に確信犯的にスインガータイプを選択した打者が出て来れば面白いのですが。長打に特化するかアベレージに特化するかの選択を迫られるでしょうが、スインガーのメカニズムをしっかりと理解して取り組めば充分に結果を残す事が出来るはずです。
セクション2 パンチャー基礎 109ページ
本作のハイライトです。長いのでPDF3つに分けています。PDF1は簡単な事柄の再確認的なものですが、PDF2は本作の最大の見所です。パンチャーのアームアクションとそのメカニズムを各種の実験と実例を通して充分に理解してもらう事が狙いです。またPDF3ではその上半身動作と下半身動作、そしてパンチャーのメカニズムの大きな話題である「ダウンスイング」というテーマについて取り組みます。セクション2を読み通せば、パンチャーのスイングメカニズムがしっかりと理解できるでしょう。
セクション3 ジャイロ現象 4ページ
パンチャーのスイングメカニズムとジャイロ現象の関わりについて説明します。ジャイロ現象は一見難しい物理用語のようですが、このページにもあるように、数式を使わなくても理解できます。(合力の知識だけでば充分に理解できます。)本作では面白い実験を使って頭と体感の両面でイャイロ現象を理解してもらいます。
セクション4 股関節の斜め回転 13ページ
股関節の斜め回転については今までにも説明してきましたが、教科書シリーズの中でもう一度、簡単に説明します。セクション4では「基礎知識」「トレーニング法」「打撃動作との関連」という視点で13ページで簡潔にまとめました。この基礎知識がセクション5とセクション6でスインガーとパンチャーのメカニズムをより深く理解するために必要になります。
セクション5 股関節の斜め回転とスインガー 33ページ
セクション4で学んだ股関節の斜め回転理論をふまえて、スインガーのメカニズムをさらに深く追求します。パンチャーとスインガーの下半身動作の違いを明確にする事が狙いの一つです。下図の王貞治のフォームを見てもよくわかりますが、スインガーにせよパンチャーにせよ、一流の打者は自らのタイプのメカニズムを明確に表現できているものです。
セクション6 股関節の斜め回転とパンチャー 62ページ
股関節の斜め回転理論を通してパンチャーのメカニズムをさらに深く追求します。水平面回転が中心となるスインガーに対してパンチャーは斜め回転が中心になるのはなぜか。そうした理由も股関節の斜め回転理論を通して両タイプのメカニズムを考えれば理解できます。
サービスアップロード動画(水平回転vs斜め回転)
※)誤植など
1)セクション2 p-15
(誤)バリーボンズのホームラン(2003年の日米野球)
(正)バリーボンズのホームラン(2002年の日米野球)
2014年9月25日木曜日
ライオンさん 1回目
まず、まだ後ろに重心移動しないと振れない感覚が有るようなので、一拍の間、息をはくくらいの間(実際にはく必要は無い)で止まってから振る習慣を付ける必要が有ります。止まった状態から力を発揮できるようになるためにはまだまだ股関節周辺のトレーニングが重要です。
また、止まった状態から瞬発力を発揮する事に慣れていないようなので、軽いバットを使った瞬発力トレーニングも積む必要がありますし、ダッシュも盗塁のスタートで行なうと良いでしょう。現状としては、この動画で説明しているように取り組み始めた人の状態としては典型的なものです。(始動時の下肢出力が弱く腕で振っている)最後の林君のビフォーアフターを見てください。最初は皆、このビフォーの状態なのです。
次に、やや手首を捏ねるスイングになっています。(手首の返しが強い)理由としては前後の重心移動によりボトムハンドの引きが強い事と、構えがヘッドを顔の前から投手方向に入れるタイプになっていた事が挙げられます。このクセを直すために必要な練習のポイントを以下に挙げておきます。
1)トップ型の構えで振る(ヘッド入れ型はヘッドが落ちるので反動で捏ねやすい)
2)止まってから振る
3)素振りでは投手方向の一点を最後まで見て振る(ホームベース方向に顔を向けると捏ねやすい)
4)左では軽いバットを中心にして素振りし、右で重いバットを振る(素振りは基本的に捏ねるクセがつきやすい。重いバットを振るとなおさらそうなる。)
5)左で重いバットを振る場合は短いバットの根元に重りをつけて振る(根元にバランスが有ると捏ねにくい)
6)実際に打つ場合にはトップバランスのバットは避ける
7)試合では構えで腕の筋肉が緊張しないように構えを作るタイミングなどに気をつける。また、見逃しが続いた場合はストレッチや軽い素振りを挟んで筋肉をほぐす
8)グリップに気をつける(後述)
9)ショートストロークスイングを取り入れる
その他、低めに難点が有るようですが、素振りの際に目印を低めに設定するのも一つの方法です。それだけでは万全とは言えませんが一助にはなるでしょう。
続く
前述の手首の形についてですが、元々がヘッド入れ型の構えであったため、手首を捏ねやすい下地が有ると言えそうです。ヘッド入れ型とトップ型の手首の使い方の違いは下の動画で内川が解りやすく表現しています。
この動画の5.00からです。(ヘッドが投手方向に入ると言う話題)「自分の感覚ではこういうイメージよりもこっちをこう使うイメージ」がその部分で「こういうイメージ」の時に顔の前でヘッドを倒すのがヘッド入れ型の手首の使い方で「こっちをこう使うイメージ」がトップ型の手首の使い方です。つまり、剣道の竹刀で面を打つ時の手首の使い方で、ゴルフで言うと「コック」「アンコック」の手首の使い方です。
※)内川の言葉を翻訳すると、自分には(中村ノリや金本のように)顔の前を通してヘッドを投手方向に入れる感覚は無い。それどころか(後頭部を通して)ヘッドを投手方向に入れている感覚すら無い。ただ、コックとアンコックの方向で手首を使う感覚でやっている。(その手首の使い方に上半身の捻りが加わる事で自ずとヘッドが投手方向に入る)
この手首で構える事の意味が分かれば捏ねるスイングにはならないでしょう。そのための練習として(9)のショートストロークスイングというのが有ります。これはバットを極端に短く持ち、グリップをコックして(股割りしながらペンを持ってやったグリップの形)構えて鋭く一気に振り抜く練習です。この動画の冒頭や、この動画の終盤に実例が有ります。インサイドアウトのスイングを身につけ、腕がまっすぐ伸びるようにするためのドリルです。
ただ、実際に打つ時は、揺らぎでバットの円運動が微妙に起こります。内川の場合、そうした動きが無いのでコックの感じのまま打っていますが、揺らぎが有れば、剣道のようなグリップの感じは無くなります。そこはドリルと実際の違いという事になります。このドリルでそうした体の使い方が出来るようになる事が重要であると言う意味です。
剣道の竹刀で解りにくければ写真のように本を挟むようなイメージで構えるのも良いでしょう。この感覚は揺らぎによる円運動が加わると失われますが、根本的にはこの握り方になると言う事です。
ひとまず最初の半年間でするべき事は以下の通りです。
1)止まった状態から瞬発的に力を発揮する「パンチャー、オートマチックステップ」のメカニズムを体に覚え込ませる。そのためには「その振り方」で数を振る必要がある。
2)股関節の基礎トレーニングを重点的に取り組む。
3)構えを作るための練習、揺らぎのための練習、揺らぎから打ちに行くまでの間の取り方などの練習と言った基礎的事項について、継続して取り組む事で習熟する。(これらは「基本」を意味するので、少しづつで良いのでよく調べながらおろそかにせず取り組んでください。)
4)振る力、瞬発力、またスイングのしなやかさ(軽いバットを振る)等のテーマでスイングを鍛える。
5)ボールへの柔軟な対応力をキープする。「素振りだけの期間」「トレーニングだけの期間」といったいわゆる「強化期」を作らず、積極的にバッセンなどを活用しボールを打つ。また、スイングの対応力をキープするため、左では出来るだけ重いバット(短いバットを除く)での素振りは避けた方が良い。そのぶん、右で重いバットを振る事でスイングのパワーをキープする。
実際に打撃を見た感想は以下の通りです。
1)ハムストリングス、腸腰筋を使うと言うテーマについてはまだ「未着手」の状態で、その資源をこれから使えるようにしていく事で大きく変わる。
2)静止状態から瞬発的に力を発揮する事に全く慣れていない。恐らく今まで動きの中でヘッドスピードをMAXに持って行く打ち方をしていたためでしょう。「全力で振って」と言った時のスイングが傍から見て全然「全力には見え無い(実際の打撃のそれに比べて)」という状態です。なので、そこをもっと取り組んで行く必要が有る。なお、「静止状態から瞬発的」のためにはダッシュを含めた股関節トレーニングが重要。
3)(2)と関連して、股関節の「ハムストリングス、腸腰筋、斜め回転」と言ったテーマや「構えの作り方、揺らぎ」等の細部のテーマについて、自分で調べて研究してやって来た痕跡が感じられないので、本気でやるならPCの件など、そうした事が出来る環境を整えないと厳しい。(インターネットはまだしも、動画資料やPDF資料は常に見れる環境が必要です。)
4)基礎となるハンドワークは出来ている上、骨格の形態も比較的恵まれているので「素材」あるいは「スタート地点」としては比較的、恵まれている。
5)どちらかというと後ろ脚に体重が残りやすいタイプ。そのため試合などでは前脚の膝が割れる事が多いかもしれない。その辺は今後のテーマになるが先ずは基礎事項の習得が先決。
6)当日、少しハムストリングスを使って立つトレーニングなどを行なう事で、少しその感覚が芽生えているように見受けられる。(タオル打ちの動画の構えの感じ)
7)後ろに体重が残りやすい事とも関連して、ややスイングが一本調子になりやすい感じが見受けられる。(変化球を素振りのような感じで空振りする感じ)そのため、左の素振りでは重いバットを振る事を避けて、バッセンでは積極的に速度の違うレーンに入る事が大切。(奇麗に打って確認する練習を極力減らす)
8)全体的にボディバランスは優れている。見た目フォームを奇麗に纏める事には苦労しないだろう。
★やらない方が良い事
ライオンさんの場合は、1キロとか、それなりの重さのバットで、中途半端なスイングスピードでいたずらにスイングの回数を重ねるような練習はしない方が良いでしょう。また、実打の中では易しい球を延々打ち続けるような練習もしない方が良いでしょう。
ライオンさんの場合、良く言えばバランス感覚に優れているものの、その平均的な範囲の中で納まってしまいやすい傾向(※)が有るような気がします。こういうタイプの場合、定型的な練習の繰り返しは避けて、出来るだけ変化に富んだ取り組みをした方が良いと考えられます。
素振りに関しては重いバットから塩ビパイプまでを用途に併せて使い分け、フリー打撃においては積極的に速度の違うボールに取り組んだりして、形を崩されにいく事が必要です。その崩れた形を素振りなどで修正すると言う考えで良いでしょう。とにかく同じ環境、同じ形で打つ練習は繰り返さない方が良いと言う事です。多少なりとも選手を見て来た経験上、実戦に強い打者になれる可能性は感じられます。そのためには、素振りと実打、そして試合は違う物だという事を強く意識して取り組んで行く必要が有ります。
※)その対局に有るのは中村紀洋やイチロー、西口文也のようなタイプで基本を逸脱しながらも自分の感性を頼りに打撃や投球の快感を追求していくタイプ。個性的なフォームを批判されながらも結果は出す。しかし基本的に自分本位なところが有るので「良いところで打つ」ようなタイプでは無い。
以上です。
2014年9月11日木曜日
2014年9月号
9月11日 瞬発力養成ドリル
8月号でも書いたが、パンチャータイプの場合、瞬発力は特に重要なファクターとなる。始動時にAPAやPMSP(教科書第二章参照)を利用するメカニズムを考えても、それは明らかな事だ。ここで、下の動画を見てほしい。クリス•カーターという打者で今期、低打率ながらも本塁打数はMLB全体で3位につけてる。これまで単にオートマチックステップであるという点以外では注目していなかった打者だが。。特筆するべきは懐まで呼び込んでからのバットの出の早さ(向こうで言うところのクイックハンド)にある。スイングは片手フォローが多いが、両手で振り抜く事もある。
この打者から何を学ぶか。
まず構えで捻りが入っていない。重心も高く、いわゆる「自然体」の構えだ。グリップの位置は比較的低い。外国人ならではで胸椎がしっかり後湾しているので肩甲骨が胸椎にかぶさり、腕が楽な状態になっている。
簡単に言うと「体を捻らず、重心も高い自然体の構えでグリップの位置も低い。」この理解で良い。つまり、形としては理想的では無いがリラックスする事に重きを置いた構えだ。こうした構えでは、体重が後ろ脚に残りやすくスイング軌道がアウトサイドインになりやすいので、それが打率を稼げない一因だろう。だが、筋肉がリラックスした状態から瞬発的に大きな力を発揮するというパンチャーのコアの部分を実現する事に特化した打ち方であるとも言える。ある意味、落合の構えからオートマチックステップで打つイメージに近い。昔ロッテにいたマイク•ディアズも同じ戦略を取っている。実際、ディアズも瞬発的な筋収縮を実現できている。こうしたタイプは昔からオートマチックステップには良くいる。
カーターのような打ち方の打者にとって重要な事は、上手く打とうとせずに、一気に振り抜く事に集中して両手で思い切り振り抜く事だ。打率は2割2部か3部でも25本以上のホームランが安定して見込めれば、その方がベンチとしてはありがたい。打者としての性格が明確に把握できるので使いやすいからだ。こうしたタイプの打者にとってさらに重要になるのは良い投手から打てると言う事で、それが出来れば前述のような数字でも良い戦力になる。ただ、同じ数字でも2戦級からしか打てないのでは使えない。
瞬発力養成ドリル
さて、肝心のドリルだが、バットは短くカットした塩ビパイプを使う。(太いものはダメ。握るのに握力を使い、リラックスできないから。実際のバットより少し細いくらいで良い。長さは30センチ程度。つまりほとんど負荷をかけない。このスティックを前述した自然体の構えから、可能な限り素早く振り抜く。静的な状態から一瞬で振り抜く事に意識を集中させる。(標的は見るが瞬発力に対する集中を妨げない程度の大雑把な標的で良い。)これを5スイング1セットで一日3セットもやれば充分である。負荷をかけるトレーニングでは無く、自力で可能な限りの瞬発力を発揮するトレーニングなのでバットを重くする事に全く意味は無いので、そこは間違わないでほしい。
ただ、形としては良くならないので、多少スイングに影響が出る。(体重が後ろに残り気味で両手で思い切り振り抜くので少し捏ね気味になる。)そのため、通常のバットによる素振りやティー打撃と併用して行なう方が良い。その点も考慮して回数は少なめに設定している。やってみると解るがそれなりにキツいので3セットで充分だ。軽いバットを使うので、そのためのバランサー的な意味で逆打席で重いバットを振るのも良い。
技術的に注意してほしいのは5本の指をフィットさせてグリップする事。そのため両手の間はきつく密着させない方が良い。また、グリップのコックは気にしないで良い。そして足裏の3点が地面にぴったりフィットするように立つ事。構えを作らずに自然体なのでこうした事はむしろやりやすい。この構えから精神を集中させて一瞬で全力で振り抜く事に集中する。傍目にド素人のようなスイングになるが、形は問題では無いので、それで構わない。なお「教科書第二章」で説明した「脱力」と「リラックス」の違いには注意してほしい。無理に作る脱力ではなく、あくまでも自然体のリラックスである事が大切だ。
重要なのは少しづつで良いのでとにかく続ける事。最大のスピードを発揮するという事を筋肉が忘れないようにする事が重要だ。要約すると瞬発力養成ドリルとは「フォームは度外視して、自然体の構えから軽いバットを全速力で振り抜く。」と言う事だ。もちろん、このドリルは自分自身で(バッティングセンターでの実打を含めて)2週間くらいテストした結果、特に深刻なデメリットは無いと判断したので紹介している。
この打ち方は、実際の打撃でも使えるが、数字はクリス•カーターのような状態になるだろう。この種の打ち方を実際のゲームでやっている打者は少なく無い。メジャーではトッド•ジールやダンテ•ビシェットなどはその類いであったが、カープのエルドレッドもそうした部類の打者である。実際、成績もカーターに似ている。今回紹介した素振りも実際やってみるとエルドレッドのようなスイングになる人が多いと思う。プロで成績を残しているので誰も言わないが、もし日本人がバッティングセンターでエルドレッドのようなスイングをしていたら、殆どの野球関係者は素人だと思うだろう。
実際に、この打ち方をゲームで使ってみても面白いと思う。ただ空振りした場合にいかにも素人くさいスイングになるが、そうした空振りをメジャー的で逆にカッコいいというのも感じ方の一つではないか。実際、この感覚はオートマチックステップに取り組むなら必要不可欠だ。物を知らない人間からは素人くさいとか力任せとか言われる事は覚悟するというか、逆にそれがカッコいいと感じられるようなセンスがほしい。もちろん、常にそういうスイングになると言う意味ではなく、崩されたときにそうなると言う意味で、それは日本人のスインガーが崩された時に泳ぐのと同じ事だ。
8月号でも書いたが、パンチャータイプの場合、瞬発力は特に重要なファクターとなる。始動時にAPAやPMSP(教科書第二章参照)を利用するメカニズムを考えても、それは明らかな事だ。ここで、下の動画を見てほしい。クリス•カーターという打者で今期、低打率ながらも本塁打数はMLB全体で3位につけてる。これまで単にオートマチックステップであるという点以外では注目していなかった打者だが。。特筆するべきは懐まで呼び込んでからのバットの出の早さ(向こうで言うところのクイックハンド)にある。スイングは片手フォローが多いが、両手で振り抜く事もある。
この打者から何を学ぶか。
まず構えで捻りが入っていない。重心も高く、いわゆる「自然体」の構えだ。グリップの位置は比較的低い。外国人ならではで胸椎がしっかり後湾しているので肩甲骨が胸椎にかぶさり、腕が楽な状態になっている。
簡単に言うと「体を捻らず、重心も高い自然体の構えでグリップの位置も低い。」この理解で良い。つまり、形としては理想的では無いがリラックスする事に重きを置いた構えだ。こうした構えでは、体重が後ろ脚に残りやすくスイング軌道がアウトサイドインになりやすいので、それが打率を稼げない一因だろう。だが、筋肉がリラックスした状態から瞬発的に大きな力を発揮するというパンチャーのコアの部分を実現する事に特化した打ち方であるとも言える。ある意味、落合の構えからオートマチックステップで打つイメージに近い。昔ロッテにいたマイク•ディアズも同じ戦略を取っている。実際、ディアズも瞬発的な筋収縮を実現できている。こうしたタイプは昔からオートマチックステップには良くいる。
カーターのような打ち方の打者にとって重要な事は、上手く打とうとせずに、一気に振り抜く事に集中して両手で思い切り振り抜く事だ。打率は2割2部か3部でも25本以上のホームランが安定して見込めれば、その方がベンチとしてはありがたい。打者としての性格が明確に把握できるので使いやすいからだ。こうしたタイプの打者にとってさらに重要になるのは良い投手から打てると言う事で、それが出来れば前述のような数字でも良い戦力になる。ただ、同じ数字でも2戦級からしか打てないのでは使えない。
瞬発力養成ドリル
さて、肝心のドリルだが、バットは短くカットした塩ビパイプを使う。(太いものはダメ。握るのに握力を使い、リラックスできないから。実際のバットより少し細いくらいで良い。長さは30センチ程度。つまりほとんど負荷をかけない。このスティックを前述した自然体の構えから、可能な限り素早く振り抜く。静的な状態から一瞬で振り抜く事に意識を集中させる。(標的は見るが瞬発力に対する集中を妨げない程度の大雑把な標的で良い。)これを5スイング1セットで一日3セットもやれば充分である。負荷をかけるトレーニングでは無く、自力で可能な限りの瞬発力を発揮するトレーニングなのでバットを重くする事に全く意味は無いので、そこは間違わないでほしい。
ただ、形としては良くならないので、多少スイングに影響が出る。(体重が後ろに残り気味で両手で思い切り振り抜くので少し捏ね気味になる。)そのため、通常のバットによる素振りやティー打撃と併用して行なう方が良い。その点も考慮して回数は少なめに設定している。やってみると解るがそれなりにキツいので3セットで充分だ。軽いバットを使うので、そのためのバランサー的な意味で逆打席で重いバットを振るのも良い。
技術的に注意してほしいのは5本の指をフィットさせてグリップする事。そのため両手の間はきつく密着させない方が良い。また、グリップのコックは気にしないで良い。そして足裏の3点が地面にぴったりフィットするように立つ事。構えを作らずに自然体なのでこうした事はむしろやりやすい。この構えから精神を集中させて一瞬で全力で振り抜く事に集中する。傍目にド素人のようなスイングになるが、形は問題では無いので、それで構わない。なお「教科書第二章」で説明した「脱力」と「リラックス」の違いには注意してほしい。無理に作る脱力ではなく、あくまでも自然体のリラックスである事が大切だ。
重要なのは少しづつで良いのでとにかく続ける事。最大のスピードを発揮するという事を筋肉が忘れないようにする事が重要だ。要約すると瞬発力養成ドリルとは「フォームは度外視して、自然体の構えから軽いバットを全速力で振り抜く。」と言う事だ。もちろん、このドリルは自分自身で(バッティングセンターでの実打を含めて)2週間くらいテストした結果、特に深刻なデメリットは無いと判断したので紹介している。
この打ち方は、実際の打撃でも使えるが、数字はクリス•カーターのような状態になるだろう。この種の打ち方を実際のゲームでやっている打者は少なく無い。メジャーではトッド•ジールやダンテ•ビシェットなどはその類いであったが、カープのエルドレッドもそうした部類の打者である。実際、成績もカーターに似ている。今回紹介した素振りも実際やってみるとエルドレッドのようなスイングになる人が多いと思う。プロで成績を残しているので誰も言わないが、もし日本人がバッティングセンターでエルドレッドのようなスイングをしていたら、殆どの野球関係者は素人だと思うだろう。
実際に、この打ち方をゲームで使ってみても面白いと思う。ただ空振りした場合にいかにも素人くさいスイングになるが、そうした空振りをメジャー的で逆にカッコいいというのも感じ方の一つではないか。実際、この感覚はオートマチックステップに取り組むなら必要不可欠だ。物を知らない人間からは素人くさいとか力任せとか言われる事は覚悟するというか、逆にそれがカッコいいと感じられるようなセンスがほしい。もちろん、常にそういうスイングになると言う意味ではなく、崩されたときにそうなると言う意味で、それは日本人のスインガーが崩された時に泳ぐのと同じ事だ。
2014年9月2日火曜日
第三章制作日誌(2)
(9/2)制作日誌(1)の9月1日でベイスターズのクリンアップについて言及したが、今日は筒香について書く事にする。前にも書いたように今のNPBの左のパンチャーでは筒香と柳田が双璧だが、そこに西武の森が加わっている状況だ。対するスインガーは巨人の阿部や糸井が代表格だろう。
筒香や柳田が森に見習うべき点がある。それは森の方が常に自分のタイミングで振れているという事だ。その理由は森は脚を挙げるのが遅いからだ。通常、日本の技術論では「始動を早く」と言われる。これは前脚を早く挙げて投球に備える事を意味するのだが、パンチャーの場合、それをやると重心移動が先行してしまい、ボトムハンド側で引っ張るようになってしまう。
筒香も、早めに前脚を挙げて動きながら間合いを取るため、ボトムハンド側で引いてヘッドの出が遅れる事が多い。17号ホームランはそういうスイングだ。だが、この重心移動が先行するデメリットがメリットに変わるコースが一つだけある。インコースだ。よけいに腰を回す必要が有るインコースに筒香のツボがあるのはそのためだ。7号ホームラン、6号ホームランはそういう打ち方になっている。これらのスイングは実にパンチャーらしい。ボンズのインコース打ちにも似ている。メカニズムが同じだからだ。
柳田はさらに始動が早い。このホームランは飛距離は出ているが、メカニズム的にはボトムハンド側で引っ張ってしまい、トップハンドのパワーをロスしている。という事は、まだ飛距離を伸ばす余地はあるという事だ。(そういう欲張りからスランプに陥る選手は多いと思うが。)
ただ、一点、構えからトップを決めて、遅いタイミングで脚を挙げるという打ち方は、むしろ高度な身体操作を要求する。そのため、その辺の素人に短時間でそれなりに打たせるようにするためには「始動を早く」と言った方が効果があるかもしれない。
(9/3)引き続き筒香について。筒香を高く評価している理由の一つとして、インハイのプレッシャーに打ち勝つだけのヘッドの出の早さがある事に加えて、落ちる球を掬い打つのが上手い事が挙げられる。動画の15号ホームランでは落ちる球に対して後ろ肩をボールの下に潜らせてバットをボールの落ちて行くコースに入れているが、こうした反射的な対応が出来るか否かが変化球が打てるか否かの分かれ道だ。この筒香の落ちる球への対応は、落ちる球はこう打つのだと言う見本と言えるだろう。この打ち方はプリンス•フィルダーの落ちる球の打ち方に似ているが、両手で振り抜くタイプならではで、インハイと落ちる球に強いのも両手振り抜きの強みだ。
一つ難点を挙げるとすれば前述のように脚を比較的早く挙げて(日本人としては普通)動きの中でタイミングを取る事だ。さらに頂けないのは脚を挙げる時にグリップを捕手方向に引く事。これはかつて松中もやっていた。これは構えでは楽な位置にバットを置き、脚を挙げてからトップに入れるという戦略だが、これをする事でスイングは乱れやすくなる。
話を戻すが、インハイのストレートや、落ちる緩い変化球への対応に難が有ると相手から穴のある打者として認識されてしまう。そうしたボールへの対応に非凡な能力があると言う意味で筒香は評価できる。方向性を間違わなければ、NPBでは松中2世的なポジションに立つ事が出来るだろう。時折、片手で軽く合わせるスイングを見せる事が有る。それも重要な能力だが、両手によるヘッドの出が早いタイトなスイングを基本として行く事が大切になる。
(9/4)デスパイネの7号。デスパイネについては好印象を日誌(1)で書いたが、今のところ、良く打っている。このホームランはオートマチックステップで緩い球を打つときの見本だ。反射神経の働きで前脚着地後に一瞬の間を取っている。少し上半身が突っ込んでいるが、こういう場合はこのくらいの方が言い。上半身が突っ込んでいるのでは無く、バットの出を我慢していると解釈すべきだ。こういう打ち方はオートマチックステップの方がやりやすい。
(9/5)以前、台湾の雑誌に台湾球界屈指の強打者である彭政閔の分析記事を依頼されて寄稿した事が有る。その号は彭政閔の特集号でもあったので、本人も目を通しているだろう。そこで私は彭政閔について、台湾版ミゲル•カブレラという評論を寄せた。その次のシーズン、カブレラは三冠王を獲得する。彭政閔とカブレラは、流し打つホームランとインコースの引っ張り方が似ている事、また、そういうスイングになる理由が同じという事が、そうした評論を書いた理由である。
2014年のホームラン集を見ると以前にも増して似て来た。少しはミゲル•カブレラの事が頭にあるのでは無いかと思う。だが、スイングそのものはデスパイネに似ている。同じヘッド入れ型の状態から始動しているからだ。ミゲル•カブレラの外枠にデスパイネのスイングと言えば良いだろう。パンチャーでは始動ポジションでの腕の形によってスイングが変わって来る。第三章ではその辺についても説明する予定。
(9/5)今サッカーの日本対ウルグアイを見ているがフットワークのレベルが違いすぎる。ハムストリングスで立てているウルグアイと大腿四頭筋で動けない日本。まだ前半9分台で0対0だが2対0くらいで日本が負けるだろう。
____________________________________
予想は的中したが、深い意味は無い。これまでサッカーを見た感じから、このくらいの体の動きに差があれば、このくらいの点差になるだろうと感じただけである。
ただ、敗因、勝因は身体運動のレベルに有る事は間違い無いだろう。日本がサッカーの国際試合で負けると評論家は戦術のミスを指摘するが、日本人の性質上、そうした組織力によってむしろ助けられているのでは無いか。(詳しくは知らないが)
日本のプレーヤーのように大腿四頭筋が効いてしまうと、フットワークは鈍り、アドリブは効かなくなるが、これはサッカーにとっては致命的だ。一方、腸腰筋が効いてハムストリングスが使えると、脚は軽やかに動き、フットワークのアドリブが自在に効くようになる。南米系の選手が見せるトリッキーなフットワークはまさにそれで、彼らは恐らく脳内からアドレナリンを出しながら、即興で自在に脚をコントロールしているはずだ。そのパターンには一定のパターンは有るだろうが、それに加えて、その一瞬一瞬でしか起こりえない体勢からのアドリブ(野球に例えると「もう一度やれと言われても出来ない打ち方」)を使いこなしているはずだ。こうした動きは腸腰筋が効いてハムストリングスが使えると出来るようになる。そうした動きを一つ一つ分析して真似しようと言うのが日本のサッカー選手の発想だろうが、それではレベルの差は埋まらない。
何度も言うが、そのままの日本人の体の動きでは世界レベルには絶対に勝てない。私の理論は、その差を埋めて、そして追い越すためのものだ。
(9/9)第三章の販売形式について。現在、文章、図、連続写真ともにほぼ出そろい、後は自分の身振り手振りで説明する分の撮影や編集となっていますが、全部いっぺんに完成させようとするとまだまだ時間がかかりそうなので、3部形式にして小出しに販売していく事にします。全部一遍に完成させようとすると時間の無さから焦ってしまい、また一度にこなす作業が膨大になる事で細部のクオリティーが下がるためでも有ります。価格は各2000円です。
第一部の内容は以下の通りです。
1)スインガー基礎(スイング理論基礎)
2)パンチャー基礎(スイング理論基礎)
3)ジャイロ現象とパンチャーのスイング
4)股関節の斜め回転
5)股関節の斜め回転とスインガーのスイング
6)股関節の斜め回転とパンチャーのスイング
第一部は、各タイプのスイング理論の基礎を説明するパートになります。ただ、これはあくまでも基礎なので「じゃあ、この場合はどうなの?」という疑問まではカバーしきれません。それらは二部三部で説明していきます。基本的にスインガーについてもカバーしていく予定ですが、もちろんメインはパンチャーの解説です。
(9/16)これは凄い(ハーパーのホームラン)ハーパーという打者は、しばしば特大アーチを放つが、下半身が強い力を発揮し、上半身はリラックスされている。その上で、両手で振り抜いている。だから、これだけ飛ぶ。これらは鉄則だが、形としては理想的であるトップ型に取り組む事で腕に力は入りやすくなる。この事を口を酸っぱくして言っても深く受け止められない人が多い。本当に腕がリラックスし、下半身が大きな力を発揮して、下から上にスムーズに力が伝わった時に、体がどれほどの力を発揮できるのかという事を知らないからだろう。知らないから、その状態で満足してしまう。そこに上達を阻む大きな壁が有る。
(9/17)16日の続きだが、この問題を考えると、野球未経験の草野球選手や少年野球の選手にトップ型のオートマチックステップを教える事の難しさが解る。トップ型は形としては理想だが最も腕が緊張しやすい。その問題をクリアできなければしなやかさを欠くスイングになってしまう。つまり「下から上に力が上手く伝わった状態」を知らない選手が、いきなりトップ型のオートマチックステップに取り組むと、その「状態」を知らないまま長い時間を過ごしてしまう可能性がある。「構えでの腕の緊張」という問題に対する様々な方策を立てなければトップ型という打ち方のアドバンテージを得る事が出来ない。結局成績は「トップ型のメリット」と「デメリット」が相殺しあう事で差し引き0になるだろう。この問題については口を酸っぱくして言って来たが、どこまで深く受け止められているかはかなり不安が残る。一つの方策が軽いバットを振る事であり、また時折バット立て型などの構えから打つ練習をしてみるのも良い。その他、構え方、構えの力を付けるトレーニング、打席での工夫、練習の順番、バットの選び方など、様々な方面からのストラテジーを紹介してきた。
ところで、打撃の「センス」を二つの側面から考えると「下から上への伝達のセンス」と「腸腰筋ハムストリングスを使うセンス」に分けられる。後者は日本人はテンでダメだが前者については世界レベルだ。それは力の無さを自覚して上半身についてはおとなしい構えを選択する傾向が有るからだろう。それともう一つは練習量だ。「下から上センス」は相当振り込まなければ身に付かない。
ただ、こうした特徴を持つ日本人が「腸腰筋ハムストリングス」のセンスも不十分なままトップ型を採用する事で「下から上」のセンスもスポイルされた場合、結構悲惨な事になるはずだ。私の理論を実践する場合、その辺に対する理解が非常に重要になる。理想的な打ち方も、それに対する理解が不十分であれば、逆に他の打ち方よりも使えないものになる。
(9/18)3章は打撃の話だけだが、今回はピッチングの話。カープの永川のフォームが面白い事になっている。見事なターン&タンブルフィニッシュで、この一点のみに関して言えば、過去に日本人が見せたものとしては最高の出来だろう。私の観点から見ても太鼓判を押せるレベルだ。今期から常時セットで投げるようにしたらしいが、変則的なテークバックで手が体の近くにある事と、脚を高く挙げない事が重心位置を踵よりにしたため、このようなターン&タンブルフィニッシュが可能になったのだろう。最近では日本人でも「メジャー式脚挙げ」もちらほら見られるようになって来たが、多くの場合完成度もまだ低いし、フィニッシュがターン&タンブルで無ければ見かけ倒しだ。メジャー式脚挙げからのターン&タンブルフィニッシュのフォームがNPBで見られる日も、そう遠く無いかもしれない。今までにも日本人投手で一塁側にクロスするフィニッシュを取る投手はいたが、それらは脚がクロスするだけで重心が前に出て行かなかった。つまりターンは有ったが、タンブル(倒れる)が無かった。重心移動にはハムスリングスの力を要するからで、永川はハムストリングスが使えているからタンブルが出来るのだ。強いて言えば伊良部のフォームにはタンブルが有った。ただ伊良部に関してはアメリカ人とのハーフであるという事情もあるはずだ。
(9/20)三章で使用するパンチャーとスインガーの連続イラストが完成した。これらのイラストは、各々のタイプのスイングメカニズムに基づいて描かれている。このイラストの中で私が表現した事が科学的に証明されるのに何十年かかるだろうか。
パンチャータイプ
スインガータイプ
メジャー最強の子弟コンビでもあるウィリー•メイズとバリー•ボンズの違いは、まさにスインガーとパンチャーの違いを表している。
バリー•ボンズ
筒香や柳田が森に見習うべき点がある。それは森の方が常に自分のタイミングで振れているという事だ。その理由は森は脚を挙げるのが遅いからだ。通常、日本の技術論では「始動を早く」と言われる。これは前脚を早く挙げて投球に備える事を意味するのだが、パンチャーの場合、それをやると重心移動が先行してしまい、ボトムハンド側で引っ張るようになってしまう。
筒香も、早めに前脚を挙げて動きながら間合いを取るため、ボトムハンド側で引いてヘッドの出が遅れる事が多い。17号ホームランはそういうスイングだ。だが、この重心移動が先行するデメリットがメリットに変わるコースが一つだけある。インコースだ。よけいに腰を回す必要が有るインコースに筒香のツボがあるのはそのためだ。7号ホームラン、6号ホームランはそういう打ち方になっている。これらのスイングは実にパンチャーらしい。ボンズのインコース打ちにも似ている。メカニズムが同じだからだ。
柳田はさらに始動が早い。このホームランは飛距離は出ているが、メカニズム的にはボトムハンド側で引っ張ってしまい、トップハンドのパワーをロスしている。という事は、まだ飛距離を伸ばす余地はあるという事だ。(そういう欲張りからスランプに陥る選手は多いと思うが。)
ただ、一点、構えからトップを決めて、遅いタイミングで脚を挙げるという打ち方は、むしろ高度な身体操作を要求する。そのため、その辺の素人に短時間でそれなりに打たせるようにするためには「始動を早く」と言った方が効果があるかもしれない。
(9/3)引き続き筒香について。筒香を高く評価している理由の一つとして、インハイのプレッシャーに打ち勝つだけのヘッドの出の早さがある事に加えて、落ちる球を掬い打つのが上手い事が挙げられる。動画の15号ホームランでは落ちる球に対して後ろ肩をボールの下に潜らせてバットをボールの落ちて行くコースに入れているが、こうした反射的な対応が出来るか否かが変化球が打てるか否かの分かれ道だ。この筒香の落ちる球への対応は、落ちる球はこう打つのだと言う見本と言えるだろう。この打ち方はプリンス•フィルダーの落ちる球の打ち方に似ているが、両手で振り抜くタイプならではで、インハイと落ちる球に強いのも両手振り抜きの強みだ。
一つ難点を挙げるとすれば前述のように脚を比較的早く挙げて(日本人としては普通)動きの中でタイミングを取る事だ。さらに頂けないのは脚を挙げる時にグリップを捕手方向に引く事。これはかつて松中もやっていた。これは構えでは楽な位置にバットを置き、脚を挙げてからトップに入れるという戦略だが、これをする事でスイングは乱れやすくなる。
話を戻すが、インハイのストレートや、落ちる緩い変化球への対応に難が有ると相手から穴のある打者として認識されてしまう。そうしたボールへの対応に非凡な能力があると言う意味で筒香は評価できる。方向性を間違わなければ、NPBでは松中2世的なポジションに立つ事が出来るだろう。時折、片手で軽く合わせるスイングを見せる事が有る。それも重要な能力だが、両手によるヘッドの出が早いタイトなスイングを基本として行く事が大切になる。
(9/4)デスパイネの7号。デスパイネについては好印象を日誌(1)で書いたが、今のところ、良く打っている。このホームランはオートマチックステップで緩い球を打つときの見本だ。反射神経の働きで前脚着地後に一瞬の間を取っている。少し上半身が突っ込んでいるが、こういう場合はこのくらいの方が言い。上半身が突っ込んでいるのでは無く、バットの出を我慢していると解釈すべきだ。こういう打ち方はオートマチックステップの方がやりやすい。
(9/5)以前、台湾の雑誌に台湾球界屈指の強打者である彭政閔の分析記事を依頼されて寄稿した事が有る。その号は彭政閔の特集号でもあったので、本人も目を通しているだろう。そこで私は彭政閔について、台湾版ミゲル•カブレラという評論を寄せた。その次のシーズン、カブレラは三冠王を獲得する。彭政閔とカブレラは、流し打つホームランとインコースの引っ張り方が似ている事、また、そういうスイングになる理由が同じという事が、そうした評論を書いた理由である。
2014年のホームラン集を見ると以前にも増して似て来た。少しはミゲル•カブレラの事が頭にあるのでは無いかと思う。だが、スイングそのものはデスパイネに似ている。同じヘッド入れ型の状態から始動しているからだ。ミゲル•カブレラの外枠にデスパイネのスイングと言えば良いだろう。パンチャーでは始動ポジションでの腕の形によってスイングが変わって来る。第三章ではその辺についても説明する予定。
(9/5)今サッカーの日本対ウルグアイを見ているがフットワークのレベルが違いすぎる。ハムストリングスで立てているウルグアイと大腿四頭筋で動けない日本。まだ前半9分台で0対0だが2対0くらいで日本が負けるだろう。
____________________________________
予想は的中したが、深い意味は無い。これまでサッカーを見た感じから、このくらいの体の動きに差があれば、このくらいの点差になるだろうと感じただけである。
ただ、敗因、勝因は身体運動のレベルに有る事は間違い無いだろう。日本がサッカーの国際試合で負けると評論家は戦術のミスを指摘するが、日本人の性質上、そうした組織力によってむしろ助けられているのでは無いか。(詳しくは知らないが)
日本のプレーヤーのように大腿四頭筋が効いてしまうと、フットワークは鈍り、アドリブは効かなくなるが、これはサッカーにとっては致命的だ。一方、腸腰筋が効いてハムストリングスが使えると、脚は軽やかに動き、フットワークのアドリブが自在に効くようになる。南米系の選手が見せるトリッキーなフットワークはまさにそれで、彼らは恐らく脳内からアドレナリンを出しながら、即興で自在に脚をコントロールしているはずだ。そのパターンには一定のパターンは有るだろうが、それに加えて、その一瞬一瞬でしか起こりえない体勢からのアドリブ(野球に例えると「もう一度やれと言われても出来ない打ち方」)を使いこなしているはずだ。こうした動きは腸腰筋が効いてハムストリングスが使えると出来るようになる。そうした動きを一つ一つ分析して真似しようと言うのが日本のサッカー選手の発想だろうが、それではレベルの差は埋まらない。
何度も言うが、そのままの日本人の体の動きでは世界レベルには絶対に勝てない。私の理論は、その差を埋めて、そして追い越すためのものだ。
(9/9)第三章の販売形式について。現在、文章、図、連続写真ともにほぼ出そろい、後は自分の身振り手振りで説明する分の撮影や編集となっていますが、全部いっぺんに完成させようとするとまだまだ時間がかかりそうなので、3部形式にして小出しに販売していく事にします。全部一遍に完成させようとすると時間の無さから焦ってしまい、また一度にこなす作業が膨大になる事で細部のクオリティーが下がるためでも有ります。価格は各2000円です。
第一部の内容は以下の通りです。
1)スインガー基礎(スイング理論基礎)
2)パンチャー基礎(スイング理論基礎)
3)ジャイロ現象とパンチャーのスイング
4)股関節の斜め回転
5)股関節の斜め回転とスインガーのスイング
6)股関節の斜め回転とパンチャーのスイング
第一部は、各タイプのスイング理論の基礎を説明するパートになります。ただ、これはあくまでも基礎なので「じゃあ、この場合はどうなの?」という疑問まではカバーしきれません。それらは二部三部で説明していきます。基本的にスインガーについてもカバーしていく予定ですが、もちろんメインはパンチャーの解説です。
(9/16)これは凄い(ハーパーのホームラン)ハーパーという打者は、しばしば特大アーチを放つが、下半身が強い力を発揮し、上半身はリラックスされている。その上で、両手で振り抜いている。だから、これだけ飛ぶ。これらは鉄則だが、形としては理想的であるトップ型に取り組む事で腕に力は入りやすくなる。この事を口を酸っぱくして言っても深く受け止められない人が多い。本当に腕がリラックスし、下半身が大きな力を発揮して、下から上にスムーズに力が伝わった時に、体がどれほどの力を発揮できるのかという事を知らないからだろう。知らないから、その状態で満足してしまう。そこに上達を阻む大きな壁が有る。
(9/17)16日の続きだが、この問題を考えると、野球未経験の草野球選手や少年野球の選手にトップ型のオートマチックステップを教える事の難しさが解る。トップ型は形としては理想だが最も腕が緊張しやすい。その問題をクリアできなければしなやかさを欠くスイングになってしまう。つまり「下から上に力が上手く伝わった状態」を知らない選手が、いきなりトップ型のオートマチックステップに取り組むと、その「状態」を知らないまま長い時間を過ごしてしまう可能性がある。「構えでの腕の緊張」という問題に対する様々な方策を立てなければトップ型という打ち方のアドバンテージを得る事が出来ない。結局成績は「トップ型のメリット」と「デメリット」が相殺しあう事で差し引き0になるだろう。この問題については口を酸っぱくして言って来たが、どこまで深く受け止められているかはかなり不安が残る。一つの方策が軽いバットを振る事であり、また時折バット立て型などの構えから打つ練習をしてみるのも良い。その他、構え方、構えの力を付けるトレーニング、打席での工夫、練習の順番、バットの選び方など、様々な方面からのストラテジーを紹介してきた。
ところで、打撃の「センス」を二つの側面から考えると「下から上への伝達のセンス」と「腸腰筋ハムストリングスを使うセンス」に分けられる。後者は日本人はテンでダメだが前者については世界レベルだ。それは力の無さを自覚して上半身についてはおとなしい構えを選択する傾向が有るからだろう。それともう一つは練習量だ。「下から上センス」は相当振り込まなければ身に付かない。
ただ、こうした特徴を持つ日本人が「腸腰筋ハムストリングス」のセンスも不十分なままトップ型を採用する事で「下から上」のセンスもスポイルされた場合、結構悲惨な事になるはずだ。私の理論を実践する場合、その辺に対する理解が非常に重要になる。理想的な打ち方も、それに対する理解が不十分であれば、逆に他の打ち方よりも使えないものになる。
(9/18)3章は打撃の話だけだが、今回はピッチングの話。カープの永川のフォームが面白い事になっている。見事なターン&タンブルフィニッシュで、この一点のみに関して言えば、過去に日本人が見せたものとしては最高の出来だろう。私の観点から見ても太鼓判を押せるレベルだ。今期から常時セットで投げるようにしたらしいが、変則的なテークバックで手が体の近くにある事と、脚を高く挙げない事が重心位置を踵よりにしたため、このようなターン&タンブルフィニッシュが可能になったのだろう。最近では日本人でも「メジャー式脚挙げ」もちらほら見られるようになって来たが、多くの場合完成度もまだ低いし、フィニッシュがターン&タンブルで無ければ見かけ倒しだ。メジャー式脚挙げからのターン&タンブルフィニッシュのフォームがNPBで見られる日も、そう遠く無いかもしれない。今までにも日本人投手で一塁側にクロスするフィニッシュを取る投手はいたが、それらは脚がクロスするだけで重心が前に出て行かなかった。つまりターンは有ったが、タンブル(倒れる)が無かった。重心移動にはハムスリングスの力を要するからで、永川はハムストリングスが使えているからタンブルが出来るのだ。強いて言えば伊良部のフォームにはタンブルが有った。ただ伊良部に関してはアメリカ人とのハーフであるという事情もあるはずだ。
(9/20)三章で使用するパンチャーとスインガーの連続イラストが完成した。これらのイラストは、各々のタイプのスイングメカニズムに基づいて描かれている。このイラストの中で私が表現した事が科学的に証明されるのに何十年かかるだろうか。
スインガータイプ
バリー•ボンズ
ウィリー•メイズ
第三章ではこうした違いが生じるメカニズムについて説明していく。
(9/21)西武の森が打ちまくっているが、はっきり言って外野あたりにコンバートした方が良い。あれだけ重心を下げて下半身に負担をかける打撃フォームで捕手というのは無理が有りすぎる。そもそも捕手で打者としても成功するのは悪く言えばごまかしながらも打つのが上手いタイプが多いのではないか。古田とかジェイソン•バリテックのように軽打で合わせるような打撃が出来るタイプだ。谷繁やポサダとかもそうだが枯れた印象を与えつつ大事な時だけ本気を出すような感じで丁度良い。森のようにがっぷり四つに打撃に取り組むようなスタイルと捕手というポジションは相性が悪い。しかし恐らく実際には捕手としてやって行く事になるのだろう。打撃力を幾分差し引かれながら。いずれにしても、捕手であの打撃フォームで膝を痛めなければオメデトウと言ったところか。
余談だが日本ハムの稲葉が西武ファンからも声援を受けていたが、あれは良く無い。野球選手としての稲葉に敬意を払うのなら、敵のファンがインプレー中に応援するべきでは無い。打席に入るときに立ち上がっての拍手とか、メジャーでは良く有ると思う。細かいようだが、そういう考え方が出来ないところに日本人(日本の教育)の欠点があるのでは無いか。そういえば以前、阪神の新井がカープを出る時に「カープを愛している」と発言し、それを緒方が「出る選手がそういう事を言うべきではない」と咎めた事が有ったが、全くその通りで、そういう事を言える人間というのは貴重だ。ところで教育という言葉で思い出したが、最近ラインでのいじめ云々の話を良く聞く。これに対していじめをやめるようにという事を言っている大人が多いがアホかと思う。他の国には学校にすらいけない子も多い中でスマホまで持たせてもらいラインなどで遊んでいるような子供はいじめられて当然では無いか。いじめる方に回った子も、そういう事にうつつを抜かしている事で後で苦労して社会全体からいじめられる事になるのだから、結局最終的には五分五分になるだろう。子供(大人でもそうだが)が気がつきにくいのは「自分がそれを出来るためにどれだけの人間が苦労しているのか」という事で、例えば自分が遊んでいるポケモンカードのために低賃金でこき使われている人間がいると言った事に想像がつかない。結局はそうした苦労の報いを後々自分が受ける事になるのだから、そうした現実を大人が教えてやる事が大切だ。日本国内でしか通用しない変な礼儀作法を教え込むよりよほど良い。気持ち悪い言い方をするが、中国の貧乏な母親が必死に日本企業の工場で働いた結果作った玩具をタダで買い与えられた子供は、その怨念も同時に背負わされる事になる。ここに子供を甘やかしてはいけない本当の理由がある。
(9/22)巨人の大田が打ち始めている。この動画の6.30あたりにも有るが、高校の頃はなかなかの素材だった。この揺らぎ方、股関節の回転とリンクしたバットの回転、前脚の足踏みの感性など、これが出来た日本人選手は私の理論の実践者以外では大田くらいしかしらない。しかし、プロ入り後は原監督の指導などが入り、がらりと打ち方を変えてしまう。ワキを締めて前脚の挙げる典型的な日本式に。しかし最近は追いつめられて開き直ったのか少し昔の打ち方に近づいた気がする。ワキを締めるのを止めて本来のパンチの強さが戻りつつあるようだ。しかしなぜ、あの最初の打ち方を止めたのかというそもそもの疑問は残るが。そういえば日ハムの鵜久森もまだ芽が出ない。高校時代に見た時は和製Aロッドだと思ったが、大田同様、プロ入り後にフォームが小さくなっている。このレベルの素材を育てられない日本の打撃技術論はなっていないと言わざるを得ない。
ところで中田の時もそうだったが、ルーキーが入団と同時にフォームをいじられるのは全く理解できない。そのフォームで打っている姿を見てスカウトしたのだから、少なくとも一通りそのフォームで実戦に臨ませて試すのが普通だと思うが。
(9/23)アメリカの選手は冬にアメフトやバスケをやる選手が多い。それを日本にも取り入れようと言う向きが有るがまぁ、止めておいた方が良い。日本人の条件でWBCで優勝などが出来るのは野球に特化して取り組んでいるからだろう。反復練習が必要になる野球という競技は日本人には向いている。
(9/24)言ってる端から巨人の大田が3安打3打点1本塁打の活躍を見せた。打ち方は高校の頃の方が全然良かったが。鵜久森と大田のプロ入り後のフォームは似ている。ワキを締めるような構えだ。それがゆったりタイミングを取る脚挙げ型の中で行なわれた。結果的に引きが強く、ワキを締める事でトップハンドが効かない。バットがボールに負ける感じで悪い意味で右に飛ぶ打球が多かった印象がある。その辺を修正する事で良い意味で引っ張れているのが最近の大田だと言う事だろう。強いて言うならば大引(ヒット ホームラン)にはそういうところがある。右に打てる事自体は上手い事を意味するが、悪く言えばヘッドが出て行かない事を意味している。レベルの高い視点から言うと、以前の大田や鵜久森のような右への打ち方はそれほど良いとは思えない。バットがボールに負けているように見える。
(9/26)第三章の制作は手こずってはいるが、良いところまで来た。第一部の目玉は何と言っても「ダウン」「プッシュ」「トルク」というパンチャーのスイングを構成する三要素のアームアクションを詳細に解説する事だ。イラストはトルクのメカニズムを表現している。連続写真はその実演。
今の助っ人の中でトルクの力が強い、あるいはその動作が上手いのは、メヒア、グリエル、デスパイネの3人が挙げられる。上の図、写真からも解るようにトルクのかけかたが上手いとインハイが打ちやすい。このメヒアのホームランがそれを表している。後半にすばらしいスローモーションがある。「インサイドを打つのが上手いんですよね。」その通りだ。
(9/30)3章で使用する動画から一つ。これは前脚股関節の伸展とトップハンドの肩の内転の実験のものだが、後半のスローモーションでの腕の動きに注目してほしい。肩を内転させつつ前脚股関節の絞りで骨盤を回した結果、トルクの動きがよく表現されている。前回のメヒアのスローモーションと比較すると、同じ動きである事が解るだろう。従来の打撃理論にはなじみの無い動作では有ると思うが。
(9/31)第三章のメインであるパンチャー基礎の部分は大体、下のような感じになる。投手側から、横から、捕手側からの三方向からの連続写真を使用し、「ダウン」「トルク」「プッシュ」の3動作に対する理解を完全に定着させてもらう事が狙い。
(10/2)メヒアの所でトルクの話でデスパイネを引き合いに出したが、早速トルクの効いた打撃を見せてくれた。これが有るからインハイが打てる。横からのスローが無いのが残念だが投手方向からのスローを見ると、良くわかると思う。
(10/4)日本でほとんど知られていないような選手がこういうスイングをする。それがメジャーの魅力だ。
(10/8)主にカージナルス対ドジャーズの地区シリーズを見ている。現在カージナルスが王手をかけ、次はドジャーズが左腕エースのカーショウで絶対に落とせない試合を取りに来る。カージナルスには「両手振り抜きの大事な試合で使えるしぶといor意外性が有りそうな打者」が何人かいる。ポストシーズンで使えるのはこうした選手だ。コルテン•ウォン、ランダル•グリチャック、マット•カーペンターがそうだ。これらの選手は今調子が良い。そこにマット•ホリデイやモリーナなどの右の大砲が加わる。
一方、ドジャーズにはエイドリアン•ゴンザレス、マット•ケンプ、ヤシエル•プイグ、ハンリー•ラミレスなどのビッグネームがそろっている。しかし、こうした選手は短期決戦でどれだけその価値に値する活躍を見せるかは大いに疑問だ。確かにパワーは有り、一定の割合で長打を打つのでシーズンを通すと成績を残すだろうが、その事と、良い場面で良い投手から打つ事は同じでは無い。ドジャーズの打線は機械に例えると馬力が有るが暖めるのに時間がかかり、おまけに時々故障する。良いところで役に立つかは疑問符がつくと言ったものだ。
しかし、カージナルスもカーショウから二連勝できるとは考えにくい。打つべき主軸の右打者がドジャースの主軸に近い性格を持っている事もマイナス要因だ。おそらくカーショウに負けた後の試合で勝ってカージナルスがリーグチャンピオンシップに進出するのでは無いか。なおドジャーズについては強いて言えばホアン•ウリーベをキーマンに指名したい。ポストシーズン向きの選手だ。ウリベに打たれて空気が変わったところを続くエリスが的確に捉えて大量得点に繋げるなどの展開が有りそうだ。
(10/9)ドジャーズが破れてカージナルスがリーグチャンピオンシップに進出したが、強いて言うならドジャーズでタイムリーを打ったのがウリーベであったという事くらいか。予想が当たったのは。もちろんカージナルスの進出も含めて。他のカードはあまり見られていないが、強いて言うなら注目したいのは、この前紹介したロイヤルズのエリック•ホスマーとジャイアンツのブランドン•ベルト。同じジャイアンツのクロフォードやサンドバルもやれそうだ。ナショナルリーグのジャイアンツとカージナルスなら打線だけ見ればカージナルスの方が良い。なのでカージナルスが勝つと予想しておく。
短期決戦、つまり大事なところで打つ選手というのは名前の大きさでは無い。もちろん、ジーターのような例も有るが、必ずしも一致しない。まず最低限、身体がキレている事とそれが可能なメカニズムが必要になる。その上で、そのとき調子が良い選手が打つ。それが誰になるのかはそのときの波があるので常には一致しない。ただ、そうした可能性のある選手を多数集めているチームは必然的に強い。反対に名前でかき集めたチームは最後は勝てない。
(10/11)カージナルスの主軸で期待出来そうなのがマット•ホリデイ。ハムストリングスを使えるフォームで良い投手についていくだけのキレがあるスイングが出来る。ペラルタやマット•アダムス、モリーナよりも、このホリデイを推したい。意外性の一発というか、どこかで大きな仕事が有るかもしれない。
(10/13)ポストシーズンでのカージナルスのキーパーソンとして「カーペンター」「グリチャック」「ウォン」の3人の名前を8日の記事で挙げたが、第二戦はその3人がそれぞれ打点を挙げてカージナルスが勝利した。カーペンターの先制ホームラン、グリチャックのタイムリーヒット、そしてコルテン•ウォンのサヨナラホームランだ。特にグリチャックとウォンはいわゆる脇役だが、こうした選手の中からポストシーズンのキーマンが出て来る。
これらの選手が良い点は脇役ゆえにホームランを期待されていない事。むしろ一本でも多くヒットを打ってメジャーに定位置を獲得したいと考えているから、打撃スタイルも対応力を重視したものになり、それがポストシーズンで一流投手と対峙した時に活きる。
一方、主軸の選手はホームランを期待される。その事自体は良いのだが、それで陥りやすいのが、厳しい球、苦手な球を捨てて打てる球だけをホームランにする(飛ばす)というスタイルに陥る事だ。これをやるとシーズンを通せば本塁打は出るが、内訳を調べると二戦級の投手の甘い球を重要でない場面で打っている事が多いはずだ。そういう打者はポストシーズンでは役に立たない。打線の中で見かけ倒しの大砲のハリボテのような状態になってしまう。
もちろん、脇役の選手は技量が未熟なので、常に打てるとは限らない。だが、そうした選手の中から状態の良い選手がかならず何人か出て来る。そうした選手を大事な試合で使う事が大切になる。重要な事は、そうした打者を見極め、レギュラーシーズンから定期的に(レギュラーである必要は無い)使い続け、エンジンを暖めておいてやる事だ。
(10/14)ロイヤルズは敵地で2連勝したようだが、過去のデータではそうしたチームは100%ワールドシリーズに進んでいるのでアメリカンリーグはおそらくロイヤルズが来るだろう。一方ナショナルリーグはサヨナラ勝ちの勢いを本拠地に持ち帰ったカージナルスが来ると言いたいところだが、モリーナの故障は痛い。しかし、ジャイアンツの打線がポストシーズンレベルの投手陣相手につながりを作れるとは思えないのでカージナルスが来ると予想する。カージナルス対ロイヤルズのワールドシリーズになるだろうと言う予想の上で書いて行きたい。
ズバリ予想をすると、ワールドチャンピオンはロイヤルズ。理由は脚を武器にしているロイヤルズとの戦いを前にモリーナがケガをした事。打線については一見、カージナルスの方が上に見えるし、名前のある打者が多い。実際、基礎的な技術はカージナルスの方がしっかりしている。しかしロイヤルズの方が前回書いた「ポストシーズンに対応できる打撃スタイルの打者」がそろっているように見受けられる。双方ともに投手陣がそれなりにしっかりしている事をふまえれば、少ない点差でロイヤルズが勝つのでは無いか。4勝3敗の接戦の末、ロイヤルズが優勝すると予想する。
(10/16)「サヨナラ勝ちの勢いを本拠地に」と書いたが、逆だった。カージナルスは敵地に乗り込んでの3連戦となるが、初戦はジャイアンツに破れた。しかし、4対3でビハインドの7回表、ランドル•グリチャックの同点ソロホームランが出た。コルテン•ウォンもランドル•グリチャックもポストシーズンまでほとんど知らない選手だったが、正しい理論に則って観察すれば、だいたい打ちそうな選手は解る。
グリチャックはトップ型のオートマチックステップで両手振り抜きだが、弱点が無いわけでは無い。構えの時間が長いので、投手がボールを投げる前に力みが入ってしまっている事が多いのだ。それがなければもっと高い打率を残しているだろう。トップ型の長所はバットが最短距離で上から出て来る点にあり、グリチャックもそれが出来ている。こうした選手は速い球へのプレッシャーにも強く、球際にも強いので大事な試合では役に立つ。一方バットが下から出て遠回りする選手はいくらシーズン中にホームランの数を稼いでいても大事な試合では役に立たない。ただ、トップ型の弱点である腕が緊張しやすいという問題をクリアできていないのは、まだ23歳と若い事も原因だろう。今後、経験を積むうちに、その辺を上手くやるようになるはずだ。ランドル•グリチャックとコルテン•ウォンという二人の伏兵をキープレイヤーとしてプッシュしたが、今のところ予想通り二人とも結果を残している。
ただ、カージナルスの問題は主軸、大砲勢に「下から出て遠回り」の傾向がやや有る事だ。実績の有る選手が多いが、今の力で見ればロイヤルズの主軸の方が上だと考える。現時点でジャイアンツ、カージナルス、ロイヤルズ、オリオールズの4チームが残っているが、この中で一番力の有るチームはロイヤルズだろう。故にロイヤルズが優勝すると予想する。一方でロイヤルズは選手(野手)の知名度という点では、上記4チームの中で最も劣る。「現状の力」と「知名度」は同じでは無いという事だ。オリオールズは既に敗退目前だし、ジャイアンツの打線で優勝できるとは思えない。カージナルスの打線では最終的にロイヤルズの投手陣を打ち崩して完勝する事は難しいだろう。となるとリリーフ陣がそろい、良いところで打てそうな打者がそろっているロイヤルズが接戦を制して勝つ可能性が高いと考える。
(10/17)カージナルスは王手をかけられて崖っぷちだがロイヤルズはワールドシリーズ進出を果たした。そこで今日はロイヤルズの戦力を分析したい。まず野手陣の打撃力から。
もっとも「使える」選手を4人挙げる。この4人は特にマークしたい。
エリック•ホズマー(一塁)スイングはやや外回りだが主軸としてもっとも手堅い打者。年齢的にも26歳と最もいい時期にあるし、打線の中心的存在であると見る。
ロレンゾ•ケイン(中堅)ホズマーより荒いが、ハムストリングスの効いた打撃でスピードが有る。現在大当たり中。ホズマーとケインの二人が最重要選手だろう。「パワーを落としたブラディミール•ゲレーロ」というイメージで見ると良いだろう。
青木•宣親(右翼) 安定した技術が有るという前提で泥臭い野球が出来るのはポストシーズン向き。ヒットねらいの選手に安定した技術が備わっているケースは意外に少ない。その意味で貴重。「塁に出るための選手」としてはチーム位1の存在。
ブレット•バトラー(指名打者)一見鈍そうに見えるが、しっかりした技術が有る。打撃の基礎技術はロイヤルズの中で最も高い。だが、現時点ではトータルとして見るとホズマーやケインの方が魅力が有る。
次に、その次に使えるレベルの選手を4人挙げる。これらの選手は信頼感では上記3人より下だが、それでもポストシーズンで力を発揮するだけの実力は有るので、これらの選手のうち誰かがどこかで良い働きをするだろう。
マイク•ムスタカス(三塁手)グリップが良く、両手振り抜き。だがスイングはややドア。
アレックス•ゴードン(左翼)片手フォローだが、悪影響は出にくいタイプ。
アル•シデス•エスコバー(遊撃手)バットの出方にクセが有るのが惜しい。
ジャロッド•ダイソン(主に代走)スインガーの短距離打者だがキレが抜群
次に打撃面でやや不安な二人を挙げておく
サルバドール•ペレス(捕手)当たれば飛ぶが明らかに穴が有るスイング 昔ヤクルトにいたヘンスリー•ミューレンみたいな感じか。8番くらいに座ってタマに長打を放つと怖いとかそういうタイプの打者だろう。
オマー•インファンテ(二塁手)アベレージヒッターとしての実績は有るが調子が悪い。
不安要素はDHの無いナリーグ本拠地ではバトラーが使えない事。そこに投手が入るため、ペレス、インファンテ、投手、と打線のウィークポイントが3人分出来てしまう事。そのため、最初の2戦(ホーム)を1勝1敗で通過し、アウェイで1勝2敗の2勝3敗で本拠地に戻ってそこで2連勝するという考えで良いのでは無いかと思う。
(10/18)予想は外れジャイアンツがワールドシリーズに進出したが、一つ言える事は勝負を決めるのはこうしたスイングであるという事。ワールドシリーズの勝者については引き続き、ロイヤルズと予想する。
ところでロイヤルズについてだが、このチームの隠し味は「黒人力」これが打撃力、守備力と機動力、そして投手力の中でスパイスとして作用している。今日はそれについて書きたい。その具現者はジャロッド•ダイソン、アルシデス•エスコバー、ロレンゾ•ケイン、ケルビン•へレーラ、ヨーダノ•ベンチュラ、サルバドール•ペレスの6人。
ジャロッド•ダイソン 身体能力が抜群。主に代走として登場。青木の代走として出て来る事もあるほど。バク転が見られるか。
アルシデス•エスコバー 打撃も良いが、ショートストップの守備において黒人力を発揮する。アクロバチックなプレーの中でもバランスを崩さないボディー•バランスの良さとアドリブの効いた自在な守備に注目。
ロレンゾ•ケイン ハムストリングスの効いた打撃と、いわずもがなのセンターの守備に黒人力を見る。
ケルビン•へレーラ 以前紹介した事も有るリリーフの1人。投手としては小柄で脚も挙げないフォームながらハムストリングスを効かせて豪速球を投げる。
ヨーダノ•ベンチュラ 今期14 勝10敗で新人王候補に挙げられている。103マイルが話題になった豪速球投手。
サルバドール•ペレス 2013年にゴールドグラブ賞を獲得した守備に注目。身体能力もさることながら、歌手、ジャズマン、ダンサーのように一芸を大事に磨き上げるのも黒人の文化的特徴。それが生活の糧になってきた背景が有るからで、ペレスの守備にもそうした意味で黒人らしさを感じる。(ペレスのキャッチング講座)
黒人選手には白人選手にはどうしても出せない身体能力というアドバンテージが有る。それがロイヤルズの中で大きな武器になっている。アメリカでは話題にしにくいテーマだろうが。特にロイヤルズではセンターラインの捕手、ショート、センターに3人の身体能力の高く若い黒人選手が揃っている。これは大きな特徴だと言えるだろう。
(10/21)ロイヤルズにはもう1人注目の黒人選手がいる。代走で出て来るかもしれないテレンス•ゴア。ロイヤルズは守備と機動力で勝ち上がって来たらしい。スモールベースボールは一つのキーワードになっている。しかし投手のレベルも上がっている今、プロに上がって来る選手はほとんどが元中軸。送りバントも容易では無い。単なるスモールベースボールでは無く「黒人の野球」だと言う事だ。ニグロリーグを見るつもりで観戦すると面白い。しかも面白いのはそれら黒人選手が全て若いという事。そのワキをホズマー、ゴードン、ムスタカス、バトラー、インファンテ、青木ら(これらの選手も若くソツが無い)が固めているという構図で見ると良い。
投手陣に関しては、エースはやはりジェームズ•シールズだろう。第一線はシールズとマディソン•バムガーナーの投げ合いになる。
見ての通り背中を一塁側に倒す投げ方だが、この投げ方の場合、肩の開きが早くなり腕は縦振りになるので縦系の変化球が投げやすく、さらに開くのでツーシームなどシュート系が武器になる。実際、シュートするチェンジアップやツーシームが武器になっているらしい。フォーム上、球速には限界があるが、それでもメジャークラスで見ても速球派の範疇だろう。ダルビッシュが奪三振が多いのと同じ理屈で落ちる球が使えるシールズも奪三振が多い。メカニクス的には両手の割れるタイミングが良く、下半身の力が使えているので、本気で投げればズバッと凄い球がいくだろう。
ジャイアンツの主軸、ペンス、ベルト、ポージー、サンドバル等は落ちる系の球に比較的弱そうなので、普通に投げればそれほど点を取られる事は無いはずだ。(ただびっくり箱のような意外性がある打者が多いのもジャイアンツの特徴なので不意の一発には注意したい。)
一方、バムガーナーは典型的な腕の出所が武器になるタイプの左腕。
こちらも非常に厄介な投手で、大量得点はまず取れないだろう。ただ、ロイヤルズのエスコバー、ケイン、インファンテ、ペレス等の右打者は比較的、このタイプの左が打てそうなスイングをしているので期待したい。またDHでバトラーが使えるのも有利な点だ。
ロイヤルズに取っては、最初のホーム2戦の内、1つを勝つ事が重要になる。そうすればアウェイの3戦で一勝すればホーム(DH制で自分たちの野球が出来る)に戻って来れるため、楽にアウェイで戦えるためだ。また流れ作る意味でもエース対決となる初戦の意味は大きい。控えに強打者が少ないロイヤルズにとってDHのバトラーが使えるか否かは大きな問題であり、一方でジャイアンツにはモースなど控えの強打者がいるためDHが無くても戦いやすい。このシリーズにおいてホームかアウェイかの持つ意味は大きい。
ロイヤルズの打線の力にとってバムガーナーは重荷だが勝機は有る。モーションが遅いので盗塁がしやすい事だ。しかもケインやエスコバーと言った走れる選手が共に右打者であるのもロイヤルズには有利な材料だ。青木はバムガーナーを苦手としているデータが有るので、早々にダイソンが出て来るかもしれない。
3-2くらいでロイヤルズが勝つと予想する。
キーマンを指名しておきたい。オマー•インファンテとサルバドール•ペレス。打撃面で不安だと書いたがこの二人の右打者の打ち方は左殺し的な雰囲気が有り、バムガーナーのような左投手には合いそうな気がする。この二人が打てればロイヤルズ打線は強い。主軸ではエスコバーが来そうだ。
いずれにしても前述のように今ワールドシリーズにとって初戦の持つ意味は大きい。ジャイアンツにとってもバムガーナーで試合を落とすと苦しい立場に追い込まれる。バムガーナーがどういう存在になるかがこのシリーズでは非常に大きな意味を持っている。初戦を取った方が優勝すると言っても過言ではないほど重要なゲームになるだろう。
(10/22)予想は外れ7-1でロイヤルズが敗れた。強いて言えばキーマンに指定したペレスがホームランを打ち、唯一の得点を挙げバムガーナーの無失点記録を止めた事くらいか。横から入って来る左腕に対してクローズ気味のドアスイングは打つイメージが有ったのでそう予想した。
もちろん引き続きロイヤルズの優勝を予想していく。ロイヤルズにとっての好材料はいずれストップするポストシーズンの連勝記録(8)をアッサリした形で傷つかずに止める事が出来た事だろう。不安材料はバムガーナーを攻略できなかった事。
ロイヤルズは代走の黒人選手の機動力とクローザーの3枚看板を武器にしているが、この戦い方だと、序盤にリードするか少なくとも接戦に持ち込まなければ強みを活かす事が難しい。その意味で、初回に3点を奪われたのは痛かった。ただ、そういう意外性が有るのがジャイアンツのチームカラーなので、こうした展開には今後も注意が必要になる。早々に5点差を付けられた初戦ではロイヤルズの持ち味が発揮出来なかった感が有る。
なお、初戦を観た事で、選手に対する評価は若干変わった。最も打ちそうなのは「ロレンゾ•ケイン」「アルシデス•エスコバー」「エリック•ホズマー」「マイク•ムスタカス」「ビリー•バトラー」の5人。次のレベルが「青木」「アレックス•ゴードン」「サルバドール•ペレス」の3人。インファンテはやはり不安が残った。
第2戦を落とせば、ロイヤルズの優勝に限りなく赤に近い黄色信号が灯る。新人豪速球投手のヨーダノ•ベンチュラとベテラン技巧派でサイヤング賞受賞経験の有るジェイク•ピービーという非常に見応えの有る対戦になる。ロイヤルズにとっての不安最良はジャイアンツの打者は比較的速い球には強そうだという事。
一つの観戦ポイントとして「打てる片手フォロー」と「打てない片手フォロー」という問題を挙げておく。ボトムハンドの引きが強いタイプが片手フォローを取ると、問題はあるものの少なくとも筋肉の反射的な働きを利用してスイング出来るため、柔軟性やスピードは出る。ジャイアンツにはこのタイプが多い。サンドバル、ペンス、ベルト等がそうだ。一方、引きが弱いのは本来パンチャーとしては良い事だが、このタイプが片手フォローを取ると、力づくで引く事になるため柔軟性、スピードともに出にくい。例えばケンプやプホルズがこのパターンに陥っている。ロイヤルズではゴードンとインファンテにその傾向が有る。こうしたタイプが最も苦手とするのは内寄りの力の有るボールと大きく落ちる球だが、明日のピービーは球速はメジャーとしては速球派では無いし変化も小さい変化が主流なのでまだ打てる可能性は有る。
ピービーの細かいテクニックはロイヤルズの若さの前に「単なる誤差」として無視される可能性が有る。そうなればピービーは並の投手に化す。したがって第2戦ではロイヤルズは打つべき選手が打ち着実に得点を重ねるのでは無いか。一方でジャイアンツも散発的な長打で3点4点は取れそうな気がする。接戦に持ち込めばロイヤルズ優位になるので7対5でロイヤルズが勝つと予想する。元々、ロイヤルズのような雑草軍団にとって8連勝で全勝という記録は重荷でしか無かった。その重荷から解放された事によってむしろ本来の力を発揮出来るだろう。
打ちそうなのはロレンゾ•ケインとアルシデス•エスコバーの両アスリート型黒人中距離打者。(どちらかというとケイン)ピービーのツーシームやシンカーを詰まってでも外野に運べるスイングをしている。若いパワーがスピードで技巧派を凌駕するのでは無いかと予想する。
ちなみに第三章だがようやく完成が近づいて来た。現時点でページ数は223ページで動画は90点前後。価格は2000円の予定。
(10/24)7-2でロイヤルズの勝利。
ただこれからのアウェイ3連戦を考えると状況はそれほど良いとは言えない。問題は、DHが無いアウェイをどう戦うか。ただでさえロイヤルズは打撃力においてDHのバトラーに頼る部分は大きい。しかもそのバトラーが好調とあってはなおさら痛い。一つの好材料は片手フォローに変えて調子を落としていたインファンテが両手振り抜きに戻してホームランを打った事だ。かつて打率0.321を記録した事もあるインファンテの調子が戻れば大きい。それではもし私が監督であればどうするか(DH制の無いアウェー3連戦をどう戦うか)という視点で書いてみたい。
まずダイソンをスタメンで使う。青木とダイソンではやはり身体能力の面で格が違う。実際に試合を見ても自信を持ってプレーしている事が良くわかるが、投手にとってはダイソンが外野にいるのといないのとでは大きな差が有るだろう。この選手をいかに多く使うかがシリーズの鍵を握っているといっても過言では無い。(ダイソンをセンターで使うと強肩のケインをライトで使えるメリットも有る。)
また、1試合目2試合目とジョシュ•ウィリングハムをあまり重要では無い場面で代打で使っているが、これはこのシリーズで使っていくためにならし運転をさせているのだと見える。これは非常に良い事だ。ウィリングハムは打撃技術にはしっかりしたものが有る「使える」選手だ。そこで青木を控えに回す事で「使える」代打がバトラー、ウィリングハム、青木と3人用意出来る事になる。この代打陣をフル活用して実質DH制で戦っているのと同じ状態に持ち込むのが良いだろう。つまり投手交代については早めに動く事が必要になる。それは長打力があまり無く、機動力が中心のロイヤルズの攻撃スタイルを考えても重要な事だ。しかもリリーフ陣には鉄壁の3人がいるのだから、細かな継投策を使わない手は無い。1点でもリードされたら交代するくらいで良い。そして、今までダイソンが担っていた途中出場の代走の役割は売り出し中のテレンス•ゴアが担えば良い。(ちなみにロイヤルズには代打で使える左打者がいないので、その意味でもDH制が無いアウェーでは青木が控えに回る可能性が有る。)
つまり、投手の継投策、代打起用のタイミングと人選、そして代走を含めた機動力を使った作戦。この3つが非常に重要になる。忙しいベンチワークが必要になるだろう。そもそもロイヤルズというチームはベンチが動かなければ実力を発揮しにくい野球スタイルだと言えるだろう。その辺はジャイアンツと違うところだ。3点差以上はなされると相当苦しくなる反面、1,2点差で負けていても負けている気がしないのがロイヤルズの特徴なのでベンチは負けていようが点差が開かないように細やかに動きながら終盤に持ち込む事が求められる。
1戦2戦を観た印象だと、もっとベンチが動いた方が良い。実はロイヤルズにはウィリングハムの他にもジェイソン•ニックスとエリック•クラッツという「使えるスイング」をしている代打がいる。アウェーでの3連戦はある意味で練習と捉えて、多くの選手を使いエンジンを暖める場であると考えても良い。それで最後のホーム2連戦に賭ける。この3試合の中で1勝すればホームに戻って来れるのでそこで勝負を賭けるくらいの接戦の覚悟は必要になるだろう。ちなみに3戦目は実はロイヤルズは負けると予想している。それも下手をすると割と差がつく可能性すら有る。それについてはまた後ほど。
(10/25)第三戦はティム•ハドソンとジェレミー•ガスリーの投げ合いになるが、この二人についてまずは紹介したい。ハドソン(動画)は比較的有名なベテラン投手で低めからボールゾーンに落ちる球(スプリットを含む)を武器にしている。かつてはイチローが「ほとんど高めに来ない」と評したほどの投手だが、全盛期の力は無いだろう。さして球速が速いわけでは無いハドソンが200勝以上している、その理由を考えながら観戦するのも一興だろう。
一方、ガスリー(動画)だが、成績がこの投手を物語っている。二桁勝利をする力は有るが、敗戦が多く、被本塁打も多い。メジャーの打者にとっては「奇麗なフォームからそこそこのボールを投げて投球内容もまとまっているので打ちやすい」のでは無いだろうか。特にジャイアンツ打線のような一発の有る打者が揃っている打線にとっては不用意に入った高めのストレートは高い確率でスタンドまで運ばれると予想する。なので第三戦は6対3でジャイアンツが勝つと予想する。打ちそうな選手として第一候補にジャイアンツのブランドン•ベルトを指名する。ベルトを振れてはいるがまだ結果は出ていない。ガスリーのストレートが不意に高めに入るとスプラッシュヒットすら有り得る。ただでさえリリースが見やすい左打者にとってガスリーのフォームはなおさら出所が見やすそうだ。次に第二候補としてマイケル•モース。クロスオーバーグリップを採用し、バットが遠回りするこの打者は、遅い球の方が打ちやすそうなメカニクスだ。ツボにはまれば確実に飛ばすだろう。第2戦でベンチュラの球を観た後のモースにとってはガスリーのストレートはツボにハマるのでは無いか。
ロイヤルズではロレンゾ•ケイン。それほど速く無い低めを掬い上げるようにして打つのは上手そうだ。ただハドソンはグラウンドボーラーなので当てさえすれば打球が転がり、脚を武器にするロイヤルズにとっては面白い。ガスリーは変化球としては縦スラを武器にしており、ツーシームも良い。チェンジアップやカーブも投げる。ただストレートがスッと打ちやすいコースに来る事が有る。これをジャイアンツのパワーヒッターに打たれるのでは無いかと想像する。
その他、個人的な視点での観戦ポイントをいくつか挙げておく。
1)打者の打席での行動 ハイライトシーンを見ただけでは解らないのがコレ。投手が投げる体勢に入るまでに、身体(特にバットを持つ腕の筋肉)を緊張させず、適度にほぐしながらタイミングを見計らって構えを作る。言わば打つまでのタイミング。試合で打つ選手はこれが出来ているし、スイングが良くても打てない選手はこれが出来ていない場合が多いはずだ。例えば、サルバドール•ペレスやエリック•ホズマー、アルシデス•エスコバー等にはソコに対する意識が有る。一方ロレンゾ•ケインはそこに対して無頓着なため、打つ前に腕の筋肉を緊張させてしまい打ち損じている事が多い。一方代打のジョシュ•ウィリングハムも問題が有る。打席で動かなすぎて身体がアグレッシブに動いていない。こういうあたりを見ると打ちそうな選手が解るようになる。
2)盗塁の技術 ロイヤルズで主に走る選手はジャロッド•ダイソン、青木、テレンス•ゴア、アルシデス•エスコバー、ロレンゾ•ケインの5人で今シーズンMLB最多の153盗塁を記録している。注目したいのは多くの選手が2塁側の右手を降ろして構えている事。これはラボでも教えていたが、こうする事でスタートが速くなる。日本人選手はイチローを筆頭に、走る選手は大体そうしているがメジャーではマチマチでそうでも無い。それに加えて黒人特有の身体能力の高さ。例えばこの動画の0.12からジャロッド•ダイソンのスタートが見られるが、踵でトントンと足踏みしてハムストリングスを効かせているのでスタートが非常に速い。盗塁のスタートは大きな観戦ポイントだ。素早く身体の面が二塁方向に向き、一歩目の脚離れが速いのが良いスタートだ。悪いスタートは身体が地面にまとわりつき、なかなか二塁方向に向かないで、上半身が伸び上がったようになる。
3)ロイヤルズの代打起用 もし青木を控えに回すとすると、ロイヤルズは青木とウィリングハムとバトラーの3人を代打で使う事になる。これらの選手をDH制の無いアウェー3連戦の中で、どのタイミングでどう使うか。それは初戦にある程度の事が解るだろう。これは初戦での観戦ポイントだと言える。
4)風向き 海辺に位置するAT&Tパークは風向きに大きく左右される。特に被本塁打の多いガスリーにとって、それは大きな問題になる。また一発を武器にしているジャイアンツにとっては痛い。一方、ロイヤルズにとっては元々一発に頼っていないので風向きから受ける影響は小さい。また、どのみち相手が低めへ投げてゴロを打たせるハドソンなのでハナからホームランはアテには出来ない。第三戦は両チームの攻撃スタイルと先発投手のタイプの違いを考慮すると「風」が大きなファクターになる。もし風が強いアゲインストならロイヤルズにとっては大きな後押しになる。
(10/26)予想は外れ3対2でロイヤルズの勝ち。ベルトはクリーンヒットを打ち、モースは代打で出場してポール際に大飛球を打った後、タイムリー二塁打を打った。ただガスリーを捉えきれずに2得点に留まる。青木はやはりスタメンを外れた。驚いた事にロイヤルズは1人の代打も起用せずに5人の投手を起用して来た。シーズン中はロイヤルズを見ていなかったので急造の分析記事だが、ロイヤルズは意外と攻撃面ではしかけて来ない印象だ。ダイソンに一本ヒットが出た事で青木のスタメンはますます厳しくなるだろう。ホームに戻ってもどうなるかは解らない。
明日はジャイアンツの先発が元阪神のライアン•ボーグルソン (wiki)で、ロイヤルズの先発はジェイソン•バルガス (wiki)という左腕。バルガスについては典型的なチェンジアップを武器にする左腕で球速はメジャーの先発としては遅い。しかし身体は向かって来るのにボールは来ないというチェンジアップの投げ方が出来ているのでチェンジアップが有効に働きそうだ。
ジャイアンツの主軸には一度動き出したら引っ込みがつかないタイプのフォームが多いので、バルガスには手を焼くのでは無いか。(もしかしてジャイアンツにとっては最も嫌な投手かもしれない)なので第4戦は5-3でロイヤルズの勝ちと予想する。ボーグルソンはスラーブ的な落ちるカーブを武器にしておりツーシームも時折鋭く曲がるが、4シームが素直な軌道であり腕の出所やフォームにクセが無く、いわばガスリーに近い特徴が有る。このボーグルソンをロイヤルズ打線が捉えると予想する。
キーマンとして指名したいのは第一候補がロイヤルズのエリック•ホズマー。一本ヒットが出たところだし、右投手のボーグルソンから左打者のホズマーがそろそろ一発を打つかもしれない。第二候補はロイヤルズのマイク•ムスターカス。こちらも同じ左打者だ。振れているのでそろそろ大きい当たりが出てもおかしく無い。さらに伏兵としてオマー•インファンテとサルバドール•ペレスは高めが打ちやすそうなスイングをしているのでボーグルソンの不意に入った高めのストレートには合いそうな気がする。フォーム的にも合いそうだ。
一方、ジャイアンツでは引き続きブランドン•ベルト。ジャイアンツ打線の中では最も懐が深く球を呼び込めそうなフォームをしている。左打者だが、あえてベルトを推したい。
余談だがロイヤルズは1985年にワールドチャンピオンに輝いているが、偶然にも阪神タイガースも1985年に日本シリーズを制している。ジャイアンツには元阪神のボーグルソンがいる。日本シリーズの第一線は阪神が勝ったが、面白い因縁が有るようだ。
(10/27)2勝2敗となって状況は一見して苦しそうだが実はそうでも無い。もしかしたら4戦目と7戦目に来るかもしれないと言われていたエースのバムガーナーが順当に5戦目に来た事によって6戦目7戦目のホームではバムガーナーに当たる可能性が無くなった。しかもロイヤルズは明日負けて王手をかけられても、ホームに帰れる事は決まっている。そこで当たるのがジャイアンツのバムガーナー以外のスターターなら勝機は充分にある。
明日の予想は実に難しいが、希望的観測も含めて3対2でロイヤルズが勝つと予想する。打撃戦の後のエース対決とあって一転して引き締まったゲーム展開が予想される。キーマンは今回は一本釣りでロイヤルズのサルバドール•ペレス。動画で調べた時はこの打者は苦しいだろうと思ったが、試合を見て評価は変わった。打席で構えを作るまでの動きが良く、それによって打ちそうな雰囲気を醸し出している。第一戦の予想ではインファンテとペレスがバムガーナーに合いそうだと予想して、実際ペレスは唯一の得点となるホームランを打ったが、やはりペレスのフォームはバムガーナーに合いそうな気がする。
(10/28)3勝2敗でジャイアンツが王手をかけたが状況はそれほど悪くは無い。最初に書いたように、最初のホーム2戦で1勝、アウェーで1勝すれば3勝2敗でホームに帰って来る事が出来るため、そのラインをキープ出来れば及第点だと言えるだろう。しかもバムガーナーを順当に5戦目で持って来た事で、6戦目がピービー、7戦目がハドソンとなる事が確実になったが、この2人が相手なら打てない事は無い。しかもホームではバトラーが使える。
青木の起用法については難しいところだ。守備面を考えればダイソンは絶対に外したく無い。むしろシーズン中に青木を使っていたのが不思議なくらいだが、その理由はやはり打撃だろう。ただダイソンは身体能力が高いので速いスイングが出来るため、レベルの高い投手からも意外性の一打を打てそうな気配が有る。一方、青木の場合は打てる範囲の球を確実に打つ能力には長けている。だからシーズンを通せば青木の方が高い数字を残すが、こうした短期決戦では、その数字の差がそのまま結果に出るとは限らない。しかも2人とも長距離砲では無いため、差が出たとしてもヒット1本2本の差にすぎない。となればダイソンをスタメンで起用した方が良いだろう。
選手起用のカギはもう一つある。セカンドのポジションだ。現在先発がインファンテでアウェーでのダブルスイッチ用としてジェイソン•ニックスを起用しているが、今のインファンテの打撃を考えれば、どこかでニックスを起用したい。
解説のアキ猪瀬が「ロイヤルズには戦力の流動性が無い」と言っていたが、まさにその通りで、ベンチで眠っているもったいない選手が多い。そこで自分が監督であったらどうするかという観点からスタメンを考えてみた。序盤の攻撃力重視メンバーから後半の守備重視にスイッチすると面白い。青木はWBCでレフトを守っていた事が有る。今のゴードンは打撃面ではあまり役に立ちそうが無い。
1 青木 レフト →ゴードン(守備固め)& ウィリングハム(対左用代打)
2 エスコバー ショート
3 ケイン ライト
4 ホズマー ファースト
5 バトラー DH
6 ムスターカス サード
7 ペレス キャッチャー
8 ニックス セカンド →インファンテ(守備固め)
9 ダイソン センター
序盤に攻撃重視の布陣を敷くというのは、後半に代打がいなくなるためリスクを伴う。しかしロイヤルズのロースターで、今のように直球勝負に出ると、ベンチで眠っている能力の有る選手を使う機会が無くなり、それはそれで勿体無い。であれば序盤に様子見程度でも攻撃型布陣を敷くというのも面白いのでは無いか。上記のラインナップでは9番のダイソンから3番のケインまでに4人俊足が続くので、これを一度は見てみたいと思う。
第6戦は青木をレフトで先発起用するようだが、ダイソンを引っ込めて大丈夫か。尤もゴードンの代わりに青木というのは実際問題としてあり得ないだろうが。青木は1アウト以下で塁に出れば即チェンジになるかもしれない。
先発はベンチュラとピービーだが、不安要素としてはジャイアンツの打線はスピードはさほど苦にしないだろうということ。
予想はロイヤルズが優勝なので、第6戦は5-3でロイヤルズの勝ちと予想する。また、シリーズ男としてサルバドール•ペレスを指名する。理由は前述したが、打席でのルーティーンが良く雰囲気があるため。また調べてみると得点圏打率は高いらしい。つまり勝負強いということだ。四球は少ないそうだが、四球を待たない積極性がココ一番で活きるかもしれない。その他、第6戦で打ちそうな打者としてはエリック•ホズマーを挙げる。理由はさほど速く無いシンキングボールを拾い打つのが上手そうなので。
10対0でロイヤルズの勝利となったが、ポイントは2回の青木のタイムリーだろう。1点先制した後の1死満塁でもし得点が入らなければ流れはジャイアンツに行く。あの場面でファールで粘りながらヒットを打ち、それによってピービーをマウンドから降ろした。色んな意味であの一打で勝負が決まったと行っていい。
ロイヤルズに流れが大きく傾いた状態で第7戦に入るわけだが、悪いシナリオも想定しうる。それは先発ガスリーがランナーを貯めた状態で一発を浴びて2~3点差をつけられた状態でバムガーナーがスクランブル登板してくるというパターンだ。ただ、そろそろロイヤルズ打線がバムガーナーに合わせてきてもおかしくは無い。
ジャイアンツの先発はハドソンだが、こちらもそれほど球は速く無い。第7戦は両投手の一球一球のコントロールとか思惑とか、その辺に注目すると楽しめるのでは無いか。少なくとも序盤は。先制されて差をつけられるとバムガーナーの加わったジャイアンツの投手陣から逆転する事は難しい。ロイヤルズはブルペンを総動員してジャイアンツを最少得点に抑える必要がある。
予想は4対3でロイヤルズが勝つと予想する。たとえバムガーナーが出てきても今の打線なら4点くらいは取るだろうという考えからだが、それで勝つためにはジャイアンツを3点以内に抑える必要がある。そっちの方が難しそうだが。
そのためにロイヤルズにとって大切な事は、ガスリーに低めに投げる事を徹底させる事では無いか。ガスリーは不用意に入った高めのストレートをホームランにされる事が多く、これがジャイアンツ打線相手に起きる事が最も大きな不安材料である。たとえ四球を出しても危なくなったら後ろの投手に任せれば良いくらいのつもりでガスリーには低めにボールを投げる事を徹底させたい。それでガスリーを行けるところまで引っ張り、そこからはブルペン陣を総動員するという戦略だ。
ゲーム内容的には序盤にリードを許した後、途中出場のバムガーナーからサルバドール•ペレスが逆転打を打ち、試合を決めると予想する。ジャイアンツで気をつけたいのはDHで出てくるだろうマイケル•モースだ。前の試合ではガスリーに合っていた。ガスリーの高めストレートをスタンドに運ぶ打者がいるとすればモースでは無いかと思う。
(10/31)結果はジャイアンツの優勝となったが、バムガーナー一人にやられたような結果となった。変則左腕恐るべしと言ったところか。「投げ方」が武器になっている左腕の面白く無いのはボール自体はそれほどでも無いという事。もっと凄い球を投げる右投手はいくらでもいるが、テレビで見る分にはそっちの方が面白い。
最後の打席は一打逆転のシーンでバムガーナー対ペレスだったが、膝のデッドボールを食らった影響か、心なしか脚元がおぼつかないようなスイングでファールフライに倒れた。あのデッドボールは文字通り「痛い」デッドボールとなって結果に響いたのでは無いか。
ロイヤルズの問題は控えの選手を上手く使えきれなかった事だが、これはおそらくシーズン中、あるいはポストシーズンの間に準備が出来ていなかったという事だろう。つまり、大事なところで選手を使うためには普段から定期的に試合に出して慣らしておかなければならない。これは大差の負けゲームや勝ちゲームでやるべきなのだが、目先の一勝に拘り過ぎるあまりにそのチャンスを逸してしまう事が多いように思われる。しかし、それをしなければ勝ち上がっても結局最後は負けるのだと考えて断行するべきだ。
実際、ロイヤルズにはジェイソン•ニックスやジョシュ•ウィリングハムという右の代打がいたのだが、バムガーナーにぶつけられる程の状態には持ち込めていなかった。また捕手に至ってはポストシーズンを通じて控えの捕手を一度も使っていなかったため脚を引きずっているペレスをそのまま使わざるを得なかった。
この事の象徴とも言えるのが、2005年の日本シリーズだろう。ロッテが阪神に4連勝したシリーズだ。バレンタインは猫の目打線と言われるほどメンバーを固定しない事で有名だったが、岡田の方はほぼ完全にメンバーを固定していた。短期決戦では調子の良い選手を見極めて使う事が大切になるので、メンバーを固定するやり方はバクチに近い。
(11/2)マグワイアは典型的なプッシュ主導型の打者だったが、ジアンビ以降、このタイプは目立った存在があまりいない。だが、面白い打者が出てきた。ウィル•マイヤーズという打者で今期は325打数で6本塁打。打率は0.222とまだ低いが2割以上打ってるのでひとまずメジャーに対応していると言って良い。
このバックネットにファールを打つスイング等もすごい。フューチャーズオールスター(日本で言うフレッシュオールスター)の映像なので相手投手もそこそこのはずだ。
この動画の終盤には横からの映像が有るが、このグリップからスイングするとプッシュ主導型になると言う事だ。この考えは「メジャーリーグのバッティング技術」ですでに発表している(マグワイアタイプとして)が、2005年以前にこんな事にまで気がついていた自分のすごさに、このマイヤーズというトッププロスペクトを通じて気がつかされた。
(11/4)トッププロスペクトといえば、今期マイナーで43本塁打を放ったクリス•ブライアントという選手がいる。下の動画(サイドビュー有り)を見ると、後ろ脚股関節の割れた構え、コックの効いたグリップなど、まるで私の理論を実践しているようなフォームだ。この動画も良い。ただ、片手フォローなのが惜しい。グリップが良く、上半身の構えがおとなしめなので悪影響はまだ小さい方だが、それでも体の回転を充分に活かせていない。ちなみに2011年の構えがこれなので、あり得ないとも言い切れない。
(11/5)今のメジャーリーグで最も話題になっているトッププロスペクトと言えばオスカー•タベラス(カージナルス)だろう。ワールドシリーズの試合中に母国ドミニカで車を運転中に事故により死亡したという衝撃的なニュースが入ってきた。タベラスは見ての通り才能溢れる外野手でボンズやグリフィー等と同じ左投げ左打ちであった事からも有望な選手であっただけに残念だ。
左打ちのパンチャーにとって左投げというのはやはりアドバンテージとなるだろう。その割にはボトムハンドの引きが強いスイングだったが。ブライス•ハーパー(右投げ左打ち)も引きが強いスイングだが、以下の動画で両者のスローを見てみると、引きが強いパンチャー(トルク有り)の特徴がよくわかる。「ハーパー動画」「タベラス動画(スーパースロー)」引きが強いのでボトムハンドで引いているようにも見えるが、BHで引きながらもTHでバットにトルクをかけている事がわかる。この動画を見ると、メジャー昇格後よりもキレがある。メジャー昇格後は大きくフォローを 取るタイプの片手フォローにしていたので少しキレが落ちていた。そのためにカージナルスの分析をしていた時には取り上げなかったのだが。この記事にも有るように今のメジャーで5本の指に入るプロスペクト(若手有望株)であった。フォーム的には体を捻り気味にして肘を高く挙げている。こうすると後ろ脚とトップハンドの力を上手く使える。肘の高い上がり方に高い身体能力とセンス。さらに若さによる柔軟性を感じる。脚を割と高く挙げるのに捕手方向への重心移動はきわめて小さい。それによって遅いタイミングでの脚挙げを可能にしている。これは日本人が苦手な技術だ。筋力の強さや類い稀なる身体能力では無く、純粋な野球センスで魅せる事が出来るという意味ではブライス•ハーパーと双璧を成す存在になり得た。
(11/6)今まで左の日本人パンチャーとして筒香、柳田、森の3人を挙げてきたが、今期打率0.327でパリーグ2位になった 楽天の銀次もパンチャーのようだ。あまりしっかり見た事が無いので気がつかなかった。
気がつきにくいのには理由がある。始動ポジションでバットが直立しているため、どうしてもスインガー的要素が加わりやすい。ただ、同じプッシュ優位型の森と比べるとスイングが似ているのはわかりやすいだろう。銀次の動画のサイドビューを見ると、パンチャーであると言う事がよくわかるが、その辺は第三章で詳しく説明する。(銀次の分析をするという意味では無くパンチャーとスインガーの違いについて説明すると言う事。それを読めば銀次がパンチャーである事がよくわかるだろう。)ただ、こうした「スインガーに流れてもおかしく無いフォーム」の左打者が、どこまでパンチャーである事を自覚して自分のスイングを保っていく事が出来るか。そのあたりはまだ未知数だ。少し気になったスイングを見てみたい。
2013年 8月16日 4号ホームラン こうしたインコースの打ち方はパンチャー的。踏み込んでいって、あまり開かずに打てる。
2014年7月1日 3号ホームラン 横から見ると前脚の伸びがすごい。前脚の伸展はどちらのタイプも使うが、パンチャーではより重要。この動画で気がついた。
(11/7)今年のドラフトで巨人に一位指名された岡本和真もパンチャーだ。ただパンチャーとスインガーの分類という観点から見るとかなり中途半端なメカニクスであると言わざるを得ない。単に押しが強いだけでスインガーかと思ったが、 横からのスローを分析して初めて確信が出来た。一流の多くは一目見て区別がつく。
実際、岡本のフォームを見てもパンチャーというイメージがわかない人が多いかもしれないが池山隆寛と比較すると良いだろう。池山は明確にスインガーに徹しきれていた。
似たような構えから似たように脚を挙げても、こうした違いが生まれる。岡本のフォームがどう変わっていくかは見物だ。パンチャーらしさが出てくるか、それともスインガー的な方向に向かうか。あるいはこのままか。現状のスイングではちょっと打つ事は有っても清原や松井のレベルには届かないだろう。しかし、結果を残すか否かについては他のファクターも絡んで来るので今の段階での予想は難しい。
ちなみに全盛期の池山はスインガーとして非常にクォリティーの高いメカニクスであった。しかし日本もパンチャー化が進む中、もう池山のようなスイングの右打者は出てこないだろう。それはメジャーリーグでウィリー•メイズのような右打者が出てこないだろう事と同じだ。第三章ではスインガーについても詳しく解説する。スインガーに対するリスペクトが在ってこそパンチャーが本当に理解できるというものだろう。
(11/8)巨人の岡本が活躍できるか否かの一つのポイントは「どのような指導」を受けるかという事だ。高卒ルーキーだけに、いきなりフォームをいじられる事も無いとも言い切れない。懸念される要素は有る。それは岡本のスイングは「従来的なスインガー前提の技術論」から照らし合わせると右手で捏ねているように見える事だ。そこから「右手を使いすぎている」「トップハンドを離してみろ」「もっと腰の回転で払うように」等という指導を受けると、全く違う打ち方になってしまう。
一方、パンチャー前提の技術論に照らし合わせて岡本のスイングを見ると、全く逆の事が言える。つまりボトムハンドの引きが強いと言う事だ。ボトムハンドの引きが強いパンチャーのスイングは本来はインパクトまでのメインエンジンとなるトップハンドがリストターンのところで効いてくるため、見た目手首の返しが強いスイングに見えるようになる。同じ巨人の長野は典型的な例だ。長野と岡本の右手を捏ねるような感じが似ているのは二人とも引きが強いパンチャーだからだ。
このように、ある選手を見た時、二つのタイプが有るという前提で見る事が出来なければ、指導上の大きな間違いを犯す事になる。そうした意味で第三章は指導者にとっても必須の書となる。
(11/9)日本の野球ことにアマチュアとなると知識が無いので、岡本という選手はドラフトのニュースで聞くまで知らなかった。どういう選手なのだろうか。動画と経歴を見てわかった事は典型的な野球エリートだと言う事だ。そしてそれは打撃にも良く表れている。ちょっとスイングを見ただけだとよく有る未完の大器で終わる右の大砲のように見えるが、実際は頭を使った打撃をする選手で実戦向きの打撃をしている「スマートな打者」だ。対戦相手にもしっかりと神経が向いており、比較的実戦対応力が有るように見える。巨人の太田や日ハムに入った鵜久森のように苦労する事は無いだろう。おそらく高いレベルで実戦に揉まれながら、常に結果を出す事を求められて来たためだろうが、 「結果を出すためにココだけは」というツボはしっかり抑えている。(この辺がいかにもエリートらしい。裏を返せば独創性は無い。) 中田よりも早く頭角を表すのでは無いか。しかし問題は、どのレベルまで到達できるかだろう。今の打撃を見た時点ではNPBではそこそこ打つと思う。しかしこのままではメジャーで良い成績を残す事は難しいだろう。ある意味、非常にNPB向きの選手だ。
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