2014年11月18日火曜日

野球技術 TEXT 宣伝

〜新しい野球技術の教科書〜

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(左より、第1章、第2章、第3章第1部)


第3章第一部 プロモーション動画


 バッティングのメカニズムは、その根幹部分で二つのタイプに分けられます。それが私の提唱する「スインガータイプ vs パンチャータイプ」という分類法です。

 これら二つのタイプは根本的にメカニズムが異なりますので、どちらのタイプを選択するかにより「技術論」「指導方法」「適応する道具」「戦略」「練習方法」など、打撃における様々な要素が変わってきます。ですから、選手はもちろん指導者にとっても方向性を誤らないために「パンチャーとスインガーの分類法」を理解しておく必要が有るのです。

 バットを振るためには、バットを持っている手を加速しなければなりません。実は、人間には手のような体の末節部位を加速させるための体の使い方が2種類有るのです。(これはまだスポーツ科学の世界でも一般には認識されていない事です。)

 私は、その一方を「パンチャータイプ」もう一方を「スインガータイプ」と名付けました。(昔は「トップハンド•トルクタイプ」と「ウェートシフトタイプ」という分類名称を使っていました。)

 手を加速する時、体重移動や体の回転を利用して脱力させた腕をでんでん太鼓のように振る方法と、パンチを打つときのように瞬発的に大きな力を発揮する方法が有ります。前者がスインガータイプであり、後者がパンチャータイプです。下の動画はそれらの基本的な加速メカニズムを説明するための実験動画です。

スインガータイプの実験


パンチャータイプの実験


 重要なポイントとして、パンチャータイプのメカニズムを使うと、完全に静止した状態からでも力を発揮する事が可能であるという事です。これに対してスインガータイプの場合は、重心移動などの準備動作を行う必要が有ります。

 ただし、野球の世界においては一般的に「静止した状態から一気に力を発揮する」というのは、下手な打撃であると考えられがちです。なぜならそれは「力任せ」あるいは「上半身の力に頼った打ち方」というイメージに結びつくためです。上手い打者というのはゆったりとタイミングを取って、下半身主導で打つものだという共通認識がパンチャータイプに対する理解を妨げているのです。しかし、実際にはメジャーリーグにおいて下の動画のように、テークバックを取らずに構えた位置からいきなりスイングするようなフォームが多く見られるようになっています。こうしたフォームは一般的に「外国人の強い上半身の筋肉をもってして初めて可能になる事で、日本人には無理な打ち方である」という解説が広まっていますが、それは本当ではありません。完全に異なっているメカニズムを理解すれば、日本人にも充分に可能な技術なのです。

MLBのパンチャータイプの打者たち(打球音加工)



 実際に、私はその理論を基にして多くの選手にパンチャータイプの打ち方を教えてきました。それが下の動画です。(最初の3スイングは私自身です。)


 このような「構えた状態からいきなりスイングする」かのような打ち方は、実は「力任せ」でも「下半身を使わない打ち方」でも無いのです。その事を理解するためには、次の2つの専門知識が必要となりました。

1)PMSP(動作前筋放電休止期)
 静的な状態から瞬発的に大きな力を発揮しようとした時、筋肉が収縮する直前に、一瞬だけ無意識下で弛緩する現象。「動き出す前に力を抜いておく」という「脱力」の事ではなく、あくまでも無意識下で起きる身体現象。(画像は商品より)
2)APA(先行随伴性姿勢調節)
 静的な状態から瞬発的に大きな力を発揮して腕など体の一部を加速しようとした時に、バランスを取ろうとして無意識下で下半身や体幹部が先行して力を発揮する現象。(画像は商品より)

 これらPMSPとAPAという身体現象によって、構えた状態から瞬発的に力を発揮してバットを加速しようとした時、打者の体は下図のように下半身が力を発揮して上半身が弛緩した状態になります。その結果、重心移動(ステップ)やテークバックがオートマチックに発生するので、全身の力を効率良く使う事が出来るスイングになるわけです。(下図の青は筋肉の弛緩、赤は筋肉の出力を意味します。)

 下の連続写真は私の理論を実践している打者のものです。理論を理解した上での実践であるという点がポイントです。つまり写真の打者は意識の中では構えた位置から直接バットを加速しようとしているのですが、実際にはそこからステップがおこり、そのステップの中で手が反作用的に後方に引かれる事でテークバックが起きているのです。

 こうしたパンチャータイプの打ち方は、基本的にはステップが小さく(時にノーステップと間違われるほど)また重心移動も小さなフォームになります。近年、メジャーリーグやキューバの打者に対して、そうした表現がよく使われてきました。「キューバ打法」「その場で回転するメジャー打法」等がそれです。そうしたものの正体が、ここで私が解説してきました「パンチャータイプ」であると言う事です。

 ※)パンチャータイプの(メカニズム上)理想的な打ち方は構えた状態から直接打ちに行く打ち方ですが、脚を挙げたり、ステップでタイミングを取るパンチャータイプも存在します。下の動画の打者は全てパンチャータイプの打者です。

 一方、下の動画はスインガータイプの打者を集めたものです。パンチャータイプとのスイングの違いが解るでしょうか。

 パンチャータイプは現在のメジャーリーグでは圧倒的多数派を占めています。誰かが理論的に理解して教えているのでは無く、自然淘汰と相互間の影響の中で自然にそうなったのです。準備動作が必要 無く、トップからインパクトまでが早いパンチャータイプは変化球が発達した現在の野球界にマッチしたからです。
 また、近年では日本でも、中田翔、柳田悠岐、銀次などランキング上位の打者の多くがパンチャータイプに分類されるようになってきました。

 新しい野球技術の教科書シリーズでは、メジャーリーグで主流となっているパンチャータイプについて、スインガーと比較しながら解説していきます。表現方法はPDFによる文章データとクイックタイム形式の動画という形式を取っています。

以下、内容一部紹介(ビジュアルを多様しています。)

 私の著書はかつて清原和博氏からも「すごく参考になる」との評価を頂き、現在でも東京都内の主要大型書店に陳列されています。その本は2005年に出版されたものですが、内容的には文字とイラストだけです。教科書シリーズは、まだ3章1部までしか完成していませんが、それに連続写真と動画を加えて、さらに進化した理論を紹介しています。