2013年6月1日土曜日

バリーさん 2回目

ご来場ありがとうございました。



「懐を作る」「捻りを入れた構えを作る」「股関節を割る」「懐を作り肩甲骨を外転させ、胸椎を後彎させる」等のテーマで改善を試みた所、一日でかなり雰囲気が出て来ました。動画ではやや捻りを誇張していますが、このくらいの懐の深さが有れば、投手から見ても迫力の有る構えとなるでしょう。このバランス(クラウチングの角度)と懐の深い感じを大切にしてください。

バリーさんにとって特にポイントになるのは以下の点です。

●グリップを柔らかくすることで、腕(特に前腕部)が力まないようにする。
●割れ絞り体操など捻りを伴ったストレッチと黒人化トレーニングによる下半身強化
●胸椎が後彎した状態を作れるようにするための肩甲骨ストレッチ(※)
●適度に重いバット(根元に針金を巻く)を振り込む。

(※)肩甲骨ストレッチは次回です。

続きます。

フォーム的には以下の2点を忘れないようにしてください。

まず、懐の深い構えを作る事を第一に考えて下さい。懐とは下の写真の赤色の部分の事です。ここにスペースを作るためには、この写真のような脊柱の角度、重心の高さ、そしてバットの角度が重要です。「(6)センターカメラバランススイング」や「(15)懐作りスイング」の内容を参考にしてください。

そして、次に捻りを入れる事です。これは後ろ脚股関節の関節面に沿った斜めの捻りですが、この時に体に「人」の字のラインが来るように、この写真よりは頭が前に来なければいけません。つまり中心軸(軸を後ろに傾けないで)のまま捻ると言う事です。これは、当日の最後の方にやりましたが、写真では少し後ろに傾いています。「(9)捻りスイング」や「(12)前軸スイング」「(14)Xライン作りスイング」の内容を参考にして下さい。

続きます。

また、懐を作るためには、胸椎が後彎し、肩甲骨が外転(左右に開く)した状態を作らなければなりません。普段の姿勢を見ると、その辺が出来るのかなと思っていましたが、打撃の構えで意識すると、比較的大きく胸椎が後彎し、肩甲骨が外転した構えを作れたので、先天的な問題では無いと思います。ただ、バリーさんの場合、ストレッチでその辺の感覚を日常的に磨いて行く事が特に重要ですので、以下のストレッチを行うようにしてください。肩甲骨の可動域を拡大し、胸椎が後彎して肩甲骨が外転した構えを作る事がグリップを柔らかくする事にも繋がります。

また、構えを作る前に大の字になって腸腰筋をストレッチしておくと、構えで脊柱のS字カーブが効くので、胸椎が後彎し、肩甲骨の外転した状態を作りやすくなります。バリーさんの場合、構えを作る前に一度腰を沿って腸腰筋をストレッチする事をルーティーンとした方が良いでしょう。

まとめ

とりあえず現状で不足しているのはパワーとスイングスピードです。そして技術的には、これらは「下半身の力が使えている事」「上半身が緊張していない事」の二つが原因となりますが、バリーさんの場合、この二つともが出来ていないので、今の状態では体の力を使い切る事は難しいでしょう。ですから今後、そういうスイングが出来るようにしていく必要があります。もちろん、1回目より2回目の方が、その辺が出来るようになっているので、このテーマを常に忘れないようにして練習してください。

では以下に、それら(「下半身の力が使えている事」と「上半身が緊張していない事」)が出来ている例を動画で紹介しますので、イメージを掴んで下さい。これらの打者は皆、ドッシリと構え、懐が深く、グリップは柔らかく構えています。

アンドリュー・ジョーンズ

アンドリュー・ジョーンズ

ホセ・バティスタ

ブライス・ハーパー

彼等のスイングでは上半身がリラックス出来た上で下半身の力が使えているので、下半身から連鎖的に回転して最後にバットのヘッドがスドンと出て来る感じが有りますが、バリーさんのスイングにはその感じが無いのです。

現状での最大の問題点はグリップに力が入ってしまっている事です。このグリップを直さない限り、上達は無いと考えて下さい。グリップにクセが有り、そのせいで前腕部が緊張し、下半身からの力の伝達が肘の部分で止まってしまっています。また腕が緊張する事で、下半身の力発揮も弱くなってしまいます。ですから結果的に「下半身の力が使えている事」と「上半身が緊張していない事」の二つともが出来なくなってしまっているわけです。これを直すために、まずは当日行なった、包み込むようなグリップの作り方を徹底して下さい。そして肩甲骨のストレッチも同時に行なっておいて下さい。

また、フォーム上の問題であった開きが早いと言うのは、2回目でだいぶ改善されました。構えで肩甲骨が外転したうえで充分捻りが入り、始動時の下半身の力が強くなり、もうすこし重心移動が大きくなると(意識的にはしないでください)さらに開く感じは無くなるでしょう。

練習メニューで最も重要なのは硬式900gレベルの重いバットを振り込む事と、股関節の割れと絞り、それに加えて腸腰筋やハムストリングス関連の「黒人化」トレーニングを行なう事です。なお、トレーニング用の重いバット(1.2キロとか、それ以上の重いバット。ただしトップバランスのものは避ける)を振った場合は必ず軽いバットも振るようにしてください。

下の動画はラボ特待生の山下さんと林さんがソフトボール3号バット(バリーさんが動画で振ってるのと同じバット)を振ってる動画ですが、現状では塚口理論を最も明確に表現しているスイングです。彼等も黒人化トレーニングや股関節の割れ絞りのストレッチなど基礎的な事から積み上げて来て、だいぶ動きが変わって来ました。特に始動時の重心移動が大きいですが、これはストレッチとスイングを繰り返している内にそうなります。

彼等にも、バリーさんに教えている事と全く同じ事を教えています。なので、バリーさんもパワーを付けながらストレッチやスイングをやっていく内にこの動画のように振れるようになるでしょう。パワーを付けるためには、ウェートトレーニングに頼らずに重いバットを振る事が大事ですが、それも軽いバットと組み合わせたり、色々とポイントが有ります。その辺は次回お話します。


以上です。