2013年6月24日月曜日

西口文也とデーブ・スチュワート

日本人投手としては最も体重の乗ったターン&タンブルフィニッシュを決めるのが西武の西口だ。日本人にありがちなのは後ろ脚が前脚をクロスするように一塁側には出て来るものの、その着地した前脚に体重が乗っていないと言うフォーム。だが、西口の場合は体重が乗っている。こうしたフィニッシュを取れる日本のプロ野球の投手は他には少し思い浮かばない。西口はパンチャータイプで、フォーム的にはクレイ・バックホルツの日本人版と言っても良い。

フォーム的には、江川、江夏、松坂、岸等に通じる昔式のワインドアップ投法で後ろ脚の大腿四頭筋にタメを作りやすいのだが。。それでも感じるままに自然に投げるとこのくらいの勢いのフィニッシュにはなると言う事なのだろう。松坂も高校時代に一塁側に倒れるフォームを矯正された事実が有る。

バックホルツ。やや大腿四頭筋にタメを作る。その意味で西口と似ている。


Kロッドも大腿四頭筋にタメを作る。如何にも才気走った投げ方で、メジャー版西口みたいなフォームだ。


西口とフォームが良く似ているのが、アスレチックスでプレーしたデーブ・スチュワート。ホゼ・カンセコ、マーク・マグワイア、リッキー・ヘンダーソン等と共にアスレチックスの黄金期を築いた。投げ方は西口と同じく昔式の振りかぶり型のパンチャータイプ。因にその点では松坂も同じタイプに属している。


なお、デーブ・スチュワートと西口文也のフォームで共通する長所がグラブとボールの割り方だ。重心移動と連動させてグラブとボールを割っている。決して腕で勝手にグラブとボールを割らない。だから、グラブとボールを割るタイミングが比較的遅く、また、その動きがスムーズで素早い。無駄な力が入っていないからだ。スインガータイプだが、この点では藤川球児も素晴らしい。

西口が入団した頃「あんなタコ踊りのようなフォームでは大成しない」と言われたらしいが、182勝115敗と言う素晴らしい成績を残している。

ピッチング理論で「肘が背中側に入るのはいけない」「一塁側に身体が流れるのはいけない」と言う考えが有る。「有る」というか、その方が一般的だと思う。しかし、その両方ともをやっている西口が、あの細い身体で40歳まで現役を続けて、上記のような素晴らしい成績を残している。だいたい、肘が背中側に入って一塁側に倒れる方が、センス有りそうじゃん。そんなん、感覚で解るやん。