2013年6月30日日曜日

山下さん 進化の記録5



始動した瞬間からスイングが始まるまでの時間が「良い意味で」長くなったのが今回の最大の収穫です。そして、その動きも良い意味で粘り気、スムーズさが出て来ました。(以前はもっと跳ねるような硬い動きだった)この感じは以前のソフトボールバットの動画では出ていましたが(山下さんのスイングで)硬式木製でここまで安定して始動時のパワーを発揮出来ている状態は今回、初めて見ました。そしてグリップを改善した事により、ヒッチの動きも良い意味で出て来ています。この調子で、アンドリュー・ジョーンズやジョージ・ベルの境地に少しでも近づいて行く事が一つの大きなテーマになるでしょう。





※)2人とも後ろ脚に体重移動しながらボールを待つタイプなので、動き出しからスイングが始まるまでが、過剰に長く見えます。その分は差し引いて見る必要が有ります。

彼等と比べるとまだまだパワーが足りませんが(バットが重そうに見える)パワートレーニングをする上での最大の課題は、弊害の出方を知り、その修正方法を自分の中で確立して行く事にあります。そうした意味でも出来るだけ早いうちにパワートレーニングとの付き合い方を掴んで行く必要が有ります。基本的に打者なら誰でもパワーアップを計りたいはずですが、実際にはそれを余りしない選手が多いのは弊害に対する対処が難しいからです。「このトレーニングをやればどういう反応が出るか」と言う事と「どうしたら弊害を修正出来るか」ということをテストして行く事が大切になります。そして「弊害」の最も代表的なものが「トップハンドが効き過ぎて手首の返しが早く、捏ねるようなスイングになる」と言う事です。これはバッターにとって最も避けたい事態なので、そういう所に弊害の出るパワートレーニングと言うのはやはり難しいものなのです。

続きます。

1)一段落がついた

今回の置きティーのスイング(下の動画のいちばん最初のスイング)をもって、動き作り、フォーム作りと言う観点から見ると、基本的なラインではひとまず完成したと言えます。もちろん、まだまだ磨きはかけていけると思いますが、ここでひとまず完成したと考えて、次の段階に移行した方が良いと言う事です。そして次の段階に移行しながら、同時進行で細部も磨きをかけて行けば良いでしょう。


前脚の膝が内に入るクセも修正出来るようになりましたし、硬式木製で理想的な感じのヒッチも出ていますし、始動してからスイングが始まるまでの力強さ、柔らかさも出ています。こういった以前よりの課題がひとまずクリアされ、必要とされる動作の全てが出そろったと言う意味で完成したと言う事です。

では次の段階とは何かと言うと、まずパワートレーニングです。パワートレーニングは単にパワーを付けるだけでは無く、パワートレーニングによって生じる弊害と修正法を試行錯誤しながら掴んで行くと言う作業を意味します。そして、その試行錯誤から、自分に合うパワートレーニングと合わないパワートレーニングを選り分けて行き、自分なりのトレーニング法をある完成させていく事が重要です。(何種類かのバットを使ったトレーニング法を紹介しましたが、その中から重点的に行ないたいものや、タマにやるくらいの方が良いもの等を選り分けて行ってください。)

あと2ヶ月くらいで、トレーニング法を完全に確立するのは難しいにしても、ある程度、合うトレーニングと合わないトレーニングを掴むのには(2ヶ月は)充分な期間だと思いますし、またスイングスピードにもう一段磨きをかけるのにも充分な期間だと思います。

そして、その次が、今年の秋から始めたいと考えている実戦対応能力に磨きをかける作業です。(この作業はフォームには関係ないように思えるかもしれませんが、実際には、この取り組みによって動きの質が一段挙ると思います。)

このようにして取り組んで行けば、来年のシーズンオフにはプロに売り込みをかけるレベルに到達すると思いますし、また実際にそうして行きたいと思います。実際、今の時点でも、今回制作したプロモをプロの選手に見せたら(スイングスピードはまだ自分達プロの方が速いと思われるでしょうが)ある程度のインパクトを与えられる域には達していると思います。これにさらに磨きをかけ、後一年で圧倒的なものを作り上げると言う気構えで取り組めば、プロ球団に「原石」として受け入れられる(認識される)レベルに達すると思います。

なお、細かい事ですが、今回の動画を見て感じたことは(今はまだ84センチで良いですが)最終的にプロの実戦に対応するためには83㎝のバットが必要になるだろうと言う事です。やはり2013年のドラフト候補に挙っている河合完治あたりと比べると、どうしても一段バットが長く見えてしまうからです。もともと、この打ち方は一般の日本人の打法よりもクラウチングで構える上にハムストリングスを効かせているので、外角には届きやすいはずですので、バットを1㎝短くしても、ベースにあまり近づかないで、普通の日本人打者と同じくらいは外角をカバー出来るようになるはずです。(また、そのための練習も重要になります。短いバットで外角を打つ事が、構えで負担が大きいこの打法の弱点をカバーする事に直結するからです。)

続きます。

このように、とりあえず「振り込み期間」から「実戦対応期間」に移行していきたいのですが、大雑把に見て、今年はまだ「振り込み期間」と考えて良いと思います。ただ、その今年の間にやっておきたい事としては「実戦対応練習」の方法を確立すると言う事です。

実戦対応練習の一つ目は「実戦形式の練習」です。これも、軌道に乗せるまでは2~3回は必要になると思います。ただ、この場合、方法と言っても、単なるレギュラーバッティングなので、特に目新しいものがあるわけでは有りません。ただ、これを1日25打席こなして、4回で100打席。プロ入りまでの準備としてなんとか1000打席をこなしていきたいと思うのです。週1のペースで1ヶ月で100打席こなせると考えると10ヶ月かかります。今年中になんとか200打席こなせるとして、来年に800打席。8ヶ月です。

そして実戦練習の二つ目は「対応力を磨く練習」です。これは例えばシャトル打ちやワンバウンドボール打ち、タオルボールと新聞紙等を使った緩急ドリルなどが挙げられます。この練習の考え方は具体的に「カーブ打ちの練習」等と考えるのでは無く、とにかく反射神経をフルに活用して打つ事によって、スイングの柔軟な対応力を磨く事にあります。ですから「これは何の練習?」と考える必要は無く、反射神経を使ったバッティングゲームが出来ればそれでいいわけです。こうした練習の方法を今年中に何とか確立していきたいと思います。

こうした二種類の実戦練習は「気持ちよく打てる練習では無い」と言う事を理解しておく事が重要になります。見逃したりバットを途中で止めるのもモチロン重要な練習です。また、打てなくても良いと言うか、むしろ「芯で捉えられたらオメデトウ」と言うくらいのボールを打つ事で、反射神経を磨きます。これは仮説に過ぎませんが、反射神経を使ったスイングを繰り返せば、スイングも筋肉の反射機能を使ったスイングになるはずです。そして、それによって動作に磨きをかける事こそが、ある意味で真の目的です。

(ただ、これは簡単では無いのです。ほとんど打球が気持ち良く飛ばない練習でストレスから「あ〜、ダメだ、もうヤメた!」とならないためには、まず自分の基本のスイングに自信がなければなりません。逆にそういう自信が有ると「打てない練習」がとても面白く感じるはずです。)

このように、振り込み期間で基礎を固めたフォームを実戦対応期間でさらに磨きをかけていくと言うスケジュールになります。そのための実戦対応練習です。もちろん打てるようになる事が第一の目的ですが、フォームを磨く事も大きな目的になっていると言うことです。

ある意味、思い通りのフォームで振るのは素振りだけにしておいて、ボールを打つ練習は基本的にほとんど気持ちよくは打てないのが当たり前と言う取り組みに来年くらいからはしていきたいものです。そのために、今年はまだ振り込んだり、打ちやすい球を気持ちよく打つ感じで良いと思いますが、今年の内に実戦練習の方法や手段(場所の確保等も含めて)を確立させておきたいということです。

続きます。

分析編

まず最近の山下さんのフォームで一番良くなった点は始動した瞬間、一見、上半身のヒッチから動き出しているように見えるくらい、上半身と下半身の連動が上手く行っている事です。グワッと上半身がヒッチを起こす所から始動しているように見えますが、実際にはまず下半身が地面を押しており、その地面反力を上半身が抑える動きになっているわけで、その動きの感じが「グワッ」になるわけです。ある意味、この始動の感じに、オートマチックステップの極意が有ると言っても過言ではありません。


この動作は、始動時に身体が浮かないように意識すると上手く出来やすいのですが、逆にその意識が強すぎると不自然かつ不必要な筋肉の収縮が起きてしまい躍動感が無くなるので、理想的には無意識でやりたい事です。意識するとしても「ボール大の一点を見つめる意識」で振る結果、必然的に身体が浮くのが抑えられたと言うくらいが良いでしょう。

ただ、いずれにしても、この始動の感じを常に忘れないようにしてください。一番最初の動きなので、そこが良ければ、その後も良い循環の中でスイング出来るからです。そして、この上半身の抑えが効いた始動が出来ると、前脚の挙り方も、地面にまとわりつくような粘りっけのある挙り方になります。「ヒッチが効いて、前脚が地面に粘るように挙る」この2点が常に出来るようになる事が重要です。

「良い循環」の一例を挙げると、前脚が挙る時に膝が内に入らなくなるので、前脚が良い形で着地出来ることです。そうなると前脚股関節の伸展が上手く使いやすいので、フォローでは前足から頭に綺麗な一本のラインが通っています。ここまでの形は今までに無かったものであり、また今まで一番苦手としていた動きでもあるので、素振りでここまでの形が作れるようになった事の価値は大きいと思います。(この前脚の動きは素振りでは出来なくても実際に打つ時には出来る人が多いです。山下さんにもそういう所が有りました。)

さらにもう一つ、注目したいのが手首の返し方です。基本的に重いバットを振った弊害は手首の返しに出るので、その状態は常に気をつけて見て来たのですが、下の写真を見る限り、予想以上に弊害は無いと言うか、むしろこれは普通に見て良い手首の返し方なので、その点では安心しました。

ただ、今後、重いバットを振り込んで行く中で、そういう弊害が出て来る可能性も有ります。その時は、身体が手首の返しを憶えてしまう感じで、何回振っても、早いタイミングで勝手に手首が返ってしまうので、振っていてストレスを感じるようになります。ただ、その感じが2~3日で消失してくれるなら良いのです。もう少し力がつくと消失するサイクルも早くなるでしょう。ただ、1週間、1ヶ月と続くようなら問題で、一時的には、その重さのバット(トレーニング用のバット)は諦めた方が良いと言う事になります。そうしたあたりの見極めと試行錯誤、さらに修正方法の確立を今のうちにやっておいた方が良いということです。「フォームに磨きをかける事」「振る力を付けるパワートレーニング」「パワートレーニングの方法と修正法の確立」といった3つの事を同時進行的にやっていく必要が有ります。これらの事が今年中の取り組みの中では最大のテーマになるでしょう。

続きます。

このブログに、こうして分析記事を書いているのは、そうした記録の積み重ねがある事で、後々になって見直した時に、とても参考になるからです。(来る前日などに見ると、当日の予定が立てやすいし、記録をつけておかないと、蓄積して積み重なるものが無くなる。)そうした意味では必ずしも緊急の課題ではなくとも、取りあえず思った事は書いておく事で後々の参考になるわけです。次の内容は、そういう意味では緊急の課題と言うわけでは無いのですが。。

最近の傾向で気になるのは、少し構えが小さくなっている事です。

つまり、膝を少し曲げ過ぎで、そのぶん重心が低すぎる状態です。ただ、これも良し悪しで、重心を低くする事でハムストリングスを効かせようと言う事は重要なので、特に取り組み始めた初期の場合だと、逆に低く構えようと言う意識が有る人の方が「解っているな」と思えます。

上の写真ですが、構えが低くなっているので、撮影するアングルが通常より上からのアングルになり、そのぶん頭が大きく見える事が、さらに構えを小さく見せています。(これは単なる見え方の話ですが。)

最終的に目指したい構えとしては、もう少し重心が高い方が良いということです。ただ、そういう構えが身に付いても、その時のコンディションによってハムストリングスをもっと効かせたいと思ったときは、腰を反って腸腰筋をストレッチしたうえで、(1)「クラウチングを大きくする」(2)「重心を低くする」(3)「首の角度、胸椎の後彎を意識する」などの対処法が有るわけで、「理想の構え」が身に付いても、コンディション次第では、上の写真くらいの低さで構えるケースも出て来ると思います。ですが、このくらい重心が低いのは少なくとも理想的では無いと言うことです。

今までの山下さんの構えでは下の写真くらいが丁度良いですね。

最終的には、下の写真のような感じで、最近の山下さんの構えと比較すると、もう少し「スタンスが広く」「膝の屈曲が小さく」「捻りが深い」構えを目指してほしいと思います。そういう構えの方が大きく見える利点もあります。(身長の割りに打席で大きく見える人と言うのは、だいたい、大きく見えるような構えをしています。)

そこで、山下さんの股関節の割り方を見た時に気になるのが、下の写真のように両脚の内股に出来る曲線的なハリの感じを保とうとする意識、感覚(以前、バランスボールのような大きなゴムボールを挟む感覚と表現しました。)が少し強すぎるのかなと思います。

この感覚が強すぎるので、前脚の膝が内に向いた形にならず、そうなるとスタンスを広げにくくなります。(この写真では狭いとは言いませんが)上の写真の感じで(均等に割った構えだと)スタンスを広げると内転筋が緊張しやすいからです。(アイススケートリンクの上で股が割けるようになる例え)

そこで、以下の写真を見て下さい。

これらの例では、前の膝が内に入る事で、両脚の内側のアーチの感覚、ゴムボールの感覚が消失しているように見えます。しかし、この膝の角度でも前足の荷重位置をややアウトエッジ寄りに保っておく事で、何とか、ゴムボールの感覚が保てます。ただ、そこから前足の荷重位置を拇指球側に少しズラすとゴムボールの感覚は潰れます。そうなると、既に股関節は割れていません。(割れが潰れている。)この微妙な感覚、ある意味、ギリギリの感覚でも有るのですが。。そして、この膝の角度を作る事によって、捻りが楽に作れると思います。

表現的には「前足の荷重位置をアウトエッジ寄りに保ったまま、前脚の膝を両脚の間に落とす。」と言えば、良いと思います。そうすると「両脚股関節が割れた上で前の膝が内、後ろに膝が外を向く角度を作る。」事が出来ます。そして、その構えでは両脚の間に出来るアーチの感覚が形成されます。ただ、まぁ、この辺も意識し過ぎると(神経を使い過ぎて)打てたものでは無いので、自然にやってほしいのですが。。

因みに「前脚の荷重をアウトエッジ寄りに保ったまま、前脚の膝を両脚の間に落とす事で、両脚股関節が割れたまま、前の膝が内に向き、後ろの膝が外に向く角度を作り、両脚の間に出来るアーチの感覚を保つ。」の状態を写真に線を入れて表現してみました。

ちなみに、上記3人で一番、この点が上手く出来ているのが、ホセレイエスJr君です。(因に、このときのテーマが正に”両脚のライン”を作るでした。)ソルトさん(中段)の場合、後ろの爪先が少し開き過ぎているので、後ろ脚の大腿四頭筋がやや効いています。ただ、前脚の膝の落とし方は一番上手いです。オゴさんの場合は、少し前足の荷重位置が拇指球側にズレており、そのため、両脚の間のアーチがやや潰れ気味(割れが潰れ気味)です。(といってもホンの僅かですが。)また、後ろ脚の割り方は非常に上手いです。(爪先を開かずに割れている。)

このように書くと、物凄く細かい見方をしているようですが、実際には感覚で憶えてしまうと、そんなに細かい形の話ではありません。

山下さんの構えでも、この感覚が加わると、もう少し捻りを入れる事が出来ると思います。また、こうすると(前の膝が内に入ると)スタンスを広げやすいので、より股関節が割れて、そんなに膝を曲げないでもハムストリングスを効かせられると思います。そうなると、前述した「スタンスが広く」「捻りが深く」「膝の屈曲が小さい」と言うポイントがクリア出来るでしょう。

なお、股関節が割れるのは、揺らぎながら重心を下げると自然に割れますし、捻りが入ると前脚の膝も自然に落とせます。そうした事を考えると、最終的にはシンプルに「両足の荷重位置をアウトエッジ寄りに保ったまま、捻る」と言う意識で良いでしょう。

では、次に、この技術(前足の荷重位置をアウトエッジ寄りに保ったまま、前脚の膝を両脚の間に落とす。)をモノにするためのトドメの一撃となるワンポイントを紹介します。

ところで、股関節を割った構えがある程度、出来るようになって来た時に生じる「インエッジの過剰なめくれ」と言う厄介な問題ですが。。

下の写真でもインエッジが過剰にめくれてしまっています。

山下さんの構えでも、後ろ足のインエッジと爪先のめくれが良く見られます。

このように過剰に後ろ足の荷重位置がアウトエッジ側に寄って、インエッジがめくれるほどになってしまうと、重心が捕手側に寄り過ぎるので、逆に前足側のアウトエッジ荷重を保つ事が難しくなります。

そこで、どうやって、この問題を解消するかですが。。

まず、下の構えのような間違った捻り方をすると、あまりに重心が踵寄りに来るので、爪先とインエッジがめくれやすくなります。

そこで、下の写真のように、懐を開くような捻り方をすると、少し重心を爪先側に映す事が出来ます。これがまず一点です。

次に、下図の捻り方が出来ると、やや重心が投手側に寄るので、重心をインエッジ側に寄せる事が出来ます。これが二点目です。

つまり、後ろ足のインエッジ、爪先のめくれを解消するためには、以下の2つのポイントを抑えることが重要になるわけです。

これらによって後ろ足の荷重位置が適切な位置に補正されると、前足の荷重位置をアウトエッジ寄りに保つ事が楽になります。

そうする事によって、バランス良く両脚股関節の割れた構えを作る事が出来ます。

また、山下さんの最初からの課題として、この捻り方とバランスがイマイチ作れず、肩が地面と平行な構えになり、後ろ脚に体重が残りやすいというのが有ります。

最近では素振りでは出来ている場合が多いですが、実打ではその辺が甘くなるのは、やはりボールをみようとするためだと思います。


図)捻りによって脊柱に彎曲(赤線)が出来て、頭が中心軸(青線)よりも前に来るバランスの構え。

ちなみに、肘を挙げて構える事で脇腹が引き伸され、赤のラインが作りやすいからか、外国人の打者は、日本人よりも、このバランスを作るのが圧倒的に上手いです。日本人の場合、このバランスが出来ない事も、後ろ脚に体重が残りやすく、結果的に前脚がフォロースルーで割れやすい原因になっています。

写真)このバランスが出来ている例。

ただ、若干、このバランスはアングルによって見え方が変わります。例えば、下の写真のように、同じ打者(ソリアノ)のフォームもアングルによってこれだけ見え方が違って来る訳です。ただ、外国人の打者が日本人に比べて、このバランスを作るのが上手いのは間違いありません。

ただ、この話をすると、必ず、脊柱の側屈を使って頭を前に持って来る人が出て来るのですが、それだと単に突っ込んだ構えになります。山下さんの場合、何回も会って話をしているので大丈夫だと思いますが。
割れ絞り体操などで、このバランスを身体に憶えさせるのも、出来るようになる良い方法になるでしょう。一点を見つめながら腕を振り上げて身体を捻って行き、頭の重みを使って脊柱に彎曲を作る方法ですね。

これが出来ると、構えの極意の内容もやりやすくなります。

この構えのバランスを作るポイントやメリットを挙げておきます。

●強調し過ぎると、構えがキツくなる。
●脊柱の側屈を使わない。
●ボトムハンドの肘が視界から消えて、インハイと低めが見やすい。
●着地した前脚に体重が乗りやすい。
●バットが身体の捕手側に入りにくい。(投手側のエリアで振れる)
●高めに対して被せるようにバットを出しやすい。
●低めを拾うように打ちやすい。

基本的に日本人は頭が後ろすぎるのです。そのへんは向こうの打者を横から見る機会が増えると、良く解ると思います。グリエルも捻りが強く、頭が投手寄りにあります。


もう少し続きます。

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ところで、この前の素振りを見ると、バットが(通常のイメージとは逆方向に)凄くしなっている事が解ります。これはカメラの特性もあるのかもしれませんが。。(その辺は良く解りません。)

このしなりはゴルフでは「逆しなり」と言われています。

ただ、それはインパクト直前の話で、その前は順しなりと言って、ヘッドが遅れるようなしなり方をするわけです。それは野球の打撃でも同じで、パンチャーでもしなりが映っている場合、下の写真のようにまず順しなりが起き、次に真っすぐになり、最後に逆しなりが起こります。

おそらくですが、逆しなりは手でグリップに力を加えてバットを回転させようとする時、バットの真ん中部分が遅れる事で出来るのではと思います。つまり逆しなりが起きているということは、手でバットに力を加えてるのでは無いかと思うわけです。そして順しなりは身体でバットを引っ張ってるフェーズで起こると思います。

そういう考えで山下さんの素振りを見ると、手でバットに力を加えるタイミングが早いのではと思うわけです。このへんがもっと良くなって来る必要があります。

ただ、この事はアランさんの記事でも書こうと思うのですが「素振りと実打の違い」に通じる問題です。ここでもザッと書いておきますが、あまり一カ所の記事に書き過ぎるとページが重くなるのと、時間的に引っ張り過ぎているので、本格的にはアランさんの方で書きます。

素振りは(普通の素振りだと)だいたいの人が、バットを「ブンッ」と振ろうとします。しかし、試合で空振した時の音は「ヒュウゥーン」と言う感じでヘリコプターの音に似ています。

腰が回ってから、身体の前で手首が返る振り方だと「ブンッ」とはならないはずなのです。ブンッとならすためには、置きティーの顔の向きで、肩を回さず、腕で振ると良い事が解ると思います。これが一般的な「野球部的素振り」です。

スイングは最終的には、全てオートマチックな筋肉の反射で起きるので、その動きをイメージするのが難しいのです。恐らく「振ろう」と言う意識が有るとブンッとなるのだと思います。そして、振ろうとする意識には置きティーの顔の向きがフィットします。

ブンッと振ろうとするのでは無く、一瞬でスイングを完了させるイメージと言うか、「一瞬で振り抜く意識」ですね。身体の動きを意識する余地が無くなるほど速く振り抜く事に集中するわけです。そうなると、もうそのスイングの時の意識は、擬音とか、一瞬で火花が飛び散るようなイメージとか、そういう感覚でしか表現出来ないものです。ただ、打つ時は、自然に、そういう身体の使い方が出来ているのだと思います。

ややこしい話になってしまいましたが。。

要は、瞬発的に大きな力を発揮して、バットと言う物体を動かそうとした結果、上半身でサイレントピリオドが起きて、後は、筋肉の反射によって、最後まで無意識の筋収縮によって、スイングが完了してしまうのです。

つまり、力を発揮しようと意識した結果、身体がオートマチックに動いて、勝手に力を発揮してしまう。。だから「動き」は意識するべきでは無いんです。「振る意識」と言うのは「動き」を意識している事になり、それは腕の動きを意味します。なので「振る意識」で素振りすると、腕で振ってしまいやすいんです。

「一瞬で振り抜く意識」で、その「一瞬」を極限まで速くしていくようにすると、擬音とか一瞬の火花のようなイメージでしか表現出来ない世界になるはずです。身体の動きを意識する余地が無いくらい、速く振り抜く事に集中する事で、身体の動きから意識を抜いて無心で振り抜く事が出来るようになります。

そして、その時「どうやって振ってるの?」と聞かれると「パッと振ってる」くらいにしか答えられないと思いますし、その意識と言うか感覚だけで振れてしまうのがオートマチックステップの面白い所です。

そして、それが出来るためには、構えた時に、榎本喜八流に言うと「五体を結ぶ」と言う事が出来てなければなりません。つまり、上半身と下半身がバラバラで腕の筋肉でバットを受け止めてしまうと、どうしても「ブンッ」と振る感覚になりやすいのです。

もちろん、山下さんもすでに、大方、こういう世界になってるとは思う(オートマチックステップでの素振りだと、そうなりやすい)のですが、傍から見る限り、どうしても、素振りの中で「ブンッ振る意識」を引きずってるように見えるのです。もし、そうだとすると、その辺の感覚が掴めれば、もう少し素振りが違って来るはずです。

少し難解な話になってしまった感が有りますが、根本的には、凄く単純な意識、感覚で振れると言う話なので、考え込まないようにしてください。

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それから最近の実打の動画で思うのは、外角に飛びつくように打つ時にハムストリングスが使えていると言うのを感じます。また、低めは相変わらず上手いですね。体勢が崩れるような打ち方も有りますが、体勢を崩しても打つと言うのが正に対応力なので、それは逆に良い事だと思います。

長くなりましたが、以上です。

だいぶ振れて来ているので、逆に毎日重いバットを振り過ぎて疲労で痛めないように、ストレッチ優先の日とかを挟んで行くと良いと思います。