2013年7月10日水曜日

クレイグ・キンブレルのフォーム



豪速球クローザーとして有名なクレイグ・キンブレルだが、その豪速球が何時までもつかは少々疑問視している。実際、今期はyoutubeで見る限りでは打たせて取っているシーンが目立つが、意外と早いうちに打たせて取るスタイルになっていくのでは無いか。

その最大の理由が後ろ脚の曲げ方で、少し膝を曲げ過ぎて大腿四頭筋を効かせているので、ハムストリングスの力が使い切れていない。そのためか、前脚の膝も悪い意味で突っ張っている。結果的にフィニッシュには、それほど躍動感が無い。

つまり、今ひとつ下半身の力を使い切れていないので、この投げ方で160キロ近い豪速球を投げ続けると、投球腕にはかなりの負担がかかると思う。

ただ、キンブレルの投げ方で特徴的なのは前脚の挙げ方で、このセットポジションからの前脚の上げ方は真似てみる価値が有る。



まず、クロス気味に構えている事に驚くが、前脚を挙げる時、捻りが小さく、後ろ脚への体重移動も小さい。つまり、ラボで採用しているクイックモーションにおける「抜き」に近い前脚の上げ方をしている。

※)「抜き」とは、二本の柱で支えている物体から一本の柱を抜くと、物体は抜いた柱の方に倒れると言う原理。

この前脚の挙げ方をすることで、キンブレルの投球リズムを真似る事が出来るようになる。そして、まだ理由は解らないが、基本的に打撃にしても投球にしても、前脚の膝を内に入れて、後ろに体重移動して後ろ脚に乗せると大腿四頭筋が働きやすい。一方、キンブレルのように「抜く」脚の挙げ方の方がハムストリングスが効きやすい。(と言うより大腿四頭筋が緊張しにくい。)

この事は、アメリカ型の打撃フォームと日本型の打撃フォームの違いにも良く表れており、基本、アメリカのフォームは「抜き」による前脚の挙上を行なう打者が多い。前脚を大きく挙げようが、小さく挙げようが「抜き」によって前脚を挙げている。だから、後ろ脚に体重を乗せている間が短いので、前脚を挙げるタイミングが遅い。そして、昔のメジャーの打者はほとんどが「抜き」による「すり足打法」であった。

アレックス・ロドリゲスも大きく前脚を挙げて、後ろ脚に乗ってるイメージが強いが、横から見ると「抜き」の要素が強い事が解る。


ソフトバンクの内川は日本人選手に典型的に見られる前の膝を内に入れて後ろ脚に「乗せる」前脚の挙げ方をしている。この場合、大腿四頭筋が効きやすい。


こうしたフォームの違いには、基本となる骨格の違いが影響しているのだと思う。理論や考え方の違いによるものでは無いだろう。ただ、どういう理屈で白人や黒人の骨格だと「抜く」前脚の挙げ方を自然に採用しやすいのか、それは流石に説明出来ない。

ただ、人種による(自然に採用しやすい)動作の違いと言うのは有る事は間違い無い。例えば、下の動画の佐村トラヴィス幹久(現横浜)のフォームを見ると、無理に日本式のフォームを真似しているようで、かなり違和感が有る。

この感じだと、明らかにペドロ等を参考にした方が良いだろう。

この選手の場合はどういう経緯なのかは知らないが、日本の指導者は、技術は日本の方が上だと思っているので、育成枠とか独立リーグなんかに(キャリアの無い)アメリカや中南米の選手が入って来ると、ここぞとばかりに日本式のフォームを教えたがるのだと思う。

たぶん、バリー・ボンズが阿部慎之助のような日本式のフォームで打てば、打率4割を超して、ホームランも100本くらい打つと思っているのでは無いかと思う。