2012年8月26日日曜日

ハンターさん 1回目

本日はご来店ありがとうございました。



おそらくご自身の良い所を気づかれていないと思います。私も後から見て、解った事が多々有ります。(いつもそうですが。)

まず、当日お話したポイントの全てが、平均点的にソツ無くこなされています。そして全体のバランスも良いです。イメージ的には白人のパワーピッチャーにいそうなフォームと投げるリズムです。

ただ、回し込み型のクセが色濃く残っており、まずそれを取り払う事と、肩の柔軟性、股関節の柔軟性を養う事が第一の課題です。

下の動画は回し込み式を実演したものですが、以下の特徴が出ている事に注目してください。

●後ろ脚股関節が割れにくい
●フィニッシュでグラブ腕が背中側に引けやすい
●投げ終わった後、後ろ脚が出て来る動作が大人しくなる。



また、その他にも腕の出所も低くなります。いずれにしても、当日はまだ、こういったフォームのクセが残っている状態でしたので、動画を見ても、クセが残っている感じがします。クセが取れるのには数週間〜1ヶ月くらいはかかると思いますが、半年とか一年も残るようなものでは無いと思います。

続きます。

ハンターさんの長所としては、脚を挙げた時の姿勢は良いものがあります。脊柱のS字カーブが綺麗に描けています。ただ、メジャー式の脚上げでは、骨盤が後傾するので、もう少し全体的に脊柱が丸まっていても良いです。


問題は、脚を挙げる時に脊柱が使えていない事です。腰から上を固めたまま、前脚を挙げています。その辺がクリアされれば、もっと膝が胸に付くくらいまで前脚が挙ると思います。(個人的な柔軟性も有りますが。)その「脊柱を(柔らかく)使う」ためのポイントは江坂さんの記事で前述しましたが、そのままもう一度再掲します。

以下、再掲

メジャー式の脚挙げをする上でのコツを書きます。踵で足踏みすることや、後ろ脚で軽く踏むようにして前脚を挙げる事は当然ですが、それ以外にもまずは股関節を視点として、上半身を背中側に倒すと脚が挙ると言うメカニズムを利用します。(背中を倒す事で脚を挙げると言う意味では無く、背中を倒すのと脚を挙げるのを同時にやると言う事です。)


次に、その感覚を保ったまま、頭だけは背中側に倒さず、最初に位置に残しておくようにします。丁度ダルマ落としで真ん中を抜いても、上は真っすぐ落ちて来るのと同じです。


そうすると、脊柱を柔らかく湾曲させ、骨盤も後傾した状態を作れます。ここで一度骨盤が後傾する事で、始動ポジションでは前傾位を作れるのです。以下は、これらを動画で説明したものです。



ただ、この方法で注意するべき点は誇張しすぎると、反動で前脚を降ろす時に骨盤が大きく前傾し、ハムストリングスを引っ張るので、その張力が増して、股関節伸展(後ろ脚)が強く働き過ぎて、伸び上がります。上の動画でも前脚を降ろす時、やや伸び上がりが見られますが、少しなら良いのですが、あまり大きく伸び上がってしまうと、肝心の始動した時に股関節伸展の力が使いにくくなります。そうすると、肩に大きな負担がかかります。ですから「前脚を降ろす時に大きく伸び上がる」「肩に負担がかかる」と言う状態になった時は以下のように対応してください。(肩に痛みや違和感が出た場合は教えてください。)




1)前脚が降りる時、頭の位置が浮き上がらないように、目標に集中する。
2)前脚を挙げて、降ろして、骨盤が云々と言う動作では無く「脚を挙げてフッと力を抜いて、ガッと投げる」と言うリズムを意識する。
3)脚を挙げる時に、動画で前述した動作を誇張しすぎず、あくまでもバランス良く、自然な感じにまとめる。

以上、再掲 終わり

では、ここからは幾つかの技術的ポイントについて書いて行きます。

★グラブの位置

グラブの位置が体からやや離れ過ぎています。こうなると重心が爪先よりに来て、その後の重心移動のシーンでも膝が折れやすく大腿四頭筋で体重を支える事になり、ハムストリングスが使いにくくなります。そうなると、自分で出そうと思った力が100%出し切れない状態になります。

試しに、両腕を前へ倣えのように前方に突き出したセットポジションから前脚を挙げて爪先荷重で重心移動をする動作と、グラブを胸にピタッと付けて踵荷重で前脚を挙げて重心移動をする動作を比べてください。大腿四頭筋を使っている状態と、ハムストリングスを使っている状態の違いがよくわかるはずです。

もう少し肘を曲げて、グラブを体の近くに置くと、踵寄りに体重がかかり、股関節で体重を受け止めている感じになるはずです。


★テークバックと肘の位置の関係

写真に見られるように、テークバックで投球腕の内旋がかからず、ラジオ体操のように腕を伸ばしたまま肩を外転する動きになっています。内旋がかかると、大胸筋が緩むのでテークバックで投球腕が外転しても大胸筋に不要なテンションがかかりません。また、伸ばしたままだと腕を支えるための筋肉(肩関節の外転や肩甲骨の上方回転に関与する筋肉)に負担がかかり、肩に力が入ります。


ここで重要なのは内旋の方で、テークバックで大胸筋にテンションがかかっているため、フォロースルーに入った時、大胸筋による肩関節内転および内旋の作用が強く働いていると見られます。結果的に外旋が不十分で大胸筋による内転の力も加わるので、肘の位置が低くなり、肘を痛めそうな形になっているのです。

また、もう一つの原因として、回し込み式では肩の捻りが誇張されるので、投球腕だけが背中側に引かれやすく、投球腕の大胸筋が過剰に引き伸ばされる傾向が有ります。

まず、テークバックで内旋して肘が曲がった形を作るために、回し込み式では無い、ラボで行った投げ方でのシャドーを繰り返す事と、ウェートトレーニングよりもストレッチを重視する事で柔軟性を向上させる事が重要になります。不要な捻りを排して、グラブとボールが体の中心近くで割れるようにする事も重要です。

★肩の外転と股関節の外転の連動


この形、動きは多くの人によく見られる一つのパターンです。投球腕が肘で曲がって内旋するテークバックになっていないと、肩が外転して開くのと連動して股関節も開くのですが、それは下図のようなメカニズムの結果です。


つまり、肩の外転と連動して、オレンジのセグメントが回転し、その回転と連動し、緑のセグメントが回転するわけです。ただ、この動作で、どの動きが一番の原因になっているかはケースバイケースが有るでしょう。ハンターさんの場合、投球腕の動きが原因になっているように思います。回し込み式でグラブとボールを割る位置が、体の中心から、後ろ脚側にズレると、このような投球腕の動きになりやすいのです。

こうなると、後ろ脚股関節も割れない(割れでは無く、単なる外転になってしまう)ので、その力をロスします。ですから、まずは、不要な捻りを排して、グラブとボールが体の中心近くで割れるフォームにする事が重要です。


以降の内容は二回目の方で記述いたします。