2012年2月26日日曜日

アンドリュー • マッカチェン(1)

http://www.youtube.com/watch?v=rGYlsHkGhBE&feature=related

凄まじいトップハンドのパンチ力を誇る打者です。このパンチ力の源は、基本メカニズムにおける始動時の下半身の力と、その後の弛緩による落下の結果です。やや腰高で、スタンスも狭めな分、少し腰を反る事で無理矢理骨盤を前傾させているため、腕の使い方は柔軟性を欠く傾向が有りますが、その分、ハムストリングスは引き伸ばされるので、始動時の下半身の力は充分に発揮出来ます。

この打者を紹介すると「腰高で狭いスタンスでも良いんだ」と思われる方が出て来るのでは無いかと言う懸念から、やや躊躇が有ったのですが、下の動画の0.30からの横映しには、始動時の力の強さと、その後の弛緩による落下が明確に見て取れます。大腿四頭筋などの緊張が無い分、弛緩が完璧になるわけです。その結果、その弛緩の中でグリップが反作用によりトップポジションに引き上げられ、その運動の中でタスキラインが引き伸ばされるのです。

http://www.youtube.com/watch?v=j1XVbjMvyxk

このような始動時の下半身の力を使えなければ、パンチャーで力を発揮する事は出来ません。そして、それを出来るようにするためには、トレーニングを積む以外は有りません。もちろん普通のトレーニングではダメで、黒人の身体機能に近づくためのトレーニングで無くてはならないのです。

この打者の構えを見て、ハムストリングスが効いた立ち方をしているなと言う事が解ると言う事は、その人本人も、そういう感覚が有ると言う事が言えるでしょう。逆に言うと、そういう感覚が無ければ、教えると言う事は難しいのです。

ただ、マッカチェンのようなフォームはあくまでも黒人ならではのもので、日本人の場合、アンドリュー•ジョーンズやエイドリアン•ベルトレイをモデルと考えるべきです。

次の動画も解りやすい。

http://www.youtube.com/watch?v=tOwd8Zh8OOs&feature=relmfu

0.30からのサイドビューを見ると、構えから一度後ろに体重移動して、その中で前足の踵を浮かせてからのオートマチックステップです。今のMLBの打者には、そういうあたりの理論は有りませんから、こういった打者が多いのは全く仕方が無いのですが、理論を知っている皆さんはするべき事では有りません。

この始動時の下半身の筋収縮による「突き上げ」と、その後の弛緩による「落下」で、どちらか一方が目立つ例が多いのです。例えば、腰高でスタンスの狭い打者は下半身の筋肉に負荷がかかっていない分、その力は使いにくいものの、反面、弛緩させやすいので落下が顕著。逆にプホルズやジェフ•バグウェルのような腰の低い打者は突き上げは顕著だが、落下が目立たない場合が多いのです。マッカチェンのように、「突き上げ」と「落下」の両方が高いレベルで揃っている例は希少だと言えます。

 因に、この動画の0.14からの三塁ベース上でのカッツポーズがいかにもマッカチェンらしい。手を叩いた後、両肘を背中に突き出して、胸を張っていますが、背中に凄い反りが出来ています。日本人の身体特性からは生まれにくい動きの発想だと言えるでしょう。この力の強さこそが黒人アスリートの強さの秘密なのです。日本人体型だと、肘を背中に突き出した時に胸が張るだけで、腰を突き出す動き(腰椎の前湾)にはなりにくいのですが、マッカチェンのベルトの所を見ると、強く前に突き出されている所から、腰椎の前湾を伴っている事が解ります。

以前に黒人は腰椎の前湾が顕著なタイプが多いと書きましたが、マッカチェンはそういうタイプの典型で、その打撃フォームを見ていると、骨盤前傾とハムストリングスの関係が良く解ります。

いくら日本人でアスリート型プレーヤーだと言っても、メジャーに行けば、こういう相手と比べられるわけです。ですから日本人の場合、相当理論詰めでやらないと勝ち目は無いと言えるでしょう。