まず、ウェイティングサークルで座っているシーンを見ると、胸椎の後湾が顕著な事が解ります。実は白人には何故かこういう体型が多いのです。脊柱のS字カーブのメリハリが効いている事は、骨盤前傾型の証明ですが、黒人の場合は腰椎の前湾が顕著で、白人の場合は胸椎の後湾が顕著な傾向が有るようです。
ハンター•ペンスやスコット•ポセドニック等は特徴的で、こういう体型は黒人にはあまり見かけません。
次に打席に入るシーンを見ると、後湾した胸椎の上に肩甲骨が被さり、そこから上腕骨が釣り下がっている状態が見事に表現されています。こういう姿勢の人は、手首のコックも効きやすく、グリップの形が良い傾向に有るのは、胸椎の後湾の結果として、肩甲骨が外転気味になっているので、肩関節の内旋がやりやすいからでしょう。肩関節の内旋と連動して前腕も回内するので、手首の背屈と撓屈が起きるのですが、この「前腕の回内、手首の背屈、撓屈」が正しいグリップの条件で、それをコックの効いたグリップと表現しています。これらは体幹部操作の基礎事項です。
次に走り出す所を見てみましょう。手を叩くシーンが印象的です。日本人が走りながらこれだけ身体の前で手を叩くと、腰椎まで後湾してしまう場合が多く、盆踊りで手を叩く時のように腰の丸まった感じになってしまいます。ところが、脊柱のS字カーブのメリハリが効いていると、腰椎が前湾したまま(少なくとも後湾させずに)、胸椎だけ後湾させて手を前に出せるので、この動画のように、腰を丸めずに、走りながら手を叩く事が出来るのです。このフィーリングは日本人には中々出せないでしょう。1塁を回った後などは実に白人的な走り方で、映画に出てきそうな感じですね。何がどう違うのかと言うと、まず脚が非常に軽やかです。これは重心が高い位置にあるからで、胸椎の後湾が顕著になると、上半身の筋肉がその上に被さるような感じで付いてきますから、身体の質量の中心、すなわち重心が高い位置に出来るのです。ところが寸胴の体型だと、筋肉が重力に負けて下に下にと行きます。上半身の筋肉が脊柱からスベると、下半身の筋肉もその重みでズリ下がるのでしょう。こうなると重心が低くなり、フットワークも重くなってしまうわけです。
前回のデンゼル•ワシントンやバラク•オバマについてもそうですが、こういった部分から改善していかないと、日本人むき出しの状態では世界レベルでは苦しいでしょうね。