2012年10月21日日曜日

ジェイソン•ワース

ジェイソン•ワースはオートマチックステップで打つ打者で、2009年には打率0.268の36HRを記録し、2010年には打率0.296の27HRを記録しています。以前より注目している打者の一人です。

まずはスイングを見てみましょう。

http://www.youtube.com/watch?v=7yvYLXESALY&feature=relmfu
http://www.youtube.com/watch?v=RNfSn2hqRZk&feature=plcp

オートマチックステップなのだから当然と言えば当然ですがまず無駄が無い。その上でまずミートありきの両手振り抜き。如何にも勝負強そうな打者です。かつて阪神でオマリーと(私の中では)阪神最強助っ人コンビを組んでいたジェームズ•パチョレックを彷彿とさせます。

実際、Wikiによると、2008年のワールドシリーズでは本塁打を打ち、2009年のポストシーズンでは15試合で7本のホームランを打つなど、大舞台での強さを見せています。
また、1打席で何球投げさせたかを見る指標(pit/pa)においてはMLB通算を大きく上回り、2009年はMLB最高の数字を記録しています。

そのワースが、今年のポストシーズンで「らしさ」を見せてくれました。ナショナルズは既に敗退しましたが、カージナルスとのディビジョンシリーズ第4戦で、1対1の9回裏、今期18勝7敗を記録したカージナルスのランス•リンから13球粘ってサヨナラホームランを打ちました。

http://www.youtube.com/watch?v=OoJ2R308W3g&feature=plcp

まさに両手振り抜きのオートマチックステップの真骨頂とも言えるべきシーンです。2ストライク0ボールから粘っているのが凄いですね。

打席の映像を見ると、2ストライク取られてからはボール球に手を出さないように、出来るだけ長くボールを見ようと言う意識が感じられます。そしてファールはカットと言うよりも振り遅れのように見えますね。

どのような打法でも、引きつけようとすれば振り遅れが増えるのは当然ですが、そうなると、ファールも当然増えてきます。ですから、引きつける事が上手い打者ほど粘れるのでしょう。

この打席でのワースは、ボールをよく見ようとするあまり、体の回転が小さくなり、手だけで打ちに行っていますが、その事がファールの原因になっているのでしょう。これはカットとは違うと思います。そうやって粘っているうちに、前の球よりホンの少しだけ遅い球が真ん中より僅かに外より、しかもやや低めに来た。このコースだとむしろ腰の回転が小さい方が合いますし、1マイルの微妙な球速の遅さが、そのスイングにフィットしたのでしょう。タマタマとはさすがに言いませんが、そういう種々の条件が揃って、投げたボールと振ったバットがドンピシャで衝突した。そんな感じのホームランです。

こういう打者が自分が監督をしているチームに来たら。。打率2割8分のホームラン20本で良いから、安定して打ち続けてほしい。そして大事な所で打ってくれれば。そう思うでしょうね。ボンズの後の4番を打ってほしかった打者です。