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肩乗せ打法とはBPL理論が2015年あたりから提唱している打ち方です。また、最近のMLBでも爆発的に普及しています。しかし、MLBで普及している肩乗せ打法と、私の提唱しているそれは全く同じではありません。まず下の動画を見てください。MLBで普及しているタイプの肩乗せ打法です。
投球を待っている間、バットを肩に乗せていますが、そこから脚を挙げる時に、バットを持ち上げて肩から離しています。これを便宜上、不完全肩乗せ打法と言います。
一方BPL理論に基づいた下の動画を見てください。肩に乗せた状態から直接バットを振り出しています。これを完全肩乗せ打法と言います。
上記を念頭に置いて、以下の文章を読んでください。
まず、そもそも何故、肩に乗せるのか。
その理由は「腕が楽だから」です。
この「腕が楽」というのは見落とされがちですが、非常に大きな打撃のファクターです。投球間隔の短い練習(特にティー打撃)よりも、試合でその意味が特に大きくなります。
下の動画を見てください。打者は構えたまま長く待たされると腕が疲れて緊張して来るのでヘッドの走りが悪くなります。だから、大きなホームランというのは得てして構えが短い時に生まれます。そして良く打つ選手ほど、その辺を工夫しているものです。動画の打者たちが様々なルーティーンによって構えに入るタイミングを工夫している様を見てください。
『肩に乗せる事によって腕が楽になるから、腕の筋肉がリラックス出来る。そのぶん、腕力に頼った打ち方にならずに、下半身、体幹の力を使ってバットを加速出来る。』これが肩乗せ打法のメリットです。
しかし、肩乗せ打法と同じくらい楽にバットを構えられる打法がもう一つ存在します。それが落合博満の「神主打法」に代表される「バットを立てた構え」です。
その逆に、下の写真のように、バットを寝かせた構えは非常に腕力を必要とします。
これは実際に、下の写真のように自分でバットを持って比べてみると一目瞭然で解ります。
それではバットを立てた構えと寝かせた構えでどちらが理想的なのでしょうか?
結論から言うと、それは寝かせた構えです。
主な理由は以下の2つです。
理由(1)フォーム上のメリット あらかじめトップの角度にバットを寝かせて構えておく事によって、前脚着地までの間の動きから無駄を省く事が出来る。
理由(2)解剖学上のメリット バットを寝かせて構える事によって前腕部が回内し、肩関節も内旋し、それに連動して肩甲骨、骨盤のポジショニングまで良くなる。また、グリップも前腕の回内と連動して自然にしまります。
しかし、バットを寝かせた構えには一つ致命的な欠点があります。それが「腕に負担がかかる」というものです。これは下図のようなテコの原理によるものです。バットが横になってヘッドとグリップの間の水平距離が大きくなるほど、腕には負担がかかるのです。
この、腕に負担がかかると言う(バットを寝かせた構えの)欠点を解消するために編み出されたのが肩乗せ打法、特に完全肩乗せ打法なのです。
(写真)完全肩乗せ打法の構えの実例
肩に乗せる事によって、あらかじめトップの角度にバットをセットしつつも、腕の負担を最小限に(バットを立てた構えよりもさらに負担を小さくする)する事が可能になるのです。
MLBではアンドリュー•マカッチェンとブライス•ハーパーが、この肩乗せ打法(不完全)を採用して大きく成績を向上させました。彼等の成功を目の当たりにしたMLBの他の打者たちもこぞって採用し始め、今ではMLBの相当数の打者が肩乗せ打法を使っています。
(※)マカッチェンは2017年から止めています。
一方、日本ではほとんど流行る兆しがありません。強いて言えばホークスの松田宣浩が、MLBで流行る前から独自にやっていたぐらいで、その他には独立リーグなどでBPL理論の影響でやっていると思われる選手がチラホラいたりする程度です。
なぜ日本で流行らないかというと、日本人にはバットを立てて構える打者が多いので、そもそも肩に乗せる必要性がほとんど無いからです。日本人にバットを立てた構えが多いのは、骨格形態の特徴に理由が有るのですが、その話についてはここでは省略します。
ただ、バットを立てる構えは前述のようにメカニクス的にはバットを寝かせた構えに劣るので、その辺が日本人打者に限界をもたらしている一つの要因になっているのです。
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BPL理論ではまず、その日本人特有の骨格形態から来る動きのクセを改善する事に着手します。それによってバットを寝かせた構えから打つ事を憶えてもらい、最終的に完全肩乗せ打法に移行するというアプローチが理想的です。
ただし、そんな肩乗せ打法も、残念ながら完全無欠の打法であると言うわけではありません。バットを肩に乗せる事で、手や腕のポジショニングが解剖学的に理想的な位置から少し外れてしまうのです。そのぶん、メカニクス的には若干のデメリットが発生します。
しかし、その僅かなデメリットを遥かにしのぐメリット、つまり「腕をリラックスさせられる」というメリットを得られる事に肩乗せ打法の意味が有るのです。
前述しましたように、腕がリラックス出来れば、下半身、体幹の力を有効に使って腕を加速する事が出来ます。そして、それこそが打撃の中で、最も重要な要素の一つなのです。
少し話しがそれますが、理論には上位の理論と下位の理論が有ります。手の位置などの「形」が下位の理論であれば、体幹、下半身の力を有効に使うというのは上位の理論です。最上位の理論と言っても良いです。
ですから、この最上位の理論に則っている限り、どんなフォーム(つまり形)でもそこそこ打ててしまうのです。そこから「フォームなど何でも良い」という意見も生まれるわけです。
話を戻します。
肩乗せ打法では、この最上位の理論を最優先させるために、下位の理論を少しだけないがしろにします。そこが弱点と言えば弱点です。
ただし、BPL理論の代表的実践者である愛媛マンダリンパイレーツの林敬宏選手は「完全肩乗せにして飛距離が伸びた」と証言しています。
(写真)林敬宏選手
このように、弱点もある完全肩乗せ打法ですが、それだけに、その弱点をいかにして最小限に食い止めて出来る限り0に近づけるかという「取り組み方」の部分が非常に重要になります。
例えば肩に乗せない打ち方で素振りをする等が挙げられます。これはメカニクスや形の面を修正して理想に近づけるためのドリルです。肩乗せ打法を採用しても、肩に乗せない打法を自分の中で基本の形として常に練習しておかなければなりません。
その他、特に完全肩乗せ打法で注意するべき点として、「バットを寝かせすぎない」という事が言えます。バットが寝過ぎると低めにバットを出す角度が作れないからです。
取り組み始めは、バットを寝かさないと力が出にくい人が多いと思いますが、意識して練習してトップの角度で構えられるようにしていきましょう。(バットを寝かせると肘が上がるので、特に慣れないうちはその方がパワーが出ます。)
スイングが始まる時のバットの角度は、だいたい下の写真のような感じです。ですので、この角度で構えるようにしてください。
つまり、下の写真のような感じの構えです。この状態で肩に乗せると、完全肩乗せ打法の構えとしては理想的な角度になります。
ところで、不完全肩乗せにも一つ大きな問題が有ります。
ブライス•ハーパーの不完全肩乗せ打法
まず第一に、脚を挙げながらバットを持ち上げるという動作自体、毎回毎回微妙な誤差を生じさせる要因となりますし、また、動き始めで腕を動かし、その腕に(今まで0だった)バットの負荷が加わって来るので、そこで腕に力が入りやすく、やや腕に頼ったスイングになりやすいのです。
例えばブライス•ハーパーは肩乗せ打法を採用して成績を大きく向上させましたが、ハマった時のスイングは肩乗せ以前の方が良いものでした。
なので、不完全肩乗せもまた、デメリットを受け入れたうえで、それ以上のメリットを取りに行く打法なのです。
私としては肩に乗せるのであれば圧倒的に、不完全では無く完全肩乗せをお勧めします。
下の動画は前述の林敬宏選手がアメリカ独立リーグとの試合で「完全肩乗せ打法」によってホームランを打った時のものです。完全肩乗せ打法は既に高いレベルで結果を残している打法なのです。
なお、完全肩乗せとは言っても、実際には肩に乗せた所から直接スイングがスタートするわけでは有りません。
下の画像(こちらのページに掲載)で説明しましたように、パンチャーではバットを振ろうとした結果、無意識下で下半身が力を発揮して、ステップとテークバックがオートマチックに起こります。
このオートマチックに起きるステップとテークバックの間にバットは肩から自然に離れて、トップの位置にまで(オートマチックに)引かれます。
(写真)完全肩乗せオートマチックステップ
ただ、その感覚(スイングの前にバットが肩から離れる感覚)はバッターの中にはほぼ有りませんので、感覚的には肩に乗せた状態から直接バットを出している感じになります。それは不完全肩乗せ打法で意識的にバットを持ち上げるのとは全く異なる感覚なのですが、それについては実際に試してみるとすぐに解ると思います。
なお、肩乗せ打法、特に完全肩乗せ打法は、筋力の弱い女性や子供、さらに御年配の草野球選手にとってはうってつけの打法とも言えます。少年野球で教えたり、デートでバッティングセンターに行った時に彼女に教えたりすると良いかもしれませんね。
もちろん、お手軽なだけでは無く、トップの位置から無駄なくバットが出せるので、子供にそういうスイングを身につけさせる上でも、有効です。ただし子供に教える場合、並行して肩に乗せない打法での素振りなども行うようにしてください。でないと力がついて行きませんから。
また、理由については割合しますが、完全肩乗せオートマチックステップでの「素振り」は止めた方が良いでしょう。あくまでもボールを打つ時専用の打ち方という認識で取り組んでください。
そろそろ、肩乗せ打法についてのお話を終えたいと思いますが、最後に、この打法は前述してきましたように「小さなデメリットを受け入れて大きなメリットを掴みに行く」という戦略に基づいた打法です。
ですから、そこの所を理解して、デメリットを最小限にするために普段から肩に乗せない打法でのスイングも練習しておく事が非常に重要になります。
肩乗せ打法、特に完全肩乗せ打法は、それ自体は非常にシンプルで簡単な打ち方です。しかし、その反面、(方に乗せない打法も練習する等)取り組み方自体は少々複雑になる部分があります。そこは試合で楽して最高の結果を出すために必要な労力として割り切って考えてほしいと思います。
最後にもう一度肩乗せ打法の意味について強調しておきます。
打撃において「腕がリラックスする事で下半身や体幹の力を有効に使ってヘッドを最大限に走らせる事が可能になる」というのは最上位の理論の一つです。少し考えれば解りますが、プロの一流投手の豪速球やキレッキレの変化球を相手にする時、腕の筋肉がバットの重さで緊張していて勝てるわけが無いのです。筋トレすれば良い?それも一つですが、相手もトレーニングするので、結局はイタチごっこで負荷の大きな打者が不利になってしまうでしょう。そこで、そうした問題を打撃から取り除くために生まれたのが(完全)肩乗せ打法なのです。
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肩乗せ打法とはBPL理論が2015年あたりから提唱している打ち方です。また、最近のMLBでも爆発的に普及しています。しかし、MLBで普及している肩乗せ打法と、私の提唱しているそれは全く同じではありません。まず下の動画を見てください。MLBで普及しているタイプの肩乗せ打法です。
投球を待っている間、バットを肩に乗せていますが、そこから脚を挙げる時に、バットを持ち上げて肩から離しています。これを便宜上、不完全肩乗せ打法と言います。
一方BPL理論に基づいた下の動画を見てください。肩に乗せた状態から直接バットを振り出しています。これを完全肩乗せ打法と言います。
上記を念頭に置いて、以下の文章を読んでください。
まず、そもそも何故、肩に乗せるのか。
その理由は「腕が楽だから」です。
この「腕が楽」というのは見落とされがちですが、非常に大きな打撃のファクターです。投球間隔の短い練習(特にティー打撃)よりも、試合でその意味が特に大きくなります。
下の動画を見てください。打者は構えたまま長く待たされると腕が疲れて緊張して来るのでヘッドの走りが悪くなります。だから、大きなホームランというのは得てして構えが短い時に生まれます。そして良く打つ選手ほど、その辺を工夫しているものです。動画の打者たちが様々なルーティーンによって構えに入るタイミングを工夫している様を見てください。
『肩に乗せる事によって腕が楽になるから、腕の筋肉がリラックス出来る。そのぶん、腕力に頼った打ち方にならずに、下半身、体幹の力を使ってバットを加速出来る。』これが肩乗せ打法のメリットです。
しかし、肩乗せ打法と同じくらい楽にバットを構えられる打法がもう一つ存在します。それが落合博満の「神主打法」に代表される「バットを立てた構え」です。
その逆に、下の写真のように、バットを寝かせた構えは非常に腕力を必要とします。
これは実際に、下の写真のように自分でバットを持って比べてみると一目瞭然で解ります。
それではバットを立てた構えと寝かせた構えでどちらが理想的なのでしょうか?
結論から言うと、それは寝かせた構えです。
主な理由は以下の2つです。
理由(1)フォーム上のメリット あらかじめトップの角度にバットを寝かせて構えておく事によって、前脚着地までの間の動きから無駄を省く事が出来る。
理由(2)解剖学上のメリット バットを寝かせて構える事によって前腕部が回内し、肩関節も内旋し、それに連動して肩甲骨、骨盤のポジショニングまで良くなる。また、グリップも前腕の回内と連動して自然にしまります。
しかし、バットを寝かせた構えには一つ致命的な欠点があります。それが「腕に負担がかかる」というものです。これは下図のようなテコの原理によるものです。バットが横になってヘッドとグリップの間の水平距離が大きくなるほど、腕には負担がかかるのです。
この、腕に負担がかかると言う(バットを寝かせた構えの)欠点を解消するために編み出されたのが肩乗せ打法、特に完全肩乗せ打法なのです。
(写真)完全肩乗せ打法の構えの実例
肩に乗せる事によって、あらかじめトップの角度にバットをセットしつつも、腕の負担を最小限に(バットを立てた構えよりもさらに負担を小さくする)する事が可能になるのです。
MLBではアンドリュー•マカッチェンとブライス•ハーパーが、この肩乗せ打法(不完全)を採用して大きく成績を向上させました。彼等の成功を目の当たりにしたMLBの他の打者たちもこぞって採用し始め、今ではMLBの相当数の打者が肩乗せ打法を使っています。
(※)マカッチェンは2017年から止めています。
一方、日本ではほとんど流行る兆しがありません。強いて言えばホークスの松田宣浩が、MLBで流行る前から独自にやっていたぐらいで、その他には独立リーグなどでBPL理論の影響でやっていると思われる選手がチラホラいたりする程度です。
なぜ日本で流行らないかというと、日本人にはバットを立てて構える打者が多いので、そもそも肩に乗せる必要性がほとんど無いからです。日本人にバットを立てた構えが多いのは、骨格形態の特徴に理由が有るのですが、その話についてはここでは省略します。
ただ、バットを立てる構えは前述のようにメカニクス的にはバットを寝かせた構えに劣るので、その辺が日本人打者に限界をもたらしている一つの要因になっているのです。
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BPL理論ではまず、その日本人特有の骨格形態から来る動きのクセを改善する事に着手します。それによってバットを寝かせた構えから打つ事を憶えてもらい、最終的に完全肩乗せ打法に移行するというアプローチが理想的です。
ただし、そんな肩乗せ打法も、残念ながら完全無欠の打法であると言うわけではありません。バットを肩に乗せる事で、手や腕のポジショニングが解剖学的に理想的な位置から少し外れてしまうのです。そのぶん、メカニクス的には若干のデメリットが発生します。
しかし、その僅かなデメリットを遥かにしのぐメリット、つまり「腕をリラックスさせられる」というメリットを得られる事に肩乗せ打法の意味が有るのです。
前述しましたように、腕がリラックス出来れば、下半身、体幹の力を有効に使って腕を加速する事が出来ます。そして、それこそが打撃の中で、最も重要な要素の一つなのです。
少し話しがそれますが、理論には上位の理論と下位の理論が有ります。手の位置などの「形」が下位の理論であれば、体幹、下半身の力を有効に使うというのは上位の理論です。最上位の理論と言っても良いです。
ですから、この最上位の理論に則っている限り、どんなフォーム(つまり形)でもそこそこ打ててしまうのです。そこから「フォームなど何でも良い」という意見も生まれるわけです。
話を戻します。
肩乗せ打法では、この最上位の理論を最優先させるために、下位の理論を少しだけないがしろにします。そこが弱点と言えば弱点です。
ただし、BPL理論の代表的実践者である愛媛マンダリンパイレーツの林敬宏選手は「完全肩乗せにして飛距離が伸びた」と証言しています。
(写真)林敬宏選手
このように、弱点もある完全肩乗せ打法ですが、それだけに、その弱点をいかにして最小限に食い止めて出来る限り0に近づけるかという「取り組み方」の部分が非常に重要になります。
例えば肩に乗せない打ち方で素振りをする等が挙げられます。これはメカニクスや形の面を修正して理想に近づけるためのドリルです。肩乗せ打法を採用しても、肩に乗せない打法を自分の中で基本の形として常に練習しておかなければなりません。
その他、特に完全肩乗せ打法で注意するべき点として、「バットを寝かせすぎない」という事が言えます。バットが寝過ぎると低めにバットを出す角度が作れないからです。
取り組み始めは、バットを寝かさないと力が出にくい人が多いと思いますが、意識して練習してトップの角度で構えられるようにしていきましょう。(バットを寝かせると肘が上がるので、特に慣れないうちはその方がパワーが出ます。)
スイングが始まる時のバットの角度は、だいたい下の写真のような感じです。ですので、この角度で構えるようにしてください。
つまり、下の写真のような感じの構えです。この状態で肩に乗せると、完全肩乗せ打法の構えとしては理想的な角度になります。
ところで、不完全肩乗せにも一つ大きな問題が有ります。
ブライス•ハーパーの不完全肩乗せ打法
まず第一に、脚を挙げながらバットを持ち上げるという動作自体、毎回毎回微妙な誤差を生じさせる要因となりますし、また、動き始めで腕を動かし、その腕に(今まで0だった)バットの負荷が加わって来るので、そこで腕に力が入りやすく、やや腕に頼ったスイングになりやすいのです。
例えばブライス•ハーパーは肩乗せ打法を採用して成績を大きく向上させましたが、ハマった時のスイングは肩乗せ以前の方が良いものでした。
なので、不完全肩乗せもまた、デメリットを受け入れたうえで、それ以上のメリットを取りに行く打法なのです。
私としては肩に乗せるのであれば圧倒的に、不完全では無く完全肩乗せをお勧めします。
下の動画は前述の林敬宏選手がアメリカ独立リーグとの試合で「完全肩乗せ打法」によってホームランを打った時のものです。完全肩乗せ打法は既に高いレベルで結果を残している打法なのです。
なお、完全肩乗せとは言っても、実際には肩に乗せた所から直接スイングがスタートするわけでは有りません。
下の画像(こちらのページに掲載)で説明しましたように、パンチャーではバットを振ろうとした結果、無意識下で下半身が力を発揮して、ステップとテークバックがオートマチックに起こります。
このオートマチックに起きるステップとテークバックの間にバットは肩から自然に離れて、トップの位置にまで(オートマチックに)引かれます。
(写真)完全肩乗せオートマチックステップ
ただ、その感覚(スイングの前にバットが肩から離れる感覚)はバッターの中にはほぼ有りませんので、感覚的には肩に乗せた状態から直接バットを出している感じになります。それは不完全肩乗せ打法で意識的にバットを持ち上げるのとは全く異なる感覚なのですが、それについては実際に試してみるとすぐに解ると思います。
なお、肩乗せ打法、特に完全肩乗せ打法は、筋力の弱い女性や子供、さらに御年配の草野球選手にとってはうってつけの打法とも言えます。少年野球で教えたり、デートでバッティングセンターに行った時に彼女に教えたりすると良いかもしれませんね。
もちろん、お手軽なだけでは無く、トップの位置から無駄なくバットが出せるので、子供にそういうスイングを身につけさせる上でも、有効です。ただし子供に教える場合、並行して肩に乗せない打法での素振りなども行うようにしてください。でないと力がついて行きませんから。
また、理由については割合しますが、完全肩乗せオートマチックステップでの「素振り」は止めた方が良いでしょう。あくまでもボールを打つ時専用の打ち方という認識で取り組んでください。
そろそろ、肩乗せ打法についてのお話を終えたいと思いますが、最後に、この打法は前述してきましたように「小さなデメリットを受け入れて大きなメリットを掴みに行く」という戦略に基づいた打法です。
ですから、そこの所を理解して、デメリットを最小限にするために普段から肩に乗せない打法でのスイングも練習しておく事が非常に重要になります。
肩乗せ打法、特に完全肩乗せ打法は、それ自体は非常にシンプルで簡単な打ち方です。しかし、その反面、(方に乗せない打法も練習する等)取り組み方自体は少々複雑になる部分があります。そこは試合で楽して最高の結果を出すために必要な労力として割り切って考えてほしいと思います。
最後にもう一度肩乗せ打法の意味について強調しておきます。
打撃において「腕がリラックスする事で下半身や体幹の力を有効に使ってヘッドを最大限に走らせる事が可能になる」というのは最上位の理論の一つです。少し考えれば解りますが、プロの一流投手の豪速球やキレッキレの変化球を相手にする時、腕の筋肉がバットの重さで緊張していて勝てるわけが無いのです。筋トレすれば良い?それも一つですが、相手もトレーニングするので、結局はイタチごっこで負荷の大きな打者が不利になってしまうでしょう。そこで、そうした問題を打撃から取り除くために生まれたのが(完全)肩乗せ打法なのです。
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