2013年2月15日金曜日

ブラウンさん1回目

ご来店ありがとうございました。




















全体的にクセ無く身体が動いており、形がまとまっているのが長所です。課題はやはり腸腰筋が効いて骨盤が前傾し、ハムストリングスの力を使えるようにすると言う事で、これは日本のスポーツ選手全てにとっての命題のようなものですね。

もっとハムストリングスが効いて、股関節で地面を押さえる力が強くなると、構えが良い意味でカチッと決まり、スイングもガツンとなってきます。(こういう感じです。)これは当然、力みとは全く違う状態ですが、日本人の場合、この感覚を掴みにくい体型なので、フワッと脱力しているのか、ガチガチに力んでいるかの二者択一で考える人が多いのです。その範囲では当然、脱力している方が良いですから、「いわゆる脱力」がもてはやされる風潮がある訳です。そして、そういう日本人の視線で見ると、外国人は力んでいるように見える場合が多いのです。

トレーニングとしては、黒人的な身体機能に近づくための股関節トレーニング、正しい連動を憶えるための、ホウキを用いた素振り(ジェフ•バグウェル素振り)、重いバットと軽いバットのコンビネーション素振り等を行ってください。

ブラウンさんの場合、形的にはクセ、欠点が有りませんし、基礎的なスキルはしっかりしていますから、黒人的な身体機能を高めるためのトレーニングに力を注げる状態だと言えます。構えている時に、地面を捉えている感じが強くなり、力の漲った構えから、いい感じのリズムで揺らげて、巻き戻しに躍動感が出て来たら、黒人的な身体の使い方が出来て来た証拠です。これらが、日本人が最も苦手とする動きです。

加えて、オートマチックステップでは投手と対峙する感覚が非常に重要になります。リリース前始動になるので全て反応で打たなければならないのはオートマチックステップの弱点ですが、そのぶん、反応の感度は良く、反応で打つ事がやりやすいのがオートマチックステップの長所です。投手と対戦する機会を大事にしたり、映像を使ってイメージトレーニングをしてください。

以下の動画は、オートマチックステップの打者(アレックス•カステラノス ドジャーズ)の打席ですが、オートマチックステップで反応で打ちに行く(反応だけで打ちに行く)感じが良く出ています。あまり良い当たりのシーンはありませんが、典型的なオートマチックステップの打者の打席ですね。

いわずもがなですが、18.44mの野球と言う競技の枠組みで見ると弱点はある物の、人間の身体の動き、スイングメカニズムと言う観点から見た場合、パンチャータイプの中では最も優れており、メカニズム的に完璧なのがオートマチックステップです。三冠王は脚上げ型の打者が取りましたが、メジャーでもオートマチックステップが理論化されれば、ケンプやプホルズのような打者がいるわけですから、また結果も違って来るはずです。

ホームランのシーン(http://www.youtube.com/watch?v=MVzJBSuu3ew

下の張りつけ動画はトップ型に見えますが、ホームランの動画は厳密に言うとヘッド入れ型なので、スイングに少しクセが有り、フォローの取り方がイマイチです。しかし、最近にしては珍しくオートマチックステップの純度が高い打者ですので、その意味では注目したい選手ですね。(成績いかんに関わらず)












打撃は以上です。


投球に関しては、これは大体の人がそうなのですが、まだメジャー式脚挙げがあまり出来ていない状態ですね。ただ悪い方では無いです。やはり、そこそこ動きのイメージが有るからなのでしょう。

問題は、上半身が全体的に背中側に倒れる、悪い意味でのY字バランスになっている点です。これだと脚を挙げる時に後傾した骨盤が前傾に戻る動きが弱くなります。もう少し脊柱を柔らかく使って、頭が背中側に傾かないようにし、背骨を丸めるようにして脚を挙げる事が大切です。




この図のように、背骨が丸まると、その反動で反る動きが入るので、骨盤が前傾します。(なお、この場合の骨盤前傾は胸椎後湾を伴う必要は有りません。)

骨盤の後傾から前傾に戻るアクションは下の4人の動画に良く出ています。

http://www.youtube.com/watch?v=J2kgzfLMlf4

http://www.youtube.com/watch?v=LKfyqoevBQY

http://www.youtube.com/watch?v=nPMi_Z6TqFQ

http://www.youtube.com/watch?v=V1z44JHEqFE

もちろん、はじめからこれだけの動きは難しいし、また、当然、意識的にやってはいけない動きです。脚を挙げる動きがよければ、自然になります。また、良い悪いではなく、どちらかというとスインガーの方が解りやすい動きです。(ノリスはスインガー)

パンチャーの場合、骨盤が前傾に戻ってから始動と言う意識だと始動のタイミングとして遅くなり過ぎるので、なおさら意識してはいけないと言う事になります。

ブラウンさんの場合、脊柱の使い方が硬いので、この骨盤後傾〜前傾の動きが上手く引き出せず、(※)軸脚のハムストリングスがもう一つ効いていません。そうなると重心移動が弱くなり、テークバックで肘も挙りにくくなります。

(※)動きの大きさとしては充分なのですが、後ろに身体を倒すせいで、どうしても違和感が有ります。上手く説明しにくいですが、良い動きでは無いと言う事です。後ろに倒す事で後ろ脚の大腿四頭筋の緊張が有るのかもしれません。

この辺が改善され、軸脚股関節伸展の力で、もっとニュ〜っとプレートを粘り強く、長く押せるようになると、肘も挙るようになって来るでしょう。(軸脚股関節でプレートを押す動きと、肘の上がりは連動しています。)球速に直結する最も重要な動きです。


トレーニング等で重視するべきポイントとしては、脊柱の柔軟性を高める事と、ハムストリングスの力を使えるようにする事です。ハムストリングスがもっと使えるようになると、軸足で地面をクッと捉えるような感じが出てきます。そしてグイッと地面を押す力が強くなります。今はそれが弱いので、下半身の動きがカチッと地面を捕まえて、グッと押す感じでは無く、ヌル〜っと潰れるようになっています。

トレーニングとしては、ダンスのリズムトレーニングを応用した「反り系」と「アップダウン系」この二種目を継続して行ってください。(股関節リズム伸展スクワットは、アップする時も腕の力を抜き、踵で地面を叩くような感じでやってください。最近、そのへんの変更がありました。)音楽を使わないパターンでは振幅を大きくしてトレーニング効果を高めます。音楽を使うパターンでは、筋肉が硬化していると、上手くリズムが取れないので、鍛え方の善し悪しが直ぐに解ります。

また、脊柱を反るストレッチも普段からやっておいてください。下図のように背中にタオルを通して、身体が後ろに倒れないように支えてやると、腰を大きく前に突き出せるので、大きく身体を反ることができます。
 腰を反る動きをトレーニングの中で多用すると、最初の方は腰が痛くなるかもしれませんが、鍛えられて来ると治るでしょう。不具合が有ったときはまた教えてください。

以上です。

 

2013年2月11日月曜日

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