2012年11月4日日曜日

中田翔

ラボにご来店頂いた方より「今年の中田は良い」と言われて見てみたのですが、確かに良いですね。今のNPBでMLBでもホームラン打者として通用するスイングと打球を見せる打者は中田の他に1人か2人いるかどうかと言うくらいでしょう。



構えの分類的にはこれだけグリップを身体の前に突き出していると言う事から、厳密にはヘッド入れ型に相当すると言えるでしょう。日本人に最も多いタイプです。そのため、脊柱が直立して、大腿四頭筋で体重を受け止めやすいバランスなのですが。。

素晴らしいのは見逃し方で、上の動画で、見逃す時にググッとホームベース方向にせり出していますね。これはハムストリングスが使えているため、身体を前(つまりホームベース方向)に運ぶ力が強いからで、こういう見逃し方をすると言う事は下半身が使えている事を表します。この見逃し方を日本人の右打者で久しぶりに見ました。

そして、前脚を挙げるタイミングがパンチャーらしく、比較的遅いのも良い。Aロッドと比べると早いですが、日本人としては割と遅い方でしょう。割れを作らず、上手く始動ポジションを形成しています。さらに前脚を挙げる時、後ろ脚の膝でクッションを取らず、良い意味で膝を固めて使えています。さらに、前脚が挙ったときの後ろ脚の形を見ると、膝が前に潰れすぎず、足首より股関節が背面側に位置する良い形を作れています。これなら確かにハムストリングスも使えるでしょう。

さらに前脚を挙げる時、無意識的にヒッチダウンが起きるのもパワーの有る中田ならではで、この辺は類い稀なる所です。そして何よりもこの打席では緩い球を前脚着地の瞬間あたりで一拍我慢して強打しているのが素晴らしい。

下の動画のスイングそして打球等は、まさにメジャーのそれですね。


もし、こういう日本人的な打ち方をしたいと言う方が読者の中にいるとすると、腸腰筋その場ステップなどで、出来るだけ骨盤が前傾した体型を維持する事が重要です。骨盤が後傾しやすい脊柱直立型のこのバランス、この構えのシルエットの中で少しでも骨盤の前傾位を保ち、ハムストリングスが使える状態を維持するためです。

中田翔にしても大腿四頭筋が緊張しやすい打ち方、構えを採用しているので、練習やトレーニングの中でそれを補う対策を立てて行く必要が有るでしょう。このケースの場合、スイングが小さくなってフォロースルーが手首を返したあたりで止まるようになってくると黄色信号です。