Craig "Human Rocket" Kimbrel has a killer rising fast ball like Tom Seaver's it. And he launches some Unidentified Flying Objects.
クレイグ"人間ロケット"キンブレルはトム•シーバーのようなキラー•ライジングファストボールを持っている。そして、彼はいくつかの未確認飛行物体を発射する。
野球ファンとしてキンブレルを知らないのはサッカーファンがルーニーやロナウドを知らないのと同じでしょう。少なくともあと二年もすればそういう存在になるはずです。2010年にデビューし、その年は1セーブ。2011年46セーブ、2012年42セーブで2年連続でリーグ最多セーブを記録しています。しかも1988年生まれの若手。メジャー版藤川球児と言えば日本のファンにもイメージしやすいと思います。とにかく球が速い。そして80マイル台後半の超高速カーブと、驚異的にライズするライジング•ファストボールが武器の投手です。
まずは以下の4つの動画を見てください。これらの動画の中に、低めに伸びるストレート、ライジングファストボール、高速カーブ等、キンブレルの特徴が詰まっています。
(0)ダイジェスト(Digest of Kimbrel's Pitch)
http://www.youtube.com/watch?v=vHem6OpHNC4&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=xwykVZ0M0jg&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=XMuXWQ6Wvtc&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=G8GidYPeppM&feature=plcp
では、それらのボールを動画でみていきましょう。
(1)ライジングファストボール (Rising Fast Ball)
http://www.youtube.com/watch?v=wvOb7o51fjY&feature=plcp(0.22~)
http://www.youtube.com/watch?v=p21AjwFJrx4&feature=plcp(0.15~)
http://www.youtube.com/watch?v=vHem6OpHNC4&feature=plcp(1球目)
http://www.youtube.com/watch?v=3WrHja19n2E&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=yC3evn_qlxQ&feature=plcp(0.14~)
http://www.youtube.com/watch?v=BDUDIo5D4XA&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=j41Jccc6Mug&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=5T5eK3jQ1eI&feature=plcp
(2)高速カーブ(High Speed Curve Ball)
http://www.youtube.com/watch?v=sZq4eo4Mh80&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=MuAW1Rfqrhg&feature=plcp(1球目と3球目)
http://www.youtube.com/watch?v=imqrfJ6fnmg&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=F4gcP_SyFiY&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=dk7aonjOcjs&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=5-y8oiCZ3Y0&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=MbjeMiPn9fw&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=HDX8szed57M&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=G8GidYPeppM&feature=plcp(0.12~)
(3)ストレート(Straight Fast Ball)
http://www.youtube.com/watch?v=dIuF3cKIHBc&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=5beAE3ZMlvY&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=ilJAbzqPU8w&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=aWO9kaaltdc&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=86CFhA3TADA&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=ZdMKuh5SBx0&feature=plcp
それでは英語版ウィキペディアのキンブレルのピッチングスタイルについて説明してある所を翻訳(意訳)します。(http://en.wikipedia.org/wiki/Craig_Kimbrel)
以下訳(意訳)
キンブレルは打者を打ち取るために、破壊的な4シームファストボールとカーブのコンビネーションを使う。彼は並外れてハードな速球を投げ、それは2011年には平均で97マイル近くを記録した。また、時折、彼は3本の指を使って速球を投げる。彼のカーブはスパイクグリップによるもの(スパイクカーブ)で、それは80マイル中盤から後半を記録する。
彼の両方の球種(ストレートとカーブ)は異常な空振り率を記録し、その確立(全投球における空振りの確立=ウィッフ•レート)は4シームで33%、カーブで52%をマークする。この圧倒的なコンビネーションは9イニングに換算すると平均して15.8個の三振を奪えると言うキンブレルのピッチングを支えている。(2012年9月19日時点)
彼はまた、2002年から2012年の全てのピッチャーの中で、「全投球の内、空振りを取った投球の確立」において、3位タイにつけている。
キンブレルの4シームファストボールは2011年のMLBのリリーフピッチャー(中継ぎを含む)の中で12番目に速い。(!=訳者追加)加えて、彼は平均で87マイルを記録するという、MLBの中でも最もハードなカーブを投げる。(訳者注 平均で87マイルは本当だろうか?)
また、彼の速球はリリーフピッチャーの速球としては5番目に高いウィッフ•レート(32%)を記録する。そしてカーブはリリーフピッチャーの中で最も高いフィッフ•レートである55パーセント以上を記録する。(訳者注 前出の数字とは計算時期が異なる。)
以上です。ここで注目されるべき点は一言もスライダーを投げるとは書いていない事。そしてMLBで最もハードな80マイル台後半のカーブを投げると書いてある事です。つまり、この動画(http://www.youtube.com/watch?v=G8GidYPeppM&feature=plcp)の2球目(0.12~)のボールはスライダーでは無くカーブなのです。(!)
パンチャータイプは、思い切り投げると言うメカニズムの特性上、スインガーに対してカーブが速い特徴が有りますが、その究極系がキンブレルだと言う事ですね。
カーブは手首の掌屈と前腕の回外を伴うためか、肘の角度が開きやすい傾向が有るので、パンチャーでも優秀なカーブの使い手はややアーム気味のフォームの場合が多いのです。ベン•シーツやチャド•ビリングスリー等が思い浮かびます。(一方スインガーでカーブを投げる際、深い最大外旋の角度を作る必要が有るため、肘が伸びたスイングでは良いカーブは投げられないでしょう。)
ベン•シーツ
http://www.youtube.com/watch?v=umou5fVPuA0&feature=plcp
チャド•ビリングスリー
http://www.youtube.com/watch?v=F_IjL4nmlZI&feature=plcp
キンブレルのような「内旋して肘から挙るテークバック」が出来るパンチャータイプの投手がカーブを投げると、こうなると言うことでしょうか。
基本的に、キンブレルの資料にはスライダーを投げるとは書いていません。ただ、以下のような投球は、少なくとも見た目の上ではやはりスライダーと解説されるのが普通でしょう。そもそもスライダーとカーブは軌道だけでは無く、回転の掛け方が違うので、本人がカーブとして投げれば、それはカーブと言う方が適切では有ると思いますが。。
(4)スライダー?(May be Slider)
http://www.youtube.com/watch?v=Zjd8p14FtU0&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=5gNjGhlLXMI&feature=plcp(1球目)
http://www.youtube.com/watch?v=yC3evn_qlxQ&feature=plcp(0.11~)
この動画(http://www.youtube.com/watch?v=fpo6Q3HGWRg&feature=plcp)は、スライダーとカーブの境界線にあるように思えます。おそらくカーブだと思いますが。
因に見た目スライダーで本人がカーブと言い張る現象はパンチャータイプの投手には比較的ありがちで、フランシスコ•ロドリゲスやペドロ•マルティネスについても、同じような記事を読んだ記憶が有ります。
さらに評論には有りませんが、ツーシームらしき球も時には投げるようです。と言うより単にストレートがシュート回転すると言う現象なのかもしれませんが。
(5)ツーシームファストボール? (Is this two seem fast ball?)
http://www.youtube.com/watch?v=mMJgUk-8i3c&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=MuAW1Rfqrhg&feature=plcp(2球目)
ピッチングメカニクス ~ Pitching Mechanics ~
http://www.youtube.com/watch?v=aWO9kaaltdc&feature=plcp
言うまでも無くパンチャータイプの投手です。あれだけの豪速球を投げるのだから、何か特別な秘密が有るのではないかと思うのが一般的ですが、実際には全ての動作を極めて正しくおこなっている結果であり、特にこれと言って特徴の有るフォームでは有りません。強いて言えば、目立った欠点が無いと言う事が、彼の際立っている所です。
腕の出所はやや低めのスリークォーターと言えるでしょう。構えで少し後ろ脚の膝を曲げているぶん、ストライドはやや短くなり、その事が身体の回転を僅かにコンパクトなものにしています。結果として腕の出所も低くなるわけです。完全なパンチャーのメカニクスでは、あともう少しだけ腕の出所は高くなるでしょう。
ここの所だけが、キンブレルの欠点であり、ストライドの短さ故に、前脚が「股関節の伸展」と言うよりも「膝の突っ張り」になっており、ターン&タンブルフィニッシュもややおとなしい傾向が有ります。しかし、グラブとボールの割れ方は見事に重心移動と連動しており、そのぶん投球腕の使い方は素晴らしいので、肘にはあまり負担がかからないと思います。むしろ肩の方が心配なタイプで、その意味ではクローザーと言うのはキンブレルに適任であると思います。単純な言い方をすれば、やや上半身に頼った投げ方だと言う事です。その辺が故障や年齢による衰えの原因になるのでは無いかと言う事が懸念されます。
前脚を挙げて、最適なヒップファーストの角度をキープしながら、重心移動と連動させてグラブとボールを割るシーンは素晴らしいの一言です。そこから、投球腕とグラブ腕が左右対称性を保ちながら、肘が90度近くまがりつつ、背中側に突き出されて行く動き。ここの左右対称性が素晴らしい所です。
後ろ脚股関節も割れているので、そこから絞りの力も上手く使えています。つまり後ろ脚の蹴る力は上手く使えているのですが、いかんせん構えで重心が低いので物理的にストライドが短くなる事が問題で、その点だけが勿体ないところです。
この動画(http://www.youtube.com/watch?v=mMJgUk-8i3c&feature=plcp)の0.21から、打者方向から見たスローが有ります。両腕が左右対称の形で、肘が背中側に突き出される形を見てください。まさに理想的な形です。そこからの腕の振りはまさにパンチャータイプのそれですね。
因に下のイラストは日本の豪速球投手である尾崎行雄のフォームですが、投球腕のスイングはキンブレルと非常に似ています。もちろん尾崎行雄もパンチャータイプの投手です。
クレイグ"人間ロケット"キンブレルはトム•シーバーのようなキラー•ライジングファストボールを持っている。そして、彼はいくつかの未確認飛行物体を発射する。
野球ファンとしてキンブレルを知らないのはサッカーファンがルーニーやロナウドを知らないのと同じでしょう。少なくともあと二年もすればそういう存在になるはずです。2010年にデビューし、その年は1セーブ。2011年46セーブ、2012年42セーブで2年連続でリーグ最多セーブを記録しています。しかも1988年生まれの若手。メジャー版藤川球児と言えば日本のファンにもイメージしやすいと思います。とにかく球が速い。そして80マイル台後半の超高速カーブと、驚異的にライズするライジング•ファストボールが武器の投手です。
まずは以下の4つの動画を見てください。これらの動画の中に、低めに伸びるストレート、ライジングファストボール、高速カーブ等、キンブレルの特徴が詰まっています。
(0)ダイジェスト(Digest of Kimbrel's Pitch)
http://www.youtube.com/watch?v=vHem6OpHNC4&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=xwykVZ0M0jg&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=XMuXWQ6Wvtc&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=G8GidYPeppM&feature=plcp
では、それらのボールを動画でみていきましょう。
(1)ライジングファストボール (Rising Fast Ball)
http://www.youtube.com/watch?v=wvOb7o51fjY&feature=plcp(0.22~)
http://www.youtube.com/watch?v=p21AjwFJrx4&feature=plcp(0.15~)
http://www.youtube.com/watch?v=vHem6OpHNC4&feature=plcp(1球目)
http://www.youtube.com/watch?v=3WrHja19n2E&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=yC3evn_qlxQ&feature=plcp(0.14~)
http://www.youtube.com/watch?v=BDUDIo5D4XA&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=j41Jccc6Mug&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=5T5eK3jQ1eI&feature=plcp
(2)高速カーブ(High Speed Curve Ball)
http://www.youtube.com/watch?v=sZq4eo4Mh80&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=MuAW1Rfqrhg&feature=plcp(1球目と3球目)
http://www.youtube.com/watch?v=imqrfJ6fnmg&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=F4gcP_SyFiY&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=dk7aonjOcjs&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=5-y8oiCZ3Y0&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=MbjeMiPn9fw&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=HDX8szed57M&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=G8GidYPeppM&feature=plcp(0.12~)
(3)ストレート(Straight Fast Ball)
http://www.youtube.com/watch?v=dIuF3cKIHBc&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=5beAE3ZMlvY&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=ilJAbzqPU8w&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=aWO9kaaltdc&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=86CFhA3TADA&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=ZdMKuh5SBx0&feature=plcp
それでは英語版ウィキペディアのキンブレルのピッチングスタイルについて説明してある所を翻訳(意訳)します。(http://en.wikipedia.org/wiki/Craig_Kimbrel)
以下訳(意訳)
キンブレルは打者を打ち取るために、破壊的な4シームファストボールとカーブのコンビネーションを使う。彼は並外れてハードな速球を投げ、それは2011年には平均で97マイル近くを記録した。また、時折、彼は3本の指を使って速球を投げる。彼のカーブはスパイクグリップによるもの(スパイクカーブ)で、それは80マイル中盤から後半を記録する。
彼の両方の球種(ストレートとカーブ)は異常な空振り率を記録し、その確立(全投球における空振りの確立=ウィッフ•レート)は4シームで33%、カーブで52%をマークする。この圧倒的なコンビネーションは9イニングに換算すると平均して15.8個の三振を奪えると言うキンブレルのピッチングを支えている。(2012年9月19日時点)
彼はまた、2002年から2012年の全てのピッチャーの中で、「全投球の内、空振りを取った投球の確立」において、3位タイにつけている。
キンブレルの4シームファストボールは2011年のMLBのリリーフピッチャー(中継ぎを含む)の中で12番目に速い。(!=訳者追加)加えて、彼は平均で87マイルを記録するという、MLBの中でも最もハードなカーブを投げる。(訳者注 平均で87マイルは本当だろうか?)
また、彼の速球はリリーフピッチャーの速球としては5番目に高いウィッフ•レート(32%)を記録する。そしてカーブはリリーフピッチャーの中で最も高いフィッフ•レートである55パーセント以上を記録する。(訳者注 前出の数字とは計算時期が異なる。)
以上です。ここで注目されるべき点は一言もスライダーを投げるとは書いていない事。そしてMLBで最もハードな80マイル台後半のカーブを投げると書いてある事です。つまり、この動画(http://www.youtube.com/watch?v=G8GidYPeppM&feature=plcp)の2球目(0.12~)のボールはスライダーでは無くカーブなのです。(!)
パンチャータイプは、思い切り投げると言うメカニズムの特性上、スインガーに対してカーブが速い特徴が有りますが、その究極系がキンブレルだと言う事ですね。
カーブは手首の掌屈と前腕の回外を伴うためか、肘の角度が開きやすい傾向が有るので、パンチャーでも優秀なカーブの使い手はややアーム気味のフォームの場合が多いのです。ベン•シーツやチャド•ビリングスリー等が思い浮かびます。(一方スインガーでカーブを投げる際、深い最大外旋の角度を作る必要が有るため、肘が伸びたスイングでは良いカーブは投げられないでしょう。)
ベン•シーツ
http://www.youtube.com/watch?v=umou5fVPuA0&feature=plcp
チャド•ビリングスリー
http://www.youtube.com/watch?v=F_IjL4nmlZI&feature=plcp
キンブレルのような「内旋して肘から挙るテークバック」が出来るパンチャータイプの投手がカーブを投げると、こうなると言うことでしょうか。
基本的に、キンブレルの資料にはスライダーを投げるとは書いていません。ただ、以下のような投球は、少なくとも見た目の上ではやはりスライダーと解説されるのが普通でしょう。そもそもスライダーとカーブは軌道だけでは無く、回転の掛け方が違うので、本人がカーブとして投げれば、それはカーブと言う方が適切では有ると思いますが。。
(4)スライダー?(May be Slider)
http://www.youtube.com/watch?v=Zjd8p14FtU0&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=5gNjGhlLXMI&feature=plcp(1球目)
http://www.youtube.com/watch?v=yC3evn_qlxQ&feature=plcp(0.11~)
この動画(http://www.youtube.com/watch?v=fpo6Q3HGWRg&feature=plcp)は、スライダーとカーブの境界線にあるように思えます。おそらくカーブだと思いますが。
因に見た目スライダーで本人がカーブと言い張る現象はパンチャータイプの投手には比較的ありがちで、フランシスコ•ロドリゲスやペドロ•マルティネスについても、同じような記事を読んだ記憶が有ります。
さらに評論には有りませんが、ツーシームらしき球も時には投げるようです。と言うより単にストレートがシュート回転すると言う現象なのかもしれませんが。
(5)ツーシームファストボール? (Is this two seem fast ball?)
http://www.youtube.com/watch?v=mMJgUk-8i3c&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=MuAW1Rfqrhg&feature=plcp(2球目)
ピッチングメカニクス ~ Pitching Mechanics ~
http://www.youtube.com/watch?v=aWO9kaaltdc&feature=plcp
言うまでも無くパンチャータイプの投手です。あれだけの豪速球を投げるのだから、何か特別な秘密が有るのではないかと思うのが一般的ですが、実際には全ての動作を極めて正しくおこなっている結果であり、特にこれと言って特徴の有るフォームでは有りません。強いて言えば、目立った欠点が無いと言う事が、彼の際立っている所です。
腕の出所はやや低めのスリークォーターと言えるでしょう。構えで少し後ろ脚の膝を曲げているぶん、ストライドはやや短くなり、その事が身体の回転を僅かにコンパクトなものにしています。結果として腕の出所も低くなるわけです。完全なパンチャーのメカニクスでは、あともう少しだけ腕の出所は高くなるでしょう。
ここの所だけが、キンブレルの欠点であり、ストライドの短さ故に、前脚が「股関節の伸展」と言うよりも「膝の突っ張り」になっており、ターン&タンブルフィニッシュもややおとなしい傾向が有ります。しかし、グラブとボールの割れ方は見事に重心移動と連動しており、そのぶん投球腕の使い方は素晴らしいので、肘にはあまり負担がかからないと思います。むしろ肩の方が心配なタイプで、その意味ではクローザーと言うのはキンブレルに適任であると思います。単純な言い方をすれば、やや上半身に頼った投げ方だと言う事です。その辺が故障や年齢による衰えの原因になるのでは無いかと言う事が懸念されます。
前脚を挙げて、最適なヒップファーストの角度をキープしながら、重心移動と連動させてグラブとボールを割るシーンは素晴らしいの一言です。そこから、投球腕とグラブ腕が左右対称性を保ちながら、肘が90度近くまがりつつ、背中側に突き出されて行く動き。ここの左右対称性が素晴らしい所です。
後ろ脚股関節も割れているので、そこから絞りの力も上手く使えています。つまり後ろ脚の蹴る力は上手く使えているのですが、いかんせん構えで重心が低いので物理的にストライドが短くなる事が問題で、その点だけが勿体ないところです。
この動画(http://www.youtube.com/watch?v=mMJgUk-8i3c&feature=plcp)の0.21から、打者方向から見たスローが有ります。両腕が左右対称の形で、肘が背中側に突き出される形を見てください。まさに理想的な形です。そこからの腕の振りはまさにパンチャータイプのそれですね。
因に下のイラストは日本の豪速球投手である尾崎行雄のフォームですが、投球腕のスイングはキンブレルと非常に似ています。もちろん尾崎行雄もパンチャータイプの投手です。
前脚の挙げ方は、膝を畳んだ腿挙げ的な大腿四頭筋を使った動きですが、前脚の上げ下げに伴う、骨盤の動きは良いですね。このへんは、デビッド•ロバートソン(http://www.youtube.com/watch?v=A_-ET2MdE1U&feature=plcp)と似ている部分です。脚を降ろして行くところで、きちんと骨盤を前傾位に戻してから、打者方向に踏み込んで行きます。
前脚の挙げ方については、ロバートソンやキンブレルのように、ワインドアップモーションを使いにくいクローザーやセットアッパーの場合、セットポジションからの投球をベースに考えるとどうしても、こういったコンパクトな前脚の挙げ方になるのでしょう。
ただ、そういった「脚の挙げ方」や「曲がっている後ろ脚の膝」といった問題によってもたらされる下半身のパワーロスとその結果としてのストライドの短さが、キンブレルの唯一の欠点です。その下半身のパワーロスを上半身で補いつつ、100マイル近い豪速球を投げ込んで行くうちに、肩に負担がかかったり、あるいは意外と早く衰えが出たりといった事だけが不安材料です。
最後に、この動画(http://www.youtube.com/watch?v=CjNTA0qKgEg&feature=plcp)では、打者方向から見た実速のシーンが有ります。打席でキンブレルと対峙した気分で見ると面白いでしょう。 |