2012年11月8日木曜日

Who's Who(3)ジェイク•ピービー(Jake Peavy)

Jake "Mr. Moving Fast Ball, Major League Wiffle Baller, Wizard" Peavy

ジェイク•ピービーはミスター•ムービングファストボールと言って良いと思います。この投手ほど、投げる球を見ていて面白い投手もいないでしょう。ひとまずこの動画(http://www.youtube.com/watch?v=2tg9inQrMw8&feature=plcp)を見てください。この動画の中にまともなストレートは一球も有りません。上記の動画は非常にピービーらしさが出ていて、何度見ても飽きない動画です。



成績(http://ja.wikipedia.org/wiki/ジェイク・ピービー)を見ると2007年に19勝を挙げているのが光ってます。最近はやや低迷気味ですが、1981年生まれで以外とまだ若いので、これからの巻き返しも充分期待出来るでしょう。

典型的なパンチャータイプのムービングボーラーで、横に滑る球を得意とするタイプです。最近のメジャーでは珍しい振りかぶるフォームで、その腕を降ろして来た時に上半身を前傾させるので、腕がサイドアーム気味に出て来るわけです。当然と言えば当然ですが、やはりサイドアーム系は横に滑る球を得意とします。セルジオ•ロモ(http://www.youtube.com/watch?v=6LlbcBSf5AU&feature=plcp)も典型的ですね。

この動画(ピービー)も芸術的です。速い球が滑りまくってます。
http://www.youtube.com/watch?v=EgmRIPb9kcI&feature=plcp

この動画でも微妙に変化するボールが多いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=1U9i5om9xLk&feature=plcp

ピービーのフォームで凄いのは、普通、振りかぶる動作で骨盤を後傾させると後傾したまま戻って来ないのですが、ピービーの場合は腕を降ろしてくる時、クッと骨盤が前傾位に入ります。このへんが非凡な所です。骨盤のカクカク感がいい感じです。

骨盤が前傾位に入る事でハムストリングスが有効に使えるようになり、後ろ脚で強く地面を押す事が出来ます。その結果、重心移動でグゥ〜と前に出て行く時にニュゥ〜と肘が背中側に入り、胸が張って、いわゆる「肩が入った」状態になるのですが、その辺の柔らかい投球腕の使い方もピービーの非凡な所です。

同じように振りかぶるタイプでもジャイア•ジャージェンス(http://www.youtube.com/watch?v=mu-6mToypbM&feature=plcp)や松坂大輔(http://www.youtube.com/watch?v=nWBMpZT5o88&feature=relmfu)の場合、後傾したまま戻って来ない感がありますね。振りかぶる投げ方ではこの方が普通なのです。一方、アービン•サンタナ(http://www.youtube.com/watch?v=hDNX_HrHBw8&feature=plcp)にはやや骨盤のカクカク感が有ります。

また、ピービーは、フィニッシュでターン&タンブルが無く、カニ歩きのように打者方向に向かって行くシーンが多い(特に速球の時)ですが、これはこれで良いのです。というのも、サイドハンドの場合、右投手なら体軸が3塁方向に傾き気味になるので、フィニッシュでの前脚の着地も3塁側に着くのが自然です。日本人なら斉藤雅樹が思い出されるでしょう。ピービーの場合、スリークォーターとサイドハンドの中間くらいなので、カニ歩きのような動きになるのだと思います。

この動画(http://www.youtube.com/watch?v=qQ7h9x-ciHY&feature=relmfu)では全編に渡りカニ歩きが炸裂しています。途中、一球だけ横手から投げていますが、その時のフィニッシュの取り方は正に前述のサイドハンド特有のそれですね。つまり後ろ脚を3塁側に着地すると言う事です。

ピービーの球種に関しては、より正確と思われる英語版ウィキペディアの内容を訳して掲載しておきます。このページ(http://en.wikipedia.org/wiki/Jake_Peavy)の下段のscouting reportの訳です。

以下wikiの訳(一部意訳)

ピービーは、フォーシームファストボール(89〜92マイル)と、80マイル台前半のスライダーを最もよく使うが、彼の球種は6つ有る。彼はツーシームファストボールカーブチェンジアップ、そしてカッター等も投げる。ピービーはカーブとチェンジアップを左打者に対してよく使う傾向が有る。そしてしばしば彼はツーシームとカッターを使わない事が有る。

ピービーは2004年以来、メジャーで最も低いWHIPを記録している。(注 2005年の資料より。しかも事実と異なるので誤訳かも)

ピービーのツーシームは主にシンカーのように変化し、多くのゴロを誘発する。これによってピービーはランナーが塁上にいる時、多くのダブルプレーを取る事が出来る。ピービーは左打者のインコースに速球を投げる事が好きで、その投球はストライクゾーンに向きを変えて入って来る。これはグレッグ•マダックスのパワーアップ版のようなテクニックだ。(訳にイマイチ自信無し) 

ピービーの投球のナチュラルなムーブメントは、彼が献上するホームランの数を減らす事に貢献しているし、彼は2007年に220イニング以上投げて13本しかホームランを打たれなかった。

ということで、上記がピービーの球種に対する正確な説明だと思います。

この動画(http://www.youtube.com/watch?v=Zyt--37pEDs&feature=plcp)も凄い見応えですね。カーブが一球有りますが、見事なパンチャーカーブです。

この動画(http://www.youtube.com/watch?v=I57jleiyf2o&feature=plcp)の一球目でライザー的な球を投げます。ピービーは時々、こういう球を投げますが、その頻度からして意図的かどうかは疑問です。と言うより、その日の調子で高めにそういう球が行く時に使っているといった程度では無いかと思います。

ピービーは非常にパンチャーらしい球を投げる投手ですが、完全に正統派なパンチャーは、もう少しだけ腕の振りが縦の軌道になります。そのぶんピービーの球は縦の変化よりも横の変化が強いのですが、それでもパンチャーの球種の見本市のようなレパートリーですね。