2013年6月10日月曜日

エリック・アンソニー

エリック・アンソニー


この選手は知らなかったが、左のオートマチックステップで中々凄いスイングをしている。しかもヤクルトでプレーした事もあるらしい。(44試合で12本塁打を打っている。)

打ち方的には、オートマチックステップと言っても、後ろに体重移動してタイミングを取るありがちなパターンで、そのために(ほぼ静止状態からいきなり打つ)レジー・ジャクソンに比べると体の回転が大きい。そして気のせいかもしれないが、細身でミドルバランスのバットを振っているように見える。トップバランスのバットをヘッドの重さを効かせて打っているのでは無く、バット全体をシャープに鋭く振り抜いてスイングスピードそのもので飛ばしているように見える。

また、打つ直前にバットが急にフッと倒れるが、これは基本的にこの打者の構え(始動ポジションでの構え)がバット立て型に近いからだ。バットを立てているため、バットが寝た事によって発生する負荷への耐性が無いので、重心移動の過程でバットが倒れ出すと歯止めが利きにくく、大きく倒れる事になる。この点はレジー・ジャクソンと似ている。

1989年から1998年までプレーしているが、この時期はまさにアメリカでパンチャータイプが一気に多数派となった時期であり、オートマチックステップの打者は、この時期の方が今より多かった印象が有る。

この後、二段ステップやノーステップ、オートマチックステップもどきが流行だし、そしてアレックス・ロドリゲス以降、脚上げ型の技術が向上した事で、脚上げ型の打者も急速に増えた。

この動画の後半(0.28〜)から出て来るのがレジー・ジャクソン。パンチャータイプのオートマチックステップにおける元祖のような存在である。


2001年頃「メジャーの打法」の作者とネット上で議論していた当時、彼が「押し打ち」の例として最初に挙げたのがレジー・ジャクソンであった記憶が有る。

レジー・ジャクソン ワールドシリーズでのホームラン


このレジー・ジャクソンが若い頃に初めて生で見たホームランがハーモン・キルブリューのホームランであり、それを見てフォームを改造したと話している。

キルブリューは現代に通じるパンチャータイプの始祖鳥のような存在である。(通算573本塁打)


そして、レジー・ジャクソンに憧れて野球をしていたのがホセ・カンセコ。基本的にジャクソンと同じ打ち方であることが解る。


そのカンセコとのコンビでアスレチックス黄金期を築いたのがマーク・マグワイア


こうしたスタープレイヤーを見て育った野球選手達の多くがパンチャータイプとなっていった事は容易に想像がつく。これもパンチャー化を促した大きな流れの一つだろう。