2013年6月16日日曜日

アランさん 1回目


ご来場ありがとうございました。



今回は、アランさん自身の良い状態を知ってもらうため、敢えてプロモーション的に良いスイングだけの動画を作りました。

目指すべき路線としては、4番(ボンズの後のジェフ・ケントのような3番最強の理論に則った場合のポイントゲッターとしての4番)あるいは5番タイプでしょう。2割8分で25本塁打レベルの数字を安定して期待出来るポイントゲッターです。日本に来た助っ人外国人で、典型的なこういうタイプであったのが、ジェームズ・パチョレック、ボビー・ローズ、アンディー・シーツ等で、これらの打者は皆オートマチックステップでした。ちなみに、1990年代以降、このタイプの白人の助っ人外国人が日本で安定した成績と勝負強さを発揮していた事が、私自信が、この打ち方の優位性を確信する根拠となりました。

今のメジャーで、そのタイプに最も近いのがジェイソン・ワースでしょう。

まずは、このタイプを目指して、それが出来た上で、そこに長打力をどれだけ上乗せしていけるかと言う考えで良いと思います。

因に左打者ですが、全盛期のジェイソン・ジアンビも同じ系統の打者です。


NPBで考えると190㎝台の身長が有ってファーストが守れるのであれば、打撃中心の取り組みで、後はグラブさばきが良ければ、どこかしらのチームで出られると思います。

そのために最優先してほしい事は以下の2点です。

1)ミートする能力を向上させる。
これだけの体格が有れば、当たればヒットにはなります。なので、色んなボールに反応する「実戦でのミート力」つまり「人が投げたボールを的確に捉える能力」を向上させる事が大事になります。もちろん素振りで振り込む事も非常に重要ですが、アランさんの場合、一番重要視してほしいのが人が投げたボールを打つ練習です。そしてその次がマシン打撃で、その次が素振りです。まず、この優先順位は間違わないようにしてください。よくいるのですが「体は大きいけれど、バットにボールが当たらないタイプ」と見られると、かなり評価が低くなります。逆に190㎝台の身長で、そうした能力が高ければ、それだけで評価は高いです。

2)スイングスピードを速くする。
飛ばすためのスイングスピードでは無く、プロレベルの速い球に付いて行くためのスイングスピードであり、よりボールを引きつけるように出来るためのスイングスピードです。もちろん、スイングスピードが速くなれば、自然と飛距離も伸びるでしょう。そしてスイングスピードを速くするためには、とにかくバットを振る回数を多くする事が大切になります。パワー系のトレーニングについては、ラボでお話しましたように「筋肉に刺激を与える」目的で「時々」行なうと良いと思います。実際、針金を巻き付けた3.5キロの「鬼の棍棒」を振ってもらった後、スイングスピードが少し速くなったのが解りました。これは重いバットを振る事で、より多くの筋繊維のスイッチがONになったからです。しかし、あまり鍛える事を意識して、技術に無関係なトレーニングに時間を使うよりもバットを振り込んで、スイングスピードを速くすると同時に技術を磨く事に時間を使った方が良いでしょう。

続きます。

まず、自分自信の強みは何かということを知っておいて下さい。体格に恵まれていると言う事は、パワートレーニングをあまり必要としない事を意味します。パワートレーニングが必要無ければ、そのパワーを技術に転換していくための練習や、柔軟性を取り戻すためのストレッチ等も必要無くなります。つまり、それだけシンプルな取り組みが可能になると言う事です。これが最大の強みです。具体的には、950〜1キロくらいの少し重い素振り用バット(トップバランスでは無いもの)を振り込んで行くだけで充分です。それと、基礎的なストレッチ(股関節や肩甲骨の)を積み重ねて行く。これだけで充分です。そして、とにかく1回でも多くバットを振る事です。

ただ、一つだけ課題が有るとすると、それは「スピード」です。体の大きな人と言うのは、得てしてスピードが無い場合が多いのです。なので、素振りをする時も、特に速く振る、一瞬で振るという意識を強く持つ必要が有ります。

では、どういう素振りをしたら良いのかということですが、現状ではやや構えが綺麗に纏まり過ぎている感が有ります。アランさんの場合は、体本来の力をスイングに使い切れていない感じが有るのですが、そういう人がこじんまりと綺麗な構えでスイングを繰り返しても、中々、体の力を使い切れるようにはなりません。そういう人の場合は、もっとエグく、えげつない(wild, nasty, harsh, strong,violent) 荒々しい構えを作って、バットを振り込んだ方が、体の力を使い切れるようになります。素振りの時は、特にこの事を意識した方が良いでしょう。

以下の2人くらいの感じで(もっと荒っぽくても良いです)構えると良いでしょう。ただ、それは素振りでの話で、実際、打つ時はボールの見やすさやバットコントロールのしやすさ等も考えて、もう少し楽に構えたら良いです。

2人の動画も貼っておきます。




続きます。

つまり、素振りの中では「エグい」構えを作って振り込む事によって、関節を名一杯動かし、体全体の力を使い切れるようにしていく事が大切です。

そこで、次の動画を見て下さい。


この選手が打つ前にやっているのは、まさに後ろ脚股関節に沿った捻りです。そして下腿部を立てたまま後ろ脚股関節を屈曲させる事で、後ろ脚のハムストリングスや大殿筋をストレッチさせています。

甲子園の時に林さんに「構えを作る前に股関節を割るなどのストレッチをしておき楽に構える」と言う話をしましたが、この選手がやっているのはまさにそれです。

そして、体の力を使い切る素晴らしいスイングが出来ています。「打撃の快感を知っている」打者ですね。


もちろん、全く同じ事をする必要は有りません。しかし大きなヒントになる事は確かです。

まず、素振りの中で体の力を使い切るスイングをするために「エグい」構えをする必要が有ると書きましたが、そのポイントは3点です。

ポイント1)捻り

後ろ脚股関節のラインに沿って体を捻る事で、後ろ脚股関節の割れが強調され、タスキラインの筋肉が引き伸されます。(後ろの肘も大きく挙り、バットヘッドが投手方向に入ります。)

ただ、あまり強調し過ぎると、スイングが悪くなるので、上に挙げた動画の打者 Alex Buccilli のように、事前にストレッチ(バット割れ絞り体操など)をしておいてから、やや捻り(とそれに伴う後ろ脚股関節の割れ)を強調した構えを作り、その構えからスイングをすると良いでしょう。(下の写真くらい捻れば充分です。)


ポイント2)(股関節の割れを伴った)スクワットダウン

股関節の割りを伴ってスクワットダウンを強調すると、ハムストリングスや大殿筋に負荷がかかり、それらの筋肉を使いやすくなります。なので、ここも強調するポイントの一つです。ただ、あまりに重心が低い状態でスイングすると(ジェフ・バグウェルのように余程上手く体が使えている場合は別として)体にかなりの負担がかかります。特に前脚の膝が曲がった状態でスイングの回転を受け止めると危険です。

なので、ここでも事前にストレッチ(股割りや、踵で足踏みしながらのスクワットダウン)をしておいて、筋肉を効かせておいてから、普段より僅かに重心を低くした構えから振ると良いでしょう。

股関節を割る時は下の写真のように脊柱のS字カーブが強調され、構えた時にもそれが出来るようになる事が重要です。もちろん、リズム股割りスクワットも良いですし、バット割れ絞り体操も股関節を割って重心を下げるのは同じなので使えます。

ポイント3)股関節伸展のパワー

ハムストリングスの収縮による股関節伸展の力が重要になる理由は以下の通りです。
(1)始動時に発揮される下半身の力が強くなる。
(2)骨盤を前に押し出し、体に反りが出来る力強いフォロースルーになる。

このアンドリュー・ジョーンズの動画では始動時の強烈な股関節伸展の力が見て取れます。

(写真)骨盤を投手方向に押し出すフォロースルー

そして、こうしたスイングをするためには、腸腰筋が効いて、股関節で体が折れた構えを作る事が重要です。股関節で体を折ると膝は自然に曲がります。

ですので、素振りでは事前に腸腰筋その場ステップや腸腰筋のストレッチを行い、そこから股関節で体を折る事を意識して構えを作って振る練習が必要です。その結果として、上記のようなスイングが出来るようになれば良いでしょう。この練習の中では、構えを作る時に「踵寄り体重(爪先体重にならない)」「首の角度(強調し過ぎない)」「背中の丸まり(強調し過ぎず、出来るだけ高い位置に胸椎後彎のアーチを作る)」の3点を意識して、股関節で体を折ってください。

(写真)股関節で体が折れた構え

上記3点を強調した素振り(ストレッチと素振りの組み合わせ)を繰り返すのは非常に良い練習法です。特に、止まった状態からいきなり振る打ち方なので、取り組みの初期段階では体の力を使い切れないと言う場合が多いので、そういう人の場合には特にお奨めの練習法です。ストレッチ約10カウントに、素振り3回くらいの組み合わせで1セットとするのがお奨めです。

そして、それ以外の(ストレッチを伴わない)素振りでも、股関節の割れや捻りを強調して、強烈な構えを作って、そこから(投手方向を見て)思い切り振って行くと体の力を使い切るスイングが身に付いて行くでしょう。(捻りを強調すると顔の向きが置きティーのようになりやすいので注意してください。)アランさんの場合、素振りでは下の写真くらい思い切った構えをする必要が有ります。

そして、実際にボールを打つ時は、ボールの見やすさ等を重視して、もう少し楽に構えたら良いでしょう。

もう一度、話の要点をまとめておくと、体の力を使い切れるようにすることが重要で、そのためのポイント3点と、そのポイントをクリアーするための練習法を書きました。

続きます。

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フォーム分析

ではもう少し細かくアランさんのフォームを分析してみましょう。と言っても、現段階ではまず構えの基礎的なポイントをクリアーしていくと言う話が中心となります。ひとまず、そのポイントをクリアーした上でのスイングの変化を見ると言う順番になります。

1)捻り

現在の構えでの課題の一つが「捻り」です。捻り自体が浅いと言うのもありますが、捻る事によって上半身が捕手方向に傾いてしまっています。こうなっている人は割と多くいますが、これだと踏み込んだ前脚に体重が乗りにくいのです。

肩が地面と平行で、上半身が捕手方向に傾き、スイングで体重が後ろ脚に残り気味になると言うのは典型的なパターンですが、アランさんの場合もそういうタイプだと言えます。このへんを改善する事がまず重要ですし、それによってフォロースルーの力強さ、押し込みの強さも出て来るでしょう。
これが、下の写真のように、もう少し捻りを強くし、肩を傾け、脊柱を赤線のように彎曲させて頭が投手寄りに来るバランスを作ると、もっとパワーが出ます。
そのメカニズムについて説明します。まず写真のように、体を後ろ脚股関節のラインに沿って捻るとき、上半身を捕手方向に傾けずに捻る事によって赤線のようなラインを作ります。
ポイントは体を水平に捻るのでは無く、後ろ脚股関節の斜めの関節面に沿って捻るということです。そうすると下図のように脊柱が彎曲します。頭の重みも、この彎曲を作る要素のひとつです。コツは捻る時、頭の位置を前後に動かさないようにすることです。地面の一点を見つめたまま捻ると良いでしょう。

下図のように、捻りを浅くしても、深くしても、このバランスを作れている事が大切です。このバランスが出来ると、踏み込んだ前脚に体重が乗りやすくなります。

もちろん、あくまでも捻って、脊柱の彎曲が出来た上での話です。下図の(×)のような誤解はよく有る例ですが、脊柱の側屈を使ってしまうと、ただ単に投手方向に突っ込んだ構えになってしまいます。

当然ですが、突っ込んでも後ろに傾いてもいけません。あくまでも「中心軸で捻る」事が重要です。ただ、その「中心軸で捻る」と言う状態が一般的に考えられているよりも少し頭が前に来る状態になると言う事です。
林さんの連続写真を見て下さい。構えでは頭が投手寄りにあり、肩は傾いています。この状態から踏み込んでいき、前脚が着地した所では丁度、脊柱が真っすぐ立っています。このバランスだと踏み込んだ前脚に充分に体重が乗ります。そして前脚股関節が、その負荷を押し返そうとして強く伸展するので、フォロースルーでは前足から頭までが一本のラインを形成します。これがアランさんに身につけてほしい技術です。そして、それには「構えでの捻り」が重要になります。「良い捻り方で、しっかりと捻れている」からこそ、このようなフォームになるのです。

下の写真も良く捻れている例です。

肘の挙げ方はこのくらいで丁度良いです。

2)グリップのコック

グリップのコックについては出来ていない事はないのですが、前腕の捻り(二本の骨が交差する事によって生じる捻り)の運動性をまだまだ向上させて行く余地があります。

この写真などは良くコックが効いています。

ただ、肝心のスイングに入った時に、前腕部の捻りが上手く機能していないように見えるのですが、この辺は感覚的なものなので、説明で伝えるのは難しいです。

ただ、下の写真のようなフィニッシュでの腕の形を見ると、そうした事を強く感じるのです。

下の写真の2人と比べてください。彼等のフィニッシュの腕の形はほとんど理想的です。

もっとバットを振り込んでいき、バットを振る運動によって肩関節や前腕部が何度も何度もねじられる動きを繰り返して行くと、自然とフィニッシュでの腕の形も決まるようになってきます。言うなれば、体がどれだけスイング動作に馴染んでいるかの問題です。そうした意味で、アランさんの場合、まだその辺に(単純にバットを振り込んで行くだけで)良くなって行く余地があると言えます。

そして、それに加えて、バットを振り子のように振って前腕部を捻る運動や、反対の手で手首を掴んで回内しながら肘を伸ばす運動もやっていくと良いでしょう。

また、巻き戻しを利用して構えを作って連続で振る素振り(回る素振り)も効果的な練習です。何故かと言うと、巻き戻す時に完全に腕の捻りを戻すからです。回数も振れますし、通常の素振りより腕の捻りを多く使う事になるのでアランさん向きの練習だと言えるでしょう。

3)股関節の割り


股関節の割りはまだまだです。これは単純にストレッチしていくしかないです。説明では伝えにくいのですが、最初の頃はだいたい皆こんな感じです。股関節の割りは非常に難しいテーマで「どこをどうしたら良い」と言う問題よりは「身体を作って行く」と言う事が重要になります。上手く割れている例と比較してください。股割りストレッチやリズム股割りスクワットを繰り返しているうちに出来て来ると思います。

割れが出来るようになると、両脚の間に挟み込まれるように骨盤が前傾するので、脊柱のS字カーブが効いて来ます。ストレッチの際に鏡を見るなどして、写真のように良いラインが出来る感覚を掴んで下さい。

アランさんの骨格からすると、まだまだ構えでも脊柱のS字が効いて来るはずです。そしてそのためには股関節を割る事が重要になると言う事です。つまり、もっと上手く股関節が割れるようになると、構えで、もっと脊柱のS字カーブが効いて来ると言う意味です。

4)肩甲骨の可動域

脊柱がS字カーブを描き、胸椎が後彎した形を作るためには、もちろん腸腰筋が効いている事が重要です。腸腰筋が効いて腰椎が前彎すると、胸椎が後彎するためです。ただ、もう一つ重要な事が有ります。それは肩甲骨が外転する事です。肩甲骨が外転しなければ、胸椎は後彎してくれません。下の動画などを参考にして、ヒマな時にでも肩甲骨を動かすようにすると良いでしょう。

5)首の角度

やや首が傾き過ぎています。脊柱の生理的彎曲(正しいS字の状態)とは、頸椎が前彎、胸椎が後彎、腰椎が前彎です。(写真)

「傾ける」と言う理論なので、強調し過ぎる人が多くなっていますが、傾けすぎると頸椎が後彎になってしまい、不自然になります。一度、首を傾ける事を意識しないで構えを作り、それを自分で撮影してみるか、鏡で見て下さい。(構えを作る時は鏡を見ないで、出来てから鏡を見る)ほとんど意識しなくても、傾いていると思います。どのくらいの感覚で構えると、どのくらい傾いているのかを知っておいてください。

なお、首を傾ける意味は下図のとおりです。

つまり、もっとも簡単に言うと「アゴが挙らなければ良い」と言う事です。ですから、逆に言うと、脊柱の前傾した構えを作ったうえで、アゴが挙らないようにすれば、それだけで首が傾いているものです。そのへんを鏡を見たりして確認してみてください。

4)まとめ(構えについての)

構えについての最重要課題は「股関節を割る」ことが出来た上で「捻りを入れる」と言う事です。そして体幹部操作について説明する時、まず左右対称な形で股関節を割り、次に手を捕手方向にずらして捻りを作りました。

つまり、基本はまず股関節が割れる事です。股関節が割れて骨盤が前傾し、脊柱がS字カーブを描く形。これに磨きをかけてください。そして、この形をベースとして、そこに捻りを加えていくと言う事です。

この二つのポイントをまずは極める事を考えて下さい。

5)長所

今回の動画を見て「さすが」と思った点が一つあります。それは始動時の下半身の力(股関節伸展の力」です。この時の動きがアンドリュー・ジョーンズに似ていて、その辺はやはりアジア系との違いを感じます。やはり、この打法に取り組んで行く上での先天的な優位性は高いと言えるでしょう。

6)目指すスイングの形

フォロースルーからフィニッシュにはそれまでの動作の善し悪しが出ます。次のようなフォロースルーやフィニッシュが出来るようになると、目指すスイングが完成されたと考えて良いでしょう。

1)前足から頭の先まで一本のラインが出来るフォロースルー

2)腰を突き出して背中に反りが出来るフォロースルー

3)高く振り上げるフィニッシュと、綺麗な腕の畳みかた。

4)躍動感の有る巻き戻し

これらは本質的には2つ3つの同じ問題が原因となっています。そんなに複雑な話ではありません。まず技術的には後ろ脚に体重が残りやすい構えになっているので、踏み込んだ前脚に体重が乗りにくいと言うのがあります。(後ろ脚に体重が残ると、フォロースルーで高く振り上げる事が出来ません。)

そしてもうひとつは、まだまだ腕に頼って振っているので、体重移動が止まってしまうと言う事が原因です。そして、フィニッシュで綺麗に腕がたためていないのは、バットを振った数が少ない人によく見られる問題です。つまり関節の動きがバットを振る運動に馴染み切っていないということです。

やはり、日本の中学、高校の野球を経験してきた選手に比べると、バットを振って来た絶対数が少ないと言うのは有ると思います。バットを数多く振っているうちに「バットを振ると言う腕の動き」が「下半身を含めた全身運動」に転換されていくようになり、自然と全身を効率良く使って振る事が出来るようになって来ます。しかし、バットを振る数が少ないと、腕の力に頼ってバットを振ってしまいます。そうなると、身体の回転や体重移動に対して、腕が出るタイミングが早くなってしまいます。そして腕が動き出すと回転や体重移動にストップがかかるので、体重が後ろ脚に残りやすくなります。腰を突き出す動きも途中で止まってしまうのです。アランさんのスイングと言うのは、そうした典型的な事例とも言えます。

もちろん、構えが「後ろ脚に残りやすいバランス」になっている事も原因ですが、本質的には問題の多くはバットを振り込む事で解決されていく問題です。技術論やトレーニング法も重要になって来ますが、中心に考えてほしいのはバットを振り込むという事です。「体重が後ろに残り気味で、フィニッシュの位置が低く、腕が綺麗に畳めない」と言うのは、バットを振った数が少ない人に見られる典型的な状態であるからです。

打撃に関しては、かなりの事を書きました。ただ、本質的にはバットを振り込む事、そして、ボールを打つ事を重視してください。体格が有るのでシンプルな取り組みが出来る事がアランさんの強みです。
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スローイングについて

スローイングについては、今回は、まだ分析的な内容は有りません。

ただ、ピッチング投げで脚を挙げる時ですが、後ろ脚が踵体重の骨立ちの感覚になる事を重視してください。これが後ろ脚ハムストリングスを使うために重要な事です。そして、そのためには。前脚を挙げる時に、緩めた状態の後ろ脚の踵で地面を踏むようにする事がポイントです。このあたりは山下さんが非常に上手く出来ています。

なお、後ろ脚の膝を緩めるタイミングは、ワインドアップモーションの構えで打者に正対した状態から前脚を斜め後ろに引く時です。その辺も動画を見て掴んで下さい。
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190センチを越えるの身長が有る事を考えると、打撃に磨きをかければプロ入りも夢では有りません。アランさんの体格と私の理論が有れば、充分可能だと思います。過去のNPBでも打撃優先の長身ファーストはいました。

ただ、打撃以外で一つ重視してほしいのはグラブさばきですね。打撃優先のファーストであれば、届かない打球を外野に抜かれるのは、我慢してもらえると思います。しかし、ショートやサードがファインプレーした時のショートバウンドの送球を後ろに逸らされると、かなり辛い物があります。ある意味、重要なのはココだけと言っても良い気がします。(そのへん、そんなに詳しいわけでは無いですが。)ノックも打撃に通じる下半身強化の一貫だと考えてください。(落合はキャンプの時、ノックなどで下半身が出来るまでバットを振らなかったのは有名です。)

過去にNPBに動きの遅い打撃優先のファーストは多くいましたが、だいたいの選手がグラブさばきが柔らかく上手かった気がします。

以上です。