2013年8月9日金曜日

ジャイア・ジャージェンスの低めへの制球力

メジャーの先発右腕としては、ストレートは決して速くは無い140キロ台中盤。ただ、低めにボールを集めるコントロールの良さでフルで働けば13勝くらいの成績を残す。まだ27歳と若いので、これからも期待出来る。



フォームの特徴としては松坂大輔に似ている。

低めにスライダーやストレートを集めて、ゴロを打たせる事が上手い。そして、時おり、キャッチャーが中腰に構えた上で、意表を突くように高めに速球を投げ込んで空振りを取りに行く。

ところで、ジャージェンスのスライダーは横に滑るが、これは「オーソドックスなパンチャー」にとっては適した球種では無いかと思う。この辺の話題になると、断定はしにくいが、カットボールはカットするように投げるので、むしろ縦スラや縦カーブを投げる投手の方が適しているのでは無いか。例えば、川上憲伸やダルビッシュは縦に割れるカーブや縦スラとカットボールを投げる。

パンチャーの場合は本質的に横殴りに腕を振るので、基本的には縦スラ、縦に割れるカーブは投げにくい。ただ、実際にはメカニズムの特徴から、そうした変化球を得意とするパンチャーもいる。

メジャー40人枠に入る投手の投球をチェックして来た感想から「パンチャーなら投げなきゃ損」と言うべき「マストアイテム」の球種を4つほど挙げたい。


では、その4つのマストアイテムだが。。

1)横スラ 
2)ツーシーム
3)チェンジアップ
4)スプリットフィンガード・ファストボール

(1)の横スラはここで書いた通り。本質的にパンチャーの腕の振りは横スラを投げるのに適している。(2)のツーシームは流行っているからかメジャーでは多くの投手が投げるが、特にパンチャータイプの先発右腕なら必ずと言っていい程投げている。ボールの握りを変えるだけだし、横スラとの使い分けで左右に動くボールを投げられたら強いだろう。(3)のチェンジアップについては、腕の振りと球速のギャップで錯覚を起こす球種なので、腕を強く振って行くパンチャータイプの場合には適していると考えられる。大きなカーブで緩急を付けにくいパンチャーにはマストアイテムと言えるだろう。また、捻ったりする動きが入らないのも良い。よりスピードを落とせるパームの握りもトライしたいところ。(4)のスプリッターについては、それほど多くの投手が投げるわけでは無い。しかし、縦スラや縦に割れるカーブが難しい(純度の高い)パンチャーにとっては「落ちる球」として是非マスターしたい所。カーブやスライダーに比べて、腕の振りがストレートに近いのも良い。ティム・ハドソンのようなスリークォーターのパンチャーがスプリットを武器にしている事からも、横殴りの腕の振りのフォームでも大きな武器となる事がわかる。